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自然体験

平成14年

自然体験 | 組合員レポート

山村体験in東白川 ジョンさんといっしょに、森を育む、森を知る1日。

平成14年10月20日(日) くもりときどき雨
間伐体験と間伐材のクラフト体験
岐阜県加茂郡東白川村 こもれびの里にて
参加者:11組39名

  • 案内人/ジョン・ギャスライトさん
    コラムニストなどとして幅広く活躍。木登りを通じて自然を学ぶ「ツリークライミングジャパン」の代表兼インストラクターとしても活躍中。
  • ※このページにある写真をクリックすると拡大写真を見ることができます。

川からあがった朝霧が山々をうっすらと覆う幻想的な風景は、茶どころ東白川村ならではの秋景色。昼夜の温度差が激しい季節によくみられるこの霧は、東白川村特産のお茶やトマト、ヒノキの生育に欠かせないもの。そんな霧のかかる山並みを背景に、秋の1日、間伐と間伐材クラフトを体験した。

10:00~

開会式

本日の案内人ジョン・ギャスライトさんのあいさつ。「海外では林業というとあこがれの職業です。日本では林業はあまりかっこいいイメージではないようですね。そんな日本の森は今、病気になっています。間伐をしたりして森の手入れをしてあげないといけない。今日はおじゃましまーすという気持ちで森へ入りましょう。そして、東白川村で昔から間伐をしてきた方たちにありがとうと言おうね」。続いて参加者全員で輪になる。「僕がこの間、海外で登った周囲36mのセコイヤの木の太さはこの輪ぐらい。すごく太いと思わない?」。ジョンさんの楽しいエピソードを聞きながら「木のものまねストレッチ」で、体をほぐす。終わりに全員で記念撮影。

10:30~

間伐の説明を聞く

すぐそばの森林まで、徒歩で移動。東白川村の桂川さんより間伐のお話を聞く。「日本では昔から木を育てるということをしてきました。家の柱や家具、木工品などに使うためです。それにはまっすぐな木が必要です。でも木というのは、ある程度まわりに木がないと上に伸びずに横に広がってしまいます。だから、たくさんの木を植えて競争させると、上へまっすぐ伸びていくんです。ところが木の数が多すぎると光が森に入らず、雑木が生えなくなり、地面に葉っぱも落ちないし、下草も生えない。ある程度の雑木や葉っぱや下草は、木にとって必要なんですね。だから、森に光が入らないほど木が密集してくると木の生育状態が悪くなってしまうので、間伐をして森に光を入れてやるんです」。間伐の大切さに納得する参加者。

続いて、東白川村の藤井さんと安江さんに、実際に間伐するところを見せてもらいながら、手順の解説をしてもらう。「まず、木を倒したい方向へ、木に対して垂直にノコギリで切り込みを入れます。次にこの切り込みよりも少し下から、切り口が三角になるように斜め上に向かって切り込みを入れます。これを受け口といいます。そしてこの受け口の後ろ側、受け口より少し上から今度は追い口という切り込みを入れます」。ベテランの安江さんは、電動ノコギリを使い、鮮やかな手つきで樹齢70年ほどのヒノキをあっという間に間伐。「すごい!安江さんは、今の短い時間でいろんな技術をみせてくれましたよ」と感心するジョンさん。一見単純そうだが、その中には体験から習得したさまざまな技が隠れているのだとか。

←間伐のデモンストレーションに目がくぎづけ。
10:55~

間伐体験スタート!

