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旬の食材大事典~今食べたいのはこの食材!!~

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第12回:トウモロコシについて学びます

前シリーズでは「お料理博士になろう!!」と題し、食材の栄養素や調理法についての説明を、オリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、「旬の食材大事典~今食べたいのはこの食材!!」というテーマで、この季節に最もおいしい食材や調理法を取り上げ、その効能はもちろん、それらにまつわる様々な事柄などを、皆様にご紹介しています。

12回目のテーマは「トウモロコシ
「トウモロコシ」の美味しいレシピと、トウモロコシの種類や効能等についてご紹介します。

まずは、トウモロコシを使ったおいしい料理とデザートをご紹介します。

トウモロコシを使ったおいしい料理とデザート

生とうもろこしご飯

生とうもろこしご飯

材料 4人分
  3カップ
750~800ml
とうもろこし 大1本
A 小さじ1強
大さじ1

作り方

  1. 米はきれいに洗い、分量の水に1時間程浸水します。
  2. とうもろこしは1/2長さに切り、縦に置いて包丁で実を削り落とします。
  3. ボウルに2.の実を入れ、(A)をまぶしつけて5分程おきます。
  4. 1.を炊飯器に入れ、その上にとうもろこしの芯の部分と3.をのせて普通に炊きます。
  5. 炊き上がったら10分程蒸らし、さっくりと混ぜて器に盛ります。

中華風コーンスープ

中華風コーンスープ

材料 4人分 2人分
鶏ひき肉 70g 40g
サラダ油 小さじ1 小さじ1/2
A 800ml 400ml
中華スープの素 少々 少々
小さじ1強 小さじ1/2
こしょう 少々 少々
えのき茸 1/2束 1/4束
スイートコーン(缶詰・クリーム状) 300g 150g
  片栗粉 大さじ1・1/2 大さじ1弱
大さじ1・1/2 大さじ1弱
1コ 1/2コ

作り方

  1. ひき肉はそのまま使うか、包丁でたたいてさらに細かくします。※包丁でたたいてひき肉を細かくすると舌触りが良い
  2. 1.を油で炒めて、パラパラになったら(A)を加え、短く切ったえのき茸とコーンを加えます。
  3. 2.に水溶き片栗粉でとろみをつけ、溶き卵を流し入れます。
  4. 3.を器に盛ります。

フレッシュコーンのスープパスタ

フレッシュコーンのスープパスタ

材料 4人分
とうもろこし 2本(550g)
バター 20g
玉ねぎ 1/4コ(90g)
小麦粉 大さじ1
400ml
牛乳 200ml
生クリーム 50ml
小さじ1/2強
白こしょう 少々
カッペリーニ 200g

作り方

  1. とうもろこしは、包丁で身を削り取ります。
  2. 鍋にバターとみじん切りにした玉ねぎを入れ、じんわり甘い香りがするまで炒め、1.を加えて炒めます。
  3. 2.に小麦粉を入れてまぶし、水を入れて中強火で10分間程煮ます。
  4. 3.の粗熱を取り、ミキサー(又はフードプロセッサー)にかけます。
  5. 4.を鍋に漉し入れ、火にかけます。
  6. 5.に牛乳と生クリームを入れ、ひと煮立ちさせたら味をみて塩、こしょうを加えます。
  7. 飲んで美味しいくらいの塩加減でカッペリーニを茹でて器に盛り、6.を注いで召し上がります。

※カッペリーニは細いパスタのことです

肉団子のとうもろこし蒸し

肉団子のとうもろこし蒸し

材料 4人分
A 豚ひき肉 100g
鶏ひき肉 100g
生しいたけ(みじん切り) 2枚
ねぎ(みじん切り) 7cm
しょうが(おろす) 1かけ
小さじ1/3
しょうゆ 大さじ1/2
こしょう 少々
片栗粉 大さじ2
水(又は酒) 大さじ2
スイートコーン(ホール状) 1缶(2カップ)
片栗粉 大さじ3
青菜(ほうれん草など) 300g
大さじ1~2
B 中華風だしの素 少々
小さじ1/3~1/2
300ml
  辛子 少々
しょうゆ 少々

作り方

  1. ボウルに(A)を混ぜ合わせて手でよく練り、16コに丸めます。
  2. コーンの水気をよくふいて、片栗粉をまぶします。
  3. 1.に2.をまぶしつけます。
  4. 油をぬった蒸し器のサナに3.を並べ、強火で10~12分間蒸します。
  5. 青菜は1/2の長さに切って油で炒め、(B)を加えてサッと煮て、ザルに上げます。
  6. 皿に5.を敷き、4.をのせます。お好みで、辛子じょうゆをつけて召し上がります。

※ひき肉はどちらか一方を使用してもよいでしょう。このように2種類を混ぜて使用すると、味が複雑になり、本格的になります。

とうもろこしのチェー(ベトナムのかき氷デザート)

とうもろこしのチェー(ベトナムのかき氷デザート)

材料 4人分
生とうもろこし 2本
グラニュー糖 50g
A 100ml
グラニュー糖 大さじ2
B ココナッツミルク(缶) 1缶(400ml)
コンデンスミルク 70g
水溶き片栗粉 大さじ2~3
  白玉粉 120g
120ml
たっぷり
ミント 4枚

