文化講座
~心と体を温める鍋料理~
前シリーズでは「かんたんコース料理」と題し、家庭でも手軽に作る事ができるコース料理のレシピを、とっておきのテーブルコーディネートとともにご紹介しました。今シリーズは、①初めての1人暮らしごはん、②パパッと2人ごはん、③一緒に作れる!KIDSごはんの3つのジャンルに分けて、みんなが幸せになれるレシピをご紹介しています。各ジャンルを毎月順番に取り上げ、その月のテーマに沿って役立つ情報とおすすめレシピをお届けします。
第4回目の今月は、「初めての1人暮らしごはん ~心と体を温める鍋料理~」
秋も深まり、木々が美しく色づいています。新米をはじめ、新そばやきのこ類、根菜類、魚介類など、旬のおいしさを堪能できる贅沢な季節です。朝晩が冷え込むようになってきた今日この頃、いよいよ鍋料理シーズンの到来です。鍋料理は、大勢でワイワイ楽しむのはもちろん、実は1人暮らしだからこそおすすめの料理でもあります。今月は、心と体を温めてくれる鍋料理の魅力と、今夜にでも作って食べたい鍋料理のレシピをご紹介します。
★鍋料理のすすめ
1人暮らしをしていると、食事は外食やコンビニ弁当、市販の惣菜などが多くなりがちです。料理を作らない理由として、(1)面倒臭い(2)忙しくて時間がない(3)料理ができない、何を作ったら良いかわからない(4)食材を買っても余ってしまう(5)自分で作るより外食や市販の弁当の方がおいしい、などがあげられます。では、手間無く簡単に、おいしく、健康的で、食材も無駄なく使用できる料理があれば、作りたくなるのではないでしょうか。その理想的な料理が、鍋料理です。この冬、鍋料理は1人暮らしの強い味方になるでしょう。
■体に良い鍋料理
鍋料理のメリットは数多くありますが、まず第一に体に良いことがあげられます。
★栄養バランスが良い
鍋料理の魅力は、色々な食材が入っていることです。野菜やきのこでビタミンやミネラル、食物繊維など、肉や魚介類、豆腐などの大豆製品で良質たんぱく質、鍋の〆としてのうどんやごはんなどの炭水化物と、鍋ひとつで栄養バランスがとりやすくなっています。また、鍋料理は昆布でだしをとることが多いため、昆布のミネラルも摂取できます。
★野菜がたくさん食べられる
旬の野菜を選びましょう
鍋料理にたっぷりの野菜は欠かせません。カサが減るため、普段は食べにくい野菜もたくさん食べられます。
★良質たんぱく質の宝庫
鍋料理には、豚肉や鶏肉、魚介類、練り製品、大豆製品、卵などが入り、動物性、植物性のたんぱく質をバランスよくとることができます。
魚介類 | 大豆製品 |
★食物繊維たっぷり
鍋料理に欠かせないきのこやこんにゃくは、腸内環境を整えて風邪予防にも効果的な食物繊維が豊富です。
きのこ類 | こんにゃく |
★ボリュームがある割に低カロリー
鍋料理は食品数が多いため、見た目にも豪華で、視覚的に満足もできます。野菜やきのこが多く入るため、ボリュームがある割には低カロリーで、十分な満腹感が得られます。
★消化吸収が良い
温かい食べ物は、冷たい食べ物に比べて消化吸収がよく、体への負担が少なくなります。また、食材が多く色々な栄養素を同時に摂取できるため、栄養素同士が互いに消化吸収を高めます。
★脂肪が少ない
豚もも肉
油を使わない上、煮ると食材の脂肪が落ちるのでとてもヘルシーです。脂肪が気になる人は、豚もも肉などの脂身が少ない肉を選びましょう。
★体の芯まで温まる
寒い季節は代謝が低下しがちですが、鍋料理を食べて体が温まると代謝が活発になります。
■手間が少ない
★切るだけで準備OK
練り製品
