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お弁当の作り方

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第3回:幼児期のワクワク弁当 ~子どもが喜んで食べる工夫~

前シリーズでは「歳時記とごはん」と題し、日本人として伝え続けていきたい正月・七夕・節分などの日本の歳時記と、それにまつわる謂れや慣わし・行事食をオリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、もっと身近な食育として「お弁当の作り方」を旬のレシピとお弁当作りが楽しくなるコツとともにご紹介しています。

第3回目のテーマは「幼児期のワクワク弁当」

虫の音や月の光、ひんやりとした風に少しずつ秋の深まりを感じる頃となりました。この時期は、新米をはじめ栗や芋類、豆類、きのこ類、サンマなど秋の味覚を満喫できるうれしい季節。子どもの頃から食べ物の旬を知り、旬の恵みを味わうことは、豊かな感性や味覚形成にとても重要です。特に旬の味覚が多い秋は、子どもに食べ物の旬を教える良いチャンスです。毎日の食卓に旬の食材を取り入れ、話題豊かに楽しい食事の時間をお過ごしください。

今月は、幼児期に持たせたいお弁当作りのヒントをご紹介します。幼児期は、一生の食生活の基礎を作るとても大切な時期です。この時期に正しい食生活を身につけることが、健全な心と体の成長につながります。とはいうものの、まだ小さな子どもですから、難しいことを言っても理解できない上、長続きしません。楽しみながら、自然に身につけていくことが理想です。子どもが喜ぶお弁当で、子どもの健やかな成長をサポートしましょう。

★幼児期の食事の重要性

小学校に就学する前の幼児期は、心と体の成長・発達が著しく、丈夫な体や規則正しい食生活の基礎作りがとても大切です。心身の十分な発育には、バランスの良い食事が欠かせません。さらに、この時期は良い食習慣の基礎作りに最適です。規則的な食事や食事マナーなど、家庭で親が正しい手本を示すことで、子どもは自然と身についていきます。また、楽しい雰囲気での食事は、食欲を増進させるとともに、心の安定にも役立ちます。


★幼児期のお弁当の注意点

3食の中で一番活動量の激しい時間帯に食べるお弁当は、1日に必要なエネルギー量(※1)の1/3を目安にします。主食、主菜、副菜を取り合わせ、栄養のバランスをとりましょう。ご飯は子ども茶碗1~1.5杯、主菜は肉、魚、卵、大豆・大豆製品を1品以上入れ、副菜としての野菜をたっぷり入れるようにします。ご飯を中心に、おかず3~4品の組合せが適量です。

※1<エネルギーの食事摂取基準>

1~2歳
男 1,050kcal
女  950kcal
3~5歳
男 1,400kcal
女 1,250kcal



左から順に300ml、400ml、
500ml(2段式)のお弁当箱
お弁当箱選びも重要なポイントです。まずは子どもに合った大きさのお弁当箱を選びましょう。大きさの目安としては、お弁当のエネルギー量(kcal)とお弁当箱の容量(ml)をほぼ同じと考えます。300mlのお弁当箱では、お弁当のエネルギーは約300kcalとなります。材料や詰め方によって差はありますが、おおよその目安として参考にしてください。


●子どもが喜んで食べる工夫

(1)食べやすい大きさや形にする

  • 小さく切る
  • 口や歯もまだ小さく未発達なため、上手に噛み切れない場合があります。ひと口大の食べやすい大きさに切りましょう。特に肉類などは大きいと噛み切れないため、小さく切ります。

  • 串に刺す
  • 丸いものや細かいものは、箸やフォークでつかみにくいため、ピックに刺します。食べやすいだけでなく、見た目もかわいく仕上がります。子どもは串に刺さったものを喜んで食べるため、多少苦手なものでも串に刺したら食べやすいというメリットもあります。


  • 骨や皮、種などはあらかじめとっておく
  • 骨付きの肉や皮が付いた魚などは、食べるのに時間がかかり、他のものが食べられなくなってしまいます。弁当箱に入れる時には、あらかじめ骨などをとってすぐに食べられる状態にします。

  • ごはんは食べやすく握る
  • そぼろご飯などのご飯に具がのっているものは、食べるときにポロポロこぼれて食べにくい場合があります。こぼすことは子どもにとってもストレスになり、あまりよくありません。上手に食べられるようになるまでは、ご飯は小さく握る、細巻きにするなど、手で食べられるようにしましょう。ごはんにもち米を少し混ぜて炊くと、モッチリ粘りが出てご飯がまとまりやすくなるため、食べやすくなります。


  • 小さく切らずにそのままがよい材料もある
  • ミニトマトやうずらの卵、ぶどうなどは、そのままだと少し大きくて食べにくいですが、切ると断面が空気に触れ、傷みやすくなります。切ると傷みやすくなる材料は、切らずにそのまま入れます。


    ミニトマトは、ヘタがついているとその部分から雑菌が繁殖しやすくなるため、ヘタをとってよく洗います。


(2)はじめは量を少なめに

お弁当の時間は限られています。特に、年少児の場合はまだ小さく、食べることに一生懸命で時間がかかります。全部食べられない日もあるかもしれませんが、残しても叱らず、不足したエネルギー分はおやつで補います。慣れないうちは少なめにして、全部食べた時の達成感を味わわせ、少しずつ量を増やしていきましょう。全部食べたら、少し大げさなくらいほめてあげると、子どもの自信につながります。

