文化講座
続・誰でもわかるイタリア語 第11回 知覚動詞
このシリーズ「誰でもわかるイタリア語」では、イタリア語の基礎を文法用語に頼って説明することを出来るだけ避け、誰にもわかるようにまとめています。また「旅に役立つ会話フレーズ集」では旅行での場面を想定した会話文をまとめましたので、自分のちからで訳し、旅行の場面で使えるようにチャレンジして下さい。 |
【知覚動詞】について
前シリーズ「誰でもわかるイタリア語」第9回から第12回で、「...(A)することを...(B)する」Aの動詞+Bの動詞というように2つの動詞を一緒に使うときの用法について詳しくまとめてありますので是非参考にして下さい。ここでは復習の意味で簡単にまとめました。
I.2つの動詞の間に前置詞を入れる場合:
Aの動詞は人称変化しますが、Bの動詞は原形(不定詞)のままで変化しません。しかし2つの動詞を繋げるため、接着剤のような働きをする前置詞aまたはdiを動詞と動詞の間に入れます。前置詞は前の動詞Aによって決められています。辞書を引くと《a+不定詞(inf.)...することを》または《di+不定詞(inf.)...することを》と書かれています。
- Cominciamo a mangiare alle 7.
(私たちは7時に食べ始めます) - Tutti finiscono di lavorare alle 5.
(みんなは5時に仕事をし終えます)
II.2つの動詞の間に前置詞を入れない場合:
「...(A)することを...(B)する」Aの動詞+Bの動詞
動詞によっては接着剤のような働きをする前置詞を必要としない動詞があります。
a) 従属動詞(dovere, potere, volere, sapere)の場合
- Devo prenotare il posto.
(席を予約しなければならない) - Possiamo partire subito.
(私たちは直ぐに出発できます) - Voglio mangiare la pizza napolitana.
(ナポリのピッツァを食べたい) - So parlare italiano.
(イタリア語を話すことが出来ます)
b) 動詞piacereの場合
「~することが好きです」という表現ではpiaceの後ろに動詞の原形(不定詞)をもってきます。
- Mi piace ascoltare la musica.
(私は音楽を聴くのが好きです) - Le piace viaggiare all'estero?
(あなたは海外旅行をするのがお好きですか?)
c) 動詞preferireの場合
「~する方がいい」とか「~するより~する方を好む」という場合、動詞の原形を直接従えます。
- Preferisco mangiare a casa.
(家で食べる方が好きです) - Marco preferisce guardare la TV a casa che vedere il film al cinema.
(マルコは映画館で映画を見るより、テレビを見る方が好きです)
d) 動詞desiderareの場合
「~することを望む、~することを希望する」という場合も、動詞の原形を直接従えます。
- Angela desidera restare ancora un mese in Italia.
(アンジェラは後一月イタリアに留まりたい)
e) 非人称動詞(3人称単数)の場合
「~することが起きる」とか「~することが必要である」のようにいう場合です。動詞は原形を直接従えます。
代表的な非人称動詞には、
「~が起こる」(accadere, succedere, capitare, avvenire)、「~は必要である」(bisognare, occorrere)、「~のように思われる」(sembrare, parere)、その他に「~で十分である」(bastare)、「~が重要である」(importare)、「~した方がよい」(convenire)などがあります。
- Non conviene aspettare più.
(もうこれ以上待たないほうがいい) - Basta chiedere per capire.
(理解するためには聞けばよい)
f)使役動詞の場合 fare・lasciare+動詞の原形
「~させる」「~させておく、~するがままにしておく」の意味で使います。
- Faccio portare l'ombrello a mio padre.
(お父さんに傘を持ってきてもらう) - Mi faccia vedere quella gonna in vetrina!
(ショーウィンドーのあのスカートを見せて下さい!)
g) 知覚動詞の場合
知覚動詞+動詞の原形sentire(聞く、感じる), ascoltare(聞く、聴く), vedere(見る), guardare(見る、眺める), udire(聞く、聞こえる)などのように知覚や感覚を表す動詞を使うとき、直接動詞の原形を従えます。
Sento suonare il pianoforte Maria.
