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自然体験

平成14年

自然体験 | 組合員レポート

山村たいけんin東白川 食と自然を学んでみよう!

岐阜県恵那市飯地高原ファンフォーレスト&加藤正徳さんのサツマイモ畑にて
平成14年6月2日(日)快晴

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夏を思わせるような好天。標高700メートルのファンフォーレストに、清々しい風が吹き抜ける。里山での楽しい一日の前奏曲は、時折聞こえる春ゼミの声と、「森のピッコロ」と呼ばれるキビタキの声。Aコース、Bコース合同で開会式後、それぞれのコースに分かれてプログラムを体験した。昼食時には、木漏れ日の中で市川敦規さんによるひとり語りに耳を傾け、しばし不思議な民話の世界へ・・・。一日中、飯地の緑に抱かれて、里山の楽しみ方を学んだ。

<Aコース>

●ごうかき 講師 /吉澤守さん(日本森林環境隊理事長)/水戸喜代香さん(インタープリター)

●サツマイモの植え付け体験
講師 /加藤正徳さんと飯地町の農家の方々

秋の収穫がセットで体験できることもあって、昨年に引き続き大好評のプログラム。18組83名が張り切って参加した。人数が多いため、2つのグループに分かれ、ごうかきとサツマイモの植え付けを、午前と午後の入れ替わりで体験することに。


●ごうかき
「日本の自然は、6月が一番いい。この季節の森は、不思議な植物もいろいろ出てるので、ちょっと今からのぞいてみましょう」。吉澤さんの提案で、まずは葉緑素を全く持たない半透明の植物「ギンリョウソウ」を観察。「わぁ、こんなの見たことないー」と不思議そうに観察する参加者。

次にマツについての興味深い話。「ごうというのは、もともとはマツの枯葉のこと。マツの木の根っこには菌があって、5月初旬から6月初旬にかけて菌をいっぱい出すんです。それが結実すると元気の証として、秋にマツタケを出す。でも、マツの枯葉がいっぱい堆積した状態ではマツタケは出ません。根っこが見えるまでごうかきをしてあげてください」と吉澤さん。マツタケと聞いて、急に目が輝く参加者。人間で言えばアカ、家でいえばホコリにあたる「ごう」を掃除するごうかきがスタート。

そのすきまが、木の新芽などの命を残すというクマデは、子ども用のミニサイズも用意され、子どもたちも大奮闘。マツの根が見えてくるまで懸命にごうをかく。クモが一年で一番忙しいといわれるこの季節、ごうかきをしながら、あちこちでクモとの出会いを楽しむ参加者。次第に森に親しんでいく。 「今日の木の状態を覚えておいて、次に来たときに比べてみるとおもしろいですよ。手入れをすると葉がぐんぐん繁ってくるんです」と吉澤さん。森の命の循環に触れた体験となった。

←講師の吉澤さんは、難しい話をわかりやすい言葉で教えてくれる。
←チビッ子たちもがんばったよ!


●サツマイモの植え付け
ファンフォーレストから加藤さんのサツマイモ畑までは徒歩10分。里山の自然観察を兼ねて移動する。

畑では加藤さんと、地元飯地町の農家の方々がお待ちかね。「今日は天気がよく、明日からも好天が続くようなので、サツマイモの苗がちゃんと付いてくれるかどうかちょっと不安。でもみなさんと一緒にいい秋を迎えたいと思っています」と加藤さん。サツマイモの苗は根がないので、付くまでが弱いとのこと。昨年は、植え付け前後共に雨に恵まれたため豊作だったが、さて今年は・・・?

黒いビニールシートでマルチング(土の乾燥防止)されたうねに、カミソリで穴を開け、まずは水やり。次にサツマイモの苗を南に向けて植え付けていく。好天続きで苗のやけどが心配されるため、苗に草をかけて日陰もつくる。品種は紅あづまと金時の2種類。この畑は、もともと田んぼだったこともあり、肥料をやらなくても栄養たっぷりだとか。「どのくらいできるの?」と、今から収穫が楽しみ。植え終わると、愛情込めて2回目の水やり。

「モグラとかいるんですか?」と参加者の素朴な質問に、農家の方々が「いるよー」と答えると、みんな興味しんしん。「モグラはミミズを捕りに来るので、畑がボコボコになって農作物の根がやられちゃう。昔はよく捕まえたけど、最近は捕まらないね」という体験談に聞き入る場面も。

最後は、家族ごとに手書きでつくった立て札をうねに立てて終了!地元の方々との交流を楽しみながら、心地よい汗を流した。

←「みなさんと一緒にいい秋を迎えたい」と講師の加藤正徳さん。
←「おいしいお芋ができますように!」


<Bコース>
ネイチャーアート教室
講師 /原田秋男さん(ネイチャークラブ東海会長)/原田けいこさん(ネイチャークラブ東海)

