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インターネット公開文化講座

文化講座

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エプロン一年生さんの為の基本クッキング

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

台所に常備したい基本の調味料

これから料理を学びたい人・お料理大好きな人へ
このページでは、料理の基本やその逸話などを、料理法だけでなくいろいろな角度からご紹介します。

第1回目では、料理道具の準備・料理をする前の身だしなみなどについて学びました。第2回目は、実際に料理をするために、料理をおいしく仕上げる基本の調味料の種類や扱い方についてご指導します。

台所に、欠かせない大切な調味料とは、砂糖・塩・酢・しょうゆ・みそです。
調味料は仕上げの大きな決め手となるので、多少値段が高くても、質の良い安全なものを選びたいものです。



(写真)
左:海塩    右:岩塩
~食塩~

*人が生きていくうえで欠かせない塩は、料理にとっても欠かせないものです。「いい塩梅(あんばい)」と言われるくらい、塩の味で料理の味が変わるといってもいい程重要な調味料です。
塩は食用とするものを食塩といい、海水又は岩塩から採取されます。
食塩・並塩・精製塩・食卓塩は、天然の塩を再溶解、再加工したものをいいます。

<種類>

海塩
海水の水分を飛ばし、日光と風で乾燥させたもの。主に日本で生産されています。

岩塩
地下から掘り出した、塩の塊のことをいい、日本には存在しません。主にアメリカ、ドイツ、フランスなどで掘り出されています。
岩塩を購入した場合、かなづちなどで砕いた後ミル(塩の塊を挽くもの)で細かく挽いて使用するようですが、最近は質の良い粉状のものが市販されています。

(写真)アジの塩焼き
(写真)漬物
<食塩の役割>

「食塩」=「塩辛い」というイメージがありますが、食塩の役割は、塩味をつけるだけではないのです。

甘さを引き立てる
甘みに塩味を加えるとによって、甘みが更に引き立ちます。例えばお汁粉に少し塩を加えたり、スイカに塩を振ったりするのは、塩のこのような効果によるものです。

防腐効果
野菜類を塩に漬けることによって、腐らせず長持ちさせることができます。食塩の防腐効果を利用した料理の代表例には漬物があります。

料理の下準備にも大活躍
青菜、パスタなどをゆでるときにも塩は欠かせません。
青菜をゆでるときに塩を入れることによって、鮮やかな緑色に茹で上がります。
パスタをゆでるときに塩を入れるのは、パスタに味をつける役割があるからです。

書ききれないほど塩は、様々な用途があります。

豆知識
今では一般的な塩も昔は大変貴重で、給与・賞与として塩を与えていた頃があり、ラテン語で塩のことを「sal」と言いそこから「サラリー」という言葉が生まれたのです。

(写真)砂糖(右下より時計回りに上白糖、グラニュー糖、氷砂糖)
(写真)黒砂糖(左:角黒砂糖、右:粉黒砂糖)
(写真)シフォンケーキ
~砂糖~

*一般的に砂糖は、さとうきびや砂糖大根から採取されます。同じ甘味でも砂糖の種類によって甘味や風味が異なります。

<種類>

上白糖
どんな料理にも使用できる万能調味料です。粒が小さいので溶けやすく、グラニュー糖より濃厚な甘味があります。

グラニュー糖
淡泊な甘味を持つため、香りを楽しむ紅茶やコーヒーに加えるのに適しています。

氷砂糖
果実酒を作るのに適しています。果実の風味を引き立て、上品な味に仕上げます。

黒砂糖
独特な風味があり、ミネラルを豊富に含んでいます。煮物に加えると砂糖とは一味違うコクが出ます。

<砂糖の役割>

乾燥防止
スポンジケーキに砂糖を使用するのは、甘さをつけるためだけではありません。砂糖は保水性に優れているため、スポンジの乾燥を防止する役割もあります。

ゼリー強度
寒天やゼリーに含まれる砂糖は、ゼリーの固さを強める働きがあります。

防腐効果
砂糖の防腐作用を利用した食品としてジャムがあります。果物を砂糖で煮詰めることによってとろみがつき、生の果物に比べてより保存性を高めます。

(写真)しょうゆ(右下より時計回りに濃口しょうゆ、薄口しょうゆ、白しょうゆ、溜りしょうゆ)
(写真)豚の角煮
~しょうゆ~

*大豆から作られる日本を代表する調味料です。様々な料理と調和し、今では世界各国で使われるようになりました。

<種類>

濃口しょうゆ
一般的に"しょうゆ"と呼ばれるものです。料理全般に使用できる万能調味料です。加熱しすぎると香りが損なわれる為、しょうゆの香りを生かす料理には、仕上げに加えます。

薄口しょうゆ
素材のおいしさを引き出し、色を美しく仕上げたい時に使用します。長く加熱しても濃い口しょうゆよりも香りが損なわれにくいのが特徴です。薄口しょうゆ は、濃口しょうゆより色が薄いのですが、塩分は高いので色がついてないからといって入れすぎないよう注意しましょう。

溜りしょうゆ
愛知・岐阜・三重が主な産地です。濃厚で甘味があるため照り焼きや蒲焼などに使用されます。東海地方では、お刺身に使用されることが多いようです。

白しょうゆ
名古屋地方で特産のしょうゆです。薄口しょうゆより淡い色でほのかな甘味があります。素材そのものの色を生かす料理に適しています。

<効果>

相乗効果を発揮
しょうゆはうまみ成分が多く含まれるため、だし(かつおや昆布などのだし)と合わせて料理するとだしのうまみと共においしさがアップします。

下準備にも必需品
魚肉類を下準備する際、しょうゆに漬け込んでおくことで臭みがとれ、しかも味がしみ込んでおいしくなります。

(写真)酢(右下より時計回りに穀物酢、米酢、黒酢)
(写真)長芋とえのきたけのわさび酢
(写真)レモン酢漬け
~酢~

*穀物や果実を酢酸発酵して作られたものです。料理に酸味をつけるだけでなく、この酸味によって胃酸の分泌が促され、食欲を増進させます。
*酢(vinaigre)は、フランス語の「vin」=「ワイン」と「aigre」=「すっぱい」からきています。

