文化講座
第2回:音楽会の夜に~ワインとともに余韻にひたる~
前シリーズでは「お弁当の作り方」と題し、毎日のお弁当作りが楽しくなるコツと旬のお弁当レシピをご紹介しました。
今シリーズでは、和食・中華・フレンチ・イタリアンなど、毎月テーマを決めて、家庭でも手軽に作る事ができるコース料理のレシピをとっておきのテーブルコーディネートとともにご紹介しています。12回シリーズを終えた頃には、きっと「おもてなしの達人」と呼ばれることでしょう。
第2回目のテーマは「音楽会の夜に ~ワインとともに余韻にひたる~」
芸術の秋を迎えました。スポーツ、音楽、文学など、秋は趣味を堪能する絶好の季節です。気の合う仲間とゆっくり、くつろぎながら趣味の話に没頭する。そんな幸せな時間が過ごせるのも、秋の夜長ならでは。第2回目の今回は、音楽会に出かけた夜に、ワインを飲みながら美しい音色の余韻にひたるテーブルです。秋の夜長にワインがすすむ料理2品と、料理を引き立てるテーブルコーディネートをセッティングするための基本をご紹介します。
★「テーブルコーディネート」とは
テーブルコーディネートとは、人々が集い、会話が生まれることによって相互の理解を深める「空間」を演出すること、そして、おいしい物をよりおいしく食べるために空間を演出することです。
具体的には、楽しい雰囲気で食事をするための"プロローグ"であり、食卓にのせるすべての物の色・形・素材などの組み合わせを考えることです。テーブル上のことだけではなく、周りの環境やその人のライフスタイルが、いかに反映されているかも重要です。目先の美しさを追うものではなく、食事を楽しむ人々が主役であることを忘れてはなりません。
■テーブルコーディネートの組み立て方
<テーブルコーディネートの組み立てポイント>
(1)時間と場所
いつ食べますか?
食事の時間は、朝・昼・晩いつでしょうか。さらに、季節によっても異なります。
どこで食べますか?
食事をする場所は、洋室または座敷・庭または屋外・レストランでしょうか。地域や国によっても異なります。
(2)目的
何のために集まって食卓を囲みますか?
誕生日・成人式・結婚記念日などのお祝い事でしょうか。食事の形態は、軽食またはディナーでしょうか。目的に合った雰囲気づくりが必要です。
(3)形式
どのように食べますか?
ゆっくりと落ち着いて語らいながら食事ができる「シッティング(座って食べる)形式」、大人数でにぎやかに楽しむ「ビュッフェ(立食)形式」のどちらの形式にするかを決めます。
(4)メニュー
何を食べますか?
(1)(2)(3)が決まったところでメニューを決めます。先にメニューが決まる場合もあります。
(5)テーブルウエア
以上の4つのポイントが決まったら、リネン(テーブルクロスやナプキンなど)やグラス、カトラリー (ナイフ、フォーク類)、食器、フィギュア(キャンドルやスタンド、花器)などを決めます。
■テーブルコーディネートの重要ポイント
(1)五感を満足させる
- 目(視覚)で楽しむ・・・・・テーブル上の道具や部屋のインテリア
- 味わい(味覚)で楽しむ・・・・人の心に感動や喜びを与えるおいしい料理
- 食欲をそそる香り ・・・・・(嗅覚)で楽しむ
- 流れてくる素敵な音楽 ・・・(聴覚)
- 光の流れ ・・・・・・・・・(照明)を楽しむ
すべてのことを心に留めて、部屋全体とテーブルの調和を取ることが大切です。
(2)コンセプト(理念・考え)を持つ
自分の感性を大切に、コンセプトを明確に打ち出します。モダン・クラシック・カジュアルなど、自分のライフスタイルを決め、それに従い進めていきます。心打たれる素敵なコーディネートは、人の真似ばかりではなく、新しいイメージを考えるところにあります。
(3)清潔感を保つ
リネンや食器が汚れていては、せっかくのコーディネートが台無しです。掃除の行き届いた部屋、清潔なリネン、食器、磨かれたカトラリー、グラス、そしてセッティングする人の健康で清潔な気風が漂っているコーディネートを心がけましょう。
(4)食べやすさを考える
たとえ、民族・言葉・年齢が違っても、みんなで楽しく食べられる空間を作ることがテーブルコーディネートです。食事を楽しむためには食べやすさが必要です。食べやすいテーブルセッティングを心がけましょう。
以上、テーブルコーディネートをする上で、まずはじめに考えたいポイントをまとめました。
秋の夜長 ワインがすすむ料理
今回ご紹介する料理は、テーマ「音楽会の夜に ~ワインとともに余韻にひたる~」にふさわしい、ワインがすすむ2品です。