10:10~

アイスブレイクゲーム

Bコースは4組16名が参加。午前中のテーマは「タンポポ」。まずは参加者の緊張を解きほぐすゲームから。「みんなでタンポポの種に変身してもらいます」と原田けいこさんが呼びかけると、「知っとる!頭の方がわたみたいになっていて、足が種でしょ」と小学生の男の子。「今日はタンポポ博士がいるね」ということで、博士に変身術を伝授してもらい、みんなで種に変身!風で飛ばされる先は、紙に書いた「森の中」「もも畑の中」「ブルドーザーで削られた土の上」など。好きなところに飛んでいき、そこで生きていけるか相談した後、発表タイム。

たとえば、「ブルドーザーで削られた土の上」に飛んでいった原田秋男さんは「私は西洋タンポポなので、ここは好き」。一方、けいこさんは「私は和タンポポなので、こんな土では生きられない。"大和なでしこ"と呼んでください(笑)」。造成地では西洋タンポポが多く、だんだん在来種が減ってきたことを説明しながら、原田コンビの息の合ったやりとりで、あっという間になごやかな雰囲気に。

10:30~

自然観察

森を散歩しながら自然観察。その前に、紙に描いた「目」「耳」「鼻」「手」「口」を順番に見せ、「見たり、聞いたり、においをかいだり、五感を使っていろいろ感じてみようね」。最後に取り出した紙にはハートマークが。「これなぁに?」「こころ!」と男の子。「そう。ワォ~と思ったり、なんだこりゃと思ったり、心でも感じてみようね」ということで、いざしゅっぱ~つ!

違う種類の木の幹をさわって比べてみたり、道端を彩るコアジサイの花のにおいをかいだり、葉っぱを食べてみたり。食べてみて、「にが~!」という葉はニガナ、「すっぱ~!」という葉はスノキ。「食べたら絶対忘れないでしょ」とけいこさん。やがてタンポポ発見!西洋タンポポと在来種のタンポポの違いを教えてもらい、ルーペでさらに細かく観察。種にトゲトゲがあるのを発見。「このトゲトゲがブレーキになるんだよ」と聞き、自然界の絶妙な仕組みに参加者は感心。

11:20~

タンポポのボトルフラワーづくり

まずは秋男さんによるつくり方の説明。花がしぼんでいる状態のタンポポの茎に細い針金を通し、下に残った部分を渦巻き状にして底をつくる。底に両面テープを貼って、びんの口から別の針金で吊って中央に設置。ヒノキの種やドングリなど森の宝物も一緒に入れて、できあがり!日なたに置くと見る間に綿毛が開いてきて、みんなびっくり!びんの内側には水滴が。生きていることを実感!

←ボトルフラワーづくりの一番の難関。タンポポを針金で吊ってびんの底に設置する。「慎重に!慎重に!」
←数日たてば、ほらこの通り!
13:30~

ネイチャーゲーム「カモフラージュ」

自然の中に置いてある人工物を目を凝らして探すゲーム。ゆっくり列になって進みながら、見つけた数を心の中で数えていく。ゴールで秋男さんに見つけた数を耳打ち。「まだまだ」と言われ、「え~、うっそ~!」。それでも2回目に挑戦すると、新たに発見するモノも。

最後にみんなで答えあわせ。自然の中に同化した人工の葉っぱを発見したお父さんに、「え~、わからんかった。すご~い」と拍手。「こんなふうに自然界には、鳥などに見つけられないようにして生きているものがたくさんいるんですよ」とけいこさん。

←「ほ~ら、こんなのも隠れてたんだよ~!」
14:00~

森のおみやげ探し&クラフト

宝物を探しながら森を散策。ハンカチでつくった袋の中は、ヒノキの種やマツボックリ、ドングリなどでいっぱいに。奧に入ると、リスがマツボックリを食べた跡、通称「エビフライ」をあちこちで発見!「この森にもリスが住んでいるんだね」と、みんな大喜び。

集めた森のおみやげで作品づくり。マツボックリの胴体のアリ、「エビフライ」の羽根を持ったトンボ、木の皮のカメ・・・。最後は発表会&わかちあいの時間。「森の探検がおもしろかった」「自然とふれあえて気持ちよかった」・・・みんな心にステキなおみやげをもらったようだ。

「今日はエビフライをたくさん発見しました。この森にマツがなくなればリスも生きられない。森の中に入ったとき、木や草花と動物との関わりも考えてみてくださいね」と秋男さんが締めくくった。

←ゲームの一つ「森のピカソ」での傑作は、マツボックリや「エビフライ」でつくった「アリとトンボ」。ボトルフラワーも「早く綿毛が開かないかな!」。
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