文化講座
第12回 中国料理のマナーを学びましょう
前シリーズでは、「心にゆとり」を生み出す、本物の味・最新の保存食レシピをご紹介しました。
シリーズ18回目の今シリーズでは、「憧れのもてなしレシピ」というテーマで、気軽に作れておしゃれなもてなしレシピ、盛り付けのコツ、器の選び方、テーブルセッティングなどをご紹介しました。
おもてなしのコツや、パーティーへ参加する際のマナーなども、併せてご紹介してまいりました。
第12回目(シリーズ最終回)の今月は、「中国料理のマナーを学びましょう」です。
中国では「食卓=社交の場」と考えられています。ひとつの食卓を囲み、さまざまな知り合いと、大皿に盛り付けられた料理を分かち合います。
お互いに信頼関係を築くことが、中国料理を楽しむ最大の目的といえるでしょう。
中国料理とは
中国料理とは中国で食べられてきた料理、その技法や調味料で作られた料理。
地方ごとに食材や調理法、味付けがまったく異なります。
中国料理は、日本や世界各地に広く普及しています。
中国料理の種類
地域によって多種多彩で、それぞれに特徴があります。
「中国4大料理」と呼ばれるのは、「北京料理」・「上海料理」・「四川料理」・「広東料理」の4種類です。
北京料理: | 首都「北京」の宮廷料理を中心に発達した料理。 寒い地域で発達したため、塩味が強いのが特徴です。 主な料理‥北京ダック・ギョーザ・肉まんじゅう |
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伊藤華づ枝作
ギョーザ
伊藤華づ枝作
肉まんじゅう
上海料理: | 海に近い地域のため、蟹やエビなどの魚介類を使った料理が特徴です。 素材を生かした上品で淡泊な味付けです。 主な料理‥上海蟹・八宝菜・上海焼きそば |
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伊藤華づ枝作
中華おこげの八宝あんかけ
四川料理: | 夏は暑く、冬は寒さが厳しい盆地で発達した料理。 唐辛子や山椒などの香辛料を豊富に使い、辛味や酸味が強いのが特徴です。 主な料理‥麻婆豆腐・棒々鶏・エビチリ |
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伊藤華づ枝作
麻婆豆腐
伊藤華づ枝作
エビチリ
広東料理: | 南部の山海の幸に恵まれた地域に、発達した料理。 素材を生かした多彩な調理法で、さっぱりとした淡泊な味付けが特徴です。 主な料理‥酢豚・フカヒレ・チャーシュー |
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伊藤華づ枝作
酢豚
中国料理の食卓
- 中央の回転台(ターンテーブル)を回しながら、各自が料理を取って食べます。
- ターンテーブルには酢やしょうゆ、辛子などが置かれています。(味を補うためのもの)
- 各々のテーブルには、取り皿、箸、ちりれんげ、テーブルナプキンなどが準備されています。
- 箸:木、銀、象牙などの角箸が用いられます。
頭と先端の太さが同じぐらいで、取り箸も兼ねているので日本のものより長めです。(約25センチ) - チリレンゲ:湯(スープ)を飲むときに使います。汁の中身は箸でいただきます。
円卓の席次
- 中国では上席から時計回りに座っていきます。
- 日本では一般的に上席の両脇が主賓に準じる席になります。
- 部屋の出入り口から一番遠い席が上席です。
- 席に座る時は、できるだけテーブルに体を近づけて座ります。
中国料理の献立といただき方
供される順番
【冷箪】→【スープ】→【大菜】→【ご飯】→【点心】
- 前菜...冷たいものを冷箪(ロイタン)、温かいものを熱盆(ルオペン)といいます。
- 湯菜(スープ)...熱いうちにれんげを使っていただきます。このとき音を立てないようにします。
- 大菜(ターツァイ)...メイン料理。肉、魚、野菜を使い、調理法もさまざまで大菜は、大件(ターチェン)、大盆とも呼ばれます。
- 点心(テンシン)...食後の食べ物という意味合いを持ちます。
肉などを使った料理(甘くないもの)と、杏仁豆腐などの甘いデザート系のものに大別されます。
ターンテーブルの使い方
ターンテーブルは時計周りが基本です。
ターンテーブルを回すとき...
- 他の人が取り分けていないかを確かめましょう
- 取り箸がコップや食器に当たっていないかを確かめ、ゆっくり回しましょう
- ターンテーブルに置いて良いのは、大皿と調味料のみです
自分の取り皿やグラス、使用済の器は置かないようにします
料理を取るとき...
