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エプロン一年生さんの為の基本クッキング

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

おいしい味の基本 ~知っておきたい調理用語集~

これから料理を学びたい人・お料理大好きな人へ
このページでは、料理の基本やその逸話などを、料理法だけでなくいろいろな角度からご紹介します。

これまでに、基本の料理道具や身だしなみ、料理をおいしく仕上げる調味料の扱い方、野菜、魚介類、肉類の切り方などについて記しました。第6回目は「知っ ておきたい調理用語」について説明しましょう。材料・調理道具全てがそろっていてもレシピに書いてある調理用語がわからなくては困りますね。お菓子作りや パンなどを作るときによく料理本にでてくる「打ち粉」、そうめんを茹でるときに入れる「さし水」ってご存知ですか。「どこで売ってるの?」なんていう人も 少なくありません。そこでよく耳にする調理用語をご紹介します。



◆あく抜き◆

食品に含まれる苦味や臭み、食材の色を変色させる成分を取り除くことです。「れんこんを切った後、酢水に晒してください」と書いてあるのは、このアクを抜くためです。れんこんは酢水に晒すことによって、変色を防止します(写真1)。
酢水は酢の濃度が約3%(1リットルの水に対して30mlの酢を入れます)ですが、酢の香りが気になる人は、酢の量を半分ほどに減らしてもよいでしょう。
(写真1)
れんこんは酢水につけてあく抜きをします

◆あくを取る◆

魚や肉をゆでたり煮たりした時に出てくる泡をすくいとることをいいます。アクは玉じゃくしやアク取り用の網じゃくしを使って取ります。
アクをそのままにすると、料理に臭みが残り、味や見た目を損ねます(写真2)。
(写真2)
豚肉をゆでたときに出るアクをすくい取ります

◆油通し◆

煮たり、炒めたりする前に油で揚げることをいいます。
材料の下準備として色よく仕上げたり、余分な水分を取り除いたり、短時間で均一に食材に火を通す効果があります。
通常に揚げる時より、低い温度で揚げます。
中華料理の酢豚などの料理に使う野菜類は、このように油通しをすることが一般的でした(写真3)。
しかし最近では、この油通しをやめて、湯通しをする料理人さんも多くいます。中国料理の世界でも「ヘルシー」・「軽い」が主流となってきているようです。
(写真3)
酢豚に使う野菜を油通しします

◆油抜き◆

油揚げや厚揚げを調理する前に、熱湯をかけたり(写真4)サッと熱湯でゆでることを言います。表面の油を取り除き、味をしみ込みやすくするためです。
(写真4)
油揚げに熱湯をかけ、油抜きをします

◆あら熱をとる◆

煮 立った液体などを火からおろし、熱を取ることをいいます。そのまま置いて冷ます場合や氷水につけて早く熱を取る場合もあります(写真5)。またケーキのス ポンジなどは、熱々の状態で切ると形が崩れたり、上手に切れません。ですから手で触っても熱くない温度まで、そのままおいて冷ましてから切るとよいでしょ う。あら熱を取って仕上げたデザート(写真6)をご紹介します。

*ココナッツムースのマンゴーソースかけ~150mlのプリンカップ2コ分~

(写真6)
 


◆あんかけ◆

片栗粉やくず粉等でとろみをつけ、口当たりをよくします。
だし汁に調味したものを煮立てそこへ水溶き片栗粉(片栗粉:水=1:1~2)を加えます(写真7)。あんかけのあんの硬さは片栗粉の量で調整します。片栗粉の量が多くなるほど硬いあんに仕上がります。
沸騰した煮汁にかき混ぜながら水溶き片栗粉を加えます(写真8)。しっかり底からかき混ぜないとダマになります。
あんかけ料理(写真9)をご紹介します。
(写真7)
片栗粉に水を入れ、水溶き片栗粉を作ります
(写真8)
煮立てた煮汁に水溶き片栗粉を入れます

*エビ寄せ豆腐の揚げ出し

(写真9)
 


◆色止め◆

材料の変色を防止するため水、酢水、塩水に浸けておくことをいいます。
りんごを切った後、茶色に変色してしまった経験はありませんか。りんごは切った後すぐに塩水につける(写真10)と変色を防ぐことができます(塩水は塩分 濃度1~2% 少しなめて塩味がする程度でよいでしょう)。また、青菜(ほうれん草、小松菜等)をゆでた後、すぐに冷水につけることも色止めといいます。
(写真10)
切ったりんごは塩水に浸け色止めします