(3)好きなものを入れる

  • 好きなものを中心に
  • お弁当はおいしい、楽しいという印象を持つように、できるだけ好きなものを詰めて全部食べられるようにしましょう。全部食べられたという達成感が子どもを成長させます。

  • 苦手なものをさりげなく
  • お弁当に慣れてきたら、苦手なものも少し入れてみましょう。好きな味付けにしたり、小さく切って好きなものの中に混ぜたりしてさりげなく加えます。食べられたら少しずつ切り方を大きくしたり、よく見える場所につめるなど、苦手を克服していきます。先生や友達と一緒に食べると、苦手なものも食べられたという話がよくあります。一度食べてしまえばもう大丈夫。たくさんほめてあげることも大切です。

    子どもが好きな卵焼きに加えると比較的よく食べるため、野菜や海藻など子どもに食べさせたいものは卵焼きに混ぜると手軽です。


    モズクとサクラエビ入り卵焼き

    <卵焼きによく合う具>
    ワカメ、ヒジキ、海苔、切干大根、大豆、しらす干し、桜エビ、コーン、チーズ、ネギ、ニンジン、ピーマン、ブロッコリーなど


  • 人気のキャラ弁(キャラクター弁当)を取り入れる
  • 子どもの好きな動物やキャラクターなどの顔をごはんやおかずを使って作り、子どもが楽しく、残さず食べられるように工夫します。近年ではブログで紹介したり、本も数多く出版されており、園児のお弁当には欠かせない存在です。講習会も開催されていますので、機会があれば参加してみるのもよいでしょう。あまり難しく考えず、昔からあるうさぎリンゴやタコウインナーの延長だと思って楽しみながら作りましょう。あくまでもお弁当をおいしく食べるための手段であることを忘れず、衛生面や栄養面に十分注意する必要があります。

    お月見弁当
    赤飯を夜空に見立て、チーズの満月とハムのうさぎをあしらいました。公園で拾ったどんぐりの形をしたウインナーもかわいいですね。


子どもは、お弁当を作ってくれたという喜びや愛情も一緒に吸収して成長します。食べるときの子どもの笑顔を思い浮かべ、心を込めて作りましょう。

幼児期のワクワク弁当

~フタを開けた時のワクワク感が食欲をそそります~

子どもの大好きなパンケーキにニンジンとインゲンでお花をかきました。こんなかわいいニンジンなら、苦手な子も喜んで食べられそうです。他にもエビや干しアンズなど、小さな子どもでも手に持って食べられるおかずを詰めました。小さなものはピックにさして食べやすく。子どもが食べたくなる工夫を散りばめました。もちろん栄養バランスにも考慮し、緑黄色野菜やクリームチーズなど、成長期の子どもに食べさせたい食材を選びました。干しアンズの様にお弁当の中に甘いものがあると、口直しになり食が進みます。黄色やオレンジに緑が映える色合いが食欲をそそるとともに、手作りの温もり、あふれる愛情を表現しています。お弁当を開けた時の子どもの笑顔が思い浮かぶ、幸せなお弁当が完成しました。

★キャロットパンケーキ
~お好みのデザインにアレンジして~

1人分:エネルギー150kcal、たんぱく質4.7g、脂質3.2g、塩分0.1g
材料 2人分(4枚分)
ニンジン 30~40g
サヤエンドウ 2~3枚
(A)  
1/2コ
砂糖 少々
牛乳 50ml
小麦粉 1/2カップ
ベーキングパウダー 少々
サラダ油 適宜
※ホットケーキミックスを使用する場合  
(A)  
1/4コ
牛乳 大さじ2・1/2
ホットケーキミックス 50g

作り方

  1. ニンジンは花型にぬいた薄切りを4枚とってサッとゆでます。サヤエンドウもゆでて細切りにします。
  2. ボウルに残りのニンジンをすりおろして入れます。
  3. 2.に(A)を入れて軽く混ぜます。
  4. フライパンに油を入れてぬぐい取り、3.を流し入れて小さく焼き、表面に泡がブツブツと出たところでニンジンとサヤエンドウを花のように置きます。
  5. ひっくり返して焼き上げます。

※市販のホットケーキミックスを使用すると便利です
※ニンジンが甘くなるこれからの季節にぴったりの一品です




★エビとマッシュルームのカレー風味天ぷら
~カレー風味が食欲をそそります~

エネルギー131kcal、たんぱく質8.1g、脂質6.9g、塩分0.4 g(1人分)
材料 2人分
エビ 6尾
マッシュルーム 4コ
小麦粉 適宜
(A)  
天ぷら粉 20g
カレー粉 少々
少々
50ml
揚げ油 適宜
ピック 4本

作り方

  1. エビは殻をむいて背ワタをとり、洗います。
  2. マッシュルームもサッと洗い、十文字に4つに切ります。
  3. 1.と2.に小麦粉をまぶします。
  4. (A)を混ぜ、3.をつけて色よく揚げます。
  5. 食べやすいようにピックに刺します。

★カボチャのごま塩
~カボチャの甘みにごま塩がアクセント~

エネルギー44kcal、たんぱく質1.0g、脂質0.4g、塩分0.1g(1人分)
材料 2人分
カボチャ 100g
ごま塩 少々

作り方

  1. カボチャは種をとり、ところどころ皮をむきます。
  2. 3センチ位の角切りにして電子レンジにかけ、やわらかくします。
  3. 熱いうちにごま塩をふります。

★干しアンズのクリームチーズ

旬のりんごや梨を細かく切り、クリームチーズと和えたものをアンズではさんだ色どりの良い一品です。

★季節のフルーツなど

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