- 立ち上がるのはいけません
- 最後の人まで料理が行きわたるように注意して、人数を考えて取ります
- ほとんどの中国料理レストランでは、味が混ざるのを防ぐため、取り皿を一品ごとに取り替えてくれます
日本料理やフランス料理のように、厳密なルールはありません。
目上の人を敬い、食事を楽しむことが最大のマナーです。
伊藤華づ枝と
チャイナドレスを着た娘

※鶏肉を柔らかくするために、棒で叩いたことから「棒々鶏」と名付けられた料理
材料 | 4人分 |
鶏むね肉(1枚300gのもの) | 2枚(600g) |
ねぎ | 1/2本 |
しょうが | 1かけ |
A | |
しょうゆ | 大さじ6 |
砂糖 | 大さじ3 |
酢 | 大さじ3 |
練りごま | 大さじ4 |
ラー油 | 小さじ1弱 |
ごま油 | 小さじ1強 |
うま味調味料 | 少々 |
ねぎ(みじん切り) | 1/2カップ分 |
しょうが(みじん切り) | 大さじ1 |
にんにく(みじん切り) | 大さじ1/2 |
トマト | 1コ |
きゅうり | 1本 |
作り方
- 鍋にたっぷりの湯をわかし、鶏肉をソッと入れ、3~4cmにぶつ切りにしたねぎと薄切りにしたしょうがを加えます。
- 1.が再沸騰したらすばやく火を弱め、アクを取り、25分間程水面がゆれる程度の火で茹でます。
- (A)を混ぜ合わせ、薬味ソースを作ります。
- 2.の鶏肉が茹で上がったら、たっぷりの水に取り、流し水で徐々に中心まで冷やします。
- 4.を繊維にそって棒状に切ります。
- トマトは縦半分に切り、横2~3mmの薄切りにします。
- きゅうりはせん切りにします。
- 6.と7.を器に盛り付け、その上に5.を盛って3.の薬味ソースをかけて召し上がります。

※豆板醤の辛味で、食欲が増す一品
材料 | 4人分 |
紋甲イカ(刺身用) | 1枚(250g) |
A | |
紹興酒(又は日本酒) | 大さじ1 |
塩 | 小さじ1/3 |
白こしょう | 少々 |
片栗粉 | 大さじ2 |
セロリ(葉を落として) | 1本(80g) |
きゅうり | 1本 |
赤パプリカ | 1/2コ |
生しいたけ | 2枚 |
しょうが | 1かけ |
細ねぎ | 1本(10g) |
B | |
サラダ油 | 大さじ1 |
ごま油 | 大さじ1 |
C | |
チキンスープ | 50~80ml |
紹興酒(又は日本酒) | 大さじ1 |
豆板醤 | 小さじ1 |
しょうゆ | 小さじ1 |
塩 | 小さじ1/3 |
作り方
- イカは4cm幅に切り、縦に細かく切り込みを入れて3cm長さのそぎ切りにします。
- 1.に(A)をまぶしつけ、熱湯でサッと茹でます。
- セロリはスジをピーラーでむいて斜め切りにし、きゅうりは皮を縞状にピーラーでむいて縦半分に切り、斜め薄切りにします。
- 赤パプリカは乱切り、しいたけは軸を取ってそぎ切りにします。
- しょうがは小角切り、ねぎは1cm長さのぶつ切りにします。
- フライパンに(B)の油を敷き、5.の薬味を弱火でじんわりと炒めます。
- 6.に3.と4.を入れて炒めます。
- 7.に(C)を入れて強火にして炒め、しいたけに9分通り火が通ったらイカを加えて炒め合わせます。
- 器に彩りよく盛ります。
※写真にはブロッコリーを添えました
※チキンスープは鍋に水600ml、鶏手羽元2本、しょうが少々、ねぎ少々を入れて沸騰してから15分間煮たものを使用すると美味しいでしょう
(中華風だしの素を湯にごく薄く溶いたものを使用しても良い)
次シリーズは、「世界のとっておきグルメ」というテーマです。
世界各国を食べ歩いて料理研究に余念のない伊藤華づ枝が、食べて感動した料理や店をご紹介する予定です。
家庭で作れる再現レシピもご紹介します。
引き続きのご愛読をお願い申し上げます。