文化講座
第7回:夕食のおかずでアイデア弁当~残り物ではなく、お弁当用に残しておいた物~
前シリーズでは「歳時記とごはん」と題し、日本人として伝え続けていきたい正月・七夕・節分などの日本の歳時記と、それにまつわる謂れや慣わし・行事食をオリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、もっと身近な食育として「お弁当の作り方」を旬のレシピとお弁当作りが楽しくなるコツとともにご紹介しています。
第7回目のテーマは「夕食のおかずでアイデア弁当」
心地の良いポカポカ陽気の日が多くなってきました。黄色やピンクの花が咲き、山にも街にも明るい春色があふれています。暖かくなると行動が活発になり、外出する機会が増えます。時間と手間がかからないお弁当なら、急な予定でも大丈夫。冷蔵庫にあるおかずを上手に利用してお弁当を作り、家族や友達と出かけましょう。
★お弁当作りが重荷にならないために
前日の夕食のおかずをお弁当に入れることは、多くの人が経験していることでしょう。しかし、中には夕食のおかずをお弁当に入れることに抵抗を感じている人もいるようです。お弁当作りは毎日のことですから、少しでも手軽に、経済的にしたいものですね。朝の忙しい時間に一からお弁当を作ることは、とても大変です。前日の夕食を準備する時から、お弁当のおかずも一緒に考えておくと、時間にも気持ちにも余裕が生まれます。材料を少し残しておいたり、出来上がったおかずは皿に盛り付ける前にお弁当用として取り分けておきましょう。夕食のおかずをお弁当に入れることは、決して手抜きではありません。「夕食の残り物」ではなく、「お弁当のために残しておいた物」なのです。お弁当用にあえて多目に作ったという意識でいると、お弁当作りへの負担が軽減されます。
■夕食のおかずをお弁当に入れる時の注意点
夕食のおかずは作ってから時間が経っているため、お弁当に入れる時には注意が必要です。これから気温が高くなる季節は、特に気をつけましょう。
<再加熱>
煮物や炒め物などは、朝もう一度中心まで火を通します。その後、しっかり冷ましてから詰めましょう。
<冷蔵庫で保存>
取り分けておいた物は、朝まで冷蔵庫に入れておきます。鍋に入れたまま部屋に置いておくと、傷みの原因になります。
<よく洗う>
付け合わせのミニトマトなどの生野菜やフルーツは、再度よく洗います。
<冷凍する場合>
きんぴらごぼうやかぼちゃの煮物などは、お弁当用のカップに詰めてすぐに冷凍すると、そのまま詰められて保冷剤代わりにもなり便利です。しかし、家庭用の冷凍庫では冷凍するまでに時間がかかり、雑菌が繁殖しやすくなります。冷凍だからと過信せず、食中毒などの危険があることを十分認識しておくことが大切です。
★簡単なリメイクおかず
夕食のおかずはそのままでも立派なお弁当の一品です。しかし夕食のおかずを使って、手軽に味も見た目も全く別のおかずにリメイクできたら、お弁当のバリエーションがますます広がります。
■ごはん
<混ぜご飯>
きんぴらや煮豆、ひじきの煮物、切干大根の煮物、ほうれん草のお浸しなどは、細かく切ってご飯に混ぜると、簡単混ぜご飯になります。煮物はあまり食べないという子供も、混ぜご飯なら食べやすくなります。
<チャーハン>
エビフライやカツを小さく切り、玉ねぎやキャベツと一緒に炒めると、豪華なチャーハンになります。味付けはソースやしょうゆ、塩などお好みで。
<オムライス>
カレーやハヤシライス、シチューなどは、ご飯と一緒に炒め、卵を巻いてオムライスに。
ミートソースなどのパスタソースもご飯によく合います。
<ドリア・グラタン>
シチューやカレーは耐熱カップに入れてピザ用ミックスチーズをまぶし、オーブントースターで軽く焼くと簡単グラタンになります。ご飯やパスタを敷いて、ボリュームアップも。ブロッコリーなどの野菜も一緒に入れると良いですね。


切干し大根の煮物(左)や五目豆(右)はアレンジしやすいので多目に作っておくと重宝します
■パン
<サンドイッチ>
ポテトサラダやカボチャサラダなどは、パンにはさんだり巻いたりしてサンドイッチにしましょう。カツや唐揚げなどの揚げ物やオムレツなどをはさんでも良いでしょう。
<サモサ>
カレーやシチュー、肉じゃがなどの煮物を軽くつぶしてパンで挟み、周りをとじます。
揚げたり、焼いたりしてサモサ風に。
※サモサとは、炒めたひき肉や野菜を小麦粉で作った皮で包んで揚げたインド料理の軽食。
■卵
<卵焼き>
煮物や和え物、サラダなどは卵焼きに入れると味付けいらずで便利です。芯にして巻いても、卵に混ぜ込んでも◎。
