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インターネット公開文化講座

文化講座

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かんたんコース料理

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第7回:韓国・宮廷料理のテーブル ~薬食同源の食文化~

前シリーズでは「お弁当の作り方」と題し、毎日のお弁当作りが楽しくなるコツと旬のお弁当レシピをご紹介しました。
今シリーズでは、和食・中華・フレンチ・イタリアンなど、毎月テーマを決めて、家庭でも手軽に作る事ができるコース料理のレシピをとっておきのテーブルコーディネートとともにご紹介しています。12回シリーズを終えた頃には、きっと「おもてなしの達人」と呼ばれることでしょう。

第7回目のテーマは「韓国・宮廷料理のテーブル ~薬食同源の食文化~」

立春を過ぎ、少しずつ春の兆しが感じられる今日この頃。家の周りには、菜の花や梅の花など、少しずつ春色が増えてきました。私達も春に向け、毎日を軽快にはつらつと過ごしたいものです。しかし、まだまだ寒暖の差が激しい気候や大量に飛散する花粉、さらに新年からの疲れも重なって、体調を崩しやすいこの時期。十分な睡眠と適度な運動、そしてバランスの良い食事を心がけましょう。昔から「薬食同源」といわれるように、食事は健康な体の源です。近年ではお馴染みの韓国料理は、特に「薬食同源」の考えが強く反映されている料理で、中でも李朝時代に王様が食べていた宮廷料理はその究極ともいわれます。今回のコーディネートは、その宮廷料理のテーブルをイメージしました。本場韓国で習得したおすすめレシピと、テーブルコーディネートを楽しむ上で必要なアイテムであるフィギュアについても取り上げます。韓国料理については、「家庭で楽しむ世界の料理~世界を食する~」シリーズの第7回「韓国の旅」でご紹介していますので、よろしければご参照ください。

★テーブルコーディネートの楽しみ方

■必要なアイテム(道具)

前回はリネンについてご紹介しました。今回は、テーブルに季節感や物語性を演出する上で欠かせない存在のフィギュアについて取り上げます。

<フィギュア>


テーブルコーディネートの世界では、おおむねキャンドルスタンド、花瓶と花、飾り鉢など、テーブルの真ん中に置く大きな装飾的なものをセンターピース、置きものや人形、香辛料入れなど、比較的小さなものをフィギュアと呼んでいます。
その昔、ヨーロッパの王侯や貴族たちは、大きなテーブルで食事をする際に、テーブルの中央いっぱいにガラスや銀製・陶製の置物(センターピース)を置き、その富を誇りました。つまり、置物は自分の富を見せびらかすものだったのですね。現代では、富の象徴というよりはむしろ、季節感や物語性の演出として使われます。


フィギュアとは


食卓に物語を作るもの、お話の種(トーキンググッズ)とでも申しましょうか。
テーブルの真ん中にそれがひとつあるだけで、そのテーブルに物語が生まれるもの、あるいは、ゲストとホスト側がその置物で話のきっかけを作り、会話が始まるもの、それがフィギュアです。塩・コショウ入れや名札立てなどの実用的なものから、陶人形や鳥の置物のような装飾的なものまで、卓上の小さなデコレーション類をフィギュアと呼んで、「遊び心」のきっかけとなるものを指します。

縁起の良いえびす様、招き猫、干支、季節感のあるもの羽子板と羽、雪だるまなど、季節や記念日などを表すものを、身近なところから探してみて下さい。えびす様や招き猫は、おめでたい席にはいつでも利用できますし、干支の置物は一年中出番があります。動物の置物は花と組み合わせて、物語性の演出にぴったりです。

<センターピース>



センターピースとは、フィギュアの一つで、テーブルの真ん中に置くものを指します。時には置物であったり、多くは花を飾ります。
テーブルをコーディネートする上で、センターピースの役割とは、テーブル全体をキャンパスと考え、食事の邪魔をせずに人の心を和ませ、会話のはずむシーンを作り出すことです。花にセンターピースとしての役割を与えることで、季節感を出したり、活気を与えたり、また花の色をヒントにクロスや食器を選び、コーディネートすることもできます。しかし、どんなコーディネートをする上でも気をつけなければならないことは、香りの強すぎる花や毒のある花、見た目がグロテスクな印象のもの、花粉が飛ぶものは避けるようにしてください。
写真:<貴婦人のアフタヌーンティーパーティー>
<参考文献> ・伊藤華づ枝著書「テーブルコーディネートレッスン」

おすすめ韓国料理

今回は、本場で習得した韓国料理をご紹介します。
薬食同源を根源とした韓国料理は、健康と美容に最適です。

具だくさんチヂミ
韓国の家庭でよく作られる一般的なお好み焼き。
お好みの野菜で楽しめますが、ごぼうが入ると風味が良くなります。

エネルギー263kcal、タンパク質6.4g、脂質12.3g、塩分1.2g(1人分)
材料 2枚分(4人分)
白菜キムチ 50g
玉ねぎ 1/8コ
生しいたけ 1枚
ニラ 5軸
ズッキーニ
(又はかぼちゃ・なす)
1/4本
ごぼう 40g
ヤリイカ 小1/4杯
《衣》  
200ml
卵黄 1コ
小さじ1/4
小麦粉 100g
上新粉 30g
(A)  
ごま油 大さじ2
サラダ油 大さじ2
糸唐辛子 適量
《たれ》  
(B)  
ポン酢しょうゆ 大さじ2
粉唐辛子 適宜
白いりごま 適宜

