文化講座
第11回:牛乳について学びます
前シリーズでは「お料理博士になろう!!」と題し、食材の栄養素や調理法についての説明を、オリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、「旬の食材大事典~今食べたいのはこの食材!!」というテーマで、この季節に最もおいしい食材や調理法を取り上げ、その効能はもちろん、それらにまつわる様々な事柄などを、皆様にご紹介しています。
11回目のテーマは「牛乳」
「牛乳」の美味しいレシピと、牛乳の種類や効能等についてご紹介します。
まずは、牛乳を使ったおいしい料理とデザートをご紹介します。
牛乳を使ったおいしい料理とデザート
アサリのチャウダー
エネルギー197kcal、たんぱく質8.3g、脂質10.4g、塩分2.5g(1人分)
材料 | 4人分 | 2人分 | |
---|---|---|---|
アサリ | 300g | 150g | |
水 | 800ml | 400ml | |
玉ねぎ | 100g | 50g | |
ベーコン | 2枚 | 1枚 | |
じゃがいも(中) | 1コ | 1/2コ | |
バター | 30g | 15g | |
小麦粉 | 大さじ4 | 大さじ2 | |
固形スープの素 | 1コ | 1/2コ | |
牛乳 | 200ml | 100ml | |
塩 | 小さじ1/4~1/3 | 少々 | |
こしょう | 少々 | 少々 | |
パセリ(みじん切り) | 少々 | 少々 | |
パプリカパウダー | 少々 | 少々 |
作り方
- アサリは分量の湯でさっと茹でて取り出し、茹で汁は残しておきます。
- 玉ねぎとベーコンとじゃがいもは1cm角に切り、じゃがいもは水にさらします。
- 鍋にバターを入れてベーコンと玉ねぎを炒め、小麦粉をふり入れて軽く炒め、1.の茹で汁、固形スープの素を入れて煮立て、アクを取ります。
- 3.にじゃがいもを加えて静かに4~5分間煮、1.のアサリと牛乳を加えて塩、こしょうで調味します。
- 4.を器に盛り、パセリとパプリカを散らします。
クリーミーなマカロニグラタン
材料 | 4人分 | 2人分 | |
---|---|---|---|
マカロニ | 130g | 70g | |
サラダ油(マカロニ用) | 少々 | 少々 | |
ほうれん草 | 2/3束(150g) | 1/2束(80g) | |
塩 | 少々 | 少々 | |
白こしょう | 少々 | 少々 | |
玉ねぎ | 1/2コ(130g) | 1/4コ(70g) | |
鶏むね肉 | 130g | 70g | |
マッシュルーム | 4コ | 2コ | |
バター | 20g | 10g | |
塩 | 小さじ1/3 | 小さじ1/6 | |
白こしょう | 少々 | 少々 | |
バター | 30g | 15g | |
小麦粉 | 大さじ6(30g) | 大さじ3(15g) | |
A | 牛乳 | 300ml | 150ml |
生クリーム | 100ml | 50ml | |
コンソメスープ | 200ml | 100ml | |
塩 | 小さじ2/3 | 小さじ1/3 | |
こしょう | 少々 | 少々 | |
サラダ油(皿に塗る用) | 少々 | 少々 | |
ミニトマト | 4コ | 2コ | |
パルメザンチーズ | 大さじ1 | 大さじ1/2 | |
ピザ用ミックスチーズ | 40g | 20g | |
セルフィーユ | 適宜 | 適宜 |
作り方
- マカロニは熱湯に塩を入れて程良く茹で、ザルに上げて油を少々まぶします。
- ほうれん草は洗い、軸を切り落として4等分にし、熱湯で茹でます。水にさらしてから水気をしぼり、軽く塩とこしょうをふります。
- 玉ねぎは短い細切り、鶏肉は小さめの一口大に切ります。マッシュルームは縦にスライスします。
- フライパンにバターを溶かして玉ねぎをしんなりするまで炒め、鶏肉を加えます。
- 4.の鶏肉に火が通ってきたら、マッシュルームを加えて塩とこしょうをふります。
- 厚手鍋にホワイトソース用のバターを溶かして小麦粉を加え、弱火で色づかないようにじっくりと炒めます。火を止め、鍋を水に浮かべて少し冷ましてから(A)を加え、泡立て器で軽く溶きほぐしてホワイトソースを作ります。