パテとは、肉や魚をすりつぶして調味し、パイ皮につめて焼いたり、型につめたフランス料理。
見栄えも良く、作り置きができるので、パーティーなどにピッタリです。
材料 | 作りやすい分量(8切れ分) |
鶏レバー | 2房(160g) |
玉ねぎ | 1/2コ(100g) |
にんにく | 1片 |
サラダ油 | 適量 |
赤ワイン | 50ml |
レーズン | 大さじ2 |
豚肩ロース肉(塊) | 200g |
鶏もも肉(皮なし) | 250g |
ローズマリー(生・刻んで) | 大さじ1/2杯分 |
(A) | |
卵 | 1コ |
ドライパン粉 | 1/4カップ |
塩 | 大さじ1/2 |
黒こしょう(粗挽き) | やや多め |
セルフィーユ | 4軸 |
ピスタチオ (おつまみ用・皮をむいたもの・大) |
30g |
ピンクペッパー(粒) | 小さじ1 |
作り方
- 鶏レバーは脂身と緑に変色した部分を取り除いて乱切りにし、流水にさらして血抜きします。
- 玉ねぎとにんにくをみじん切りにし、フライパンにサラダ油をひいてゆっくりと炒め、1.を加えます。表面の色が変わってきたら、分量のワインを加えて手早く煮て冷まします。
- 2.をフードプロセッサーにかけます。
- レーズンはぬるま湯で戻します。
- 豚肉は1/4量は粗く刻み、残しておきます。残りの3/4量と、鶏肉をフードプロセッサーに粗くかけます。
- 3.と5.を混ぜ合わせ、みじん切りのローズマリーと(A)を加えます。
- セルフィーユは1軸分の葉をちぎり、軸を切って6.に加えます。レーズンとピスタチオ、ピンクペッパーを(一部残して)加えます。
- 18cmのパウンド型にクッキングシートを敷き、7.の生地を押し込むようにして詰めます。表面をならして、上に一部残しておいた、セルフィーユ、ピスタチオ、ピンクペッパーを散らします。
- 180℃のオーブンで約45分間焼きます。
- 9.を約8切れに切って器に盛り、セルフィーユを飾ります。
※鶏レバーの臭みが気になる場合は牛乳に浸してください

にんにくの香りと赤唐辛子のピリ辛でワインがすすみます。
材料 | 4人分 |
生しいたけ | 100g (1パック) |
しめじ | 200g |
白まいたけ | 100g (1パック) |
マッシュルーム | 100g (1パック) |
にんにく(みじん切り) | 1片 |
赤唐辛子 (種を取ってみじん切り) |
1本 |
オリーブ油 | 大さじ2 |
(A) | |
白ワイン | 50ml |
塩 | 小さじ1 |
白こしょう | 少々 |
レモン汁(生) | 大さじ1・1/2 |
しょうゆ | 大さじ1 |
水菜(又はサラダほうれん草) | 100g |
作り方
- 生しいたけは石突きを取り、軸ごといちょう切りにします。しめじは2~3本ずつにほぐします。白まいたけは大きくほぐします。マッシュルームは縦4つ割りにします。
- フライパンに分量のオリーブ油を入れ、油がぬるいうちににんにくと赤唐辛子をじっくりと炒めます。
- 2.が良い香りが立ってきたら①を炒め、全体に油がまわったら(A)を入れて蒸し煮します。
- 3.がしんなりしたら、手早く氷水の上で冷やして、レモン汁としょうゆを加えます。
- 水菜は5cm長さに切ってきれいに洗い、水気をしっかりと取ります。
- 4.に5.を加えてサッと和え、器に盛ります。
★とっておきのテーブルコーディネート

ステキな音楽会に出かけた夜、余韻を楽しみながら趣味の仲間とおいしい食事に舌鼓。そんなくつろぎのひとときをテーマにしたテーブルコーディネートです。
メインの色は"ブラック"と"ホワイト"、楽器などの小物にあしらわれた"シルバー"と"ゴールド"が高級感を感じさせるシックなテーブルに仕上げました。ここに、キャンドルの光・クラシック音楽・赤ワインが揃えば、ロマンチックな食卓の完成です。
■今回のテーブルコーディネートの組み立て
(1)時間・・ディナータイム
場所・・自宅
(2)目的・・友人と音楽会の余韻にひたる
(3)形式・・シッティング(座って食べる)
(4)メニュー・・ワインがすすむ料理
(5)テーブルウエア・・音楽会をイメージしたシックで高級感のある
カラーのテーブルウェア