文化講座
第8回:お花見 ~美しい桜の下で春の訪れを寿ぎます~
前シリーズでは「食育をはじめましょう」と題し、それぞれのライフステージに合わせた食事についてご紹介しました。
今シリーズでは、食育・続編として「歳時記とごはん」をご紹介しています。
日本人として伝え続けていきたい正月・七夕・節分などの日本の歳時記と、それにまつわる食事を謂れや慣わし・行事食をオリジナルレシピとともにご紹介しています。
第8回目のテーマは「お花見」
春爛漫!美しく染められた桜色に心躍る季節となりました。開花状況を気にしながらお花見の予定を立てるのも、この時期ならではの楽しみですね。毎年桜の季節になると、「日本に生まれて良かった」としみじみ感じ、四季の移り変わりに感謝します。今年も大切な家族や親しい友人とともに、桜の下で行う宴が待ち遠しいものです。
1.「梅」から「桜」に移り変わった「花見」の歴史
日本の国花である「桜」は、動詞の「咲く」に接尾語である「ら」が付き、名詞となったものとされています。花見とは主に桜などの花を観賞し、春の訪れを寿ぐ慣習をいいますが、多くは桜の下で行われる宴会のことを意味します。もともと花見は貴族の行事が起源とされ、奈良時代までは梅が観賞されていたようです。平安時代に入ると梅にかわって桜が好まれるようになり、いつしか花=桜をさすようになりました。嵯峨天皇が宮中で催した宴が最初の桜の花見といわれています。その後、江戸時代に入ると一般庶民も花見を楽しむようになり、桜の花の代表品種といわれる「ソメイヨシノ」が作られたのもこの頃です。
2.花見にまつわる言葉
桜前線
日本各地の桜(主にソメイヨシノ)の開花予想日を線で結んだものを言います。南から北へと桜の開花が進むため、日本列島を桜前線が北上していきます。「桜前線に沿って夫婦で旅行してみたい」なんていう夢がよく聞かれますね。
開花・満開
各地の気象台や観測地にある「標本木」とされる桜の木を基準としています。標本木の桜に5~6輪以上の花が咲いた日を開花日とし、8割以上のつぼみが開いた日を満開日としています。ちなみに名古屋市の標本木は、名古屋市千種区にある「名古屋地方気象台」の構内にあります。
花見団子
花見には花見団子がつきものですが、これは庶民の花見にふさわしいお供として江戸時代からの定番となっているようです。赤・白・緑の華やかな3色の組合せが一般的で、これには諸説ありますが、ピンクは桜で春を、白は雪で冬を、緑は草木で夏を表し、秋がないのは「飽き」がこないようにとの願いが込められているというのが有力です。
3.飲み過ぎ注意!桜と酒に酔うのはほどほどに
美しい桜を見ながらのお酒は一段とおいしいもの。適量のお酒は楽しい気持ちを増加させ、ストレスを解消させます。しかし、おいしいお酒はついつい量も多くなりがちに。自分の適量を知り、楽しいお酒を飲みましょう。
★適量を守りましょう
- 日本酒なら約1合
- ビール・発泡酒なら500ml缶1本
- ワインならグラス2杯
- 焼酎(25%)ストレートなら120ml
- ウイスキーならダブル1杯
★自分のペースで飲みましょう
★食べながら飲みましょう
4.桜を楽しむテーブルコーディネート

今回は、桜を見ながら女性同士でシャンパンを楽しむ風景をイメージしました。
水も温み、鳥達もうれしそうに遊んでいる様子が、このコーディネートに躍動感をプラスしています。戸外はまだ少し寒さが残るため、ポット(鍋)やパスタなど温かい料理も用意し、三寒四温の春を表現しました。

まっすぐに伸びる桜の枝のフラワーアレンジからは、生命のエネルギーを感じます。
桜は見る人の心を落ち着かせ、美しくしてくれる力を持っています。

シャンパンの弾ける泡が、心踊る春にピッタリ。シャンパンクーラーの水には桜の花びらを浮かべて優雅さを出しました。おつまみには、話に夢中になっても食べやすく、ヘルシーなチーズと枝付きのレーズンをいただきます。

桜のピンクや菜の花の黄色など、甘い色が多く淡くなりがちな春のコーディネートですが、ブルーの鍋をポイントに置くことでグッと引き締まった印象になります。また、鋳物ホーローの重厚な質感が、まだ肌寒さが残る花見頃の気候を思い出させます。
5.「お花見気分を盛り上げる」レシピ
★アクアパッツァ(サワラとアサリのイタリア風トマト煮込み)
~まだ肌寒いお花見の季節にぴったりの一品です~

材料 | 分量:4人分 |
サワラ (三枚おろし・100g) |
4切れ |
塩 | 小さじ2/3~小さじ1 |
こしょう | 少々 |
オリーブ油 | 大さじ2 |
にんにく(みじん切り) | 小1塊 |
玉ねぎ | 1/2コ(150g) |
ミニトマト | 16コ |
あさり | 200g |
オリーブ油 | 大さじ2 |
水(または白ワイン) | 250ml |
乾燥バジル(あれば) | 少々 |
塩 | 小さじ1/3 |
こしょう | 少々 |
バジルの葉 | 大きい葉7~8枚 |
作り方
- サワラに分量の塩とこしょうをふります。
- フライパンにオリーブ油を入れ、(1)を両面カリッと焼きます。
- (2)のフライパンを洗ってオリーブ油を足し、弱火でゆっくりとにんにくを炒め、小角切りの玉ねぎも加えて炒めます。
- (3)にヘタを切り落としたミニトマトと分量の水(または白ワイン)、アサリも加えてフタをして蒸し煮します。
- アサリの貝が開いたら、(2)を戻し入れ、塩とこしょうで調味します。
- バジルを手でちぎって加えます。
※アクアパッツァとは、イタリア語で「荒れ狂う水」という意味でイタリアの伝統料理です。 元々は、漁師が船で釣った魚や貝を海水でフツフツと煮て作ったといわれています。 魚の旨味を最大限に引き出した一品です。
★お花見団子
~これがなくては始まらない!今年はぜひ手作りで~

材料 | 分量:6本分 |
白玉粉 | 50g |
水 | 大さじ3・1/2~4 |
上新粉 | 160g |
砂糖 | 70~80g |
熱湯 | 180ml |
抹茶 | 小さじ1 |
ゆで卵の黄身(手でほぐします) | 卵1コ分 |
インスタントコーヒー | 小さじ2 |
竹串または団子串 | 6本 |
*ピンクの団子には食紅を混ぜました
作り方
- 白玉粉に分量の水を加え、耳たぶ位の固さに練ります。
- 上新粉と砂糖をボウルに入れてぐらぐら沸いた熱湯を加え、すばやく箸でかき混ぜ、耳たぶ位の固さに練ります。
- (1)と(2)を手でしっかりと練り合わせます。
- クッキングシートを敷いた蒸し器に(3)を7~8コにちぎって並べ、強火で15分間蒸します。
- 熱いうちにボウルに移し、手袋をはめてよく練ります。
- (5)を3等分し、それぞれに抹茶(緑色)、ゆで卵の黄身(黄色)、インスタントコーヒー(茶色)を加え、さらに練り混ぜます。
- (6)をそれぞれ6コの団子に丸め、水でぬらした串に刺します。
- クッキングシートを敷いた蒸し器に(7)を並べ、強火で約5分間蒸します。
※調味料とスープは80%可食で計算しました