文化講座
第8回:春の花園ちらし寿司弁当~色別おかず作りのヒント~
前シリーズでは「歳時記とごはん」と題し、日本人として伝え続けていきたい正月・七夕・節分などの日本の歳時記と、それにまつわる謂れや慣わし・行事食をオリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、もっと身近な食育として「お弁当の作り方」を旬のレシピとお弁当作りが楽しくなるコツとともにご紹介しています。
第8回目のテーマは「春の花園ちらし寿司弁当」
桜の季節がやってきました。桜の花を見ると、とても幸せな気持ちになるのはなぜでしょうか。一年で一度、この時期だけしか見ることができないから、すぐに散ってしまうからなど、貴重でありがたい存在だからという理由もあるでしょう。また、濃いピンクや白に近い薄いピンクという花の色が及ぼす心理作用もあります。桜色は甘くて優しい印象があり、安らぎや幸せ、喜びを与えてくれます。美容や恋愛の色でもあり、女性を若々しく美しくしてくれる色でもあります。このように、色は私達に様々な心理作用をもたらし、料理にも深くかかわっています。
★お弁当作りに重要な「色」
「料理は目で食べる」という言葉があるように、見た目はとても大切です。形や素材も重要ですが、まずはじめに目がいくのは色です。色どりが美しいお弁当は、「おいしそう・食べたい」と感じるのです。日本料理でも昔から五色という考え方があります。五色とは赤・青(緑)・白・黄・黒を意味し、この五色が入ると見た目がよくなると同時に、栄養バランスも整います。彩りの良いお弁当は、体にも良いということになるのです。
■食品の色と効用
食品には色々な色があります。その食品がもともと持っている色もあれば、製造過程で加えた色もあります。ここでは、食品に含まれている色素についてみてみましょう。
<クロロフィル(葉緑素)・緑>
・緑色の野菜、海藻
・抗炎症作用、抗酸化作用
<リコピン・赤>
・トマト、人参、スイカなど
・抗酸化作用があり、動脈硬化やがんなどの生活習慣病予防に効果的
<カプサンチン・赤>
・赤パプリカ、唐辛子など
・抗酸化作用があり、動脈硬化やがん、老化予防に効果的
<アスタキサンチン・赤>
・鮭、イクラ、エビ、カニなど
・抗酸化作用、血行促進、老化予防、美容効果
<β―カロテン・黄>
・人参、カボチャ、マンゴーなど
・抗酸化作用があり、動脈硬化やがんなどの生活習慣病予防や抗アレルギー作用
<クルクミン・黄>
・カレー粉に含まれている。ウコン飲料も人気
・ガン予防、肝機能を高める
<アントシアニン・紫>
・ブルーベリー、ブドウ、紫キャベツ、紫イモ、ナス、黒豆、赤ジソなど
・抗酸化作用、視力回復、眼精疲労予防、血圧抑制効果
★お弁当用の色別食品・色別おかず
では、実際にどのような食品をお弁当に入れると良いのでしょうか。ここでは、食品を色別に分けてご紹介します。買い物をする時も食品の色を少し意識すると、また違った楽しさが発見できます。お弁当の色の基本は白(ご飯やパン、麺類)、緑(野菜)、赤(肉や魚、野菜)、黄(卵、乳製品)、黒(海藻、こんにゃく)の5色です。彩りが良いと自然に栄養バランスも整います。尚、お弁当の栄養バランスについて、詳しくは「お弁当の作り方」第5回:健康家族のスタミナ弁当~栄養バランスを考える~のコーナーをご参照ください。
■白
主食であり、大部分を占めます。あまり多すぎると質素な印象になります。
ご飯、パン、麺類
ジャガイモ、長芋、里芋
イカ、かまぼこ、竹輪
鶏ささ身、白身魚
レンコン、大根、カリフラワー
モヤシ、玉ネギ
エノキ茸、マッシュルーム
豆腐、厚揚げ、高野豆腐
餃子、シュウマイ
白インゲン
白ゴマ
マヨネーズ
■赤
赤があると豪華な印象を与え、食欲が増します。
ソーセージ、ハム、ベーコン
鮭、エビ、カニ、タコ
トマト、人参、赤パプリカ、ラディッシュ
イチゴ、サクランボ、イチジク、スイカ、リンゴ(皮付き)
梅干し、紅ショウガ
■黄
お弁当が明るくなります。黄色も食欲を増進させます。
卵、うずら卵、チーズ
