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旬の食材大事典~今食べたいのはこの食材!!~

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第8回:鯛について学びます

前シリーズでは「お料理博士になろう!!」と題し、食材の栄養素や調理法についての説明を、オリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、「旬の食材大事典~今食べたいのはこの食材!!」というテーマで、この季節に最もおいしい食材や調理法を取り上げ、その効能はもちろん、それらにまつわる様々な事柄などを、皆様にご紹介しています。

8回目のテーマは「」。
「鯛」の美味しいレシピと、鯛の生態や成分等についてご紹介します。

まずは、鯛を使ったおいしい料理をご紹介します。

鯛を使ったおいしい料理

鯛の海鮮がゆ~中国おかゆ~

鯛の海鮮がゆ~中国おかゆ~

材料 4人分
1カップ
900ml
鯛(刺身用・身卸し) 160g
A しょうが(みじん切り) 小さじ1
にんにく(みじん切り) 小さじ2/3
しょうゆ 大さじ2強
小さじ2
砂糖 ふたつまみ
豆板醤 小さじ2/3~1
白すりごま 大さじ1
ごま油 小さじ2
ワンタンの皮 6枚
揚げ油 適宜
長ねぎ 少々
小さじ1/3

作り方

  1. 米は洗ってボウルに入れ、分量の水を加えます。
  2. 1.を圧力鍋に入れて沸騰させ、沸騰後フタをして圧力をかけ、5分間加熱します。圧が下がってから更に10分間蒸らします。(炊飯器のおかゆモードで炊いても良い)
  3. 鯛をごく薄く切り、混ぜ合わせた(A)に漬けます。
  4. ワンタンの皮は5mm幅の細切りにします。フライパンに油を少量入れて熱し、ワンタンの皮を入れてカリッと揚げます。
  5. 長ねぎは斜め薄切りにします。
  6. 蒸らし終わった2.に、分量の塩を入れ、混ぜ合わせて器に盛ります。
  7. 3.~5.を6.の上に盛り付けます。

鯛めし

エネルギー444kcal、たんぱく質17.2g、脂質6.7g、塩分1.9g(1人分)

鯛めし

材料 4人分
鯛の切り身 200g(100g×2切れ)
A 小さじ1/2
大さじ1
油あげ(7cm角) 3枚
B しょうゆ 大さじ1
大さじ2
みりん 大さじ1・1/2
小さじ1/3~1/2
2カップ(400ml分)
昆布水 600ml
桜花の塩漬け(あれば) 適量
木の芽 適量

作り方

  1. 鯛に(A)をふり、30分おきます。
  2. 油あげは熱湯で油抜きをし、冷めたら細かく切り、しっかりと水気をしぼり、(B)を混ぜます。
  3. 1.の鯛はペーパータオルで水気をふき取り、熱したフライパンに少し油(分量外)を敷き、皮目から中火でこんがり焼きます。
  4. 米に昆布水を入れ、1時間程浸水してから、2.と3.をのせて炊きます。
  5. 4.が炊き上がったら鯛を取り出し、皮と骨を取って細かくして混ぜ合わせます。
  6. 器に盛り、あれば塩漬けした桜の花と木の芽を添えます。

※昆布水の作り方:800mlの水に10cmの昆布を一晩浸けたもの。当日、煮出しても良い

鯛を煮る

鯛を煮る

材料 4人分
鯛(切り身)100g位(頭、中骨も可) 4切れ
A 200ml
しょうゆ 150ml
100ml
みりん 50ml
砂糖 大さじ6~7(60g)
しょうが(薄切り) 4片
ごぼう 1本(200g)
青味 適宜

作り方

  1. 鯛の皮に2~3本切り目を入れます。
  2. 鍋に(A)としょうがを入れ、沸騰したら鯛を入れます。
  3. ごぼうは7~8cm長さに切り、太い物は4等分にし、水に晒します。水から茹で、沸騰してから5~6分間下茹でします。
  4. 2.に3.も入れて中強火で照りよく煮上げます。
  5. 器に煮汁と共に盛り、青味を添えます。

※写真は木の芽を添えました
※鯛のカブト煮もこの調味料で煮ることが出来ます。
※残り汁で卯の花や豆腐を煮ると良いでしょう

鯛のラビゴットソースサラダ

鯛のラビゴットソースサラダ

材料 4人分
鯛(刺身用・身卸し) 300g
トマト 1/2コ(60g)
きゅうり 2/3本(70g)
赤パプリカ・黄パプリカ 各10g
イタリアンパセリ(みじん切り) 小さじ1
玉ねぎ(みじん切り) 大さじ1
セロリ 30g
A オリーブ油 大さじ4
白ワインビネガー 大さじ1・1/2
小さじ1
白こしょう 少々
レモン汁 少々
にんにく(みじん切り) 少々
さやいんげん 120g
イタリアンパセリ 適宜

作り方

  1. 鯛は薄くそぎ切りにします。
  2. トマトは種を取って小角切り、きゅうりとパプリカは小角切りにします。
  3. イタリアンパセリと玉ねぎはみじん切りにした後、水に晒します。セロリは皮をピーラーでむき、小角切りにします。
  4. (A)と2.、3.をボウルに入れて混ぜ合わせ、ラビゴットソースを作ります。
  5. さやいんげんは両端を切り、塩(分量外)をまぶして熱湯で色よく茹でます。水に取って2等分の長さに切ります。
  6. 器に1.の鯛を盛って4.をかけ、5.のさやいんげんとイタリアンパセリを添えます。

