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お弁当の作り方

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第5回:健康家族のスタミナ弁当 ~栄養バランスを考える~

前シリーズでは「歳時記とごはん」と題し、日本人として伝え続けていきたい正月・七夕・節分などの日本の歳時記と、それにまつわる謂れや慣わし・行事食をオリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、もっと身近な食育として「お弁当の作り方」を旬のレシピとお弁当作りが楽しくなるコツとともにご紹介しています。

 第5回目のテーマは「健康家族のスタミナ弁当」

星空が美しい季節を迎えています。この時期は空気が冷たい上に乾燥し、病気にかかりやすい季節でもあります。12月は学校や会社の行事も多く、冬休みに入ると旅行や帰省などのイベントが盛りだくさん。冬休みを有意義に過ごすためには、まず家族全員が健康であることが第一です。毎日の栄養バランスに気を付け、体調を万全にして年末年始に備えましょう。

★栄養バランスとは

「栄養バランス」とは、どういうことなのでしょうか。
私たちは体に必要な栄養素を食べ物から取り入れ、体内でエネルギーや体の成分に変えて生命を維持し、生活を営んでいます。健康を維持し、毎日の生活活動を充実したものにするためには、必要なエネルギーや栄養素を食べ物から摂取していかなければなりません。体に必要な栄養素を過不足なくとるためには、多くの栄養素が必要です。そしてそれらの栄養素は個々に作用するのではなく、各栄養素が互いに影響しあいながらそれぞれの役割を果たしています。こうしたことから、各栄養素は常に過不足なく、バランスを保ちながらとらなければならないといえます。
また、食品に含まれる栄養素の種類と量は、食品ごとに異なり、1種類の食品で全ての栄養素を必要なだけ含んでいるものではありません。多種多様な食品で栄養バランスをとることが大切です。

★栄養バランスをとるために

(1)6つの基礎食品

同じような栄養素を含んでいる食品を1つのグループとして食品を6群に分け、多くの食品を種類の異なる食品群から幅広くとり、栄養のバランスをとる方法です。毎食もれなく組み合わせると良いでしょう。お弁当を作る場合にも、すべての食品群から取り入れるよう心がけます。

食品の類栄養素働き
魚介類・肉類・卵類・大豆・大豆製品たんぱく質・脂肪・ビタミンB2骨や筋肉、血液をつくる
エネルギー源となる
乳・乳製品・海藻・小魚カルシウム・ビタミンB2・たんぱく質骨・歯をつくる
体の各機能の調節
緑黄色野菜カロテン・無機質・ビタミンC皮膚や粘膜の保護
体の各機能の調節
その他の野菜・きのこ類・果物類ビタミンC・無機質体の各機能の調節
穀類・芋類・砂糖・菓子類炭水化物・ビタミンB1エネルギー源となる
体の各機能の調節
油脂類・脂肪の多い食品脂肪・ビタミンA・ビタミンDエネルギー源となる

■食品の例示

<1群>
魚、貝、イカ、タコ、カニ、かまぼこやちくわなどの練り製品
牛肉、豚肉、鶏肉、ハム、ソーセージなど
鶏卵、うずら卵など
大豆、豆腐、納豆、生揚げ、がんもどきなど

<2群>
牛乳、ヨーグルト、チーズなど
ワカメ、昆布、モズク、のりなど
めざし、ししゃも、しらす干し、田作りなど

<3群>
ニンジン、ほうれん草、小松菜、ブロッコリー、カボチャ、トマトなど

<4群>
大根、白菜、キャベツ、キュウリ、ナスなど
シイタケ、シメジ、エノキ茸、マイタケ、エリンギなど
リンゴ、イチゴ、ミカン、キウイなど

<5群>
ご飯、パン、うどん、そば、パスタ
ジャガイモ、サツマイモ、里芋、長芋など
砂糖など

<6群>

バター、マーガリン
マヨネーズ
ドレッシングなど


(2)1日30品目を目標に摂取する

食品は種類により含まれる栄養素の成分に特徴があるため、1日に摂取する食品の種類が増加するほど、栄養バランスが良くなります。1日30食品を目安にとることが望ましいでしょう。急に増やそうとせず、段階的に目標を決めると達成しやすくなります。

■30食品の数え方

  • 同じ食品は、1日何回食べても1品として数えます
  • 外食、加工済食品などは、素材として使われている主な品目を数えます
  • 調味料や香辛料は一般的に数に加えませんが、栄養の補給につながるものは数えます

(3)主食・主菜・副菜をそろえる

毎食の献立構成を主食、主菜、副菜を組み合わせたものにし、栄養のバランスを良くする方法です。

  • 主 食―ご飯、パン、めん(炭水化物)
  • 主 菜―肉、魚、卵、大豆、大豆製品(たんぱく質、脂質)
  • 副 菜―野菜、芋、果物(ビタミン、ミネラル)
  • その他―牛乳、果物、海藻は1日1回を目安に

★栄養バランスの良いお弁当のコツ

では実際にお弁当を作る時には、どこに気をつければよいのでしょうか。
お弁当作りには、(3)番の「主食・主菜・副菜」をそろえる方法が簡単で便利です。

(1)詰め方

お弁当箱を2等分して半分に主食、半分におかずを入れます。おかずの面積の3分の1に主菜、3分の2に副菜を詰めると、栄養バランスがとりやすくなります。
基本の詰め方は、主食3・主菜1・副菜2の割合!

