愛知県共済

組合員サービス

自然体験

平成14年

自然体験 | 組合員レポート

FUN FOREST 森の教室

岐阜県恵那市飯地高原ファンフォーレストにて
平成14年4月28日(日)晴

  • ※このページにある写真をクリックすると拡大写真を見ることができます。

目に冴えるリョウブの緑色、白くかすむようなコナラのオリーブ色。
カエデの花もつぼみをつけ、新緑まっさかりのファンフォーレスト。自然が大好きな親子が集まり、里山の春を思いっきり楽しんだ。

Aコース、Bコース合同で開会式後、
それぞれのコースに分かれて森の教室がスタート!

<Aコース>午前
食べられる野草の観察と試食
講師 纐纈規久さん(元飯地高原自然テント村村長)
篠原旭子さん(野草薬草料理研究家)
清藤奈津子さん(森林インストラクター)

開会式前から、本部テント横にズラリと並んだ野草の見本。地元の野草に詳しい講師の纐纈さんお手製の説明書きが添えられ、早々に到着した参加者は興味深々。講師から食べ方や効能を聞く親子多数。「たくさん野草を摘むんだ」と袋を手に張り切る 男の子。期待に胸を膨らませる。
本日の参加者は79名。出発前に3グループに分かれ、講師からテント横の野草を見ながら特徴や料理法を聞く。「野草は、少ししかないものは取らないこと」「ケシやキンポウゲ科の仲間は毒を持ったものが多いので注意して」と自然観察の心得も。

←「ワサビは、シュンギク、キャベツ、サツマイモのうち、どの仲間かな」クイズ形式で楽しく教えてくれる講師の清藤さん。


10:30~

野草観察に出発

いよいよ出発! モミジイチゴ、ハハコグサ、キランソウ・・・次々見つける野草に目が輝く。
「ギシギシは食べるほかに、止血効果もあってね」と地元の野草利用法を語る纐纈さん。ナズナを見て「ハートがたくさん!」と喜ぶ女の子。休耕田では、オタマジャクシを見つけて大人も子どもも大喜び。
別のコースでは、「ドクダミは体を冷やす作用もあるので、赤ワインに漬けるといいですよ」と薬草にくわしい篠原さん。ワラビをポキポキと摘むのに夢中なお母さんや、クズの花を天ぷらにすると持ち帰るお父さん。野草摘みを楽しんだ。
また、清藤さんのコースでは、メモ用紙を手に花びらの数をチェックする参加者。「タンポポとかのキク科の仲間は、だいたい食べられます」という解説に参加者は「へぇ~」。かわいらしいニオイタチツボスミレを発見して「わあ、いい香り!」とお母さんたち。「シハイスミレ、ツボスミレ・・・、スミレはみんな花びらが5枚。花の種類によって花びらの数が同じなんですよ」と植物学に詳しい清藤さんならではの解説を聞き、植物の不思議な法則に魅せられていた。
参加者は、それぞれの講師に得意分野の話を聞きながら、若葉まぶしい里山を満喫した。

←「こんなに摘んだよ!」ワラビを手に大満足。


<Bコース>午前
森の手入れ(ごうかき)体験
講師 吉澤守さん(日本森林環境隊理事長)
水戸喜代香さん(インタープリター)

本日の参加者は、子ども3名大人6名の計9名。「自然を循環させることに興味があって。いつも家で雑草を抜いては肥料にできないかなーと思っていたんです」「家の近くの雑木林が荒れているので、なんとかしたくて」「森のにおいが大好き。楽しみながら自然を守れるなんて、ちょっと素敵ですよね」と少人数ながら、それぞれ本日の内容には高い関心を持った参加者ばかり。
「今日、このコースを体験したいと思った皆さんには、敬意を表します。なぜなら、森は循環型社会の大元(もと)だし、その森の贈り物である落ち葉を拾って、堆肥にすることに興味を持たれたということが素晴らしい」と、最初に森づくりの先生"マモさん"こと吉澤守さんがあいさつ。

10:30~

ごうかきスタート

熊手、竹ぼうき、六つ子などの道具の使い方を教えてもらい、ごうかきがスタート。ごうかきとは、森の地面に落ちた木の枝や落ち葉などを掃除すること。「日本で放っておいていい森は3%ぐらい。あとの森は、ちゃんとこうして人間が手入れしてあげないと、だめになってしまう。特にマツの木は根っこの上に葉っぱが15センチ以上堆積すると枯れてしまうんです。だから里山の森は家の掃除と一緒。きれいにすると森が若返ります。ほら、木が喜んでいるのがわかりますか?」と吉澤さん。夢中でごうかきをしていた参加者全員、しばし木を見上げて「ほぉー」。
一方、子どもたちは、ごうかきをしながら芽や根を出したドングリや、落ち葉に埋もれたギンリョウソウ、ムカデの幼虫などを発見。ひとかきするたび「これ、なんだろう?」「わー、すごい!」。いろんな出会いに小さな瞳が輝いていた。
最後に「今日、皆さんがごうかきをした木は、少なくとも50年は寿命が延びました」とあいさつする吉澤さん。参加者は「むちゃくちゃ参考になりました」「消費するばかりの生活を見直すきっかけになりました」と、それぞれに満足顔。森が良くなれば、すべての循環が良くなる――そんな吉澤さんの言葉を、心から実感した体験となった。

