文化講座
第8回 テーブルセッティングを学びましょう~和食~
前シリーズでは、「心にゆとり」を生み出す、本物の味・最新の保存食レシピをご紹介しました。
シリーズ18回目の今シリーズでは、「憧れのもてなしレシピ」というテーマで、気軽に作れておしゃれなもてなしレシピ、盛り付けのコツ、器の選び方、テーブルセッティングなどをご紹介しております。
おもてなしのコツや、パーティーへ参加する際のマナーなども、併せてご紹介します。
第8回目の今月は、「テーブルセッティングを学びましょう~和食編~」です。
春は出会いと別れの季節です。
縁起物の器を使って、おめでたいテーブルをセッティングしましょう。
春らしい明るいピンク地のテーブルクロスに黒色の折敷を置きました。
吉祥の鳥として知られる鶴をモチーフにした和食器をコーディネートしました。
和食器とは
和食器は陶器・磁器・漆器の3種類に、大きく分類されます。
1. 陶器
"土もの"とも呼ばれ、陶土といわれる粘土によって作られ、釉薬の掛かったものをいいます。
焼き上げる温度は900~1200度ぐらいで、吸水性があります。
焼きが柔らかく、質が粗いのが特徴。硬度は低く、丈夫とはいえませんが、特有の風情があります。
指ではじくと、鈍い音がします。
2. 磁器
陶石(磁石)や長石などを砕いて作った原料を、1300~1400度という高温で焼いたものをいいます。
焼きが硬く、質が蜜で気孔が少ないのが特徴。硬度は高く、丈夫です。
日本では江戸時代(1600年代)に入ってから、肥前地方(佐賀県から長崎一帯)で焼かれました。
水を吸わず、一般に薄手で太陽にかざすと、光を透します。
指ではじくと、"チン"と金属質の音がします。
3. 漆器
漆(うるし)を塗った器物の総称です。
椀・盆・膳・重箱などの日常生活用具を主に、それらに萌絵などの装飾を加えた工芸的なものをさします。
漆器は、英語で「ジャパン」と呼ばれる日本を代表する伝統工芸です。
春のお祝い膳
漆器の折敷に料理を並べると、いつもの食事が華やぎます。
縁起物の器
半開扇
扇が半分開いた状態の器
扇は末広がりで、特に半開扇はこれから開くので、更に縁起が良いとされています
瓢(ひさご)
口より下の部分の方が大きくなっているため、末広がりで入った福が出ていかないので、縁起が良いと喜ばれます
鯛
名前が「めでたい」に通じることから、縁起が良いとされています
宝尽くし
良い印・めでたいという意味を持つ吉祥文様のひとつで、宝物を集めた文様です
梅
昔から東洋人に愛されてきた早春の花で、吉祥の意味を持ちます
豆皿など
豆皿とは、小さなサイズ(直径6cm~10cm程度)の小皿の愛称です。
手塩皿とも呼ばれています。
豆皿類あれこれ
取り皿として使う他に、しょうゆや薬味皿として使ったり、前菜を盛り合わせる際などに使うことが多いでしょう。
小さいので収納しやすく、いくつか集めると楽しいものです。
~豆皿の活用方法~
四季を表す文様を揃えておくと、その季節に合わせて使い分けができます。
堅苦しく考えず、"ちょっと気高く食卓を飾りたい!という時に、形の違った小皿を折敷に並べるとおしゃれ感が増します
洋皿やグラスとの組み合わせ。意外にも相性は悪くありません。むしろ、"和"の折敷に"洋"の小皿やグラスを合わせて、新鮮で斬新な食卓を演出できます

※見た目の上品なカニの押し寿司を九谷焼きの器に盛りました
材料 | 4箱分 (押し型7cm×15cm×4.8cm) |
米 | 3カップ(600ml分) |
水 | 700ml |
酒 | 大さじ2 |
A | |
酢 | 70ml |
砂糖 | 大さじ3~4 |
塩 | 小さじ2弱 |
カニの身 | 12本(120g) |
とびこ | 80g |
マヨネーズ | 大さじ4 |
作り方
- 洗った米に分量の水と酒を入れ、1時間程浸水してから炊き上げ、10分間程蒸らします。
- 混ぜ合わせておいた(A)の合わせ酢を1.に打ち、手早く混ぜて冷まします。
- カニの身を開き、ラップを敷いた型に下向きに1箱につき3本並べます。
- 型にすし飯を130g入れて押し、平らにします。
- 4.にとびこ(20g)とマヨネーズ(大さじ1)をのせてスプーンでのばし、残りのすし飯(140g)を入れてラップをかぶせてからフタをし、四隅をしっかりと押します。
- 5.の型をはずし、ラップごと6等分にし、器に盛ります。
※写真には、寿司しょうがを添えました
※押し型がない場合は、密封容器などを使って下さい

※金の椿の文様を描いた金彩(きんさい)の椀に盛りました
材料 | 8コ分 |
木綿豆腐 | 600g |
大和芋 | 正味30g |
きくらげ(乾燥) | 2~3枚(戻して10~15g) |
にんじん | 30g |
エビ | 殻をむいて正味60g |
ゆり根(軽く下茹でする) | 正味30g |
ぎんなん | 12粒 |
A | |
塩 | 小さじ1/3 |
練りごま(白) | 大さじ1 |
小麦粉 | 適宜 |
揚げ油 | 適宜 |
B | |
かつおだし汁 | 400ml |
みりん | 大さじ1強 |
しょうゆ | 大さじ1強 |
塩 | 小さじ1/5 |
C | |
水 | 大さじ2 |
片栗粉 | 大さじ2 |
おろししょうが | 適量 |
作り方
- 豆腐は水に晒し、1丁を4等分にしてペーパータオルで包み、重石をして水切りします(1時間程度)。
- 大和芋は皮をむいてすりおろし、水に戻したきくらげとにんじんは1cm長さのせん切りにします。エビは殻をむいて背ワタを取り、塩と酒(分量外)で洗い流します。
- ゆり根とエビは親指の爪くらいの大きさに切ります。ぎんなんは鬼皮をむき、小鍋に少量の水と共に入れ、穴杓子でこすりながら茹でて水に取って皮をむき、半分に切ります。
- ボウルに1.と2.の大和芋、(A)を入れてよく練り混ぜます。
- 4.に2.のきくらげ、にんじん、3.を入れてサッと混ぜます。
- 5.を8等分にして丸め、小麦粉を両面にまぶします。
- 中温の油で揚げます。
- 沸騰した湯に7.をサッと通し、油抜きをします。
- (B)を煮立て、(C)の水溶き片栗粉でとろみをつけます。
- 器に8.を盛って9.をかけ、おろししょうがを添えます。