文化講座
第11回:働く女性の手作り弁当について学びます
前シリーズでは「旬の食材大事典~今食べたいのはこの食材!!~」と題し、その季節に最もおいしい食材や調理法を取り上げ、その効能はもちろん、それらにまつわる様々な事柄の説明を、オリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、「お弁当作りを楽しむ」というテーマで、幼児や学童期から、中高年者が楽しめる弁当や、おもてなしも含めたマダムのためのおしゃれ弁当など、その作り方の注意点なども含めてお弁当に向くレシピを皆様にご紹介しています。
11回目のテーマは「働く女性の手作り弁当」
現在の日本では、何でも、どこでも、いつでも食べられる飽食の時代になりました。外食や中食(持ち帰り弁当などを「中食」と呼びます)の利用は、年々増加の一途をたどっています。特に働く女性は、昼食を外食や中食、ファストフードに依存している人が多くなっています。
外食や中食、ファストフードでの昼食は、栄養のバランスが充分にとれていないものが多くあります。将来親となり、家庭の食事の担い手になる女性(男性も)は、独身のうちから自分で作る弁当をオフィスに持参する習慣をつけ、昼食の栄養バランスを良くするとともに、家庭の味、調理技術の習得をしていく習慣をつけましょう。
まずは、働く女性の手作り弁当をご紹介します。
手巻きサンドイッチ弁当
~友人とのホームパーティーにも向く~
(A)ハーブ入りミニソーセージ (B)かぼちゃとにんじんのクリームチーズサラダ (C)スナップエンドウと赤パプリカの粒マスタード和え (D)マッシュドエッグ (E)スティック野菜(セロリ) (F)フローズンフルーツ(グレープフルーツ) (G)お好みのフルーツ(キウイ) (H)牛肉とひよこ豆のスパイシースープ |
手巻きサンドイッチ弁当
サンドイッチ弁当をホームパーティーに応用したもの
手巻きサンドイッチ弁当
材料 | 作りやすい分量 | |
---|---|---|
サンドイッチ用食パン | 適量 |
作り方
- 細長く切ったパンに、お好みの具を巻いて食べます。
(A)ハーブ入りミニソーセージ(16コ分)
材料 | 16コ分 | |
---|---|---|
A | 鶏ひき肉 | 180g |
パン粉 | 大さじ3 | |
牛乳 | 大さじ2 | |
塩 | 小さじ1/3~1/2 | |
こしょう | 少々 | |
バジルの葉(粗く切る) | 5~6枚 | |
小麦粉 | 適量 | |
バジルの葉 | 適宜 | |
油 | 適量 |
作り方
- (A)をボウルに入れてよく混ぜ、短いソーセージ状に丸めます。
- 1.に小麦粉をまぶし、お好みでバジルの葉を巻いてからフライパンで焼きます。
※バジルの代わりに他のハーブ、青じその葉などを使うのも良い
※パンで巻いても、ご飯のおかずとしても良い
(B)かぼちゃとにんじんのクリームチーズサラダ
材料 | 5~6人分 作りやすい分量 |
|
---|---|---|
かぼちゃ(種を取って) | 400~500g | |
にんじん | 100g | |
塩 | 少々 | |
クリームチーズ | 80~100g | |
A | マヨネーズ | 大さじ1・1/2 |
塩 | 小さじ1/4 | |
白こしょう | 少々 |
作り方
- かぼちゃは1~1.5cm角位に切ります。
- にんじんは、かぼちゃよりやや小さ目の角切り又はいちょう切りにします。
- 1.と2.を蒸し器に並べ、軽く塩を振り、8~10分程蒸します(電子レンジ可)。冷めるまでそのままおきます。
- クリームチーズは、小角切りにします。
- ボウルに3.と4.を入れ、(A)で調味します。
(C)スナップエンドウと赤パプリカの粒マスタード和え
材料 | 4~5人分 | |
---|---|---|
スナップエンドウ | 150g | |
赤パプリカ | 少々 | |
A | しょうゆ | 小さじ1 |
粒マスタード | 小さじ1 |
作り方
- スナップエンドウはスジを取り、熱湯に塩(分量外)を入れて茹で、半分長さに切ります。パプリカもサッと茹でます。
- ボウルに(A)を入れ、1.を和えます。
(D)マッシュドエッグ
材料 | 作りやすい分量 | |
---|---|---|
卵 | 2コ | |
A | 塩 | 少々 |
こしょう | 少々 | |
マヨネーズ | 大さじ1 |
作り方
- 卵を茹でて細かく切り、(A)で和えます。
(E)スティック野菜(セロリ)
セロリやにんじん、きゅうりなどを棒状に切ります。今回はセロリを使用しました。 |
