文化講座
第6回:働き盛りの満足弁当~ボリュームがあってお財布にもやさしいお弁当とは~
前シリーズでは「歳時記とごはん」と題し、日本人として伝え続けていきたい正月・七夕・節分などの日本の歳時記と、それにまつわる謂れや慣わし・行事食をオリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、もっと身近な食育として「お弁当の作り方」を旬のレシピとお弁当作りが楽しくなるコツとともにご紹介しています。
第6回目のテーマは「働き盛りの満足弁当」
新しい年を迎えました。一年の健康は誰もが望むところです。本年も皆様の健康をお祈りしながら、お弁当の作り方を担当させていただきます。手作りのお弁当は、皆様とご家族の健康をしっかりサポートしてくれることでしょう。
★お弁当に求められること
お弁当ブームが続いています。自分でお弁当を作る若い男性のことを意味する「弁当男子」という言葉が流行し、今までお弁当とは縁遠かった人もお弁当作りに夢中になるなど、幅広い世代に手作り弁当が浸透してきました。一方で、コンビニやスーパーが200~300円台の格安弁当を次々販売して人気になるなど、毎日の生活に密着しているお弁当は、常に注目の話題です。
職場へお弁当を持参する理由についてのアンケートでは、8割以上の人が「食費の節約」をあげています。
その他の理由としては、
- 手作りの方がおいしい
- 職場の近くに買いに(食べに)行く店がない
- 昼休みの時間が少ない
- 健康を気遣って
- 手作りの方が安全で安心だから
- 妻(夫)の愛情、家族の絆を実感できる
- 子供のお弁当のついでに
などがあります。
多くの人が「食費の節約」のために手作り弁当を持参しているものの、市販のお弁当がここまで安くなると、「作るより買ったほうが安いのでは」と感じる人も多いのではないでしょうか。
お弁当の良さは経済面だけでなく、それ以外にもたくさんあります。
■手作り弁当のメリット
- 経済的
- 昼休みの時間が節約できる
- 安心で健康的
- 味付けや量を調整できる
- 家族の愛情を感じる
手作り弁当に求められることは、
- 安くできる
- おいしくて健康的
- 手早くできる
が大きなカギのようです。今月は、経済的で満足度の高いお弁当作りのヒントです。
★経済的な食材を選ぶ
安くておいしい食材を上手に選び、調理することがポイントです。また、旬の食材は価格も安く、栄養面でも優れています。
■お値打ち食材
<鶏むね肉>
もも肉より手頃な値段で、脂肪が少なくエネルギーも低いため、健康的な食材です。脂肪が少ないため、冷めると少しパサつくので、調理の工夫が必要です。
- 片栗粉や小麦粉をまぶしてから焼いたり、煮たりすると、口当たりも良く冷めてもジューシーに仕上がります。
- チーズや青じその葉をはさんでチキンカツにしても良いでしょう。
- 粉チーズを加えた卵液をまぶして焼いたピカタは、冷めてもおいしくいただけます。ハーブを加えると風味が増します。
- あんかけにすると食べやすくなります。
- チキンライスも人気です。
<ひき肉>
お弁当には欠かせない食材です。ハンバーグやミートボール、メンチカツ、スコッチエッグ、鶏のつくね焼き、そぼろなど、いずれも朝準備すると時間がかかるため、前日に準備したり、夕食のついでに作って冷凍しておくと便利です。
<油揚げ>
- いなり寿司用に煮て、冷凍しておくと重宝します。
- 前日のおかずの残り(ポテトサラダ、炒め物、肉じゃがなど)を詰めてようじで留め、サッと焼きます。半分に切って盛り付けます。
- 卵を割り入れて、焼いたり煮たりします。半分に切ると見た目も華やかです。

かやくいなり寿司、豆腐の照り焼き(左上)
<娘が学生時代に実際に持って行ったもの>
<豆腐・厚揚げ>
- しょうゆとみりんに浸してから照り焼きにすると、冷めてもおいしくいただけます。冷蔵庫にある可能性が高い食材のため、何か一品足りない時に便利です。ただ、暑い季節はいたみやすいので注意が必要です。
<こんにゃく>
低エネルギーで食べ応えがあるため、とても健康的な食材です。
- ごま油やオリーブ油で焼き、しょうゆをかけるとこんにゃくステーキになります。