鯛の和風カルパッチョ

鯛の和風カルパッチョ

材料 4人分
鯛(刺身・柵取り) 280g
A 岩塩(又は塩) 少々
白こしょう 少々
きゅうり 1本(100g)
B オリーブ油 大さじ3
純米酢 大さじ1
小さじ1/2
しょうゆ 少々
レモン汁 小さじ1
レモン(スライス) 12枚
オリーブ(黒・種抜き) 6コ
芽ねぎ(あれば) 1/5~1/4パック

作り方

  1. 鯛は薄切りにして器に並べ、(A)を軽く振ります。
  2. きゅうりはおろし金ですりおろし、軽く水気を切ります。
  3. ボウルに2.と(B)を入れ、ドレッシングを作ります。
  4. 器にスライスレモン、1.の鯛を盛って3.のドレッシングをかけ、輪切りのオリーブと芽ねぎを飾ります。

1. 鯛について

今がちょうど旬を迎える鯛は、「めでたい」に通じることから、古くからお祝いの席に欠かせない魚として、日本の食卓を彩って来ました。特にこの季節の鯛は、「桜鯛」とも「花見鯛」とも呼ばれ、極上品とされています。姿かたちが勇壮で美しい色を持っている上に、淡白で上品な味わいが日本人の心根に通じて愛されてきたのでしょう。

種類と旬

鯛と名がつく魚は、日本の近海で200種類を超えるとされています。しかし実際にタイ科のものはわずか10数種ですから、本物に「あやかりタイ」ということなのでしょう。
鯛には、真鯛(まだい)、黄鯛(きだい)、黒鯛(くろだい)、血鯛(ちだい)などの種類があります。最も高級魚として扱われるのは真鯛で、一般的に鯛といえば真鯛のことを指します。その旬は1月から3月の冬から春にかけてです。黄鯛も真鯛と同じく春頃に旬を迎えます。ちなみに、頭がこぶ状に張り出しているものがオス、頭全体が丸みを帯びているものがメスです。

鯛の語源

「タイ」の語源は、平安時代の法令集『延喜式』(927年)には「鯛」のほかに「平魚(たいらうお)」とも書いていることから、「たいら(たひら)」が「タイ(タヒ)」になったと考えられています。
漢字の「鯛」は諸説がありますが、「どの海の周囲」でも獲れる魚で、「周年(通年)」獲れる魚であることから、「鯛」となったと考えられています。また、昔からお祝いに用いられ、先祖を祭り、一族の繁栄を祝福するための魚であったため、「一族に幸せを行き渡らせる魚」という意味を込めて、魚偏に「周」の「鯛」の字になったとも考えられます。周の字は、古代の中国では扁平(ひらたいこと)を意味する語でもあった」という説もあります。

2. 産地と生産量

2015年の真鯛の漁獲量は年間約15,000トンに対し、養殖での収穫量は約63,600トンもあり、天然物の真鯛は2割弱で、養殖物が8割を超えていることが分かります。

真鯛の養殖量

2015年 都道府県 養殖量(t)
総量 全国 63,605
1 愛媛県 34,208
2 熊本県 10,420
3 三重県 5,530
4 高知県 4,890
5 長崎県 2,858

トップは愛媛県で、全国の約半分を超える量を占めています。愛媛県では、養殖技術の開発も行われており、柑橘類の餌を与えて育てた「みかん鯛」なども養殖されています。
なお、天然の鯛の漁獲量は、長崎県がトップにランキングしています。

真鯛の漁獲量

2015年 都道府県 漁獲量(t)
総量 全国 14,978
1 長崎県 2,020
2 福岡県 1,839
3 愛媛県 1,241
4 兵庫県 949
5 山口県 805

3. 鯛の栄養価と効能

鯛の身は、死後もうまみ成分であるイノシン酸が分解しにくいので、味が落ちません。「腐っても鯛」といわれるワケは、こうしたところから生まれた言葉のようです。
たんぱく質が多いわりには、脂肪が少なく淡白な味わいです。消化吸収が良いので高齢者や離乳食にも向きますが、硬い小骨には注意が必要です。
グルタミン酸を始めとするアミノ酸が、バランス良く含まれています。鯛に多く含まれるビタミンB1は、疲労感が強い時に摂取したい栄養素です。タウリンも多く含まれていて、脳の働きを活発にしたり、視力回復や肝臓病予防の働きもあります。
俗に言う青魚ではありませんが、EPA(エイコサペンエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)もとても多く、血中コレステロールや中性脂肪を低下させる作用があります。

主な栄養素(可食部100g当たり/真鯛・養殖・生)(日本食品標準成分表2015年版(七訂)から引用)

  • ●たんぱく質...20.9g
  • ●脂質...9.4g
  • ●ビタミンB1...0.32mg
  • ●グルタミン酸...3100mg
  • ●ビタミンD...7.0μg
  • ●リン...240mg

4. 選び方

切り身の場合は、血合いの赤色が濃く鮮やかで、白身に透明感・弾力があるものを選びましょう。身に張りがなく、白っぽいものは、鮮度が落ちている証拠です。
一尾のものを選ぶときは、目が澄んでいて、えらが鮮やかな赤色をしているものを選ぶとよいでしょう。また、真鯛の場合、天然ものは、尾びれの傷が少なく、色も全体に鮮やかな赤色をしています。鮮度が落ちると赤みは薄くなっていきます。養殖ものは、浅い生けすにいるため、表皮が日焼けして、全体に黒っぽい体色をしていますが、最近では、養殖方法も改善、工夫され、天然ものにぐんと近づくようになりました。

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