文化講座
第3回:飲茶でホッと心温まるひととき~女同士のモダンチャイナテーブル~
前シリーズでは「お弁当の作り方」と題し、毎日のお弁当作りが楽しくなるコツと旬のお弁当レシピをご紹介しました。
今シリーズでは、和食・中華・フレンチ・イタリアンなど、毎月テーマを決めて、家庭でも手軽に作る事ができるコース料理のレシピをとっておきのテーブルコーディネートとともにご紹介しています。12回シリーズを終えた頃には、きっと「おもてなしの達人」と呼ばれることでしょう。
第3回目のテーマは「飲茶でホッと心温まるひととき ~女同士のモダンチャイナテーブル~」
心地よい風が吹き、過ごしやすい季節になりました。気分の良い日には、ちょっとお茶でも飲みながら友人とおしゃべり。何気ない会話でも、リラックスできる至福の時間です。第3回目の今回は、女友達と飲茶を楽しむモダンチャイナテーブル。覚えておきたい人気の点心2品と飲茶でおもてなしをする時のポイントをご紹介します。
★飲茶でおもてなし
■「中国の食生活と飲茶」について
『飲茶』は、広東風の食事スタイルが発祥で、お茶を飲みながら点心を味わうという独特の食文化です。「点心」の源を中国の道教に求める説もあります。不老長生を終局の目標にしている道教の医術の僻穀(五穀を断って食べないこと)の思想から誕生しているといわれています。特定なものを大量にとるのではなく、不老長生に有益なものを、まんべんなく、特に穀物は少量にして粉食を多く摂るという食の思想に基づいています。「飲茶」は日本人の口に合うものが多いので、日本でもとても親しまれています。
■ホームパーティーの開き方
家族や親せきの祝い事をする、友人や知人を招いて我が家で過ごす。そんなひとときは、楽しく心温まるものです。過ごしやすい気候の秋は、ホームパーティーに最適の季節。さあ、あなたもホームパーティーを開いてみましょう。"パーティー"というと、豪華なメニューや食器、テーブルウェアがないとダメなのでは?と考えがちですが、そんなことはありません。人が集まれば、それはもうパーティーの始まりです。腕の見せ所は、いつものメニューや食器で、いかに新鮮に見せるかがポイントです。
<メニューを考えるポイント>
(1)どんなパーティーなのかをはっきりと
パーティーの目的、メンバー、人数、季節、時間帯によって、料理の内容を考えます。ご招待したお客様の名前やメニューを控えておき、次に同じお客様の時にメニューがダブらないようにしましょう。
(2)主菜、副菜(前菜含む)、デザートの3つの献立を基本に
和・洋・中いずれの料理でもいえることですが、この基本にそって考えると、献立が作りやすくなります。主菜を決めたら、副菜の品数で全体のボリュームを考えましょう。作り置きのものや料理の持ち寄りを提案するのも、気軽にパーティーを楽しむひとつの方法です。
(3)飲み物を考える
テーブルに欠かせないものが飲み物です。ワイン、ビール、日本酒など、料理との相性とお客様の好みを考え、2~3種類はそろえたいものです。冷たいものは大きなボウルや花瓶などを利用し、氷の上に浮かべておけば、何度も席を立つ必要がなく、一緒にパーティーを楽しめます。また、お茶などのソフトドリンクも用意しましょう。
<手持ちの食器と料理の組み合わせを考える>
いつもと違った組み合わせが、新鮮な印象を与えます。
和風・中華メニュー | 洋風の皿 |
洋風メニュー | 和風のシンプルな皿・ざっくりした陶器 |
<飲茶パーティーのすすめ>
- 大勢が集まるパーティーでは、大皿料理に盛りましょう。
- 各自で好きなものを好きなだけ取り分けることができる、ビュッフェ形式がおすすめです。
- お土産に点心をお持ち帰りいただくと、とても喜ばれます。
■ビュッフェスタイルとは
メインテーブル上に料理、食器、カトラリーなどを並べ、各自が自由に取り分ける形式のスタイル。基本的には食事がサービスされてくるのではなく、立食であれ着席であれ、自分で料理や飲み物を取りにいきます。ホテルなどで大勢が集まるパーティーに多くみられます。ホームパーティーでも人数の多いときなどは、このビュッフェスタイルをおすすめします。
<テーブルスタイル>
スタンディング・ビュッフェ | 立食で行う、一般的なスタイルです。 |
シッティング・ビュッフェ | あらかじめ席が用意されていて、料理のサービスは各自がメインテーブルまで取りに行くスタイルです。 |
オンテーブル・ビュッフェ | 中華料理のように、人数分の料理が大皿盛りされ、座席に着いたままで料理を各自でとるスタイルです。 |
<ビュッフェスタイルでのマナー>
★品よく
相手に不快な思いをさせないことが基本です。慣れないサーバー使いは無理をしません。取り皿をテーブルに置き、両手でサーバーを使って取り分けましょう。
★残さず
とったものは、全部食べます。食べられる分しかとらないようにしましょう。
★食事より会話が主役
できるだけ大勢の人と、多くの会話を楽しむようにします。1人で黙々と食べているのはマナー違反です。
覚えておきたい人気の点心
今回ご紹介する料理は、見た目も華やかでおもてなしにおすすめの2品です。

