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インターネット公開文化講座

文化講座

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お弁当作りを楽しむ

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第2回:幼児期・学童期のお弁当について学びます

前シリーズでは「旬の食材大事典~今食べたいのはこの食材!!~」と題し、その季節に最もおいしい食材や調理法を取り上げ、その効能はもちろん、それらにまつわる様々な事柄の説明を、オリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、「お弁当作りを楽しむ」というテーマで、幼児や学童期から、中高年者が楽しめる弁当や、おもてなしも含めたマダムのためのおしゃれ弁当など、その作り方の注意点なども含めてお弁当に向くレシピを皆様にご紹介します。

2回目のテーマは「幼児期・学童期のお弁当
正しい食生活を身につけたい幼児期・学童期のお子さんのための、お弁当作りの工夫とポイントをご紹介します。

まずは幼児期のお弁当を作ってみましょう。


幼児向けのお弁当


お弁当を作った人が後で味見するためのもの
(幼児向けと同じ分量が入っています)

幼児のための豆腐ハンバーグ弁当

おにぎり

ノリは小さく切っておにぎりに貼ると、あごに張り付きにくく食べやすくなります。

豆腐ハンバーグ

軽く水気を切った豆腐と挽き肉(鶏肉または豚肉)・すりおろしニンジン・塩・少量のしょうゆを混ぜ合わせてハンバーグ生地を作り、少量の油で焼きます。
焼き上がったら、少量の甘辛ダレをからめます。
焼いた上に、薄切りにしてゆでたニンジンを貼り付けます。

じゃこ入りの卵焼き

卵にしらす干しを混ぜて、ごく少量の塩と砂糖で味付けをし、卵巻きを作ります。
ハート形に切ります。

じゃが芋ボール

じゃが芋は2センチ角ほどに切ってから茹でます。
ザルに上げてから熱々のうちにつぶし、クリームチーズと茹でた枝豆を加えて混ぜます。
ラップで小さなボール状に丸めます。

キャベツの茹でサラダ

キャベツと少量の赤パプリカを千切りにし、ほどよく茹でてから少量の塩で調味します。

きゅうりとミニトマト

きゅうりは幼児の口に合うサイズに切り、切り込みを入れてから塩でもみます。
ミニトマトはヘタを切り落としてから、半分に切ります。
ミニトマトをそのまま入れると、幼児の口には大きすぎる場合があります。

季節の果物

今回は房から外したミカンを入れました。

◎発育の盛んな幼児期、学童期のお弁当は、栄養のバランスと年齢に合った分量を考えることが大切です。おいしく、かわいらしく作ることも大切ですが、年少児は一人でたべるのに精一杯です。何よりも食べやすく作ることが第一です。また、食中毒などの予防から、衛生上の配慮も重要となります。

お弁当作りの工夫とポイント

  1. 食べやすい形や分量を第一に考えます。
    • お弁当を作る際には、幼児が食べやすい分量を入れます(張り切り過ぎて詰め過ぎないようにします)。
      お弁当の半分に主食、残りの半分におかずの割合にし、お弁当にも主食、主菜、副菜を取り合わせて、栄養のバランスをとるようにします。ご飯や麺、パンなどの炭水化物(主食)は、体と脳を活発に働かせるために欠かせないエネルギー源です。主菜は卵・魚・肉・大豆・大豆製品を1品以上入れ、副菜としての野菜もたっぷり入れるようにします。
    • ひとくちで食べやすい形を心がけます。
      幼児期・学童期のお弁当は一人で食べることができ、決められた時間内に食べられるように、食べやすいものにすることが大切です。食べやすいように、年齢に合わせた調理形態を考えて作ります。特に幼児の初めてのお弁当は食べ慣れた、大好きな物を、食べやすくして、少なめに詰めることが大切です。ご飯はこぼれないように小さくまとめ、おにぎりやのり巻きなどにし、パン食も一口で食べられる大きさに切ったり、ラップで包んだりします。おかずも一口大の大きさにし、串刺しなどにして食べやすくします。初めは慣れない物や、嫌いな物は入れないようにして、おはしのほかにスプーンも添えます。
  2. 偏食をなくすために、お弁当に慣れてきたら嫌いな物に好きな物を取り合わせて、少しずつ慣れさせるように工夫します。皆に連られて、食べてしまうことができます。
  3. 栄養バランスにこだわり過ぎず、3日間くらいの間にバランスを取るくらいの気持ちで取り組みます。
    • 簡単に手軽に作れることが重要です。忙しい朝食と一緒に作るお弁当は、短時間で簡単に作れることが大切です。