カボチャ、黄パプリカ、サツマイモ、トウモロコシ
カレー粉
たくあん
バナナ(皮付き)、オレンジ、ミカン、グレープフルーツ、パイナップル、レモン、マンゴー
■緑
お弁当が美しくなり、気持ちも安らぎます。体に良いという印象があります。
ブロッコリー、ピーマン、青菜、キュウリ、サヤエンドウ、サヤインゲン、グリンピース、枝豆、ソラマメ、
レタス、キャベツ、サラダ菜、オクラ、菜の花、ゴーヤ、ネギ、アスパラ、青ジソ、セロリ、山菜、パセリ
マスカット、キウイ、メロン、ライム
■黒、紫
お弁当が引き締まり、メリハリがでます。健康食品というイメージがあります。
海苔、昆布、ヒジキ、モズク
小魚
こんにゃく
ゴボウ
シイタケ、マイタケ、シメジ
黒豆、小豆、赤飯
黒ゴマ
干しブドウ、ブドウ、ブルーベリー、プルーン
春の花園ちらし寿司弁当
色とりどりの具材を散りばめ、花園をイメージしたちらし寿司。まさにお弁当の中も春満開です。ちらし寿司は人数やその時の気分に応じて取り分けられるので、お花見など人が集まる機会にとても便利。こんなに豪華なのに作り方はシンプルですから、イベントの定番になりそうですね。季節の食材を使って、オリジナルのちらし寿司を完成させてください。海苔を用意して、手巻き寿司風に取り分けても喜ばれます。デザートには、見た目もキュートなイチゴ大福を用意しました。イチゴの甘酸っぱさを大福と白あんがやさしく包み込みます。こんな素敵なお弁当なら、「花より団子」になってしまいそうです。
★春の花園ちらし寿司
材料 | 作りやすい分量4~6人分 |
米 | 2カップ |
水 | 450ml |
酒 | 大さじ2 |
すし酢 | 大さじ3 |
マグロ(刺身用) | 250g |
(A) | |
しょうゆ | 大さじ3 |
砂糖 | 小さじ1 |
卵 | 3コ |
だし汁(又は水) | 大さじ3 |
塩 | 少々 |
しょうゆ | 少々 |
紅かまぼこ | 1/2本 |
菜の花 | 6~8本 |
薄切り寿司しょうが | 20g |
イクラ(しょうゆ漬け) | 大さじ3 |
作り方
- 米は洗って分量の水と酒につけて1時間程おき、炊いてから10分間程蒸らします。
- 1.にすし酢を手早くうち、人肌まで冷まします。
- マグロは小角に切り、(A)につけ込みます。
- 卵焼きを作って小角に切ります。
- 紅かまぼこは、小角に切ります。
- 菜の花は色よくゆで、短く切ります。
- 薄切りしょうがはみじん切りにします。
- 2.のご飯にかるく汁気をきったマグロと7.をあえ、さっくり混ぜて弁当箱に詰め、4.~6.とイクラを散らします。
※写真には薄切り寿司しょうが(分量外)をバラのように添えました
★イチゴ大福
材料 | 作りやすい分量 8コ分 |
イチゴ | 8粒 |
白あん | 120g |
(A) | |
もち粉(粉末) | 120g |
砂糖 | 100g |
水 | 120ml |
片栗粉 | 適宜 |
作り方
- イチゴは洗わずにヘタを切り、キッチンペーパーで拭いて白あんでイチゴの下部2/3を包みます。
- ボウルに(A)を入れ、泡立て器でよく混ぜ合わせます。もち粉は白玉粉とは別物で、粉末状のものがスーパーなどで市販されています。
- 2.をボウルのまま蒸し器に入れ、15~18分間蒸します。
- 3.を蒸し器から取り出し、木ベラでつやが出るまでよく練ります。
- 片栗粉を敷いたバットの上に4.を移し、まんべんなく片栗粉をまぶします。(この時、熱いので注意)
- 8等分に包丁で切り分け、1.を包みます。生地を丸くのばして1.の上にのせ、被せるように少しずつのばしながら包み、底の部分でつまんでとじ、形を整えます。残りも同じようにして、生地が熱いうちに手早く包みます。
※蒸し器の代わりに電子レンジを使用する場合(500Wを使用)
- 2.までは蒸し器の作り方と同様。
- 2.に軽くラップをかけ、電子レンジに4分間かけ、取り出し、木ベラでつやが出るまでよく練ります。再び電子レンジに2分間かけて取り出します。
- その後は、蒸し器の作り方5.と6.と同様。