(F)フローズンフルーツ(グレープフルーツ)
果物をお好みの大きさに切って適量の砂糖をふりかけ、凍らせておきます。保冷剤代わりにもなる上に、お弁当を食べる頃にシャキシャキ感が出て良いです。今回はグレープフルーツ(赤と黄)を使用しました。 |
(G)お好みのフルーツ(キウイ)
お好みのフルーツを持参すると良い。今回はキウイを使用しました。 |
(H)牛肉とひよこ豆のスパイシースープ
スープジャーに入れたスパイシースープ
材料 | 4~5人分 作りやすい分量 |
|
---|---|---|
ひよこ豆(乾燥) | 100g | |
牛肩ロース肉(塊) | 200g | |
塩 | 少々 | |
黒こしょう | 少々 | |
玉ねぎ | 1/2コ(100g) | |
イタリアンパセリ | 4~5本(6g) | |
オリーブ油 | 大さじ2 | |
にんじん | 80g | |
A | ターメリック | 小さじ1/3 |
パプリカパウダー | 小さじ1/3 | |
チリパウダー | 小さじ1/3 | |
トマトソース | 1缶(295g) | |
水 | 600ml | |
トマト | 1/2コ(100g) | |
塩 | 小さじ2/3 | |
白こしょう | 少々 | |
イタリアンパセリ | 少々 |
作り方
- ひよこ豆は一晩水に浸けて戻し、やわらかくなるまで茹でます。
- 牛肉は1.5cm角に切り、塩とこしょうを振ります。
- 玉ねぎをみじん切りにし、パセリは粗く刻みます。
- 鍋にオリーブ油を入れて玉ねぎをじっくりと炒め、パセリと2.、4~5mm厚さのいちょう切りにしたにんじんを加えます。
- 4.に(A)を加えて炒め、トマトソースと分量の水を入れて煮込みます。
- 5.に種を取ってすりおろしたトマトと1.を加え、塩とこしょう入れて煮込み、器に盛ってパセリを散らします。
※スープジャーなどに入れて持参すると良い
お弁当やホームパーティーに合う一品としてのレシピ
①しし唐辛子と糸こんにゃくのピリ辛煮 ②フィッシュケーキ(サーモンコロッケ) ③トマトと玉ねぎのカチュンバル(インド風酢の物) |
①しし唐辛子と糸こんにゃくのピリ辛煮
材料 | 1回で作りやすい分量 (4~5人分) |
|
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しし唐辛子 | 1パック(120g) | |
糸こんにゃく | 1袋(200g) | |
塩 | 適量 | |
しめじ | 1パック(100g) | |
ベーコン(又は豚肉) | 40g | |
ごま油 | 大さじ1 | |
A | 水(又は出汁) | 50ml |
酒 | 大さじ2 | |
砂糖 | 大さじ2~ | |
しょうゆ | 大さじ3~ | |
赤唐辛子 | 1~2本 |
作り方
- しし唐辛子は手でヘタを取ってから洗います。
- 糸こんにゃくは塩もみしてから、熱湯で茹でて短く切ります。
- しめじはサッと洗ってから、手でほぐします。
- ベーコンはせん切りにします。
- 小鍋に油を入れて1.~4.を炒め、全体に油が回ったら(A)を加えて煮ます。
- 火を止めてしばらく置くと、味がなじみます。
※ベーコンの代わりに豚肉、ちくわ、しらす干しなどを入れるのも良いでしょう
②フィッシュケーキ(サーモンコロッケ)
材料 | 40gで12コ分 | |
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じゃがいも | 450g(大2コ) | |
塩 | 小さじ1/2 | |
バター | 20g | |
トラウトサーモン (生鮭・塩鮭可) |
240g(約2切れ) | |
塩 | 小さじ1/3 | |
こしょう | 少々 | |
白ワイン | 70ml | |
水 | 70ml | |
ハーブ(ディル・バジル・青じそなど) | 適量 (ディルなら5~6軸、バジル・青じそなら10枚位) |
|
卵黄 | 1コ分 | |
卵白 | 1コ分 | |
小麦粉 | 適量 | |
生パン粉 | 2~3カップ | |
揚げ油 | 適量 | |
レモン | 1/4コ | |
ハーブ | 適宜 | |
マヨネーズ | お好みで | |
マスタード | お好みで |
作り方
- じゃがいもは8等分程に切り、皮をむいてから乱切りにして水から茹でます(沸騰後、15~20分をメドに茹でる)。
- 1.のじゃがいもをザルに上げて水を切り、再び鍋に戻して分量の塩をふり、粉ふき芋を作ります。