◆打ち粉◆

ピザ(写真11)やうどんなど生地をこねたり伸ばしたりするときに、手やまな板に生地がつかないようにふる粉(主に小麦粉)です。
写真12のようにピザ生地を伸ばす場合、まな板やめん棒にピザ生地がつかないように打ち粉をふります。打ち粉をふりすぎると粉っぽくなってしまいますので、少なめにしましょう。

*ミックスピッツァ

(写真11)
 


◆生上げ(きあげ)◆

ゆでた材料を水にさらさず、水けを切ってそのまま冷ますことをいいます。別名「おか上げ」ともいいます。水にさらすと味や風味が落ちたり、退色しやすい材料に用いる方法です。
写真13はもやしをゆで、生上げした写真です。広げておくと早く冷めます。
(写真13)
ゆでたもやしをザルにあげ、広げて生上げします

◆差し水◆

麺類等をゆでている途中で水を加えることをいいます。うどんやそば、そうめんなどをゆでるときに、沸騰してふきこぼれる直前にコップ1杯分の水を入れます(写真14)。差し水によってうどん等は表面が引き締まり、中は柔らかくゆであがります。
(写真14)
めん類をゆでる時はふきこぼれる直前にコップ1杯分の差し水をします

◆さらす◆

食品を水に浸けておいたり、流水に浸けておくことをいいます。
豆腐は使う前によく水にさらしてください(写真15)。水にさらすことによって豆腐についている雑菌を洗い流します。また水にさらすことで、あく抜きと同じような効果もあります。
(写真15)
豆腐が全部かぶるくらいの水にさらします

◆塩出し(塩抜き)◆

塩漬けになっている材料の塩けを抜くことです。水に漬けておくよりも、塩水に漬けておいたほうが早く塩けが抜けます。
写真16は数の子を塩水に浸けて塩出ししています。
(写真16)
数の子は塩水に浸けて塩出しします

◆吸い口◆

吸い物や椀物に香りを添えるためのものです。さんしょう、ゆずの皮、しょうがなどを使用します。食欲を促進させる効果もあります(写真17)。
(写真17)
吸い物の上に、ゆずを吸い口としてのせました

◆手綱切り(たづなきり)◆

馬の手綱のようにねじった形に仕上げる切り方をいいます。
薄く切ったこんにゃくの中央に2~3センチほどの切り込みを入れ(写真18)、片端を切り込みに通し入れます(写真19)。両端を軽く引っ張ると手綱切りの出来上がりです(写真20)。
(写真18)
薄く切ったこんにゃくの真中に切り込みを入れます
(写真19)
片端を切り込みに通します
(写真20)
手綱切りの出来上がりです
 

 

◆つなぎ◆

ハンバーグ(写真22)のように何種類かの材料を混ぜあわせる場合、その材料をひとつにまとめる助けをするのがつなぎです。ハンバーグの場合、パン粉や卵がつなぎの役割をします(写真21)。
(写真21)
ハンバーグの具(ひき肉、玉ねぎ、パン粉、卵)を混ぜ合わせます

*煮込みハンバーグ~きのこソース~

(写真22)
 


◆煮含める◆

多量の煮汁で弱火にかけ、時間をかけて味を含ませながらゆっくり煮ることです。
写真23は黒豆を煮含めています。
(写真23)
黒豆を煮含めます

◆湯せん◆

材料を間接的に加熱する方法。大きな鍋に湯をはり、その中に小さい鍋や耐熱ボウルを入れその中に加熱したい材料を入れ、加熱します。ケーキなどに入れる溶かしバターは湯せんにかけると焦げることなく上手に溶けます(写真24)。
(写真24)
溶かしバターを作るためバターを湯せんにかけます

◆湯むき◆

材料を熱湯に通し、皮をむく方法です。主にトマトの薄皮をむくのに使われます。
まずトマトに十文字の切り込みを入れ(写真25)、沸騰した湯の中へ入れます。皮がめくれたら取り出して水にとります(写真26)。湯の中へ長い時間入れ るとトマトが柔らかくなってしまうので注意します。
(写真25)
トマトに十文字の切り込みを入れます
(写真26)
熱湯の中へ切り込みを入れたトマトを入れ湯むきします
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