作り方

  1. 白菜キムチは小さめに切ります。玉ねぎは短いせん切り、しいたけは薄切り、ニラは4cm長さ、ズッキーニは薄い輪切りにします。ごぼうは笹がきにし、水にさらします。
  2. イカはエンペラを取って、縦に4つに切ってから、太めのせん切りにします。
  3. ボウルに水と卵黄と塩を混ぜ合わせ、粉を入れて混ぜます。
  4. 3.の中に、1.と2.を混ぜ合わせます。
  5. フライパンに(A)を大さじ1ずつ入れて充分熱し、4.の1/2量を丸く広げて、上に糸唐辛子を散らし、中火でこんがりと焼き色がついたら裏返し、カリッとするまで焼きます。
  6. 1枚を9~12等分に切り、器に盛ります。
  7. (B)を合わせ、たれを作って6.に添えます。

白菜キムチ
味わい深いキムチです。
白菜のおいしい季節にぜひ手づくりを。

エネルギー19kcal、タンパク質0.8g、脂質0.6g、塩分0.7g(1食分)
材料 約30食分
白菜 1.2 kg (1/2株)
42~48g(白菜の3.5~4%)
大根 150g
細ねぎ 7本
にら 7本
にんにく(すりおろし) 大さじ1
しょうが(すりおろし) 大さじ1/2
1/4コ
(A)  
あみの塩辛 20g
ナンプラー(又はしょうゆ) 大さじ1・1/2
砂糖 大さじ1・1/2
白ごま 大さじ1・1/2
粉唐辛子(粗め) 大さじ4~5
大さじ1
松の実(炒る) 大さじ2
(B)  
上新粉 大さじ2
大さじ2
うま味調味料 適宜

作り方

  1. 白菜は1/2株に包丁を入れ、縦半分に手で裂きます。きれいに洗ってから、ザルに伏せて1時間半程陰干しし、水気をきります。
  2. 白菜の重量の3.5~4%の塩をふりかけます。軸の部分には多めにふりかけます。
  3. 重石をのせて半日~1日間置きます。
  4. 大根はせん切り、細ネギとニラは3~4cmに切ります。にんにくとしょうがはすりおろします。梨は皮をむいてすりおろします。(B)は500Wの電子レンジに20秒間程かけて練ります。(B)の上新粉がない場合は、小麦粉で代用しても良いでしょう。
  5. 大きいボウルに(A)と4.を入れ、ビニール手袋をしてよくもみ込みます。
  6. 3.の白菜の塩気を水でサッと洗い流し、水気を絞ります。
  7. 6.の白菜の間に5.を塗って外側の葉で巻き込み、うま味調味料を振りかけます。密閉容器などに入れ、冷蔵庫で1週間程熟成させます。

韓国サラダ
シャキシャキ野菜がおいしい。
ついお酒がすすみそうです。

エネルギー76kcal、タンパク質1.5g、脂質6.2g、塩分0.9g(1人分)
材料 4人分
白ねぎ(白い部分) 100g
サニーレタス 100g(小菜10枚位)
水菜 80g
韓国のり(味付けのりサイズに切ったもの) 12~16枚
(A)  
小さじ2/3
こしょう 少々
うま味調味料 少々
ごま油 大さじ2
すりごま 大さじ1

作り方

  1. ねぎは4~5cm長さに切り、せん切りにして水に晒します。サニーレタスは小さく手でちぎります。
  2. 水菜はしっかり洗って、短いザク切りにします。
  3. ボウルに(A)を入れて、しっかりと混ぜます。
  4. 3.に水気をよく切った1.と2.を入れ、充分に混ぜ合わせます。
  5. 4.を器に盛ってごまをふり、韓国のりを添えます。のりは野菜を巻いて食べるか、ちぎって混ぜていただきます。

★とっておきのテーブルコーディネート

韓国・宮廷料理のテーブル ~薬食同源の食文化~

今回は「韓国の宮廷料理」をテーマにしたテーブルです。韓国の伝統工芸品である青磁の食器と花器が、高貴で優美な印象を与えています。フィギュアとして、ソウルで購入した女官人形と民芸家具を飾りました。ソウルで食べた料理や旅の思い出など、会話がいっそう弾みそうです。韓国はテーブルクロスを敷く習慣があまりないため、今回は布団カバーをテーブルクロスとして使用しました。伝統手芸の美しいパッチワーク「ポジャギ」の布製小物をあしらうことで、華やかさもプラスしています。

宮廷料理とは

もともと李朝時代、王様が食べていた料理で、各地方から献上された最高の食材を使った料理です。薬食同源、五味五色に基づき、体に良く色彩豊かな料理が特徴です。宮廷料理はお膳(テーブル)の脚が折れるほどの料理が並ぶと言われています。
写真:<ソウルで食べた宮廷料理のひとつクジョルパン(九品盛り合わせ)>


韓国食材


テーブルコーディネートに、韓国の食材を飾りました。

★朝鮮人参→根を薬用として使用する
★トラジ→桔梗の根で韓国の山菜料理の代表的な材料
★干しナツメ→韓国では薬用や祭りの供え物として用いられる
★トッポッキ(トック)→韓国の餅で煮込んで食べる

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