文化講座
第10回:ホタルイカについて学びます
前シリーズでは「お料理博士になろう!!」と題し、食材の栄養素や調理法についての説明を、オリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、「旬の食材大事典~今食べたいのはこの食材!!」というテーマで、この季節に最もおいしい食材や調理法を取り上げ、その効能はもちろん、それらにまつわる様々な事柄などを、皆様にご紹介しています。
第10回目のテーマは「ホタルイカ」
「ホタルイカ」の美味しいレシピと、ホタルイカの生態や成分等についてご紹介します。
まずは、ホタルイカを使ったおいしい料理をご紹介します。
ホタルイカを使ったおいしい料理
ホタルイカの炊き込みごはん
材料 | 4人分 | |
---|---|---|
うるち米(米) | 1・1/2カップ(300ml分) | |
もち米 | 1/2カップ(100ml分) | |
かつお出し汁 | 550~570ml | |
ホタルイカ(茹でたもの) | 200~250g | |
A | 酒 | 大さじ2 |
しょうゆ | 大さじ1強 | |
みりん | 大さじ1 | |
塩 | 小さじ1/3~1/2 | |
しょうが(みじん切り) | 大さじ1 | |
木の芽 | 適量 |
作り方
- 米は洗って、出し汁に浸けて40~60分程浸水します。
- ホタルイカは竹串2本を使って目と軟骨を取ります。軟骨は足の部分を広げて取ります。
- 2.に(A)としょうがをまぶし、5~10分程おきます。
- 1.の上に3.をのせ、普通に炊きます。
- 炊き終わったら、ふんわりと混ぜて器に盛ります。
- 5.の上に木の芽を添えます。
蒸しひらめのホタルイカと九条ねぎの熱々ソースかけ
材料 | 4人分 | |
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ひらめ切り身(骨付き・ぶつ切り)1切れ100g | 4切れ | |
A | 塩 | 小さじ1 |
酒 | 大さじ2 | |
B | 九条ねぎ(白い部分・斜め切り) | 40g |
しょうが(薄切り) | 20g | |
C | 酒 | 大さじ4 |
水 | 150~180ml | |
D | パプリカ(2色あると良い・赤・黄など・せん切り) | 30g |
九条ねぎ(青い部分) | 60g | |
油 | 大さじ2~3 | |
ごま油 | 大さじ1 | |
しょうが(みじん切り) | 大さじ2(10g分) | |
E | 水 | 80ml |
オイスターソース | 大さじ2~3 | |
ホタルイカ(茹でたもの) | 20尾(140g) |
作り方
- ひらめに(A)をふりかけ、10分程おいて下味をつけます。
- (B)を平鍋に並べ、(C)を入れてその上に1.をのせます。
- 2.を沸騰させ、中火でフタをして魚に火を通します(10分程蒸し煮します)。
- 器に3.と(D)を盛ります。
- フライパンに油とごま油を入れ、みじん切りのしょうがをじんわりと香りが立つまで炒め、(E)を加えます。
- ホタルイカは竹串2本を使って目と軟骨を取ります。軟骨は足の部分を広げて取ります。
- 5.に6.を加え、ソースを作ります。
- 熱々の7.を、4.の上からかけます。
ホタルイカとわけぎのぬた
材料 | 4人分 | |
---|---|---|
ホタルイカ(茹でたもの) | 20尾 | |
わけぎ(又は細ねぎ) | 200g | |
赤みそ | 60~70g(約大さじ3) | |
溶きからし | 小さじ1/3 | |
砂糖 | 大さじ3・1/2 | |
酢 | 大さじ3 | |
水 | 固さを見ながら |
作り方
- ホタルイカは竹串2本を使って目と軟骨を取ります。軟骨は足の部分を広げて取ります。
- わけぎは塩(分量外)を入れた熱湯で茹で、ザルに上げて手早く冷まして3~4cm長さに切ります。
- すり鉢にみそとからしを入れてよくすり、砂糖を加えて更にすり混ぜ、酢でのばします。
- 1.、2.を器に盛り、3.のみそをかけるか又は下に敷いてすすめます。
ホタルイカのアヒージョ
材料 | 4人分 | |
---|---|---|
ホタルイカ(茹でたもの) | 24尾 | |
オリーブ油 | 大さじ4~6 | |
にんにく(みじん切り) | 小さじ1/3 | |
