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かんたんコース料理

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第4回:ブルガリアのテーブル ~煮込み料理が恋しい季節~

前シリーズでは「お弁当の作り方」と題し、毎日のお弁当作りが楽しくなるコツと旬のお弁当レシピをご紹介しました。
今シリーズでは、和食・中華・フレンチ・イタリアンなど、毎月テーマを決めて、家庭でも手軽に作る事ができるコース料理のレシピをとっておきのテーブルコーディネートとともにご紹介しています。12回シリーズを終えた頃には、きっと「おもてなしの達人」と呼ばれることでしょう。

第4回目のテーマは「ブルガリアのテーブル ~煮込み料理が恋しい季節~」

温かい煮込み料理が恋しい季節になりました。コトコトとやさしい音、柔らかく揺れる湯気、冷えた体を心の底から温めてくれるのが、愛情たっぷりの煮込み料理です。今回は、ブルガリアを旅して出会った、素朴な家庭料理の煮込み料理「カヴァルマ」のあるテーブルです。冷え込む日に、幸せを運んでくれる「カヴァルマ」など、ブルガリア料理2品と、料理やテーブルコーディネートで重要な役割を果たしている"色"について取り上げます。色をうまく使うことが、料理上手、コーディネート上手につながります。

★カラーコーディネーション

食空間における"色"は、「おいしさ」の感情を引き出す大切な要素です。
"色"には、見る人に様々な感情を引き起こす「感情的効果」や、消化を促す「生体的効果」があります。
これらの効果や色の見え方を上手に利用して、カラーコーディネートをすることが大切です。

色と人の生理・心理

(1)色と味覚

暖色系の明るい色"赤"や"橙"などの色は、人の内臓の働きを活発にし、食欲を増進させる作用があります。寒色系の色"青"や"緑"などの色は、胃腸の働きを抑える作用があります。食卓の上の明かりは暖色系の白熱灯が良いと言われるのも、これが理由の一つです。

(2)色と時間

暖色系の色の部屋にいると、そこにいる時間が実際より長く感じられ、寒色系の色の部屋にいると実際より短い時間に感じられます。
ファストフードの店内が暖色系の明るい雰囲気につくられている理由も上記の2点にあります。たくさん食べた上に、長くいたような気分になって客が早く帰っていくことになるからです。

色と感情の関係

"色"には、見る人に様々な感情を引き起こす作用があります。
それぞれの"色"による「感情効果」や「見え方」を上手に利用してカラーコーディネートをすることが大切です。

色相イメージ
活動的 歓喜 興奮
オレンジ喜び 活発 元気 はしゃぎ
楽しい 陽気 明朗 上機嫌
若々しい 新鮮 平静 安らぎ
落ち着き 涼しい 忠実 深遠
高貴 神秘 哀れな 心配
純粋 清潔 無邪気 公明
灰色あいまい 落ち着き 憂うつ
不安 中立 厳格 陰うつ

色違いのコーディネート

同じ素材や形の食器やカトラリーを使ったコーディネートでも、色が違うと印象がかわります。

(青)しっとり落ち着いた雰囲気 (赤)明るく、華やかな雰囲気

ブルガリアの代表料理

今回の料理は、ブルガリアを代表するおすすめの2品です。

カヴァルマ

肉や野菜をトマトソースで煮込み、卵をのせてオーブンで焼く
ブルガリアの煮込み料理。

エネルギー327kcal、タンパク質18.2g、脂質20.3g、塩分2.3g(1人分)
材料 4人分
豚肩ロース肉(塊) 200g
小さじ1/2
黒こしょう 少々
サボリー(粉末) 少々
ピーマン 2コ
赤パプリカ 1コ
にんにく(みじん切り) 1かけ
玉ねぎ 1/2コ
マッシュルーム 1パック
トマト(大) 1/2コ
オリーブ油 大さじ1・1/2
白ワイン 50ml
(A)  
トマトソース缶 1缶(295g)
水(トマトソース缶を洗ったもの) 100ml
小さじ3/4
黒こしょう 少々
サボリー(粉末) 多め
4コ

作り方

  1. 豚肉は2~3cmの角切りにし、分量の塩とこしょうとサボリーをふります。ピーマンと赤パプリカは2~3cmの角切り、玉ねぎは1cm角切り、マッシュルームは4つ切りにします。トマトは横に切って種を取り、ざく切りにします。
  2. フライパンにオリーブ油を入れ、豚肉を焼き付けるように炒めます。油を残して豚肉を取り出します。
  3. 2.ににんにくを入れ、良い香りがしたら玉ねぎを入れて中弱火でじっくり炒めます。ピーマン、パプリカ、マッシュルームを加えます。
  4. 3.にトマトを加え、白ワインと2.で取り出した豚肉を入れます。
  5. (A)と塩、こしょう、サボリーで調味して全体に混ぜてから、フタをして15分間煮込みます。
  6. 5.を耐熱皿に入れて卵をのせ、180度に予熱したオーブンで7~10分間焼きます。

※耐熱皿は家庭では小さい土鍋を使用しても良いでしょう
※サボリーとは、あたたかみのあるハーブで、ハッカに似たさわやかな香り。ヨーロッパでは乾燥品を肉や卵料理によく用います。
代わりに粉末のセージやローズマリーを使用して良いでしょう


ショプスカサラダ

生野菜とチーズのシンプルなあっさりサラダ。
ブルガリアではシレネという白いチーズを使います。

エネルギー147kcal、タンパク質5.5g、脂質10.7g、塩分0.8g(1人分)
材料 4人分
トマト 1・1/2コ
ピーマン 2コ
きゅうり 2本
玉ねぎ(みじん切り) 大さじ2
パセリ(みじん切り) 小さじ1
(A)  
オリーブ油(又はサラダ油) 大さじ2
純米酢 大さじ1
フェタチーズ(白いチーズ) 100g

作り方

  1. トマトは2~3cm角、ピーマンは5mm角、きゅうりはピーラーで皮をむいて1cm幅の輪切りにそれぞれ切ります。
  2. ボウルに1.、玉ねぎ、パセリを合わせて(A)で和えます。
  3. 2.を器に盛り、チーズをチーズおろし器で削って上からふりかけます。

※チーズは包丁で細かく切っても良いでしょう


★とっておきのテーブルコーディネート

ブルガリアのテーブル ~煮込み料理が恋しい季節~

私が旅したブルガリアのテーブルを作ってみました。ブルガリアといえば‥やはりヨーグルトが思い浮かびますが、チーズなど乳製品の他にも厳しい寒さならではの煮込み料理が有名です。これから寒くなる季節にぴったりの、ブルガリアの代表的な煮込み料理「カヴァルマ」に合うコーディネートをご紹介しましょう。暖色の赤にナチュラルなイメージの深緑にオレンジなどのラインが映えるクロスを使い、ほのぼのとした暖かさを演出。陶器や木など、素朴な素材の小物をあしらいました。豊かな自然に囲まれた家庭での、幸せな家族団らんが目に浮かぶようなテーブルが完成しました。

『カヴァルマ』用のフタ付き土鍋

ブルガリアの煮込み料理「カヴァルマ」は、"ギョヴェチェ"と呼ばれる1人用の小さなフタ付き土鍋で作ります

ブルガリアの女の子が描かれた鍋敷きと木ベラ

絵が描かれた鍋敷きや木ベラは、チーズをのせて出すなど、コーディネートに活用すると良いでしょう

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