文化講座
第6回 手作り味噌・切り干し大根
前シリーズでは「愛する人に作りたいスイーツレシピ」と題し、お菓子の歴史やその名前の由来、誕生秘話などを取り入れながら、家庭で作りやすいスイーツレシピをご紹介しました。
今シリーズでは、「心にゆとり」を生み出す、本物の味・最新の保存食レシピをご紹介しています。
旬の食材は味も栄養価も充実している・値段が安いなどの長所がいっぱい!!
毎月2つずつテーマ食材を決め、レシピや栄養価についてご紹介しております。
第6回目の今月は、「手作り味噌」と「切り干し大根」です。
1.手作り味噌
みそは、蒸した大豆に麹と塩を加えて発酵させたものです。
麹の原料の違いで米みそ・麦みそ・豆みそに分けられ、麹の割合によって甘みそ・甘口みそ・辛口みその差が出来て、熟成期間の違いによって白、淡色、赤というように色合いが変わってきます。
みそ汁や様々な料理に使われ、日本人になじみ深い食品です。
今回は東海地方で主に食べられている、豆味噌の作り方をご紹介します。
豆味噌は大豆を茹でるか蒸してつぶし、丸めたみそ玉に種麹をまぶして豆麹を作り、塩を加えて発酵、熟成させます。
大豆は「畑の肉」と言われるほど、良質たんぱく質を豊富に含み、サポニン・レシチンなど体内の酸化を抑制する栄養素を多く含みます。
また発酵によって更に香り成分のエステル類や遊離リノール酸などが生じ、生活習慣病やガン予防だけでなく、美白効果も期待出来ます。

伊藤華づ枝作 豆味噌

※東海地方で好まれる赤味噌の仕込み方です
材料 | 作りやすい分量(出来上がり約10kg) |
大豆(乾燥) | 2.7kg |
大豆麹 | 1kg |
麦麹 | 1kg | 米麹 | 500g |
粗塩 | 900g~1kg |
種水(湯冷まし) | 約1000ml |
作り方
- 大豆はよく洗って一晩たっぷりの水に浸して戻し、指でつまんで潰れる位まで茹でます。
- 1.の大豆は熱い内にフードプロセッサーにかけるか、すり鉢やボウルに入れてつぶして冷まします。
- 別のボウルに麹3種を入れ、手で混ぜ合わせます。
- 大きなボウルや鍋などに2.の大豆と3.の麹、塩を混ぜて入れ、種水を混ぜながら手早く混ぜます。
※練り過ぎないように注意します
※塩は1割ほど残します - 瓶や密閉容器に残した塩の一部を振り入れ、4.をソフトボール位に丸めてたたきつけます。
※空気が入らないように隅まできちんと詰めます
※隙間があるとカビの原因になります - 表面を平らにし、上に塩を振って(ふた塩という)ラップを貼り、押しフタをして3kgほどの重石をのせます。
空気にふれないようにして冷暗所で保管をします。
※ほこりが入らないように、紙をかぶせてヒモで縛ると良いでしょう ※重石をすると、上下の水分が均等になって上手に発酵し、空気にふれにくくなり、カビの発生を防ぎます ※夏頃に天地返しをする(上下を返すように全体を混ぜる)と早く熟成が進みます。その際に表面などにカビが生えていたら、その部分のみ取り除けば問題ありません ※11月頃から食べられますが、約1年間熟成させると、色・風味共によくなります ※麹は三重郡菰野町にある「鈴木商店」のものを使用しました
2.切り干し大根
切り干し大根は、秋の終わりから冬にかけて収穫した大根を細切り又は薄切りにし、天日にあてて乾燥させたものです。
乾燥させることによって水分量が減り、菌が生存・増殖出来なくなるので、腐敗を防いで保存性が高くなります。
さらに野菜は干すと水分が抜けて旨みが凝縮され、栄養価がグンと高まります。
生の大根と切り干し大根の栄養価を比べると、食物繊維やカリウム、カルシウム、鉄分などは、切り干し大根の方が圧倒的に栄養価が高いことが分かっています。
特に天日干しした切り干し大根は、太陽の光を浴びることで、糖化されて甘味や栄養価が更に増加します。
切り干し大根は市販されていますが、乾燥機で乾燥させている商品もあるので、家で手作りすると天日干しが出来、栄養価もアップするでしょう。