赤唐辛子(種を取る) | 2本 | |
イタリアンパセリ(粗切り) | 2軸 | |
塩(お好みで) | ごく少し |
作り方
- ホタルイカは竹串2本を使って目と軟骨を取ります。軟骨は足の部分を広げて取ります。
- フライパンにオリーブ油を入れ、にんにくと赤唐辛子を入れてじんわりと火を通します。
- 2.の良い香りがしてきたら、1.を入れて熱が全体に回る程度に加熱します。最後にイタリアンパセリを入れます。塩味をみて、ごく少し塩を足します。
- 小さな器にオイルごと盛ります。
1. ホタルイカについて
ホタルイカは胴の長さが5~7cmで、体の各部に700~1,000個の発光器を持ち、刺激を受けると青白い光を発して敵を威嚇します。蛍のように光るのでホタルイカと命名されました。普段は水深200~600mに棲んでいますが、5~6月の産卵期になると浮上してきます。春に生まれ、翌春に産卵期を迎えて約1年で一生を終えます。甘味と旨味があります。一般的には茹でたものが市販されています。茹でたものは、ぬたや上記のような料理にします。沖漬け、塩辛などの市販品もあり、風味良く楽しめます。また、煮物、天ぷらや唐揚げなどの様々な料理を作るのも味わい深いものです。
2. ホタルイカの産地
日本海一帯や、僅かですが駿河湾、相模湾の太平洋側でも獲れます。ホタルイカと言えば、富山県が有名ですが、水揚げ量が最も多いのは浜坂漁港をはじめとする兵庫県です。次いで富山県です。
ホタルイカは傷みが早く、鮮度が落ちるとすぐに腐ってきます。そのため、流通している物のほとんどは水揚げされてすぐに釜茹でされてから出荷されたものです。
兵庫県が漁獲量1位の理由は?
兵庫県では、主に昼間に行われる底引き網漁で一気に大量に水揚げされます。対して富山県では、産卵のために海岸付近に上がってきたホタルイカのみを定置網漁で夜に漁獲します。そのため、兵庫県の方が漁獲量は多いのです。
ただし、味や質に関しては富山県産のものが身が大きく・ミソの詰まり具合なども良く・美味しいとされており、値段も高値で取引されています。
漁期
富山湾では毎年3月1日が解禁日とされ、6月まで続きます。最盛期は4月から5月初旬あたりです。
兵庫県の漁は1月下旬頃から始まり、3月から4月に最盛期を迎え5月まで続きます。
富山湾の特別天然記念物
夜の富山湾で行われる幻想的な網揚げの光景は、観光名物になっています。青く光るホタルイカを間近で見られる見学体験は人気で、筆者もその魅力にとりつかれました。また、富山市水橋から魚津市にかけての海岸沿い約15km、沖合約1.3kmの海域は、春にホタルイカの群れが押し寄せることから「ホタルイカ群遊海面」として、国の特別天然記念物に指定されています。
3. ホタルイカの栄養価と効能
ホタルイカは内臓ごと食べるイカなので、ビタミンやミネラルなどの栄養素をバランス良く摂取できます。特にレチノール(ビタミンA)が豊富で、魚介類の中ではトップクラスです。5匹も食べれば成人の1日のビタミンA推奨量を満たします。レチノールは、目の健康を支える作用の他、強い抗酸化作用により活性酸素を抑え動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病から身を守ります。皮膚や粘膜の細胞を正常に保つ働きや、免疫力を高める働きもあります。ビタミンEも豊富に含まれています。ビタミンEには強力な抗酸化作用があるため、老化防止や生活習慣病の予防に役立ちます。ミネラル分では銅が多く含まれます。体内で銅が不足するとヘモグロビンが生成されず貧血の原因となったり、関節リウマチ、骨粗しょう症の原因となることがあります。またホタルイカに含まれるアミノ酸の一種であるタウリンは、滋養強壮や疲労回復、免疫力向上など、様々な効果が期待できます。
主な栄養素(可食部100g当たり/ホタルイカ・生)(日本食品標準成分表2015年版(七訂)から引用)
- ●たんぱく質...11.8g
- ●レチノール...1500μg
- ●ビタミンB1...0.19mg
- ●ビタミンB2...0.27mg
- ●ビタミンE...4.3mg
- ●銅...3.42mg
- ●ビタミンB12...14.0μg
- ●葉酸...34μg
旬を味わえるホタルイカの魅力は、今ならでは。様々な料理を作って、存分にお楽しみ下さい。