文化講座
パパッと2人ごはん~夏はやっぱり麺料理~
前シリーズでは「かんたんコース料理」と題し、家庭でも手軽に作る事ができるコース料理のレシピを、とっておきのテーブルコーディネートとともにご紹介しました。今シリーズは、(1)初めての1人暮らしごはん、(2)パパッと2人ごはん、(3)一緒に作れる!KIDSごはんの3つのジャンルに分けて、みんなが幸せになれるレシピをご紹介しています。各ジャンルを毎月順番に取り上げ、その月のテーマに沿って役立つ情報とおすすめレシピをお届けします。
第11回目の今月は、「パパッと2人ごはん ~夏はやっぱり麺料理~」
いよいよ夏の到来です。蒸し暑さに節電も加わって、今年も工夫の夏が始まります。私の事務所もベランダガーデニングを作って花と緑を増やし、見た目も体感温度も涼しくしています。昨年に引き続いてゴーヤーやヘチマなどのグリーンカーテンもかなり浸透し、町のあちらこちらで見かけるようになりました。また、キュウリやトマトなどの夏野菜の栽培も、プランターで手軽にでき、背丈も大きくなって日よけにもなり、さらに収穫の楽しみもあることから人気があるようです。それぞれのライフスタイルに沿って無理のない範囲で、楽しみながら節電の夏を過ごしましょう。
さて、これからの暑い季節には、・食欲がない・料理時間を短くしたいなど、食に関する問題が多くなります。夏の食卓を充実したものにするための工夫は、現シリーズ「みんなの幸せレシピ」の第一回「初めての1人暮らしごはん~暑い季節の快適料理~」で取り上げています。是非参考になさってください。
今月は、夏に食べたくなる定番料理=麺についての話です。代表的な麺についてのご紹介と、パパッと作って食べたい麺料理のレシピを公開します。
★麺の魅力
蒸し暑さで食欲が減退しがちな夏も、のど越しの良い麺なら、スルッと食べられるという人も多いでしょう。夏の人気メニューのアンケートでも、うどん、そうめん、そば、冷製パスタ、冷やし中華などが上位を占めています。麺は味のバリエーションが豊富で、何と言っても手軽に作ることができるのが最大の魅力です。それぞれの麺の特徴を知り、もっとおいしく、健康的な麺生活を送りましょう。
■うどん
うどんは私達日本人にとって、一番馴染みの深い麺です。全国各地でご当地うどんが愛されています。東海地方では味噌煮込みうどんや伊勢うどん、香川の讃岐うどん、秋田の稲庭うどん、群馬の水沢うどん、長崎の五島うどんなどが有名です。名古屋独特のきしめんもうどんの仲間です。うどんには乾麺、生麺、ゆで麺などの種類があり、用途や状況に応じて使い分けましょう。乾麺は保存がきくので常備しておくと重宝します。冷凍うどんはさっとゆでるだけで、つるつる、モチモチの食感が楽しめます。
【栄養】
消化が良いため、体調が悪い時や軽食として、また小さな子供やお年寄りにも食べやすい食品です。小麦粉、水、塩が原料ですので、炭水化物が主な栄養素です。たんぱく質やビタミン・ミネラル類、食物繊維などと一緒に食べる工夫が必要です。
■そうめん・ひやむぎ
夏といえばそうめんというほど、夏には欠かせない麺です。ゆで時間が短く簡単に食べられるため、夏はそうめんやひやむぎばかり・・・という声も聞かれます。そうめんとひやむぎの原料は、うどんと同じ小麦ですが、その違いは太さです。うどんは直径1.7ミリ以上、ひやむぎが直径1.3ミリ以上1.7ミリ未満、そうめんが直径1.3ミリ未満という基準があります。人気の「手延べ」とは製法のことで、通常は機械でこねた生地を細く切って作られますが、手延べの場合は、棒状の生地を少しずつ手で引き延ばして細くしていくため、手間と時間がかかります。そのため価格が高くなりますが、滑らかでのど越しが良く、豊かな弾力もあって、独特の食感が楽しめます。ちなみに、7月7日の七夕は「そうめんの日」です。願いを込めながら、そうめんを食べましょう。
【栄養】