<種類>

穀物酢
どんな料理にも使える酢です。米酢よりすっきりとした味です。

米酢
日本で古くから作られてきた酢。原料である米のほのかな甘味とうまみがあり、まろやかな味です。寿司や酢の物など火を通さない料理に合います。

黒酢
最近の健康ブームでよく耳にするようになりましたね。使い方がわからない人は、何も難しいことは考えず普段使用している穀物酢や米酢と同じように料理に使 用すれば問題ありません。ジュースと混ぜて飲んでもおいしいですよ。

りんご酢
フルーティーで飲みやすい酢です。薄めて飲んだり、ドレッシングにしても良いでしょう。

バルサミコ酢
ブドウを原料とし、長時間熟成させて作られた酢です。日本の家庭ではまだなじみが少ない酢ですが、イタリア料理には欠かせない酢です。コクと甘味があり、 ソースなどとして利用します。少し加えるだけで一味違うおいしさを味わえます。

*酢は、二杯酢(酢としょうゆを合わせたもの)、三杯酢(酢、しょうゆ、砂糖をあわせたもの)、甘酢(酢と同量砂糖を加えたもの)など、他の調味料と合わせて利用されます

<効果>

酸味を引き立てる
酢に塩を加えると酸味がより引き立ち、塩辛さを抑えてくれる働きがあるのです。

防腐効果
酢漬け(ピクルス)をすることによって、塩漬けと同じく防腐作用があります。

殺菌効果
魚の酢じめは、酢の殺菌効果を利用して保存性を高めた料理です。

変色防止
料理そのものではなく下準備にも使われます。ごぼうやれんこんを切った後に酢水につけておくと、黒く変色するのを防ぎます。

(写真)みそ(右下より時計回りに豆みそ、米みそ、麦みそ
(写真)ナスの辛子みそ和え
(写真)サバのみそ煮
(写真)朴葉みそ焼き
(写真)鶏肝のしょうが煮サラダ
~みそ~

*手前みそというように、みそはその土地や作られる家庭によって味が様々です。
みその種類に合わせて料理を作ってみてはいかがでしょうか。
一言でみそと言っても、米みそ(信州みそ)、麦みそ、豆みそ(八丁みそ)などがあります。

<種類>

米みそ
全国的に一番多く生産されているみそです。米みそは他のみそに比べて、作る際に加える食塩が少なく麹が多いのが特徴です。

豆みそ
愛知・岐阜・三重が主な産地で八丁みそが有名です。特有の風味と味を持っています。他のみそに比べ保存性に優れています。

麦みそ
麦を麹として作られたみそです。関東では、大麦を麹として作り、中国、四国、九州では裸麦を麹にして作られます。甘口みそで、塩分がやや高めです。
(こうじの量が多いものや熟成期間が短いものほど甘口に仕上がります。)

<効果>

調味料として
みそを砂糖やみりんなどを練り合わせ、材料とよく混ぜ合わせると簡単にみそ和えの出来上がりです。

下準備の時に
魚肉類をみそに漬け込むことにより、しょうゆと同様に臭みがとれます。

豆知識
みそ汁を作るときには風味を損なわないように、火を止める直前にみそを入れるのがポイントです。


(写真)照り焼きチキン
(写真)なすみそ冷やし麺
(写真)麻婆豆腐
~よく使われるその他の調味料~

みりん
もち米から作られる、日本独特の調味料です。昔は、高級な酒とされていました。料理に甘みや風味をつけたり、つや・照りを出したりするときに使用します。砂糖より上品な甘みが出ます。
大量に使うときは一度煮立たせて使用すると、味がまろやかになります。

マヨネーズ
一般的にサラダに利用する調味料ですが、料理の下味などにも使えます。
卵黄のみで作られたものは、フレンチタイプ。全卵で作られたものは、アメリカンタイプです。

ケチャップ
野菜と香辛料の宝庫です。オムライスなどにかけるだけではなく、料理の隠し味として使ってください。右写真の「なすみそ」には、隠し味としてケチャップが 加えてあります。ケッチャップを加えることでみその渋さが取れ、味にコクや深みが出ます。

ポン酢
柑橘類を使用した酢のことを言います。鍋物の時のたれとして使用したり、サラダのドレッシングとして使用できます。オランダ語で柑橘類のことを「pons:ポンス」ということから由来されているようです。

ソース
ウスターソースは野菜や果物の甘味やうま味を利用した、イギリス生まれのソースです。シチューなどの煮込み料理や、エビフライなどに直接かけて使用しま す。この他に、お好み焼用やとんかつ用のソースなども市販されています。

豆板醤
そら豆が主原料のみそに、唐辛子などを加えて作られた中国調味料です。家庭で本格的な中華料理を作るときに、必要な調味料です。棒々鶏(バンバンジー)や麻婆豆腐(マーボートウフ)に使用します。

おいしいコラム
味付けの基本は「さしすせそ」とよく聞きますが、それは、なぜでしょうか?

さ:砂糖、酒
し:塩
す:酢
せ:しょうゆ
そ:みそ

酒や砂糖は食品を柔らかくするために、調理の一番最初に入れます。酢・しょうゆ・みそはどれも風味が飛びやすいので、火からおろす直前に加えると良いからです。
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