<卵とじ>
カツや天ぷら、唐揚げなどは卵とじにするとまた別の味わいが楽しめます。
<ピカタ>
刺身や肉などは、小麦粉をつけてから卵をつけて焼くとピカタになります。粉チーズやパセリ、青じそ、青のりなどを加えてアレンジしましょう。
■肉
きんぴらを肉で巻いて焼けば八幡巻きに。煮物やサラダを肉で挟んで焼いたり、揚げたりしてもOK。きんぴらや切干し大根の煮物を細かく切り(ひじきの煮物や五目豆はそのままで◎)ひき肉に混ぜれば、具沢山のハンバーグやつくねに。
■油揚げ
煮物や和え物、サラダを入れて焼くと豪華な一品に。
■ジャガイモ
ゆでたジャガイモをつぶし、煮物や和え物を混ぜてコロッケに。マヨネーズであえてポテトサラダにも。
■チーズ
肉じゃがなどの煮物や和え物、炒め物などは、お弁当用の耐熱カップに入れ、チーズをのせて焼きます。それ以外のおかずも、たいていのものはおいしくいただけます。
「試しにやってみよう」という気持ちが大切です。色々チャレンジしていくうちに、意外なおいしさに出会うことができるでしょう。
夕食のおかずでアイデア弁当

好きな具をパンで巻いて食べる手巻きサンドイッチ。その時の気分によって具を選ぶことができるので、ちょっと贅沢ですね。豪華で手が込んでいるように見えますが、実はとっても簡単。パンはあらかじめ半分に切って準備しておきましょう。ハーブつくねはハンバーグ種を利用して、朝は焼くだけでOK。ジャガイモはすでにゆでてあるので、時間が短縮できます。卵巻きは他にも色々な具でアレンジしてみましょう。前夜のおかずは少し手を加えると、また新しい別のおかずに大変身します。同じおかずでも、盛り付けや器を変えるだけで雰囲気が変わって新鮮です。今回は春らしく黄色のバスケットに盛り付け、心躍る春の訪れを表現しました。きっと元気をくれるランチタイムになるでしょう。
★手巻きサンドイッチ
材料 | 1人分 |
食パン(10枚切り) | 2枚 |
作り方
- パンは好みで耳を切り、1枚を2切れの長方形に切ります。A~Eの具を手巻きにしていただきます。
A:シシカバブ風ハーブつくね(前夜のハンバーグ種を利用)
材料 | 1人分 |
A | |
鶏ひき肉 | 50g |
うずら卵 | 1コ |
パン粉 | 大さじ1 |
バジル(又は 青じその葉・ みじん切り) |
3枚 |
赤みそ | 小さじ1 |
バジル | 3枚 |
小麦粉 | 適量 |
油 | 適量 |
レモン | 1/4コ |
作り方
- (A)をボウルに入れてよく混ぜ(前夜のハンバーグ種の残りを利用しましょう)、3本の細い棒状に丸め、小麦粉をまぶしたバジルで巻き、フライパンで焼いてレモンを添えます。
B:パインクリームチーズ
材料 | 1人分 |
クリームチーズ | 大さじ1 |
パイナップル(缶) | 1/2枚 |
砂糖 | 少々 |
スライス アーモンド |
適量 |
作り方
- 室温に戻しておいたクリームチーズに刻んだパイナップルと砂糖を混ぜます。スライスアーモンドを散らします。
C:大豆のハニーディップ
材料 | 1人分 |
ゆで大豆 | 1/4カップ |
はちみつ | 大さじ1/2 |
バター | 大さじ1/2 |
作り方
- 大豆をつぶして、はちみつとバターを混ぜ合わせます。
D:ポテトサラダ(前夜の付け合わせを利用)
材料 | 1人分 |
粉ふき芋 | 50g |
A | |
スイートコーン(缶) | 大さじ1 |
マヨネーズ | 大さじ1/2 |
糸こんにゃく (前夜にゆでて 切っておく) |
15g |
赤パプリカ (同上) |
10g |
塩 | 少々 |
こしょう | 少々 |
作り方
- 粉ふき芋(前夜の付け合わせを利用しましょう)をもう一度電子レンジで温めてからつぶし、冷ましてから(A)を混ぜ合わせます。
E:ほうれん草の卵巻き(前夜のほうれん草のごま和えを利用)
材料 | 1人分 |
ほうれん草の ごま和え |
|
ほうれん草 | 30g |
白ごま | 少々 |
しょうゆ | 少々 |
薄焼き卵 | 1枚 |
作り方
- ほうれん草のごま和え(前夜のおかずを利用しましょう)を薄焼き卵で巻き、食べやすい長さに切ります。
★紫キャベツの酢漬け(常備菜)
紫キャベツを千切りにし、サッとゆでて甘酢につけておきます。常備菜として作っておくと良いでしょう。
★グレープフルーツシャーベット
グレープフルーツは皮をむいて冷凍庫で凍らせておきます。
(休日など時間のある時に作ってストックしておきます)
凍ったまま容器に入れて持っていきます。