- 6.に5.を入れて煮て2/3量を1.と混ぜ合わせます。残りの1/3量は、少しとろみがつくまで煮詰めます。
- グラタン皿にサラダ油を塗り、2.のほうれん草と7.のマカロニを入れます。
- 8.の上に残り1/3量のホワイトソースをかけ、縦半分に切ったトマトをのせてパルメザンチーズ、ピザ用ミックスチーズをふりかけます。
- 220度のオーブンの上段に9.を入れ、12分間程焼きます。取り出してセルフィーユを添えます。
クロックムッシュ
エネルギー482kcal、たんぱく質19.4g、脂質21.4g、塩分2.3g(1組分)
材料 | 4組分 | |
---|---|---|
グリエールチーズ | 80g(1組20g) | |
ロースハム(スライス) | 8枚 | |
A | 小麦粉 | 25g(約大さじ4) |
バター | 20g | |
オリーブ油 | 大さじ1/2 | |
牛乳 | 300ml | |
塩 | 小さじ1/5~1/4 | |
白こしょう | 少々 | |
食パン(8枚切り) | 8枚 | |
パプリカパウダー(あれば) | 適量 |
電子レンジで作るホワイトソース・2組分の分量
- 耐熱ボウルに小麦粉 10g(約大さじ2)、バター 10g、オリーブ油 小さじ1を入れて牛乳 150mlを少しずつ加え、よく混ぜます。
- 1.に塩 少々、白こしょう 少々を入れてラップをせずに、500wの電子レンジで2分間加熱します。一度取り出して混ぜ、再度500wのレンジで2分間加熱し、粗熱を取ります。
作り方
- グリエールチーズをピーラーで薄く削ります。
- ハムは短冊切りにします。
- 鍋に(A)を入れて弱火でじんわりと炒めます。
- 3.を濡れ布巾か水の上で冷やします。
- 4.に牛乳を加えて泡立て器で溶きほぐし、火にかけて塩とこしょうで調味し、ホワイトソースを仕上げます。ホワイトソースは4等分にしておきます。
- 食パン1組につき1枚の片側に5.の半量を塗ります(ホワイトソース全体量の1/8)。
- 6.に2.のハムをのせます。
- 7.の上に、もう1枚の食パンをのせます。
- 8.の上に残りのホワイトソースを塗り、1.のチーズをのせてパプリカパウダーを適量振ります。残り3組も同様に作ります。
- オーブントースターでチーズが溶けるまで3分間程焼き、1組を2等分にします。
※写真はキヌアのサラダやフルーツを盛り合わせてカフェ風プレートに仕上げました
ホーチミンプリン
材料 | 100mlのプリンカップ5コ分 | |
---|---|---|
A | グラニュー糖 | 50g |
水 | 大さじ3 | |
水 | 大さじ2 | |
B | 卵 | 2コ |
コンデンスミルク | 150g | |
牛乳 | 250ml | |
グラニュー糖 | 大さじ2 | |
C | インスタントコーヒー | 大さじ1 |
水 | 60ml | |
氷 | 適量 | |
ミントの葉 | 4枝 |
作り方
- (A)を小鍋に入れて鍋をゆすりながらグラニュー糖を溶かします。プツプツと泡立ってきたら鍋をゆすりながら加熱します(木ベラでかき混ぜ過ぎるとアメ状になるので注意する)。焦げ始めたら火を止め、色を見ながら余熱で更に茶色っぽくなるまで焦がします。分量の水大さじ2を加えて再度火をつけ、少し煮詰めてカラメルを作ります。
- 1.をプリンカップに薄く流し入れ、氷水の上に浮かべてカラメルを固めます。
- ボウルに(B)を入れてしっかり溶き、布漉しします。
- 2.の上に3.をそっと注ぎ入れます。
- 蒸気の上がった蒸し器で、中弱火で17分前後をメドに蒸します。
- 5.の粗熱が取れたら小鉢に盛り、小鍋でサッと煮溶かした(C)をかけます。
- 6.の上に砕いた氷とミントをのせます。
※カラメルを作る際は火傷しないように注意すること
杏仁豆腐
材料 | 牛乳瓶10コ分 | |
---|---|---|
水 | 大さじ2 | |
粉ゼラチン | 1袋(5g) | |
A | 牛乳 | 400ml |
水 | 200ml | |
粉寒天 | 1袋(4g) | |
グラニュー糖 | 40g | |
B | 杏仁霜(杏仁パウダー) | 大さじ4(24g) |
生クリーム | 200ml | |
C | 水 | 200ml |
グラニュー糖 | 50g | |
