文化講座
第9回:~春を楽しむテーブル~
前シリーズでは「お弁当の作り方」と題し、毎日のお弁当作りが楽しくなるコツと旬のお弁当レシピをご紹介しました。
今シリーズでは、和食・中華・フレンチ・イタリアンなど、毎月テーマを決めて、家庭でも手軽に作る事ができるコース料理のレシピをとっておきのテーブルコーディネートとともにご紹介しています。12回シリーズを終えた頃には、きっと「おもてなしの達人」と呼ばれることでしょう。
第9回目のテーマは「春を楽しむテーブル ~花が咲き蝶が舞う~」
色とりどりの花が可憐に咲く中、新年度がスタートしました。穏やかな春の光とやさしく漂う花の香りに、ふと足をとめ、深呼吸をひとつ。頭がスッキリして表情もほころび、心に少しのゆとりが持てる気がします。今年度も心豊かに、笑顔でまいりましょう。さて、新しい出会いが多い春は、おもてなしの季節でもあります。スマートなおもてなしは、人間関係を円滑にし、心を通わせるための近道です。おもてなしは初めてという人でも大丈夫。第1回目の「おもてなしとは」でも触れていますが、相手を思いやる心があれば、それが立派なおもてなしです。今月は、春の訪れを喜び、春を楽しむテーブルをご紹介します。簡単に用意できて、春らしいおもてなし料理2品と、テーブルコーディネートを楽しむ上で必要なアイテムであるカトラリーについても取り上げます。
★テーブルコーディネートの楽しみ方
■必要なアイテム(道具)
今号までに、リネンとフィギュア、食器についてご紹介しました。今回はカトラリーを取り上げます。
<カトラリー>
カトラリーとはシルバーウエア(銀器)、フラットシルバーとも呼ばれ、ナイフ・フォーク・スプーンのことをさします。広くは食べ物を口に運ぶ道具のすべてをいいます。
格式あるフォーマルセッティングには銀を、それ以外では銀メッキで充分です。銀製は食べものの味を変えないため、最上質とされています。日常的にはステンレスの上質なもので、デザインの美しいカトラリーを用意しましょう。その他、柄が象牙や貝、水牛の角、木、プラスチックと様々ありますが、食器とのバランスを考えて選びます。最低限揃えておきたいパーソナルアイテムはディナーナイフ・ディナーフォーク・ディナースプーン・デザートフォーク・デザートスプーンです。
<個人用カトラリー>
ナイフ | ・・・ | ディナーナイフ、フィッシュナイフ、バターナイフ、フルーツナイフ、デザートナイフ |
フォーク | ・・・ | 各ナイフに対応して、ディナー、フィッシュ、フルーツ、デザートの各フォーク |
スプーン | ・・・ | ディナースプーン、スープスプーン、ティースプーン、デミタスコーヒースプーン等 |
<多人数用カトラリー>
レードル | ・・・ | スープ、ソース、パンチ用などは個人用スプーンと異なり、柄が曲がっている |
サラダサーバー | ・・・ | 専用のスプーンとフォークを組にして使う |
カービングナイフ・フォーク | ・・・ | ロースト肉を切り分ける専用のサーバー |
ケーキサーバー | ・・・ | ケーキやパイを分配する |
<銀器の取り扱い>
銀製品は高価で、使用しているうちに酸化して黒ずんでくるので、定期的なメンテナンスが必要です。使用後は布やガーゼを使い、合成洗剤を溶かしたぬるま湯で洗います。よくすすぎ、乾いた布で水けをよくふき取り、ケースや布袋に入れて保管します。
春のおもてなし料理
お洒落でテーブルがパッと華やかになる料理です。
マグロの赤とアボカドの若草色が春らしい一品
材料 | 4人分 |
マグロ(刺身用・柵取り) | 200g |
アボカド(完熟) | 1コ |
レモン汁 | 小さじ2/3 |
(A) | |
オリーブ油 | 大さじ3 |
白ワインビネガー | 大さじ1 |
塩 | 小さじ2/3 |
白こしょう | 少々 |
マスタード(ディジョン) | 小さじ2/3 |
しょうゆ | 小さじ1 |
粒マスタード | 小さじ1 |
セルフィーユ(あれば) | 適量 |
作り方
- マグロは1cm角位に切ってから包丁で粗く叩きます。
- アボカドは皮をむいて種を取り、粗く刻んでレモン汁を振りかけ変色を防ぎます。
- ボウルに(A)を入れてよく混ぜ合わせ、1.を加えてサッと和えます。
- 3.に2.を加えます。
- 器に直径6cm程のセルクルを置き、4.を入れ、上から押して形作ります。
- セルクルをはずして、セルフィーユを飾ります。
*フランスパンの上にのせて、オープンサンドイッチとして召し上がっても良いでしょう
旬のアサリのうま味がぎっしり
材料 | 4人分 |
アサリ | 300g |
水 | 800ml |
玉ねぎ | 100g |
ベーコン | 2枚 |
じゃがいも(中) | 1コ |
バター | 30g |
小麦粉 | 大さじ4 |
固形スープの素 | 1/2コ |
牛乳 | 200ml |
塩 | 小さじ1/4~1/3 |
こしょう | 少々 |
パセリ(みじん切り) | 少々 |
パプリカパウダー | 少々 |
作り方
- アサリは分量の水を沸騰させ、さっと茹でて取り出し、茹で汁は残しておきます。
- 玉ねぎとベーコンとじゃがいもは1cm角に切り、じゃがいもは水にさらします。
- 鍋にバターを入れてベーコンと玉ねぎを炒め、小麦粉をふり入れて軽く炒め、1.の茹で汁に水を足して700mlとし、固形スープの素も加えて煮立て、アクを取ります。
- 3.にじゃがいもを加えて静かに4~5分間煮、1.のアサリと牛乳を入れて塩とこしょうで調味します。
- 4.を器に盛り、パセリとパプリカパウダーを散らします。
★とっておきのテーブルコーディネート

花と戯れて蝶がひらひらと舞うテーブルです。蝶たちも、春の訪れを喜んでいることでしょう。黒地のテーブルクロスが、蝶や花の美しさを際立たせています。ツヤ感のある食器やカトラリー、グラスを合わせて光を反射させることで、春の穏やかな日差しを表現しました。高さのあるグラスがテーブルに立体感を生み、今にも蝶が舞い上がりそうな雰囲気です。
色鮮やかなブリザーブドフラワーのナプキンリング

ナプキンリングはブリザーブドフラワーで作られたものです。
黒のナプキンを巻いてグラスにさし、枝(木)に見立てました。
蝶がひらひらと舞うテーブルクロス

色とりどりの蝶が舞うテーブルクロスは、ベトナムで購入したもの。
かつてベトナムはフランス領だった為、フランス手刺繍の上品なクロスが売られています。