(マリアがピアノを弾いているのが聞こえる)
この場合も二つの動詞(sentireとsuonare)との間に前置詞を付ける必要はありません。しかし二つの動詞の主語が異なります。この場合sentireの主語は「私」ですが、suonareの主語は「マリア」です。もし「マリア」を強調したいときは、Sento che Maria suona il pianoforte.という文章になります。知覚動詞の後ろに動詞の原形を持ってくると、その動詞の動きの内容や様子を生き生きと表現できます。構文も簡単ですのでしっかり覚えましょう。
- Guardo giocare al calcio mio figlio.
(私の息子がサッカーをしているのを眺めています) - Vedo tornare a casa mio padre.
(お父さんが家に帰ってくるのが見える) - Sento Maria cantare spesso nel bagno.
(マリアがよく風呂で歌っているのを聞きます)
知覚動詞または感覚動詞ともいいます。前回、学習した使役動詞「fare+動詞の原形(不定詞)」と同じ構文をとります。すなわち知覚を表す動詞の後に、前置詞を挟まず直接動詞の原形をとります。そして知覚動詞の主語と後にくる動詞の主語は異なることも使役動詞と同じです。
- Guardo giocare il bambino.
(子供が遊んでいるのを見ている) - Vedo arrivare l'autobus.
(バスが着くのが見える) - Sento urlare qualcuno.
(誰かが叫んでいるのが聞こえる)
上に挙げた例文からも分かるように、知覚動詞(guardo, vedo, sento)の主語は「私は」ですが、知覚動詞の後にくる動詞(giocare, arrivare, urlare)の主語は、「私」ではなく、giocare「遊んでいる」の主語はil bambino「子供」であり、arrivare「着く」の主語はl'autobus「バス」であり、urlare「叫んでいる」の主語はqualcuno「誰か」です。
1.動詞の原形(不定詞)が他動詞の場合
不定詞の主語は、知覚動詞の直接目的語(~を)であり、知覚動詞と不定詞の間に置かれます。またその直接目的語を人称代名詞(mi, ti, ci, vi, lo, la, li, le)で表されるときは、知覚動詞の前に置くのが一般的です。また不定詞の直接目的語が人称代名詞で表されるときは、不定詞の語尾に付けます。
- Ascolto Maria suonare il pianoforte.
(私はマリアがピアノを弾いているのを聴いている) - La ascolto suonare il pianoforte.
(私はピアノを弾いている彼女を聴いている) - La ascolto suonarlo.
(私はそれを〈ピアノを〉弾いている彼女を聴いている)
■下の例のように、不定詞の主語を特定の人にせず、一般的にするために省略することもあります。
- Ho sentito parlare di Lei parecchie volte.
(私はあなたについて何度も聞いています)
もし「ある人」からと特定する場合は、「前置詞da(またはa)+人」の形をとります。 - Ho sentito parlare di Lei parecchie volte dal professor Rossi.
(私はロッシ先生からあなたについて何度も聞いています) - Ho sentito cantare una canzone al pappagallo.
(オウムが歌を歌っているのが聞こえた)
2.動詞の原形(不定詞)が自動詞の場合
不定詞の主語は知覚動詞の直接目的語として扱われ、名詞ならば不定詞の後に置くのが一般的です。しかし、不定詞の後に、間接目的語や従属節などがくれば、知覚動詞と不定詞の間に置かれるのが一般的です。また人称代名詞であれば知覚動詞の前に置かれます。
- Guardo giocare Mario.
(私はマリオが遊んでいるのを眺めています) - Guardo Mario giocare nel cortile con i suoi amici.
(私はマリオが友達たちと中庭で遊んでいるのを眺めています) - Lo guardo giocare nel cortile con i suoi amici.