まわりに注意を払い、木が倒れそうになったら必ず大きな声で「倒れるぞー」と声をかけることを約束し、間伐体験がスタート。小雨が降ってきたものの、森の中では木が屋根になって雨は気にならない。が、突然上からバラバラッと大粒の雨!と思いきや、そこにはあちこちでうれしそうに木を揺らして雨のしずくを落とすジョンさんの姿が・・・。小雨で沈みがちだった参加者の気持ちも、ジョンさんのいたずらでパッと明るくなる。さっそくノコギリを使って、家族ごとに1本のヒノキを間伐。「切ってみると意外に硬い」という声もあったものの、一番のりの家族は約5分で終了。10分足らずですべての家族が間伐を終えると、あたり一帯にヒノキのいい香りが。

←見てると簡単そうだけど、やってみるとなかなか難しいなー。

倒した間伐材は炭にするため90センチ程度の長さにカット。持ち帰りたいという家族は、それぞれの用途に合わせて張り切ってカット。「受け口をつくったときにできた三角の木はドアストッパーになるよ。間伐材は、輪切りにしてコースターにしたら?枝の部分を残してコートラックもいいよね。おがくずは、タンスに入れたり、車内のタバコの消臭剤にどう?」。ノコギリの使い方を参加者に指導しながら、次々と間伐材の利用アイデアを提案するジョンさん。「間伐は、時間をかけて大きくなった木を切ること。だからいろいろなアイデアを考えて、切った木を生かしてあげることも大切だよね」

←「上手に切れたね!」。ジョンさんにほめられたよ。
←お父さん、頑張って!

最後はおがくずや、輪切り、丸太、枝などを手にしてみんな満足気。木を扱うことには慣れている大工のお父さんは「生木は皮がノコギリに引っかかって切りにくかった。間伐は大変な作業ですよね」とお疲れの様子。

←この木見て!年輪がいっぱいあるんだよ。
12:30~

山の幸バイキングの昼食

栗やキノコ、山菜、川魚に、特産のトマトやお茶を使ったオリジナルバイキング料理は、参加者に大好評!食事後、ジョンさんの提案でレストランのスタッフ全員にありがとうの拍手。

13:40~

間伐材クラフトに挑戦!

丸太小屋へ移動。藤井さんからクラフトに使う材料の説明を聞く。午前中に切った間伐材は生木のため、そのまま使用するとあとでひびが入ってしまうので、クラフトには、あらかじめ乾燥させた木を使う。

大人は厚いまな板ほどの木を使い、自由な発想で花台づくり。まずは板にやすりをかけて角をとり、表面をなめらかに仕上げる。側面の虫食いの跡をデザインとして残すのも間伐材クラフトのおもしろさ。曲がった木をうまく利用して脚をつける人。枝分かれしている木の断面の形がおもしろいからと、デザインの一部に利用する人。どれ1つとっても同じものが見あたらない。これも間伐材クラフトならではの個性。

←さあ、どんな花台ができるかな?

一方、子どもたちはいろいろな木の輪切りや、乾燥させた植物の花や実などを使ってマスコットづくり。「こんなにいろいろな種類の材料が揃っているところはなかなかないよ。すごい!」と話すジョンさんも、乾燥させたイタドリの輪切り(中が空洞になっている)で指輪をつくったり、ドライフラワーでコサージュをつくったり。間伐材の不揃いな材料は子どもたちの創造力を刺激し、その作品はどれもアート!と呼べる出来映え。

←イメージがどんどん膨らんで、手がとまらない。
←子どもたちの発想は本当に自由。
15:00~

白川茶とお菓子で一服

あっという間に終了の時間となったが、まだまだ続けたい様子の参加者。「この後、まだ続けたい方は残っていただいて結構ですので(笑)、このあたりでちょっと一服してください」と藤井さん。名残惜しそうに手を休め、おいしい白川茶でほっと一息つく参加者。

15:20~

閉会式

ジョンさんのあいさつ。「今日は、とても楽しかったね。地球は大きな貯金箱。私たちは毎日、川・山・海など、地球の貯金をおろしながら暮らしています。今日の体験をきっかけに、毎日の生活の中でリサイクルや森の手入れの手伝いなど、何か少しでも地球に貯金できることを見つけましょうね」。参加者のお母さんも「今日は学校ではなかなかできないようなことを子どもたちに体験させてあげられました」と大満足。大人も子どもも、間伐材の魅力をたっぷりと味わった1日だった。

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