野菜や豆腐などの材料を切るだけで準備できます。魚介類の代わりに、かまぼこやちくわなどの練り製品を使えばさらに手軽に。魚のすり身が原料の練り製品は高たんぱく質、低脂肪で、消化吸収もよく、子どもから高齢者まで家族全員にうれしい食材です。
★鍋ひとつで完成
鍋に材料を入れて火にかけるだけでできるので、鍋がひとつあれば料理できます。
★洗い物が少ない
材料は切るだけ、鍋もひとつでできるため、洗いものも少なく、後片付けも簡単です。
■その他
★レシピは無限大
食材や味付け、薬味などを組み合わせ、様々な味のバリエーションを楽しみましょう。
★冷蔵庫の食材が片付く
冷蔵庫に入っているたいていの食材は、鍋料理に活用できます。
★部屋の暖房、加湿
鍋料理は加熱して作るため、火を使うので部屋が温まります。ぐつぐつ鍋が煮えていると、気分的にも温かいですね。また、湯気で部屋が加湿され、乾燥防止にもなります。
★鍋料理のいろいろ
各地にその土地の食材や風土に合った鍋料理が多く存在します。人気の鍋料理をご紹介しましょう。
■石狩鍋(北海道)
料理:伊藤華づ枝作
鮭を主材料にしたみそ味の鍋料理で、北海道の郷土料理です。
■もつ鍋(九州・博多)
料理:伊藤華づ枝作
内臓のもつが入った鍋料理で、九州の博多周辺の郷土料理です。
■牛すじの土手煮(愛知県)
料理:伊藤華づ枝作
牛すじを赤みそで煮込んだ、味わい深い愛知県の郷土料理です。大根やゴボウなどの根菜類が入ると一層おいしさが増します。
■ちゃんこ鍋(相撲部屋)
料理:伊藤華づ枝作
ちゃんことは力士の食事のことで、その代表ともいえるものがちゃんこ鍋です。栄養バランスがよく、高い満足感が得られるのが特徴です。
名前の通り、毎日でも食べたいおいしさ
お好みの野菜でアレンジ自在です
材料 | 1人分 |
だし昆布 | 1枚(5×9㎝) |
水 | 適宜 |
豚平切り肉 (しゃぶしゃぶ用) |
60g |
豆腐 | 2~3切れ |
レタス(中) | 2~3枚 |
生しいたけ | 1枚 |
にんじん | 適量 |
ポン酢じょうゆ | 大さじ2~3 |
大根 | 適量 |
赤唐辛子 | 適量 |
作り方
- 1人用の土鍋にだし昆布と水(7分目位)を入れます。
- 1.に豚肉、適当な大きさに切った豆腐、手でちぎったレタス、軸を切って飾り切りにしたしいたけ、ピーラーで薄くスライスしたにんじんを入れます。
- 2.を火にかけて煮立て、手早く煮ます。
- 器にポン酢じょうゆと、もみじ卸し(大根の中に赤唐辛子を入れてすりおろしたもの)を添えます。
体の芯からあたたまる!
常夜鍋と同じ食材(豆腐、豚肉)を使用しているため、
残り食材も活用できて便利です
材料 | 1~2人分 |
豆腐(絹) | 100g |
豚平切り肉 | 80g |
アサリ | 50g(5~6粒) |
ごま油 | 小さじ1弱 |
にんにく(みじん切り) | 小1/2かけ |
しょうが(せん切り) | 小1かけ |
(A) | |
水 | 200ml |
塩 | 少々 |
しょうゆ | 大さじ1/2 |
コチジャン | 小さじ1弱 |
卵 | 1~2コ |
ネギ | 1/2本 |
粗挽き粉唐辛子(又は一味唐辛子) | 適量 |
作り方
- 豆腐は8等分に切ります。
- 豚肉はザク切り、アサリはよく洗います。
- 熱した石なべ(又は厚手なべ)にごま油を入れ、にんにくとしょうがを香り良く炒めます。
- 3.に豚肉を入れて色が変わるまで炒め、(A)を加えます。
- 4.が煮立ってきたら、アサリを加えて口が開くまで煮ます。途中で卵も1つずつ割り、煮込みます。
- 5.に斜め切りのネギを散らして火を止め、お好みで粉唐辛子を振って食べます。