文化講座
お正月 ~願いを込めて作るおせち料理~
前シリーズでは「食育をはじめましょう」と題し、それぞれのライフステージに合わせた食事についてご紹介しました。
今シリーズでは、食育・続編として「歳時記とごはん」をご紹介します。
日本人として伝え続けていきたい正月・七夕・節分などの日本の歳時記と、それにまつわる食事を謂れや慣わし・行事食をオリジナルレシピとともにご紹介しています。
第5回目のテーマは「お正月」

1.「お正月」の伝統
正月とは、各暦・年始めの数日間のことで、文化的には去年が無事に終わったことと、新しい年を祝う行事です。
「あけましておめでとうございます」とあいさつをかわし、新しい一年の無事と健康を祈ります。
「初詣」
- 年が明けて七日以内に神社を詣でることを言い、その年の幸福を願うものです。
- 絵馬に願い事や目標を書いたり、おみくじを引いて、今年一年が良い年であるようにと祈ります。
- 神社の境内で振舞われる甘酒やお神酒は、厄除けになるとされています。
「屠蘇」

- 生薬を酒や味醂に浸け込んだ一種の薬草酒。
- 一年の無病息災を願って家族そろっていただき、年少者から順に飲みます。
- お正月にお屠蘇を飲む習慣は中国で始まったといわれており、日本に伝わったのは平安時代とされています。
「雑煮」
- 本来は、神様に供えた山・海・畑の産物のお下がりをごった煮(雑煮)したものです。
- お供えの品は土地の産物であることから、雑煮には地域性がでます。
2.おせち料理のいわれ
現代でこそ「おせち」といえば"お正月の料理"を指しますが、「節句」(もともとの字は節供・季節の節目に神様にお供するという意味)を表す言葉でした。節句の一番始めに食べる料理として、今ではお正月の料理を「おせち料理」と呼ぶようになったのです。
「おせち料理」には五穀豊穣、家族の安全と健康、子孫繁栄などたくさんの願いが込められています。
だて巻き卵・・・巻いた形が書物を表し、文筆の上達を願う意味が込められています。
数の子・・・数の子はにしんの卵で、子がたくさん生まれて代々栄えるように、子孫繁栄の願いが込められています。
田作り・・・かつて肥料にしたところ大豊作に恵まれたことから、五穀豊穣を祈り、願いが実を結ぶようにという意味が込められています。
栗きんとん・・・きんとんは金団と書き、財産がたまるようにとの意味です。
黒豆・・・まめに働き、まめに(健康に)暮らすことができるようにとの意味です。
海老・・・ひげが長く、腰の曲がった姿を長寿の老人に見立てたもので、長命と一家繁栄の願いを込めています。
蓮根・・・穴があいていることから先の見通しが良いとされています。花の形に整えた花レンコンは、「実になる」ので更に縁起が良いとされています。
紅白かまぼこ・・・紅白のおめでたい色を表しています。


3.お正月を楽しむテーブルコーディネート

おめでたい「紅」を基調に、「金」や「銀」をポイントカラーとして入れます。
華やかさの中に格調高さが生まれ、お正月らしいテーブルに仕上がります。
お屠蘇や祝い箸・水引きなど、正月小物を加えて伝統的なお正月を楽しみましょう。
4.「お正月」ごはん
★お雑煮 ~彩りとだしの旨みが格別!角餅と正月菜を入れた名古屋のお雑煮~

材料 | 分量:4人分 |
切り餅 | 4切れ |
小松菜 | 70g |
紅かまぼこ | 1/3枚 |
鶏もも肉 | 100g |
干し椎茸(中) | 4枚 |
(A) | |
かつおだし汁 | 800ml |
薄口しょうゆ | 大さじ4 |
花かつお | 適量 |
作り方
- もちはこんがり焼きます(又はゆでます)。
- 小松菜はゆでて4~5センチ長さに切ります。
- かまぼこは適当な形に切ります。
- 鶏肉はひと口大に切り、サッと熱湯を通して、水にとります。
- しいたけは戻します。
- (A)をなべに入れて煮立て、4.と5.を共に煮ます。
- 椀に1.、2.、3.を盛り、6.をかけます。
★おせち料理 ~家庭で手軽に作れるおせち料理いろいろ~
マカデミアナッツ田作り・・・エネルギー 141kcal、たんぱく質 10.0g、脂質 6.5g、塩分 1.8g(1人分)
りんごきんとん・・・エネルギー 269kcal、たんぱく質 1.4g、脂質 0.3g、塩分 0g(1人分)
ぶどう豆・・・エネルギー 198kcal、たんぱく質 13.6g、脂質 7.3g、塩分 0.3g(1人分)
えびだて巻き卵

材料 | 分量:4人分 |
エビ(正味) | 100g |
酒 | 大さじ2 |
(A) | |
卵 | 5コ |
砂糖 | 大さじ3 |
みりん | 大さじ2 |
塩 | 小さじ1/3強 |
白はんぺん(刻む) | 60g |
オーブンペーパー |
作り方
- エビは背ワタを取って包丁でたたき、鍋に酒と共に入れて炒りつけます。
- (A)をすべてミキサー又はフードプロセッサーにかけます。
- 熱したフライパンにオーブンペーパーを敷き、2.を流して汁気をきった1.を散らします。ふたをかけて中弱火で15分間焼きます。
- 3.をひっくり返してまきすにのせて巻き、輪ゴムで止めて冷めるまで置きます。2~3センチ厚さに切ります。
マカデミアナッツ田作り

材料 | 分量:4人分 |
ごまめ | 50g |
味つきマカデミアナッツ | 30g |
(A) | |
酒・みりん | 各大さじ2 |
しょうゆ・砂糖 | 各大さじ2・1/2 |
たまり(あれば) | 大さじ1 |
一味唐辛子 | 少々 |
作り方
- ごまめは160度のオーブン又はオーブントースターで途中で返しながら5分間程焼きます。
- ナッツは塩を落とします。
- (A)を鍋に合わせて少々煮つめ、1.と2.を手早くからめます。
- 好みで一味唐辛子をふり入れ、広げて冷まします。
りんごきんとん

材料 | 分量:4人分 |
りんご | 1/2コ |
(A) | |
水 | 100ml |
砂糖 | 大さじ2~3 |
さつま芋 | 500g |
くちなしの実 | 2コ |
砂糖 | 70~100g |
みりん | 大さじ2~ |
作り方
- りんごは色のよいところは皮つきのまま、残りは皮をむいて、いちょう切りにして(A)で煮ます。
- さつま芋は2~3センチ厚さの輪切りにして皮を厚めにむき、よく水に晒します。
- 2.をくちなしの実を入れた水でゆでます。
- 3.を裏ごし、砂糖を加え1.の煮汁とみりんでのばし、練り上げます。火を止めて1.のりんごを混ぜます。
ぶどう豆

材料 | 分量:4人分 |
黒豆(丹波産) | 1カップ |
(A) | |
塩 | 小さじ1/3 |
水 | 600~1000ml |
重曹 | 小さじ1/4 |
さびくぎ(あれば) | 5本 |
砂糖 | 80g |
しょうゆ | 小さじ1弱 |
作り方
- 黒豆は洗って(A)と共に鍋に入れて一晩置きます。
- 1.を中火にかけ、沸騰したらアクをすくいとりながら火を弱め、コトコトと3~4時間位ゆっくり煮ます。
- 2.の煮汁が少なくなったら、くり返しさし水をしてアクを取り、豆がやわらかく煮汁がひたひたになったら火を止め、そのまま一昼夜置いて味をなじませます。