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旬の食材大事典~今食べたいのはこの食材!!~

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第2回:みょうがについて学びます

前シリーズでは「お料理博士になろう!!」と題し、食材の栄養素や調理法についての説明を、オリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、「旬の食材大事典~今食べたいのはこの食材!!」というテーマで、この季節に最もおいしい食材や調理法を取り上げ、その効能はもちろん、それらにまつわる様々な事柄などを、皆様にご紹介しています。

2回目のテーマは「みょうが」。
「みょうが」の美味しいレシピと、みょうがの由来や成分等についてご紹介します。

まずは、みょうがを使ったおいしい料理をご紹介します。

みょうがを使ったおいしい料理

みょうがご飯

みょうがご飯

材料 4人分
(実習分量)
作りやすい分量
(参考分量)
米(普通米) 3カップ(600ml分) 2カップ(400ml分)
A かつおだし(冷) 750ml 600ml弱
50ml 大さじ2
B しょうゆ 大さじ1・1/2 大さじ1
小さじ1弱 小さじ1/2
みょうが 15コ(250g) 9~10コ
油揚げ 3枚 2枚
C かつおだし 90~100ml 60~70ml
しょうゆ 大さじ1・1/2 大さじ1
小さじ1/2 小さじ1/3
みりん 大さじ1・1/2 大さじ1

作り方

  1. 米はきれいに洗い、(A)に40分間程浸水します。
  2. 炊く直前に(B)を加え、(早くから入れるとご飯に芯ができやすい)普通に炊きます。
  3. みょうがは縦半分に切り、薄切りにします。
  4. 油揚げは熱湯の中で1分間程茹でて油抜きし、細かく切り、しっかり水気をしぼります。
  5. 3.と4.を(C)で、汁気が大さじ1~2杯残るまで5分間位煮ます。
  6. 2.の炊き上がりに5.をのせ、10分間程蒸らします。
  7. さっくりと混ぜて器に盛ります。

※写真はご飯を物相型で抜き、枝豆とみょうがの甘酢漬けを添えました

タコとみょうがの柚子こしょうサラダ

エネルギー96kcal、たんぱく質12.1g、脂質3.2g、塩分1.9g(1人分)

タコとみょうがの柚子こしょうサラダ

材料 4人分
(実習分量)
2人分
(参考分量)
ゆでタコ 200g 100g
みょうが 3コ 2コ
玉ねぎ 1/4コ 1/8コ
クレソン 1束 1/2束
大根 80g 40g
A しょうゆ 大さじ2 大さじ1
柚子こしょう 小さじ2 小さじ1
サラダ油 大さじ1 大さじ1/2
大さじ1 大さじ1/2

作り方

  1. タコは薄くそぎ切りにします。
  2. みょうがと玉ねぎはごく薄く切り、氷水にさらします。
  3. クレソンは半分の長さに切ります。
  4. 大根は短冊切りにします。
  5. ボウルに(A)を混ぜ合わせ、1.~4.を入れてサッと和えます。
  6. 5.を器に盛ります。

きゅうりとみょうがの薬味水漬け

エネルギー22kcal、たんぱく質1.5g、脂質0.2g、塩分1.3g(1人分)

きゅうりとみょうがの薬味水漬け

材料 4人分
(実習分量)
2人分
(参考分量)
きゅうり(100g) 4本 2本
みょうが(20g) 4コ 2コ
しょうが 2かけ 1かけ
青じその葉 10枚 5枚
昆布 16cm 8cm
A 600ml 300ml
大さじ1 大さじ1/2
うま味調味料 少々 少々
レモン汁 大さじ1~2 小さじ2~大さじ1
クラッシュ氷 適宜 適宜

作り方

  1. きゅうりは斜めのごく薄切りにします。みょうがは縦半分にして斜め薄切りにします。しょうがは皮をむいてせん切りにします。青じそもせん切りにします。
  2. ボウルに(A)で塩水をつくり、1.の野菜を加え、昆布はキッチンばさみで切って加えます。
  3. 2.のボウルを氷水の上に浮かべ、冷えたら盛り付けて氷を散らします。
    (家庭では30分ほど冷蔵庫に入れて味をなじませます)

1. みょうがの由来

(1)みょうがの語源

みょうがは本州から沖縄まで各地に自生していますが、もともとの原産地中国では栽培されておらず、欧米にもない、数少ない日本独自の香辛野菜のひとつです。日本では、3世紀に書かれた『魏志倭人伝』で書かれているほど歴史が古いです。香りのする芽という表現から、古くは芽香(メガ)と呼ばれていましたが、「メウガ」となり、みょうがとなったようです。