ホタテの缶詰を使ったちょっと贅沢なシューマイ。
ひと口で食べやすい料理は、ホームパーティーにピッタリです。
材料 | 4人分・24コ分 |
帆立て貝柱(缶詰) | 150g(固形量) |
玉ネギ | 小1コ |
片栗粉 | 大さじ2・1/2~ |
(A) | |
豚ひき肉 | 150g |
おろしショウガ | 少々 |
ごま油 | 小さじ3/4 |
塩 | 小さじ1弱 |
しょうゆ | 小さじ3/4 |
こしょう | 少々 |
シューマイの皮 | 24枚 |
レタス | 150g |
溶き辛子 | 適宜 |
しょうゆ | 適宜 |
作り方
- 帆立て貝柱は汁気を軽く絞ってほぐし、1/3量はトッピング用に残しておきます。玉ネギはみじん切りにし、片栗粉をまぶします。
- (A)をボウルに入れてよく練り混ぜ、1.の帆立てと玉ネギを加え、さらに練り混ぜます。
- 2.をシューマイの皮で包み、残しておいた帆立てを上に散らします。
- 油をぬった、またはオーブンペーパーを敷いた蒸し器のサナに3.をのせ、強火で8~10分間蒸します。
- レタスは太めのせん切りにして共に蒸すか、シューマイの後でサッと蒸します。
器に盛り、辛子じょうゆを添えます。

炊飯器で作る旨味たっぷりの中華おこわ。食べやすい大きさに握ってもよいでしょう。
材料 | 作りやすい分量 |
もち米 | 2カップ |
(A) シイタケの戻し汁+水 | 400ml |
しょうゆ | 大さじ1/2 |
豚肉(とんかつ用塊) | 140g |
干しエビ(乾燥) | 10~15g |
干しシイタケ(戻す) | 3枚 |
水煮タケノコ | 80g |
ニンジン | 50g |
甘栗 | 8粒 |
ごま油 | 大さじ1 |
(B) | |
干しエビの戻し汁+水 | 200ml |
しょうゆ | 大さじ2強 |
砂糖 | 大さじ2 |
酒 | 大さじ2 |
黒こしょう | 適量 |
作り方
- もち米は洗い、(A)で30分間程浸水させます。炊く直前に分量のしょうゆを加えます。
- 干しエビは洗ってぬるま湯で戻し、粗みじん切りにします。
- 豚肉は脂身を切り取り、1cm角に切ります。干しシイタケは戻して1cm角に切ります。タケノコは7~8mm角に切ります。ニンジンは5mm角に切ります。
- フライパンにごま油を入れ、干しエビを炒めます。3.を加えて炒めます。(B)を加え、中強火で煮つめます。煮汁がなくなったら甘栗を手で軽くほぐしながら加えます。
- 炊きあがった1.に4.を加え、10分間程蒸らします。
蒸らし終えてから混ぜ合わせます。
★とっておきのテーブルコーディネート

気の合う女友達を招いて飲茶でランチ。温かい点心と何気ない会話で、心温まるひとときを過ごす日のテーブルコーディネートです。
インパクトのある赤色をメインとし、伝統的な東洋美と現代的で機能性を兼ね備えた西洋のデザインも取り入れた、モダンチャイナのテーブルに仕上げました。所々にピンクの花や白いレースをあしらい、女らしく可憐なイメージもプラスしています。
仕事でバリバリ活躍している彼女にふさわしい、スタイリッシュなコーディネートが完成しました。