文化講座
第5回 ポン酢しょうゆ・こうなごとくるみの自家製佃煮
前シリーズでは「愛する人に作りたいスイーツレシピ」と題し、お菓子の歴史やその名前の由来、誕生秘話などを取り入れながら、家庭で作りやすいスイーツレシピをご紹介しました。
今シリーズでは、「心にゆとり」を生み出す、本物の味・最新の保存食レシピをご紹介しています。
旬の食材は味も栄養価も充実している・値段が安いなどの長所がいっぱい!!
毎月2つずつテーマ食材を決め、レシピや栄養価についてご紹介して参ります。
第5回目の今月は、「ポン酢しょうゆ」と「こうなごとくるみの自家製佃煮」です。
1.ポン酢しょうゆ
ポン酢とは、かんきつ類の果汁のことです。
もともとの語源は、オランダ語でかんきつ類の果汁を意味する「pons(ポンス)」から来ています。
ポン酢しょうゆとは、ポン酢にしょうゆなどを加えた調味料で、主に橙(だいだい)やすだち、柚子の絞り汁を使用します。ちり鍋や水炊き、もみじおろしなど幅広い料理に使えるのが魅力です。
手作りする場合は、かつお節や昆布を入れてだしをきかせて作ると、一層美味しくなります。
市販品には酸味料や香料など添加物を含みますが、家庭で作ると安心安全です。
市販のポン酢しょうゆのラベル
橙などポン酢しょうゆを作る食材
橙はミカン科の果実ですが、酸味と苦味が強いため、食用ではなく主に正月の飾りとして使われてきました。
果汁は爽やかな風味と酸味があるので、ポン酢などに加工されるようになりました。
皮はマーマレード(ジャム)にしたり、乾燥させて橙皮とし、漢方などで活用されています。
果実が冬を過ぎても木から落ちず、そのまま放置しておいても2~3年は枝についていることから「だいだい(代々)」と呼ばれるようになりました。
「代々」は子孫繁栄の意味にも繋がるため、縁起物として正月の飾りに使われるようになったのです。
橙はテルペンという芳香成分を含むので、ストレスを解消して心身をリラックスさせる効果があります。
橙
伊藤華づ枝作 白子ポン酢
伊藤華づ枝作 サバと焼ききのこのおろしポン酢しょうゆがけ
※冷蔵庫で2ヵ月くらい保存出来ます
材料 | 作りやすい分量 |
だいだいのしぼり汁 | 500ml(だいだい8~10コ分) |
みりん | 100ml |
しょうゆ | 500ml |
かつお節 | 5カップ(40g) |
利尻昆布 | 25cm(15g) |
作り方
- だいだいは皮の中心をむき、横半分に切ってしぼります(皮から渋みが出るため、皮をむいてから切ると良い)。
- 1.を漉して種などを取り除きます。
- 鍋にみりんを入れて火にかけ、アルコール分を飛ばし、しょうゆを入れて火を止めます。
- 3.にかつお節と昆布を入れて粗熱を取ります。
- 大きなビンに、4.と2.を混ぜ合わせます。
- 5.を涼しいところ(又は冷蔵庫)に置き、2~3日程ねかせてから、ザルで漉します。
- ポン酢しょうゆはビンに入れ、冷蔵庫で保管します。
※使い終わったかつお節は水気をしぼってフードプロセッサーにかけ、ザルに広げて乾燥させるとふりかけになります。
2.こうなごとくるみの自家製佃煮
こうなごとくるみを甘辛く煮た佃煮は、お茶うけとしても、ご飯にのせても美味しい万能の常備菜です。
こうなごだけでなく、くるみを入れることで、カリカリとした食感が楽しめます。
こうなご(小女子)はイカナゴの稚魚で、西日本では「しんこ(新子)」とも呼ばれます。
こうなごは全長5cmくらいの若魚で、ウナギのように細長く、それを小さくしたような魚であるから「小ウナギ」がなまって「こうなご」になったと言われています。
しらす干しなどと同様に、良質たんぱく質やビタミンD、カルシウム、マグネシウムが豊富で、丸ごと食べられるので、カルシウム源にもなります。
育ち盛りの子どもから骨粗しょう症が心配されるお年寄りまで、どの年代の人にも骨の強化に役立ちます。
くるみはビタミン類が豊富で、疲労回復や体力増進などに効果的です。
良質の不飽和脂肪酸を多く含むため、動脈硬化予防に役立ち、血圧や血糖値、コレステロール値を正常に保つ働きがあります。
※炊きたてご飯にのせても、お茶うけとしても楽しめます
材料 | 作りやすい分量 |
こうなご(乾) | 100g |
素焼きくるみ | 70g |
A | |
酒 | 70ml |
みりん | 70ml |
砂糖 | 小さじ2 |
しょうゆ | 大さじ2 |
たまりしょうゆ | 小さじ2 |
酢 | 小さじ1 |
作り方
- こうなごをたっぷりの熱湯に入れ、ひと煮立ちしたらザルに上げます(水に取りません)。
- くるみは、大きいものは縦半分に手で割ります。
- (A)を煮立てて1.を入れ、中強火で煮ます。
※(A)は、こうなごを茹でる前に合わせておきます
※混ぜる際は鍋をゆすりながら木ベラでそっと混ぜ、こうなごがつぶれないようにします。かき混ぜすぎないようにします
※煮ている間は色が薄いですが、最後に煮詰めると濃くなるのでしょうゆを足さないようにします - 3.の煮汁が煮詰まってきたら2.のくるみを加え、汁気がごく少なくなったら酢を入れます。
- 4.が煮詰まってきたら、盆ザルの上に上げます。室内で扇風機で1時間程乾かすと、カラリと仕上がります。乾かさずにそのまま食べても、しっとりとおいしいです。
※しょうがのせん切りを入れてもおいしいです。