(わたしは友達と中庭で遊んでいる彼を眺めています)
■以上見てきたように、fareを使った使役動詞と同じような構文で表されます。使役動詞と大きく違う点は、不定詞が再帰動詞のときその再帰代名詞(mi, ti, si, ci, vi, si)の扱いです。使役動詞の場合は、再帰代名詞が省略されましたが、知覚動詞の構文では、不定詞の語尾に再帰代名詞が付いてきます。
- Ho visto arrabbiarsi Mario.
(私はマリオが怒っているのを見た) - Guardavo allontanarsi il treno.
(列車が遠ざかっていくのを眺めていました) - Ti ho visto vergonarti dei tuoi scherzi cattivi.
(君が君の悪ふざけを恥ずかしく思っているのが分かった)
【その他の例文】
- Sento fischiare il vento tra i rami.
(風が枝をピューとうならせているのが聞こえます) - Sento piangere la bambina.
(子供が泣いているのが聞こえる) - Sento perdere il gas.
(ガスが漏れているようだ) - Ho ascoltato il telefono squillare.
(私は電話が鳴っているのが聞こえた) - T'ho visto giocare al tennis con Giovanna.
(私は君がジョヴァンナとテニスをしているのを見ました) - Ho visto Mario bere la birra al bar.
(私はマリオがバールでビールを飲んでるのを見ました) - Non abbiamo avvertito piangere mia madre.
(私たちは母が泣いていることに気付きました)
◆旅に役立つ会話フレーズ集 第11回
シリーズ『旅に役立つイタリア語』のサブテキストとして使って下さい。
『旅に役立つイタリア語』では、旅行のいろいろな場面で役立つイタリア語会話についてまとめてありますので是非お読み下さい。その上で、サブテキストとしてこの『旅に役立つ会話フレーズ集』を利用して下さい。旅行のいろいろな場面で使いそうな会話文をまとめてみました。会話の場面を想定して、日本語からイタリア語に訳してみて下さい。最初からイタリア語の解答例を参考にしないで下さい。まずは自分のちからで単語を並べるという努力をして下さい。最初から完璧なイタリア語で会話しようと考えないで下さい。
『エノテーカ』での会話
会話のフレーズ
【エノテーカ(居酒屋)での会話】
- ワインリスト見せていただけますか?
- 辛口(軽い、薄甘口、中甘口、さわやかな、コクのある(まろやかな)、強い、濃くてコクがある)のワインがいいです。
- このワインは何年ものですか?
- このワインは何処のですか?
- このワインの試飲できますか?
- フルーティな甘口のワインをお願いします。
- 白(赤)ワインをボトル一本お願いします。
- これを少し下さい。(おつまみ(gli spuntini):クラッカーやスナックなど)
- このロゼ(ワイン)、いい香りですね!
- 洗練された味!(口あたりのいい、美味な)
- ハウスワインの赤をグラス(ボトル、デキャンタ)で下さい。
- 合うワインを選んでいただけますか?
- 雰囲気のいいよいエノテーカを教えていただけますか?
- あのエノテーカでは落ち着いてワインを楽しめます。
- キャンティワインはトスカーナ州の代表的なワインです。
- 何年ものの何処のイタリアワインがおいしいですか?
(In enoteca)
- Potrei vedere la lista dei vini?(Posso vedere~)
- Preferisco il vino secco.(leggero, abboccato, amabile, asciutto, rottondo, robusto, corposo)
- Di che anno è questo vino?
- Di dove è questo vino?
- Si può provare a bere (assaggiare) questo vino?
- Vorrei un vino dolce fruttato.
- Vorrei una bottiglia di vino rosso(bianco).
- Vorrei un po' di questo.(salatino, stuzzichino, bocconcino)
- Che buon profumo fa questo rosè!
- Ha un gusto raffinato(gradevole, buono)!
- Vorrei un bicchiere(bottiglia, caraffa) di vino rosso della casa.
- Mi può scegliere il vino più adatto?
- Mi può consigliare una buona enoteca più adatta l'atmosfera?
- In quella enoteca si può gustare il vino con tranquillità.
- Il Chianti è il vino rappresentativo della Toscana.
- Di dove è e di quale anno è il vino italiano più buono?
イラスト:樋口佳代