手作りの切り干し大根
切り干し大根は、切る太さや加工方法が産地によって違います。 主な種類に以下5つがあります。
- 割り干し大根:たて四つ割にして干す
- ゆで干し大根:せん切りにして茹でてから干す
- 蒸し干し大根:せん切りにして蒸してから干す
- 凍み大根・寒干し大根:寒風と氷点下になる気候を活かして干す
- 花切り大根:たて四つ割にして薄く切って干す
輪切りにして干した切り干し大根も販売されています。

輪切りの切り干し大根
乾物のため、常温保存が可能ですが、気温が高くなる季節には冷蔵庫で保存すると、茶色に変色することもないでしょう。

※切ってから水にさらすことで、白くキレイな切り干し大根に仕上がります
材料 | 作りやすい分量 |
大根 | 1本(約2kg) |
作り方
- 大根は皮付きのまま、せん切り器を使ってせん切りにします。
- 1.を水にさらすと、乾燥してから臭わず、色がキレイに仕上がります。
- ザルか万能網に入れ、外で吊るして乾燥させます。時々ひっくり返しながら、約1週間寒風にあてます。
切り干し大根は水に漬けて戻して煮たり、茹でて調味料に漬けて漬物にしたり、炒めたりと大活躍の食材です。

伊藤華づ枝作・切り干し大根を使用した料理
切り干し大根の煮物を入れたおやき

伊藤華づ枝作・切り干し大根を使用した料理
切り干し大根と野菜のごま酢和え
切り干し大根を使用したレシピ

※常備菜としてオススメです
材料 | 作りやすい分量 |
切り干し大根 | 40g |
A | |
ポン酢しょうゆ | 50ml |
水(湯冷まし又はミネラルウォーター) | 50ml |
昆布(せん切り) | 5cm |
赤唐辛子(輪切り) | 1本 |
作り方
- 切干大根はサッと水洗いし、水気を絞って熱湯で手早く茹でて、水に取ってしっかり冷やします(沸騰した湯で一煮立ちしたら良いです)。
- 大きめのボウルに(A)を混ぜ合わせ、昆布と赤唐辛子を入れ、ザク切りにして水気を絞った1.を漬けこみます(すぐに食べられますが、半日程漬けると更においしいです)。
- 器に形よく盛ります。
※ハリハリに茹でたほうれん草などを混ぜ、和え物としてアレンジしても良いでしょう


※台湾風の卵焼き
材料 | 作りやすい分量 |
切り干し大根 | 15g |
サラダ油 | 大さじ1 |
にんにく(みじん切り) | 小さじ1/3 |
しょうが(みじん切り) | 小さじ1強 |
豚ひき肉 | 70~80g |
XO醤(あれば) | 大さじ1/2 |
A | |
紹興酒(又は酒) | 大さじ1 |
しょうゆ | 小さじ2 |
酢 | 大さじ1/2 |
砂糖 | ふたつまみ |
水 | 70ml |
中華スープの素 | 小さじ1/2 |
卵 | 6コ |
塩 | 小さじ1/4 |
白こしょう | 少々 |
サラダ油 | 大さじ3 |
作り方
- 切り干し大根は水で5分間程戻し、粗みじん切りにします。
- フライパンに油を入れ、ぬるいうちに、にんにくとしょうがをじっくりと炒めてから、肉を加えて炒めます。
- 2.に1.とXO醤を入れて炒め、(A)を加えて水分がなくなるまで煮て、一度取り出し、冷まします。
- ボウルに卵を割りほぐし、塩とこしょうを入れ、3.を汁ごと加えます。
- 3.のフライパンをきれいに洗い、よく熱してから油を入れて4.を流し入れ、中心をかき混ぜるようにしながら火を通し、フタをします。中心が半熟になって縁に良い焼き色が付いたら、皿を使って返し、裏面も焼きます。
- ごばん目状に切り分け、器に盛ります。