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お弁当の作り方

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第1回:涼やかな夏のランチボックス ~食中毒を予防する工夫~

前シリーズでは「歳時記とごはん」と題し、日本人として伝え続けていきたい正月・七夕・節分などの日本の歳時記と、それにまつわる謂れや慣わし・行事食をオリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、もっと身近な食育として「お弁当の作り方」を旬のレシピとお弁当作りが楽しくなるコツとともにご紹介します。

第1回目のテーマは「涼やかな夏のランチボックス」

各地で夏祭りがにぎわいをみせる今日この頃。暑い日が続き、涼しげな風鈴の音や浴衣姿に夏の風情を感じます。こんな日のお昼は、青じその葉の香りと爽やかな緑が涼を感じるお弁当はいかがでしょうか。このお弁当を持って家族でお出かけするのも魅力的ですが、家に居ながらでもまるで川床で水の流れを聞きながら食事をいただいているような気分が味わえます。友達を招いてのランチも素敵ですね。今月は、見た目も味も涼やかな夏のランチボックスの作り方と共に、暑い季節に注意したい食中毒を防ぐお弁当作りのコツをご紹介します。

★食中毒を防ぐお弁当作りのコツ

お弁当で大切なことは、栄養バランスや見た目の美しさ、食べやすさなど色々ありますが、まず第一は安全かどうか、いたんでいないかということです。基本的にお弁当は、密封された状態である程度の時間が経過した後に食べるものですから、いたみやすい今の季節は特に注意が必要です。

食中毒の主な原因は細菌

食中毒を引き起こす原因の多くは細菌やウイルスによるものです。細菌は肉や魚、野菜や人の皮膚、調理器具、布巾など、様々な場所に付着しています。少量では食中毒になりにくいのですが、気温と湿度が高いと細菌が増殖し、大量の細菌を口にすることで食中毒が起こります。細菌は高温多湿を好んで繁殖しやすいため、暑い季節に食中毒が多くなります。

食中毒予防には、(1)細菌をつけない、(2)減らす又は殺す、(3)増やさない が原則とされています。

(1)細菌をつけない

  • お弁当作りのはじまりは手洗いから
  • 手についてる細菌をきれいに洗い流すことが基本中の基本です。せっけんで手首の上までしっかり洗います。

  • お弁当箱、調理器具、まな板も清潔に
  • お弁当箱や調理道具、まな板もきれいに洗います。定期的に漂白剤につけて除菌するなど、常に清潔を保ちましょう。お弁当箱のパッキンなどは汚れがたまりやすいため、毎回はずして隅々まで洗います。

  • おにぎりはラップに包んでにぎる
  • 手で直接おにぎりをにぎると、手についた細菌がおにぎりに移ってしまうためいたみやすくなります。必ず清潔なラップなどで間接的ににぎるようにします。

  • 食材をよく洗う
  • 野菜の土などはよく洗ってきれいにおとします。

  • 肉や魚を切ったまな板で野菜を切らない
  • 肉や魚には食中毒の原因となる細菌が多くついていますので、他の食材につかないように注意します。その都度よく洗い、できればまな板は野菜用と別にするとよいでしょう。

(2)細菌を減らす、殺す

  • しっかり加熱する
  • ほとんどの細菌は熱に弱いため、しっかり中心まで加熱します。電子レンジで加熱する場合は、熱の通りにムラができやすいため、途中で混ぜたり裏返したりして全体によく熱を通します。前日作った煮物などはそのまま使わず、朝もう一度しっかり加熱します。

(3)細菌を増やさない

  • 冷ましてから詰める

    ご飯やおかずは冷ましてからお弁当箱に詰めることが大切です。
    熱いままフタをすると熱と蒸気がお弁当箱にこもり、細菌が繁殖しやすくなります。お皿やバットに広げてしっかり冷まします。

