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エプロン一年生さんの為の基本クッキング

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

揃えておきたい食器類 ~和食器とその盛りつけ方~

これから料理を学びたい人・お料理大好きな人へ
このページでは、料理の基本やその逸話などを、料理法だけでなくいろいろな角度からご紹介しています。

これまでに、基本の料理道具や身だしなみ、料理をおいしく仕上げる調味料の扱い方、野菜、魚介類、肉類の切り方、だしのとり方、調理用語、アルコール、香 辛料、チーズなどについて記しました。第10回目は揃えておきたい食器類のお話です。

人は目の前の料理のおいしさを、舌と共に食器類や周りの雰囲気で味わいます。豊かな食卓は心がうるおうものです。日本では、陶磁器をはじめ、漆器、ガラス 器、竹製品など、さまざまな材質のものが食器として用いられています。あふれるほどのモノに囲まれ、好きなものを好きな時に購入できる「豊かな時代」だか らこそ、何を買うにしてもひとつの"決まり"(①重なりやすい器 ②色をある程度決める ③好みをしっかり決めるなど)を決めて購入したいものです。
今回は様々な和食器の特徴や種類、和食器の盛り付け方をご紹介します。"食卓の華"とも言える食器アイテムを、心豊かに整えたいものです。



◆和食器◆

和食器は、陶器、磁器、漆器と大きく3つに分類されます。伝統の中から生まれた和食器は、それぞれ特徴があり、魅力的で味わいがあります。そんな和食器の特徴を知ることで、豊かな食卓をコーディネートして下さい。

【陶器】
陶器とは・・・"土もの"とも呼ばれ、陶土といわれる粘土によって作られます。焼き上げる温度は900~1200℃ぐらいで、吸水性があります。焼きが柔 らかく、質が粗いのが特徴。硬度は低く、丈夫とはいえませんが風情は格別です。(写真1)

【磁器】
磁器とは・・・陶石(磁石)や長石などを砕いて作った原料を1300~1400℃の高温で焼いたものをいいます。焼きが硬く、質が密で気孔が少なく、水を 吸いません。硬度は高く、丈夫です。(写真2)

※磁器の製造技術が古くから発達したのは中国です。そしてそれらがお茶とともに西洋に広がったことから、磁器は英語で「チャイナ」と呼ばれるようになりました。
(写真1)
(写真2)

<いろいろな陶磁器の形と名称>
(写真3) 菊花 (写真4) 紅葉 (写真5) 貝(巻き貝)
(写真6) 麦わらで (写真7) 琵琶 (写真8) 扇

<各地の食器>

九州: 有田焼き(写真9) 有田では日本で初めて磁器が焼かれました

伊万里焼き(写真10) 華やかな絵付けが特徴です
(写真9) 有田焼き (写真10) 伊万里焼きの丼

石川県: 九谷焼き(写真11) 独特な絵付けや色・形が特徴です
岡山県: 備前焼き(写真12) 表情豊かな色や景色が特徴です
山口県: 萩焼き(写真13) 使うほど味わいが出てくるのが魅力です
(写真11) 九谷焼のワインクーラーとワイングラス (写真12)
備前焼の急須と湯のみ
(写真13)
萩焼きの湯のみ

【漆器】
漆器とは・・・漆器とは漆(うるし)を塗った器物の総称です。椀・盆・膳・重箱などの日常生活用具を主に、それらに萌絵(まきえ)などの装飾を加えた工芸 的なものをさし、漆工芸(うるしこうげい)とも呼ばれています。
漆器は、英語で「ジャパン」と呼ばれる日本を代表する伝統工芸です。

深みのある色合いと美しさ、手に取ったときの感触のよさが特徴です。椀は熱いものを入れてもさめにくく、保温性があります。(写真14)
(写真14)

★日本の正月
日本のお正月は、とってもシックです。気持ちがキリリと引き締まり、心落ち着く効果がある「黒」の漆器にきらびやかさを演出する「金銀」の取り合わせは、 1年の初め・お正月を象徴するカラーと言えます。(写真15)
(写真15)

そして、お正月の食卓にはきれいに盛り付けをした「おせち料理」。美しく塗られた重箱は一段と料理を引き立たせてくれます。(写真16)
(写真16)

★折敷(おしき)の活用
最近では「折敷(おしき)」が安価で出回っています。お気に入りの食器を折敷に置くだけで、改まった雰囲気に早変わりします。小皿や小鉢を置いても良い し、口取りなどを直接盛り付けてお皿代わりにするのも素敵です。(写真17)
(写真17)

◆盛り付け上手をめざしましょう◆

いくら高価な食器を使っても、きれいに盛り付けしなければ、せっかくの器も料理もすべて台無しです。そこで、おいしくて食欲をわかせるような「見せる」盛り付け方をご紹介しましょう。

日本人は昔から2本の箸でものを食べる習慣があります。箸で挟んで口に運ぶ為には食べやすい大きさに調理し、食べやすい形に盛り付けることが何よりも大切 です。そして赤、緑、黄色、黒と彩り良く盛り付けたいものです。

★天盛り(写真18 19)
日本料理の盛り付けに、天盛りは欠かせません。単なる飾りではなく、料理に季節感を出します。香りを添えるという意味も含まれています。
小口切りのねぎ、木の芽、せん切りしょうが、ゆずの皮、おろししょうがなどを添えます。 また、天盛りは「だれもまだ手をつけていない」という意味でもあります。
(写真18)
(写真19)

★揚げ物の盛り付け方
揚げ物を器やかごに盛りつける際には、必ず懐紙や和紙などを下に敷きます。これは油を和紙に吸わせるという目的だけでなく、油が器に染み込んで器を汚さな いためでもあります。立てかけるように盛り付けるのがコツです。(写真20)
(写真20)

★煮物の盛り付け方
煮物は大きめの器に積み上げるようにこんもりと盛ります。(写真21 22)  写真22は木の芽を天盛りとして使用しています。
(写真21)
(写真22)

★汁物の盛り付け方
具だくさんの汁物は、汁の量よりも具を多めに盛ります。ひとつひとつの具が見えるように整えることが大切です。

汁物はお椀に盛らなければいけないということはありません。写真24は九谷焼きのスープカップに盛り付けしています。
(写真23)
(写真24)

★サラダや漬け物の盛り方
平たいガラスの器に盛ってみました。器全体に広げるのではなく、小さな山を作るように盛り付けます。(写真25 26)
(写真25)
(写真26)

★大きなプレートを利用して
取り分けやすいように大きなプレートの上に小皿を置いて、おせち料理を一品ずつ盛り付けてみました。
(写真27)
小分けして盛り付けることでお年寄りや子どもさんに喜ばれます。
(写真27)

★デザートの盛り付け方
デザートは小さめの器に盛ります。、いろいろな色を取り入れて引き立たせることで、最後のデザートでホッとする瞬間を作ることができます。 写真28は変形の和食器に清涼感を出すために、ガラスの器をもう一枚重ねています。
(写真28)
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