文化講座
第10回:1人暮らしの方が作るお弁当について学びます
前シリーズでは「旬の食材大事典~今食べたいのはこの食材!!~」と題し、その季節に最もおいしい食材や調理法を取り上げ、その効能はもちろん、それらにまつわる様々な事柄の説明を、オリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、「お弁当作りを楽しむ」というテーマで、幼児や学童期から、中高年者が楽しめる弁当や、おもてなしも含めたマダムのためのおしゃれ弁当など、その作り方の注意点なども含めてお弁当に向くレシピを皆様にご紹介しています。
10回目のテーマは「1人暮らしの方が作るお弁当」
春になり、実家を離れて初めて1人暮らしを始めた大学生さんや新社会人、単身赴任の方、新しい環境で生活を始めた方もいらっしゃるかと思います。1人暮らしの方は1日3食規則正しく食事をとる事が困難になりがちですが、自分の健康は自分で守る心構えが大切です。今回は、そうした方々に作ってほしい栄養バランスに優れたお弁当をご紹介します。1人暮らしの方の食生活の注意点などもお伝えします。
まずは、1人暮らしの方の手作り弁当をご紹介します。
炊き込みチキンライス弁当
材料 | 1回に作りやすい分量 | |
---|---|---|
米 | 3カップ(600ml分) | |
水 | 4カップ(800ml分) | |
A | トマトケチャップ | 100ml分 |
ウスターソース | 大さじ1・1/2 | |
塩 | 小さじ1/2 | |
B | 鶏手羽中(半割タイプ) | 20本(350~400g) |
塩 | 小さじ1/3~1/2 | |
白こしょう | 少々 | |
玉ねぎ | 1コ(200g) | |
マッシュルーム | 100g(8コ) | |
にんじん | 80g | |
鶏胸肉(もも肉可) | 150g | |
油 | 大さじ1~2 | |
バター | 25g | |
塩 | 小さじ1/3 | |
こしょう | 少々 |
作り方
- 米は洗って、分量の水に1時間程浸水します。
- (A)を混ぜ合わせておきます。
- (B)の手羽中に分量の塩とこしょうをふります。
- 玉ねぎは8mm角位に切り、マッシュルームは薄切りにします。にんじんは小さめの小角切りにします。鶏肉も小角切りにします。
- フライパンに油を入れ、手羽中を強火で焼き付けます。(いきなり米に炊き込んでも良い)
- 4.をバターで炒め、分量の塩とこしょうで調味します。
- 1.の米に2.と5.と6.を乗せて普通に炊きます。
<付け合わせ>1回分 | ||
---|---|---|
ブロッコリー | 適量 | |
いちご(果物) | 2~3粒 | |
味付き卵 | 1コ |
作り方
- 緑黄色野菜はゆでて、ごま和えなどにします。
- フルーツを添えます。
- 味付き卵を常備して、たんぱく質を補います。
<このお弁当の特徴>
チキンライスをこの分量で作って、おにぎりにして冷凍しておけば、野菜や具材が入ったチキンライスが常備できます。
※この分量でおにぎりが約10個分作れます。
後は、ゆで野菜や果物を添えれば、楽々のお弁当が出来上がります。
味付きとろり卵
材料 | 4コ分 | |
---|---|---|
卵 | 4コ | |
A | しょうゆ | 大さじ4 |
砂糖 | 大さじ1/2 | |
みりん | 大さじ4 | |
水 | 大さじ4 |
作り方
- 卵は20分室温におきます。
- 鍋に湯を沸かし、卵を玉じゃくしでそっと入れ、6分30秒ゆでます。
※卵穴あけ器で穴をあけておくと、殻がとてもきれいにむけます。 - 2.を冷水にとって冷まし、殻をむきます。
- (A)を煮立て、冷まします。
- 保存用密封袋に4.と3.の卵を入れ、空気を抜いて口を閉じます。
- 1日寝かせれば出来上がりです。
- 漬け汁を切って、冷蔵庫で4~5日間保存可能です。
※温かいご飯に添えたり、ラーメンに乗せたりして楽しめます。
<便利グッズ>
卵を茹でる前に小さな穴をあける道具です。
殻の内側に水が入り、ゆで卵の殻がむきやすくなります。
数百円で購入できます。
こういった便利グッズを用意されると、作業が楽になります。
もう一品、お弁当の参考レシピをご紹介します
牛肉とごぼうのしぐれ煮
材料 | 4人分 | |
---|---|---|
ごぼう | 2本(260g) | |
牛こま切れ肉 | 200g | |
エリンギ | 1パック(120g) | |
ごま油 | 大さじ2 | |
酒 | 50ml | |
A | かつおだし汁 | 200ml |
しょうゆ | 60ml | |
砂糖 | 大さじ4 | |
みりん | 大さじ2 | |
赤みそ | 大さじ1/2 | |
しょうが(すりおろし) | 大さじ1/2 | |
花麩(生麩) | 1/2本 |
作り方
- ごぼうは3~5mmの斜め薄切りにして水に晒し、水から茹でて沸騰後5分程茹でます。牛肉は小さめに切ります。エリンギは太いものは縦半分に切って2~3mm厚さの斜め薄切りにします。
- 鍋にごま油を敷き、中火でじんわりとごぼうを炒めてから、エリンギと牛肉を加え、さらに炒めます。
- 牛肉の表面の色が変わったら酒を入れてなじませ、(A)を加えてごぼうがやわらかくなるまで10分間程煮ます。途中でしょうがを加えます。花麩は1人3切れ位に切ります。
- 3.を器に盛ります。
※冷蔵庫に入れると、3日程保存可能です。
1人暮らしの方の食生活のポイント
- 正しい栄養知識を身につけ、栄養補助食品に頼らず、バランスのとれた食事により、健康を維持することが大切です。
- 雑誌、テレビ、料理の本などを活用したり、料理教室などの利用で料理の基本を覚えて、料理を作る習慣をつけるようにしましょう。
- 外食は栄養が偏りがちです。同じメニュー選択に偏らない、定食物を選ぶ、和・洋・中と変化をつけて、脂肪や塩分の多いものに偏らない選択をするなど常に栄養のバランスを考えて食べるようにしましょう。
- 調理済食品には、不足しがちな野菜料理などを一品添えて食べる習慣をつけましょう。
- 甘い菓子、清涼飲料水の多量摂取は控えましょう。
- 自分のライフスタイルに合わせた食事内容、食事時間を決め、食生活のリズムをつけるため、規則的にとることが大切です。
- 食生活の改善は、できることからひとつずつ実行しましょう。
献立と調理の工夫
- 忙しいウィークデーは手軽に作れるメニューを準備し、週末には本格的なこだわりメニューでストレスをとって、バランスを整えるというのが、理想的ではないでしょうか。
- 電気炊飯器でも手軽に作れる炊き込みごはんなどのご飯物は、野菜も肉も入り栄養バランスが整いやすいです。多めに作って冷凍保存も可能です。ツナ缶や鮭缶などを使用すれば、さらに手軽に作れます。
- キッチンばさみで刻むことのできる野菜(にらや細ねぎなど)、手でほぐすだけですむきのこ類なども、常備しておけば手間がはぶけます。
- カットわかめや、刻み野菜などを利用するのも、調理時間短縮の一つの方法です。
- 肉のゆで汁をスープに利用すれば、環境への配慮にもつながります。
- 本格的なパエリアやカレーなどは、良質の素材を使えば、"おいしさ間違いなし"です。手を抜く日と手をかける日をとり合わせて、充実の日々をお過ごしください。