作り方

  1. とうもろこしは半分の長さに切って、10分程ゆでます(水にとりません)。
  2. 1.の実を包丁でこそげとります。
  3. 2.から1人分大さじ2杯を飾り用に残し、残りはミキサーかチョッパーにかけてドロドロにします。
  4. 3.を鍋に入れ、分量のグラニュー糖を加えて練り、とうもろこしあんを作ります。
  5. 鍋に(A)を入れて煮立て、(B)を加えてサッと煮てから水溶き片栗粉でとろみをつけ、手早く冷やします。
  6. 白玉粉を分量の水で溶き、丸めてゆでます。
  7. 氷はチョッパーで砕きます。
  8. ロンググラスに4.のとうもろこしあんを入れ、5.を入れてから7.をたっぷり入れます。その上に6.の白玉団子、3.で残した飾り用の粒とうもろこしをのせます。ミントを添えます。

1. トウモロコシの用途は多種多様

トウモロコシは、小麦、米とならび世界三大穀物のひとつで、主食としている国は中南米やアフリカ地域に多くみられます。中でもトウモロコシの粉を加工したメキシコ料理のトルティーヤ、いわゆるタコスの皮は日本でもお馴染みです。トウモロコシは丸ごと生のものの他にも加工品が多く、缶詰や冷凍食品、コーンスターチやコーン油、ポップコーンやスナック菓子、甘味料など様々な形で食卓にのぼります。また家畜の飼料としても不可欠な上、繊維や製紙、バイオエタノールなど、その用途は多岐にわたっています。

2. メキシコの伝統食「タコス」

「タコス」とは、メキシコの伝統食で「国民食」とも言えるものです。トウモロコシの粉から作られた皮(トルティーヤ)に、肉などの具をのせ、サルサソースをかけ、二つに折って食べる軽食です。 タコスの具としてよく知られている「チリミート」は、実はメキシコ料理ではないのです。メキシコのタコスは、テキサス州に移り住んだメキシコ人によって、「テックス・メックス(テキサス・メキシコ)料理」という「チリミート」をタコスの具とするアメリカ風メキシコ料理にアレンジされました。


メキシコの市場でタコスを焼いています。
約35年前に訪れた時の写真


メキシコシティのレストランにて。
目の前でタコスを作ってくれます。
左:筆者
2011年3月

伊藤華づ枝作・トルティーヤ

3. トウモロコシの産地

トウモロコシは15世紀にコロンブスがアメリカ大陸からスペインに持ち帰って、ヨーロッパに伝わりました。日本には、安土桃山時代にポルトガルから移入され、明治時代になってから、主に北海道で栽培されるようになりました。
日本で食べられているトウモロコシは、ほとんどが「スイートコーン」という総称で親しまれている、甘みの強い品種です。青果として流通し、缶詰や冷凍でも販売されるスイートコーンは、粒の色によって3つに大別され、黄色い粒はゴールデンコーン、白い粒はシルバーコーン、黄色い粒と白い粒が混在するものはバイカラーコーンと呼ばれています。現在100以上の登録品種がありますが、なかでも特に甘みの強い「スーパースイート種」が人気です。

トウモロコシの生産量

トウモロコシの生産量は北海道が1位で約4割を占めています。(2018年)

  都道府県 生産量(t) 割合(%)
1位 北海道 83,600 38.42
2位 千葉県 17,100 7.86
3位 茨城県 15,000 6.89
4位 群馬県 11,200 5.15
5位 山梨県 8,480 3.9

4. トウモロコシの成分・栄養

糖質、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維をバランスよく含み、特に糖質は消化吸収が早いため、体力を消耗しやすい暑い季節のエネルギー補給、疲労回復にピッタリです。またコレステロール値を下げ、動脈硬化予防に効果的なリノール酸やビタミンEもたっぷり含みます。汗をかいて水分が不足しがちな夏場は血液がドロドロになりやすく、突然重大な疾患を引き起こす危険性もあり、こまめな水分補給とトウモロコシがおすすめです。トウモロコシに含まれる食物繊維は多くが不溶性で、玄米のほぼ2倍の含有量です。便秘にも効果があります。
普段捨ててしまうトウモロコシのひげの部分は、漢方では「南蛮毛」という薬で、血圧降下や利尿作用があり、むくみなどに効果があるといわれ、肝臓病の薬として利用されてきました。最近は飲みやすい「ひげ茶」も小さなブームとなっているようです。

スイートコーン(生)の栄養成分(可食部100gあたり)
(日本食品標準成分表2015年版(七訂)から引用)

  • エネルギー...92kcal
  • たんぱく質...3.6g
  • 脂質...1.7g
  • 炭水化物...16.8g
  • 食物繊維...3g
  • カリウム...290mg
  • カルシウム...3mg
  • ビタミンC...8mg
  • ビタミンE...0.3mg
  • ビタミンB1...0.15mg
  • ビタミンB2...0.1mg
  • 鉄...0.8mg
  • 葉酸...95μg

5. トウモロコシの選び方

トウモロコシは、一粒一粒からヒゲが伸びているので、ヒゲが多いものほど粒がぎっしりと詰まっており、ヒゲが茶色く、皮の緑色が濃いものほど完熟しています。皮をむいてあるものは、粒がぷっくりしているものほど新鮮です。収穫すると甘味は、一日で半減するといわれ、味も落ちる一方なので、購入後はなるべくその日のうちに食べることをおすすめします。すぐに食べない場合は、茹でてから保存したほうがおいしさを保てます。生のまま保存するときは、皮つきのままラップで包み、立てて野菜室で保存します。

旬の食材大辞典は今回で終了となります。
次のシリーズはお弁当をテーマに原稿執筆の予定です。
幼児や学童期から、中高年者・高齢者が楽しめる弁当や、おもてなしも含めたマダムのためのおしゃれ弁当など、その作り方の注意点なども含めてレシピ紹介します。
次シリーズもよろしくお願い致します。

旬の食材大事典~今食べたいのはこの食材!!~
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