文化講座
第5回:お正月のテーブル ~漆器で格調高く~
前シリーズでは「お弁当の作り方」と題し、毎日のお弁当作りが楽しくなるコツと旬のお弁当レシピをご紹介しました。
今シリーズでは、和食・中華・フレンチ・イタリアンなど、毎月テーマを決めて、家庭でも手軽に作る事ができるコース料理のレシピをとっておきのテーブルコーディネートとともにご紹介しています。12回シリーズを終えた頃には、きっと「おもてなしの達人」と呼ばれることでしょう。
第5回目のテーマは「お正月のテーブル ~漆器で格調高く~」
冷たく澄んだ空気に、イルミネーションがキラキラと幻想的な輝きを放つ12月。いつもに増して、慌ただしく日々が流れます。新しい年をすがすがしい気持ちで迎えるために、少しずつ準備していきましょう。お正月の伝統やおせち料理については、前々回のシリーズ~歳時記とごはん~お正月編でご紹介しています。ぜひ参考になさってください。今回は、お正月を華やかに演出するテーブルコーディネートと技ありおせち料理です。お正月などのおめでたい日にふさわしい器についても取り上げます。
★おめでたい日を彩る日本の器
日本にはお正月をはじめ、婚礼や出産などの慶事、記念日など、おめでたい席を演出するために作られた器が数多くあります。普段と変わらない料理でも、お祝いにふさわしい器に盛るだけで、ぐっと特別感が増し、気分を盛り上げることができます。気に入ったものを少しずつ揃えていくと素敵ですね。箸置きなどの小物なら、手軽に集められます。今回は、その中でも選りすぐりの器をご紹介しましょう。
赤楽鯛小蓋物(あからくたいこふたもの)

「鯛(たい)」はもちろん"御目出鯛(おめでたい)"を意味し、赤い鯛は無病息災、厄除けの意味が込められています。鯛の形は、お正月はもちろん、すべての慶事にふさわしい代表的な器です。
高麗金彩鶴形向附(こうらいきんさいつるがたむこうづけ)

昔から「鶴」は千年「亀」は万年と言われ、長寿のシンボルとして縁起の良いものとされています。
乾山写歌留多角蓋物(けんざんうつしかるたかくふたもの)

「乾山(けんざん)」とは、江戸中期の陶芸・画家である"尾形乾山"を指し、兄"光琳"の描いた百人一首を写しています。お正月を知的に演出します。
織部瓢向附(おりべひさごむこうづけ)

瓢箪(ひょうたん)は、古来より縁起物とされ、三つ揃えば「三拍(瓢)子揃って縁起が良い」。六つ揃えば「無病(六瓢)息災」といい、六つの吉運を呼ぶと言われています。
永楽写半開扇向附(えいらくうつしはんかいせんむこうづけ)

扇が半分開いた上体を模したものを「半開扇(はんかいせん)」と呼び、向付をはじめとし、鉢・皿・などに使われるおめでたい形です。
青華写赤絵南京五寸深皿(せいかうつしあかえなんきんごすんふかざら)

「青華」とは、白地に青色の模様がある陶磁器で中国の呼称です。「赤絵」とは、赤色を主として彩色を施した陶磁器のことです。華やかな色合いで、お祝いの席を彩ります。
おせち料理
いつものおせち料理にプラスすると、格段におしゃれ度がアップする3品です。
洋風のかわいらしいオードブルです。
いただきもののハムを有効活用してください。
材料 | 15コ分 |
ロースハム(1cm厚さ) | 5枚 |
クリームチーズ(室温) | 30g |
(A) | |
レモン汁 | 小さじ1/2弱 |
生クリーム | 小さじ2 |
むきくるみ(ロースト・刻む) | 5g |
赤パプリカ | 少々 |
作り方
- ハムは抜き型で1枚を3つに抜きます。
- クリームチーズを柔らかくし、(A)を加えて混ぜ合わせます。
- 1.に2.を塗り、水けをよくふいて小さいひし型に切ったパプリカを飾ります。
口当りの良い中国風のよせものです。
おせち料理だけでなく、もてなし料理としても素敵です。
材料(13cm×15cmの流し缶・1缶分) | 15切れ分 |
ロースハム(「梅花ハムのチーズディップのせ」で余ったものを使用) | 150~200g |
きくらげ(乾燥) | 4g |
赤パプリカ | 15g(1/8コ) |
ピーマン | 1/4コ |
(A) | |
水 | 3カップ |
鶏がらスープの素 | 小さじ1弱 |
ネギ(緑の部分) | 適宜 |
ショウガ(くずの部分) | 適宜 |
(B) | |
粉寒天 | 1・1/2袋(6g) |
粉ゼラチン | 1袋(5g) |
(C) | |
塩 | 小さじ1/2強 |
紹興酒 | 大さじ1 |
しょうゆ | 小さじ1 |
作り方
- 鍋に(A)を入れて煮ます。煮立ったら火を止めて冷まします。
- 梅花ハムのチーズディップのせで余った部分のロースハムをフードプロセッサーにかけます。
- 水で戻したきくらげをみじん切りにします。赤パプリカとピーマンは粗いみじん切りにします。鍋に湯を沸かし、それぞれ湯通しします。
- 1.が冷めたら(B)を入れ溶かします。(B)が溶けたら火にかけ(C)で調味をします。2.と3.の残りを入れ煮ます。アクが出てきたら取ります。
- 4.を氷水で冷やし、とろみが出てきたら流し缶に流し入れ、氷水で冷やし固めます。
- 固まったら流し缶から取り出し(滑りやすいので注意!!)縦に半分に切り、その半分を横に5等分に切ります。全部で15切れになるように、5等分に切ったものを3等分に切ります。
紅白のおめでたい彩りをテーブルに添えます。
柚子のさわやかな香りと柿の甘味がうれしい一品です。
材料 | 4~5人分 |
大根 | 1/2本(500g) |
ニンジン | 70g |
塩 | 小さじ 1・1/3 |
柿チップ | 50g |
(A) | |
薄口しょうゆ | 小さじ1 |
砂糖 | 大さじ 1・1/2 |
柚子の搾り汁+酢 | 90ml |
塩 | 小さじ1/3 |
柚子の皮(千切り) | 1/4コ分 |
作り方
- 大根とニンジンは皮を剥き、スライサーを使って千切りにします。
- 1.に塩を振ってしんなりさせます。しんなりしてきたら、水気を絞ります。
- 柚子は皮を剥き、白い部分を取り除き千切りにします。搾り汁をとっておきます。
- 柿チップは5mm幅の千切りにします。
- (A)を合わせ、2.と4.と柚子の皮の千切りを入れ、混ぜ合わせます。
※柚子1コで大さじ1・1/2程搾り汁が採れます
★とっておきのテーブルコーディネート

日本のお正月はとてもシック。それはひとえに、伝統食器・漆器のお陰でしょう。気持ちがキリリと引き締まり、心落ち着く効果のある「黒」の漆器。この格調高い「黒」にきらびやかさを演出する「金銀」の取り合わせは、1年の初め・お正月を象徴するカラーと言えます。
折敷やプレートは値段も手頃なうえ、形も丸、四角、扇形と豊富なので、1年を通していろいろな使い方ができます。ひとつ持っていると、とても重宝するアイテムです。
緑の葉などをあしらうと、季節感がでて表情豊かになります。洋花を添えると堅苦しくならず、モダンで華やかな印象に仕上がります。