- サッと炒めて、ごまやかつお節をまぶします。
- 炒め物や煮物に加えると、ボリュームアップできます。
- サッと炒めてしょうゆ、みりん、砂糖で味付けすると簡単きんぴらに。
- おかずの定番、こんにゃくのたらこ炒り。
糸こんにゃくの簡単きんぴら
<ジャガイモ>
- コロッケはたくさん作って冷凍しておきます。
- 卵にゆでたジャガイモと野菜を混ぜて焼いたスペインオムレツはボリュームがあって満足できます。
- ゆでてから味付けするだけで立派な一品になります。
味つけに適した食材
- ゆかり粉
- 青のり
- ごま
- カレー粉
- チーズ
- 塩とこしょう
- みそ
- マヨネーズやケチャップ
左:長芋のバターじょうゆ焼き 右:粉ふきイモのゆかりまぶし
<モヤシ>
- 焼そばや炒め物に加えるとボリュームがでます。
- サッとゆでてから、サラダやあえ物にします。
- 前日にひげ根をとっておくと、口当たりもよく、見た目も美しく仕上がります。
野菜のナムル3種(にんじん・青菜・もやし)
働き盛りの満足弁当

お弁当の定番、いなり寿司は誰にでも喜ばれる一品。手でも食べやすいため、時間がない時でもサッと食べられます。油揚げはとても経済的で、作り置きもでき、これだけで満足できる優れものです。ごはんは白米、すし飯、混ぜご飯などお好みでどうぞ。焼きうどんや焼きそばも常に人気のお弁当メニューです。今回はいなり寿司と合わせたため、うどんは少なめで、野菜を多く入れました。食べ応えがあり、男性でも満足できるボリュームです。冷蔵庫にある野菜でできるのもうれしいですね。白玉うどんは手軽に調理できて時間短縮にもなり、その上お値打ち価格ですので、上手に利用しましょう。今回のメニューは、初めてお弁当作りにチャレンジする人でも簡単にできるものを組み合わせました。慣れてきたら、少しずつ自分に合った分量や味付けにアレンジしていきましょう。昼休みがますます待ち遠しくなりそうです。
★いなり寿司
材料 | 2人分 |
ご飯(冷やご飯可) | 2人分 |
すし酢 | 適宜 |
油揚げ(7~8センチ角) | 6枚 |
A | |
砂糖 | 大さじ1・2/3 |
しょうゆ | 大さじ2~ |
和風だしの素 | 少々 |
作り方
- 米は洗って分量の水に浸け、1時間以上おきます。(又は冷やご飯を温めます。)
- 1.を炊いて蒸らした後、飯切りに移して、すし酢を手早く切るように混ぜて冷まします。
- 油揚げは口を切り、中を袋状にしてから熱湯で充分に油抜きします。
- 油揚げを一旦ザルに上げ、鍋にゆで汁を少し残し、(A)を足して油揚げを煮ます。
- 4.の油揚げを軽く絞り、2.のすし飯をつめます。
※油揚げは前日に煮ておきましょう
※写真のごはんには黒ごまを混ぜました
★焼きうどん
材料 | 2人分 |
白玉うどん | 1玉 |
A | |
豚平切り肉 | 100g |
しめじ | 1/2パック |
もやし | 100g |
ほうれん草 | 1/4束 |
油 | 適宜 |
B | |
ウスターソース | 大さじ1 |
しょうゆ | 大さじ1/2 |
塩、こしょう | 少々 |
花かつお | 1/2パック |
青のり | 少々 |
紅しょうが | 適宜 |
卵(ゆで) | 1コ |
作り方
- うどんは熱湯をかけてほぐします。
- (A)は手やキッチンバサミで細かくします。
- フライパンに油を熱して2.の豚肉を炒め、もやし、しめじを炒めます。
- 3.に残りの野菜を入れて炒め、しんなりしたら1.を加えます。
- (B)で味付けし、半量の花かつおを混ぜ込んで更に炒めます。
- 5.を盛り付け、残りの花かつお、青のり、紅しょうがを散らし、ゆで卵を添えます。
※野菜はお好みの野菜で良いでしょう
★粉ふきいものカレー風味
材料 | 2人分 |
ジャガイモ | 1コ |
塩 | 少々 |
カレー粉 | 適宜 |
作り方
- ジャガイモは食べやすい大きさに切ってやわらかくゆで(電子レンジにかけても良いでしょう)、ゆで汁をきって軽く塩をふり、粉ふきにして冷まします。
- カレー粉をふって調味します。
★菜の花の辛子マヨネーズあえ
菜の花は塩ゆでして水にとって冷やし、食べやすい長さに切って辛子マヨネーズであえます。