      ※この写真のお弁当は、以前に筆者が撮影用に作成したものです。
      保護者は、ともするとこの手のお弁当を目指してしまいがちです。しかし毎日のお弁当は、日常生活の一部です。
      こういったお弁当は、毎日の負担が大きくなるのと、お弁当で子どもが遊んでしまう恐れもあります。
      毎日のお弁当では、手をかけ過ぎず、継続できることが重要です。

    • 短時間で作るために、お弁当のおかずは前の晩の献立と一緒に考え、利用できるものは余分に作って朝もう一度火を通したり、夕食作りのときに下ごしらえして朝、火を通します。時には冷凍食品や缶詰などの市販品を利用したり、半製品に手を加えたり、ホームフリージングや常備菜を作り置きして、弁当作りの時間と手間を短縮します。
  4. お友達と一緒に食べる楽しいお弁当、開いたときにわくわくするような、おいしそうな彩りや盛り合わせを考え、甘味、塩味、酸味と味の調和をはかり、毎日変化をつけるようにします。
  5. 加工食品や既製品に偏らないで、できるだけ手作り料理を心掛け、栄養のバランスと自然の味のおいしさを教えるようにします。
  6. 詰め合わせ方にも工夫します。持っていく間にくずれたり、味や香りが混じったりしないように、気を付けます。使い捨ての紙カップやワックスペーパーなどの小物を上手に使ったり、シリコンカップなどの何度でも使えるタイプを使用すれば、環境への配慮もできます。

  7. 香りの強い物は少なくします。汁気の多い煮物はよく水けを切り、密封容器などに入れるなどの工夫をします。ドレッシング、マヨネーズ、ソースなどは別容器に入れて詰めます。
  8. 食中毒などを予防するために、衛生的に作ります。
    お弁当は作ってから食べるまでに、時間がかかります。食べ物が腐ったり、変化しないように作り方や詰め合わせ方に、細心の配慮が必要です。夏場や梅雨時は特に注意します。
    • 弁当箱に詰める前に、前夜作った物は必ず火を通します。冷凍のまま入れると、雑菌が繁殖しやすいので避けましょう。いたみやすいハム・ソーセージ、練り製品、ひき肉も充分に火を通します。
      幼児のお弁当は、できるだけ加熱したものを入れます(加熱したものは消化が良いです)。加熱はやや長めにし、消化吸収の良いように心がけます。
    • 熱いご飯と冷えたおかずは、両方同じ温度に冷ましてから詰めます。
    • 蒸れて味が変わったり腐ったりするので、熱い内に弁当箱の蓋をしないようにします。
    • 弁当箱は帰宅後早く洗い、熱湯消毒をしてよく水けをふいておきます。そのためには弁当箱は、熱湯消毒できる物を選びます。
  9. 弁当に適した材料や調理法を選びます。
    • 脂肪の多い肉類、バター、ラードなどを使った物は、冷えると脂肪が固まりまずくなります。特に冬は避けるようにします。
    • 魚は冷たくなると、骨が離れなくなります。小骨の多い魚とともに、注意が必要です。
    • 水分の多くない物、冷めても味の変わらない物を選ぶようにしましょう。
  10. 画像のように、お弁当を作った人が次のお弁当作りのための注意点を見るためにも、折々自分用を作って試食することをおすすめします。
    このお弁当が幼児にとって食べやすい形だったか・分量は適量だったか・味が適切だったか(濃すぎたり薄すぎることはなかったか)・味に変化はなかったかなどを知るためです。
お弁当作りを楽しむ
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