(2)みょうがの物忘れ

みょうがの名前は、釈迦の弟子からきているという説もあります。その弟子は、悟りまで開いた優秀な人でしたが、自分の名前だけは覚えられないという悩みを抱えていました。そこで釈迦は、名前を書いた札を用意し、首からぶら下げさせましたが、それすらも忘れてしまい、死ぬまで自分の名前を覚えることができませんでした。死後、弟子の墓に生えた草が今の「茗荷(みょうが)」です。自分の名前を荷って苦労したことから名付け、ここで眠る弟子とみょうがを結び付けて、みょうがを食べると物忘れするという由来になったお話です。

この言い伝えに由来して作られた落語に「茗荷宿」という興味深い話があり、印象的です。 「茗荷宿」の主人は大変欲張りで、泊り客にみょうが料理を食べさせ、大金の入った荷物を忘れていくように仕組みます。しかし泊り客は荷物は忘れず、宿賃の支払いを忘れていったというこっけいな話です。

しかし、みょうがを食べると物忘れがはげしくなるというのは、まったくの誤解です。

(3)縁起物として守られてきたみょうが

茗荷(みょうが)は、知らないうちに受ける神仏の加護を意味する「冥加(みょうが)」に通じます。念仏の守護神である「摩多羅神」のシンボルがみょうがであることにも由来し、縁起をかついで、家紋によく使用されています。日本十大家紋の一つでもあり、何種類もの家紋の基礎デザインとして使われています。二つのみょうがを向かいあわせにした「抱き茗荷」を基本として、周りを丸や四角などで囲ったものや、一つ茗荷、違い茗荷など、多くの家紋にみょうがをみることができます。

 

2. 生産地

2016年 都道府県 収穫量(t)
総量 全国 5,209
1 高知県 4,733
2 奈良県 137
3 群馬県 101
4 秋田県 85
5 山形県 47
6 長野県 41
7 北海道 8
7 埼玉県 8
9 富山県 6
9 兵庫県 6

みょうがと言えばやはり高知県です。高知県の収穫量は4,733tで、90.9%と断トツのシェアとなっています。2位は奈良県で2.6%、3位は群馬県で1.9%のシェアとなっています。

3. みょうがの健康効果

生のみょうがの100g当たりのエネルギーは12kcalです。成分の9割以上が水分で占められ、ビタミンCやミネラル成分のカリウム、頭をスッキリさせる芳香成分アルファ・ピネンや色素成分のアントシアニンも含まれています。
みょうがの香り成分であるアルファ・ピネンという精油成分は、「物忘れ」とは反対効果で、むしろ大脳皮質を刺激し、頭をシャキッとさせる作用があるのです。また、食欲を増進させ消化を促進させる働きもあります。この時期に心配な食中毒を防止する殺菌・解毒作用も見逃せません。食物繊維も多く含むことから、生活習慣病の予防にも効果を発揮することが分かってきました。

主な栄養素(可食部100g当たり/花穂・生)(日本食品標準成分表2015年版(七訂)から引用)

  • ●カリウム...210mg
    体内の塩分濃度を調節する役割があり、体外に余分な塩分を排出し、細胞の正常な活動を保つことができます。この効果によって血圧を下げる働きもあると言われています。
  • ●カルシウム...25mg
  • ●マグネシウム...30mg
  • ●β-カロテン...31μg
  • ●ビタミンC...2mg

4. 種類と選び方

(1)種類

みょうがには蕾のような形をした一般的な花みょうがと、幼茎(ようこん)を軟化栽培した細長い形のミョウガタケがあります。

花みょうが

夏に根茎から出る花穂で、花が咲く前に収穫します。初夏から花穂が出る早生系、8月からの中生系、9月からの晩生系に区分されます。夏みょうが(7~8月)と秋みょうが(9~11月)に大別する場合もあります。

ミョウガタケ

軟化栽培した50~60cmの若い茎で、3~4月の春が旬です。形が細いタケノコに似ています。収穫前に光を当て紅づけしてから出荷されます。

(2)選び方

一般的な花みょうがはふっくらと丸く、身が締まったものを選ぶと味が良いようです。白かピンク色をした鮮やかな光沢のあるものを選びましょう。

5. 保存方法

みょうがの保存時は、乾燥が大敵です。乾燥しないように一つずつラップで包むか、湿らせたキッチンペーパーで包んで冷蔵庫の野菜室に入れておきます。4~5日は持ちますが、香りが身上の食材なので、なるべく早く食べましょう。切った物はラップでピッタリと包み、冷蔵庫に入れておきます。
みょうがは独特の風味とシャキシャキした食感が命です。丸ごと冷凍する事も出来ますが、シャキシャキ感が損なわれ、香りも弱まってしまうのでお勧めはしません。冷凍した物は味噌汁の実にするか、炒め物に使いましょう。薬味用に冷凍するときには、刻んでから冷凍すると便利です。

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