主食3
主菜1副菜2

(2)お弁当箱のサイズ

その人に合ったお弁当箱のサイズを選ぶことも大切です。お弁当箱の大きさについては、第3回の幼児期のお弁当でも触れていますが、目安としてお弁当のエネルギー量(kcal)とお弁当箱の容量(ml)をほぼ同じと考えます。お弁当箱の容量は、裏面の下段に表示されています。
家庭用品品質表示

■エネルギーの食事摂取基準

お弁当は1日のエネルギー必要量の1/3です。15歳の男の子のお弁当箱は、900mlの容量が目安になります。

年齢(歳)男(kcal/日)女(kcal/日)
6-716501450
8-919501800
10-1123002150
12-1426502300
15-1727502200
18-2926502050
30-4926502000
50-6924001950
70以上18501550
日本人の食事摂取基準(2005年度版)

※ここでご紹介しているのはふつう程度の身体活動レベルの人の数値です。

健康家族のスタミナ弁当

~特別な日はみんなの大好きなステーキ弁当で~

一年の疲れを癒し、新しい年への活力を見出すために用意したのは、家族みんなが大好きなステーキ弁当。クリスマスやお正月など、特別な日にもふさわしい豪華さです。ご飯の上にのせた鮮やかな錦糸卵が、ステーキをより際立たせています。ミニトマトをくり抜いた器に粒マスタードを入れてかわいらしく詰めました。緑黄色野菜のピーマンや長芋、キャベツやワカメ、チーズなど6つの食品群をすべて網羅しています。ししゃもは頭と尾を切ると子供でも食べやすく、貴重なカルシウム源になります。
年末年始は外食などのイベント事が多く、栄養バランスが乱れがちになります。あまり神経質になりすぎて、逆に体調を崩してしまうことがないように気をつけましょう。1食だけにこだわるのではなく、1日、1週間といった広い単位でバランスをとる気持ちの余裕が、楽しく長続きをさせる秘訣です。今回のステーキ弁当のように、主菜が多くなる場合は、前後の食事でバランスをとればOK。毎日の食事もお弁当作りも、おいしく、楽しくが大切です。

★ビーフステーキのマスタード添え

1人分:エネルギー628kcal、たんぱく質21.3g、脂質23.8g、塩分0.6g
材料 2人分
牛サーロイン(ステーキ用・又は豚ロース肉) 1枚(150g)
少々
粒こしょう(黒) 少々
適宜
1コ
少々
ご飯 2人分
粒マスタード 大さじ1/2~1

作り方

  1. 牛肉に塩とこしょうをふり、フライパンで両面を色よく焼いて、そぐように切ります。
  2. 卵は薄焼き卵を作って錦糸卵にするか、いり卵にします。
  3. ご飯の上に2.をのせて1.を並べ、マスタードを添えます。

※写真にはクレソンを添えました


★長芋とピーマンのバター焼き

エネルギー73kcal、たんぱく質1.6g、脂質3.5g、塩分0.3g(1人分)
材料 2人分
長芋(1.5センチ厚さ・細) 4切れ分
少々
こしょう 少々
赤パプリカ 1/4コ
ピーマン 1コ
バター 小さじ2
しょうゆ 少々

作り方

  1. 長芋は皮をむき、輪切りにして水にさらし、塩とこしょうをふります。
  2. ピーマンは種を取ってせん切りにし、サッとゆでておきます。
  3. 1.と2.をバターで焼いて、軽くしょうゆをふります。

★野菜のポン酢漬け

エネルギー18kcal、たんぱく質1.2g、脂質0.2g、塩分0.6g(1人分)
材料 2人分
キャベツ 2枚
ワカメ 適量
ラディッシュ 3コ
ポン酢しょうゆ(又はレモンしょうゆ) 大さじ2

作り方

  1. 熱湯にキャベツとワカメをサッと通して水にとり、適当な大きさに切ります。
  2. ラディッシュは薄切りにします。
  3. 1.と2.をポン酢しょうゆにつけます。

★焼きししゃも

エネルギー38kcal、たんぱく質3.6g、脂質2.3g、塩分0.4g(1人分)
材料 2人分
子持ちししゃも 4尾
レモン 1/4コ

作り方

  1. ししゃもはグリル(又はオーブントースター)で焼き、頭と尾をキッチンバサミで切り落とします。(長い場合は1/2長さに切ります。)

★白はんぺんののり巻き

エネルギー29kcal、たんぱく質3.2g、脂質0.3g、塩分0.5g(1人分)
材料 2人分
白はんぺん 1/2枚
焼きのり 適宜

作り方

  1. はんぺんは長方形に切り、のりで帯状に巻きます。(チーズをはさんでも良いでしょう)

※暑い季節は、はんぺんをサッと焼くと安心です。


★ひとくちチーズ

チーズは色々な味や形状のものが市販されているので、好みのものを用意します。

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