レモン汁(生) | 大さじ1~2 | |
いちご | 8粒 | |
ミント(あれば) | 4~8枝 |
作り方
- 分量の水に、粉ゼラチンを入れてふやかします。
- 鍋に(A)を入れて煮立て、1.を入れて再沸騰させます。
- ボウルに(B)を混ぜ合わせ、2.を加えて手早く混ぜて、粗熱をとって器に流し入れます。
- 3.を氷水で冷やします。
- (C)を煮立ててシロップを作り、冷めてからレモン汁を加えます。
- いちごは食べやすい大きさに切ります。
- 4.の上に6.を器に盛り、5.を注いでミントを添えます。
1. 6月1日は牛乳の日
冷たい牛乳がおいしく感じられる季節になりました。スポーツの後やお風呂上がりに牛乳を一杯。よく冷えた牛乳は、のどを潤すとともに体の隅々までパワーが行き渡るようです。2001年に国際連合食糧農業機関(FAO)は、6月1日を「世界牛乳の日」と定め、これにちなんで日本でも2008年から毎年6月1日を「牛乳の日」、6月を「牛乳月間」としています。気温と湿度が高くなり、体力や気力が低下しがちなこれからの時期は、効率よく栄養補給のできる牛乳がおすすめです。毎日の食事に牛乳を取り入れ、おいしく手軽に健康生活を送りましょう。
2. 牛乳とは
何気なく牛乳と呼んでいますが、実はその成分によって細かく分類されています。搾乳した生乳を殺菌した成分無調整のものを「牛乳」、成分の一部を取り除いたものを「成分調整牛乳」、乳脂肪分を除去し、低脂肪にしたものを「低脂肪牛乳」、乳脂肪分を除去し、無脂肪にしたものを「無脂肪牛乳」としています。さらに、生乳に脱脂粉乳やクリームなどの乳製品を加えたものを「加工乳」、生乳や牛乳を原料としてビタミンやカルシウム、果汁やコーヒーなどを加えたものを「乳飲料」として区別しています。
生乳の生産量
生乳の生産量は北海道が1位で約5割を占めています。(平成30年)
都道府県 | 生産量(t) | 割合(%) | |
---|---|---|---|
1位 | 北海道 | 3,965,193 | 54.4 |
2位 | 栃木県 | 330,600 | 4.5 |
3位 | 熊本県 | 251,133 | 3.4 |
4位 | 群馬県 | 216,330 | 3.0 |
5位 | 岩手県 | 214,776 | 2.9 |
3. 牛乳の成分・栄養
子供の頃はおやつの時間や学校給食で積極的に飲んでいた牛乳も、年齢が上がるにつれて飲まなくなる傾向にあります。しかし働き盛りの中高年や骨や筋肉が衰える高齢者にも、牛乳に含まれている栄養素が必要です。特にカルシウムは、骨の健康やストレス解消、神経や筋肉の働きを活性化させるなど、重要な役割を担っています。良質たんぱく質や各種ミネラル類も豊富で、他にも多くの栄養素がバランス良く含まれています。牛乳を1杯足す食生活が、家族全員の健康を支えます。
牛乳(200mlあたり)の栄養成分
(日本食品標準成分表2015年版(七訂)から引用)
- エネルギー...138kcal
- たんぱく質...6.8g
- 脂質...7.8g
- 炭水化物...9.9g
- カルシウム...227mg
- ビタミンA...78μg
- ビタミンB2...0.31mg
4. 牛乳の調理機能
①過熱による皮膜の形成
加熱すると、60℃位から表面に白い皮膜ができます。牛乳と空気との界面で、たんぱく質が変性して膜状に広がり、脂肪球が吸着したもの。軽く混ぜたり、料理の仕上げにバターを加えると皮膜形成が緩和されます。
②加熱臭
75℃以上で長く加熱すると、乳清たんぱく質の-SH基から硫化水素が発生するため加熱臭を生じます。
③褐色化
長時間加熱すると、牛乳中の乳糖とたんぱく質(アミノ酸)のアミノカルボニル反応で、褐色化します。牛乳を用いたクッキーなどの焼き菓子の焦げ色もこの反応によるものです。
④酸による凝固
牛乳のpHが酸性に傾いたり、構造の一部が酸素で分解されたりすると、牛乳のカゼインのミセル構造が崩れて沈殿物をつくります。
防止するには
- スープにルーなどで濃度をつける
- 必要以上に過熱しない
- トマトなどの酸性の強いものは、加える前に加熱して有機酸を揮発させ、取り除く
乳製品は、乳児から高齢者まで幅広い人々の健康を支える大切な食品です。バランスよく摂取して、健康生活を送りましょう。