←講師の吉澤さんに「落ち葉を一度にたくさん運ぶ知恵」を授かる参加者
12:00~

ランチタイム

事前に摘んでおいた野草を、地元の主婦の皆さん4名が調理。メニューは、セリのおひたし、ヨモギ、コシアブラ、ユキノシタの天ぷら。そしてタンポポコーヒー。参加者は持参したお弁当と一緒に、できたてを試食。揚げたてサクサクの天ぷらに春の香りを楽しんだ。



<Aコース>午後
草笛を吹いてみよう
講師 山田博之さん(全日本草笛音楽振興会理事)
13:30~

草笛演奏会を聞く

大人も子どもも初めての草笛体験にワクワク。「葉っぱ1枚でいろんな音が出せるのが草笛の魅力」と山田さん。まずは、山田さんによる草笛のミニコンサート。「赤とんぼ」や「里の秋」など、聞き覚えのある曲が次々に演奏され、繊細な音色にみんなうっとり。

14:00~

草笛をみんなで吹こう!

コンサートのあとは、草笛に挑戦。ナンテンの葉を手に持って、準備オーケー。「葉の下半分は口にぴったりつけて、上半分の真中をふるわせて音を鳴らします」と山田さん。いざ、練習開始!「フーフー」・・・ あれ?なかなか音が出ない・・・。
「力一杯吹くと目がまわっちゃうよ。やさしく吹いて」と山田さんがアドバイス。しばらくすると、あちらこちらで「ピー」「プップー」と音が鳴り始める。「やったー!鳴ったよ」とお父さんに自慢する男の子。「もっと葉をピンと張るといいよ」とコツを教え合う親子。なかなか鳴らなかったお父さんも音が出て「よしっ!」と笑顔でガッツポーズ。寝転んだり歩きまわったりしながら、みんな音を出すのに夢中。木漏れ日の林に素朴な草の音が響いた。

←「ぼく鳴らせるよ。聞いてね!」

栗拾いの後は恒例の「小さい栗と大きい栗のコンテスト」。豆粒ほどの小さな栗や、はちきれんばかりの大きな栗が次々と審判の栗谷本さんの所へ。優勝した小さい栗はわずか直径11.5 ㎜、大きい栗は直径 47.8 ㎜。白い栗(未成熟)を拾った女の子は栗谷本賞!今日が誕生日という岡田優紀くん( 6 歳)に「おめでとう!」のサプライズもあり、大いに盛り上がった。



<Bコース>午後
森の落ち葉で堆肥づくり
講師 大橋信男さん(株式会社ミズホ相談役会長)
13:30~

大橋さんに体験談を聞く

午前中にごうかきを初体験した参加者は、またまた初体験の堆肥づくりに挑戦。
午後からの案内役は、30年前から有機&バイオ農法に取り組んできた、堆肥づくりのエキスパート大橋さん。まずは土づくりの大切さをレクチャー。「私は30年前、妻のリウマチを食事療法で治しました。その経験から、農業の基本、人間の基本は、まず土づくりだと気づいたんです。農薬や化学肥料で汚染されていない土をつくらなければ、農業も人間の健康も成り立たない、と。そして微生物の力で発酵処理をさせた土を使い、実際に無農薬で栽培してみると、野菜は病気になるどころか虫もつかないし、たくさん収穫できる。そのうえおいしい。そして結果的に人間も健康になる。つまり、化学薬品で汚染せず、いい土づくりをしていけば、農業も人間もいい循環になっていくことがわかったんですね」。ごうかきも堆肥づくりもいい土をつくるために不可欠な工程だということをあらためて納得。

14:00~

堆肥づくり

材料は、雨ざらしにしておいた落ち葉と、地元の酪農家山口さんより提供していただいた牛ふん。そして大橋さんの会社で研究を重ねた微生物。そして米ぬか。まず、米ぬかに微生物を混ぜておき、落ち葉、牛ふん(あらかじめ、ワラをまぜておいたもの)、米ぬかの順番で幾層にも重ねていく。子どもたちは、午前にも増して大人顔負けのはりきりぶり。小さな体でスコップを使いこなす姿に、大橋さんも感心するばかり。あっという間に堆肥の大きな山ができあがり!

←子どもたちはスコップ片手に大奮闘!

あとは、数週間に一度ひっくり返して酸素を送り込み、発酵を促してやると、条件がよければ2~3カ月でふかふかの堆肥が完成する。落ち葉のミネラル、ビタミン、植物性ホルモンが堆肥の質をよくするとか。  「今日は本当に勉強になりました。帰ってみんなに広めたい」とお父さん、お母さん。楽しみながら自然の循環の一部を体験した一日となった。

←大橋さんに教えてもらいながら「すごく楽しいよ!」と子どもたち。
このページの一番上へ