うどんと同様、炭水化物に栄養が偏りがちですので、単品だけではなく、できるだけ多くの具や薬味を添えましょう。温泉卵やハム、シラス干し、ツナや練り製品、チーズや納豆などのタンパク質や、トマトやキュウリなどの夏野菜、ワカメやノリなどのビタミン・ミネラル類は、火を使わずに栄養バランスを整えてくれるので便利です。冷たいものばかりでは内臓機能が低下してしまいますので、ショウガやネギ、青ジソや梅干し、ゴマなどの消化吸収を助け、胃もたれや食あたりを予防する薬味も用意しましょう。
■そば
そばは手軽な上に、単品でとても栄養バランスに優れた食品です。1日のうち1食をそばにすると、健康効果が抜群といわれています。最近では、風味の良いそばが低価格で家庭でも楽しめるようになりました。そば粉の割合で、二八そばや十割そばなどがあります。
【栄養】
そばの栄養価は、米や小麦など同じ穀類の中では群を抜いています。殻をむいた実を精製せずにそのまま利用するため、生命の維持や成長に欠かせない良質たんぱく質、特に必須アミノ酸が多く、不足しがちなビタミンB群やミネラル、食物繊維も豊富に含みます。さらにビタミンの一種であるルチンは、抗酸化作用や血管強化、高血圧や動脈硬化予防効果があります。韃靼(だったん)そばは、ルチンの含有量が格段に高くなっています。
■パスタ
パスタとは、小麦粉をこねて作るイタリアの麺の総称です。写真奥の麺状のスパゲッティなどはロングパスタ、手前のマカロニやフジッリなどはショートパスタと呼ばれています。暑い季節は、麺を茹でてからキリッと冷やした冷製パスタが人気です。
【栄養】
うどんなどと同様にパスタの原料は小麦ですが、デュラム小麦という特殊な小麦で、やわらかな黄色が特徴です。パスタ専用のこの小麦粉は、デュラムセモリナといいます。デュラムセモリナは、他の小麦粉に比べて粒子がかたく、ゆっくりと消化吸収されるため、血糖値が上がりにくく、体にやさしい食品です。
■中華麺
夏の定番冷やし中華やつけ麺、ラーメンなどの麺です。冷やし中華がメニューに登場すると、夏が来た!と感じますね。暑い中、熱々のラーメンを食べるのもまたおいしいものです。麺の種類は、スープが絡みやすいちぢれ麺(写真奥)や食感やのど越しが良いストレート麺(写真手前)があります。太さも極細から極太まで様々です。
【栄養】
中華麺も小麦を原料としていますが、中華麺が黄色いのは、独特の風味やコシを生み出す「かんすい」が添加されているからです。最近は無かんすい麺も多く出回っています。市販のスープには、塩分や脂肪分が多い場合がありますので、全部飲まないでスープを残すなど、体にやさしい食べ方を心がけましょう。
フレッシュトマトの酸味がさわやか
材料 | 2人分 |
完熟トマト | 3コ(250g) |
(A) | |
オイルツナ缶(80g) | 1缶 |
にんにく(みじん切り) | 小さじ1 |
オリーブ油 | 大さじ2 |
塩 | 小さじ1/2 |
白こしょう | 少々 |
酢 | 小さじ1 |
バジル | 4枚 |
スパゲッティ(1.4mm) | 160g |
バジル(飾り用) | 2枚 |
作り方
- トマトは熱湯の中で手早く茹で、皮をむいて横半分に切り、種を取って小角切りにします。
- ボウルに(A)を合わせます(ツナ缶は油を切らず入れます)。
- バジルは手でちぎって2.に加えます。
- スパゲッティを茹でて氷水で急冷し、しっかり水気をとります。
- 4.を3.に絡めて器に盛り、バジルを添えます。
※スパゲッティは1000mlの湯に対して、塩小さじ2の割合で茹でます。
暑い季節だからこそ食べたい!
牛肉とかつおだしで旨味とコクたっぷり
材料 | 2人分 |
水 | 700ml |
混合削り節 | 30g |
(A) | |
みりん | 大さじ1 |
しょうゆ | 大さじ1~2 |
砂糖 | 大さじ1 |
牛薄切り肉 | 100g |
冷凍うどん | 2玉 |
カレールウ | 50g |
ねぎ | 1本(40g) |
かまぼこ | 1/2枚 |
作り方
- 鍋に分量の水を煮立て、削り節を入れてサッと煮て濾します。
- 1.の汁を(A)で調味し、うどんを入れて煮ます。
- 2.が沸騰してきたら、一口大に切った牛肉を入れサッと煮てアクをとります。
- 3.にカレールウを溶き入れて、よく溶けたら丼に盛ります。
- 4.の上にうす切りのねぎと、かまぼこをのせます。