  • 水分が多い食材は避ける
  • 水分が出やすい食材は避け、煮物などはしっかり煮汁をきります。

  • おかずはアルミカップなどを利用して個々に詰める
  • 細菌の広がりを防ぐため、おかずは種類別にアルミカップなどに詰めたり、別の容器に詰めます。

  • 味付けに工夫をする
  • 細菌が繁殖しにくいように、やや味付けを濃くしたり、殺菌作用のある梅干しやしそ、酢、しょうがなどを上手に取り入れます。

  • 調味料は別容器で
  • マヨネーズやケチャップなどは別容器で持っていき、食べる時につけます。

  • できるだけ涼しい場所で保管する

    お弁当は直射日光を避け、できるだけ気温の低い場所で保管します。
    保冷剤を添えたり、冷凍させたひと口ゼリーを一緒に詰めると保冷剤代わりになります。


  • 便利グッズを上手に利用する

    細菌の繁殖を防ぐ効果のあるシートなどが市販されています。遠足で外にいる時間が長いなど、特に心配な時は利用してみるのもよいでしょう。

涼やかな夏のランチボックス

~さわやかな緑色をベースとし、清涼感のある青じその葉をふんだんに使いました~

全体に緑色と白色を多くすることで、さわやかなランチボックスに仕上がりました。卵やレモンの黄色を加えると、より涼しさが強調されます。食欲をそそる青じその葉の香りは、防腐作用もあり暑い季節のお弁当の強い味方です。竹のかごに入れると更に風情が増しますね。おかずやフルーツは衛生上それぞれ別のカップに詰め、味がうつらないようにしています。このランチボックスは、番組でご紹介させていただいて特に好評だったお弁当レシピを詰め合わせた、スペシャルバージョンとなっています。

★つみれの青じそ焼き
~青じその香りとフワフワ食感がたまらない~

エネルギー123kcal、たんぱく質8.3g、脂質7.6g、塩分0.6g(1人分)
つみれの青じそ焼き
材料 2人分
ごぼう 20g
にんじん 1cm(15g)
ねぎ 5cm(10g)
いわし(又はアジ)
(1尾70~80gのもの)
2尾
長いも(すりおろす) 20g(大さじ1)
卵(M) 1/4コ
しょうが(汁) 小さじ1/2
小さじ1/4弱
こしょう 少々
青じその葉 6枚
サラダ油 適宜
レモン(又はライム) 1/8コ

作り方

  1. ごぼう、にんじん、ねぎを一緒に入れてフードプロセッサーにかけて取り出します。(包丁で刻んでも良いでしょう)
  2. いわしは手開きにして骨を取り除き、フードプロセッサーにかけてすり身にします。(包丁でたたいても良いでしょう)
  3. ボウルに(1)と(2)、長いも、溶き卵、しょうが汁を加え、塩とこしょうを加えて手でよく混ぜ合わせます。
  4. 青じその葉は茎を切り、(3)を1/6量のせて2つに折り、半円形にします。
  5. 熱したフライパンにサラダ油を入れ(4)を並べます。中火で表面がカラリとするまで焼き、弱火にして10分間程焼いて中まで火を通します。
  6. 器に盛り、ライムまたはレモンを添えます。

★ちくわのクルクル
~簡単なのに料理上手にみえるうれしい一品~

エネルギー118kcal、たんぱく質9.8g、脂質5.0g、塩分1.9 g(1人分)
ちくわのクルクル
材料 2人分
ちくわ(太) 2本
焼きのり
(チーズのサイズに切る)
2枚分
スライスチーズ 2枚
青じその葉 4枚
梅干し 2コ
ピック(爪楊枝) 6~8本

作り方

  1. ちくわは縦に包丁を入れて1枚に開き、内側にペティナイフ又は果物ナイフで格子に切り目を入れます。
  2. (1)の外側を上にしてまな板の上におき、1枚のちくわに対してのり1枚、チーズ1枚、青じその葉2枚、種を取った梅干し1コの順にのせて端からクルクルと巻きます。
  3. (2)の巻き止めにピック(爪楊枝)を3~4本刺します。ピック(爪楊枝)に添って包丁を入れます。

※暑い季節は、ちくわをサッとゆでてから使用すると安心です

豆ご飯の青じそ巻き・卵巻き

炊き立てのごはんにゆでた枝豆(又はグリンピース)と塩少々を混ぜ、俵型のおにぎりにして、青じその葉と薄焼き卵を巻きます。おにぎりが冷めてから巻くのがポイントです。

付け合せの野菜・フルーツなど

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