- 2.を熱々のうちにマッシャー又はすりこ木でつぶし、熱々のうちにバターを加えます。
- 鍋を水でぬらして、サーモンを並べ、分量の塩とこしょうをふってからワインと水を加え、フタをして蒸し煮します。
- 4.に火が通ったら、皮と骨を取り、細かくほぐします。
- 3.に5.と刻んだハーブ、卵黄を加えてしっかり混ぜ、12コに丸めます。
- 卵白に水大さじ1強を加えてしっかりほぐします。
- 6.に小麦粉、7.、パン粉をつけて揚げます。レモンやハーブを添えます。
③トマトと玉ねぎのカチュンバル(インド風酢の物)
材料 | 4~6人分 作りやすい分量 |
|
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トマト(完熟) | 300g(2コ) | |
新玉ねぎ | 250g(中2コ) | |
塩 | 小さじ1/2 | |
しし唐辛子 | 4本 | |
A | 塩 | 小さじ1/2~ |
レモン汁 | 小さじ2 |
作り方
- トマトは横半分に切ってから種を出し、1~2cm角に切ります。
- 新玉ねぎは短いせん切りにしてボウルに入れ、分量の塩をふってもみ込みます。
- しし唐辛子はみじん切りにします。
- 2.の玉ねぎがしんなりしたら、ザッと洗ってザルに上げ、水気をしぼります。
- 大きめのボウルに1.3.4.を入れ、(A)で調味します。
- 食べてみてよい味であることを確認してから、器に盛ります。
※お好みで、コリアンダーパウダーやチリパウダーを入れて風味を付けても良い
外食、中食などの特徴と弊害
- 外食や中食は、全般的にエネルギーと脂肪のとり過ぎになりやすく、野菜と乳製品の摂取が少なくなる傾向にあります。毎日とり続けてしまうと、栄養の偏りにつながります。
- 働く女性にとって昼食の調達は、オフィスの近所など限られた店で固定化しやすく、食事内容もある程度決まってくるため、変化に乏しく飽きやすくなります。
- 家庭の食事や手作り弁当に比べ、内容の割には経済的に割高になります。
弁当の効用
- 自分で作る弁当は、栄養のバランスがとりやすいように、自由に内容を変化させることができるので飽きません。
- 日本人の消化器官は米食に適応したものになっているので、米を主食としたお弁当は、日本人に最適な主食です。また、白いご飯は味が付いていないため、毎日食べても飽きがこない上に、おかずを組み合わせやすく、栄養のバランスがとりやすくなります。現代の若い女性の食生活の最大の特徴は、ご飯を食べなくなったことで、1日1~2杯といわれています。栄養的にすぐれているご飯を主食とした弁当を作り、折々手作りサンドイッチなどのパン食やパスタを取り合わせましょう。
- 自分で作る弁当は、簡単に自分の嗜好を満たすことができます。
働く女性の弁当作りのポイント
- 一般的に出勤時間の早い働く女性の弁当作りは、簡単、手軽、短時間でできるものが基本となります。前夜の残り物を再加熱したおかずと、ご飯といったものでも充分です。
- 手作り料理に冷凍食品、加工食品、常備菜などを組み合わせて、簡単弁当にします。
-
弁当にも主食(ご飯)、主菜(主にたんぱく質性の食品)、副菜(主に野菜を中心としたもの)をできる範囲内で一品以上入れ、栄養のバランスをとるとともに、分量の配分も気を付けるようにします。
- デスクワーク中心の人は、少量で栄養価の高い弁当にし、摂取エネルギーの過剰を防ぎます。
- 昼食が楽しみ、弁当を開くのが楽しみになるような弁当作りを心がけましょう。弁当箱を数種類そろえて変化をつけることや、彩り、形、詰め方を工夫したり、味の調和などを考慮しましょう。
- 弁当は作ってから4~5時間後に食べることから、冷えても美味しい内容を考えます。
献立と調理の工夫
働く女性は忙しいので、前夜の食材や料理の残り物を、うまく利用した簡単で彩りの良い手作り弁当をおすすめします。前夜のハンバーグ種を利用してハーブ入りのソーセージを作ったり、ゆで野菜に火を通し直して、味付けを変えた物、常備菜や、そのまま食べられるチーズなどを利用してください。これらの材料を手早く詰め合わせて、薄切り食パンで巻いて食べる手巻きサンドイッチや、手巻きおにぎりなども良いです。日ごろから、簡単に作れる素材別に分けた野菜料理を2~3品、お得意メニューとして用意しておくことも必要なことです。味付けは塩味、しょうゆ味、ピリッと辛い味、洋風味、和風味、中国風味など、変化を持たせましょう。
弁当に不足しがちな乳製品は、牛乳パックを買い求めたり、チーズやコンデンスミルクなどで補ってください。手作り弁当は、心が和みます。