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歳時記とごはん

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

節分 ~鬼は外!福は内!!豆まきに込められた願いとは~

前シリーズでは「食育をはじめましょう」と題し、それぞれのライフステージに合わせた食事についてご紹介しました。
今シリーズでは、食育・続編として「歳時記とごはん」をご紹介しています。
日本人として伝え続けていきたい正月・七夕・節分などの日本の歳時記と、それにまつわる食事を謂れや慣わし・行事食をオリジナルレシピとともにご紹介しています。

第6回目のテーマは「節分」

テーマは「節分」
2月3日は節分の日。あちらこちらで「鬼は外!福は内!!」という元気な掛け声とともに豆をまく光景が見られます。この節分の風習ですが、もともとのルーツは中国で行われていた鬼を払う「追儺(ついな)」の習慣といわれています。現在のようなスタイルは、平安時代に京の都で始まったとされ、室町時代には全国に広がったようです。

1.季節の移り変わりを表す「節分」

「節分」という言葉は「季節の分かれ目を指す言葉」で、本来は立春・立夏・立秋・立冬の前日を指していました。その中でも、旧暦では立春の頃が元日となり、「節分」は大晦日にあたるということで、立春の前の日を節目の日=「節分」と指すようになりました。新年を迎えるにあたり、悪疫・邪気等を追い払おうという思いが豆まきなどの風習に込められているのです。

2.「節分」と「豆」「イワシ」「巻き寿司」

豆まきで鬼は外!

  • 穀物や果実には「邪気を払う霊力」があると考えられており、豆をまくことで豆の霊力により邪気を払い、福を呼び込むと考えたと言われています。
  • また、魔物のような鬼の目を打つので「魔目」、魔を滅ぼすことから「魔滅」という意味もあります。
  • 豆まきの豆は福豆と言い、まき終わった後に、自分の年の数(数え年)食べて無病息災を願います。
  • 豆まきに使用する豆は一般的には炒った大豆を使いますが、落花生を使用する地域もあります。

「イワシ」の力で邪気を追い払う!

  • 鬼を追い払うために、ヒイラギの枝に刺したイワシの頭を家の門や玄関、台所になどに飾る風習があります。
  • ヒイラギの葉はノコギリ状にとがっているため、これが鬼の目を刺すと考えられ、鬼を寄せ付けないための魔よけとして伝えられてきました。このため、ヒイラギの葉は「鬼の目突き」とも呼ばれています。
  • イワシの頭の悪臭で、邪気が家に入るのを防ぐと言われています。

福を巻き込む「恵方巻き」!

  • 近年では、その年の恵方を向いて無言で巻き寿司を食べると、願い事が叶うという風習があります。恵方とはその年決められた縁起の良い方角のことで、福徳を司どる神様(歳徳神)が居るとされ、毎年方角が異なります。ちなみに2009年の恵方は東北東です。
  • 巻き寿司は「福を巻く」という意味で縁起が良いとされ、福と縁が切れないように包丁で切らずに丸かじりします。
  • 無言で食べるのは、巻き込んだ福がこぼれたり、切れたりしないようにとの思いが込められています。
  • 巻き寿司を鬼の金棒に見立て、それを退治する意味もあるようです
  • 発祥は大阪の地と言われ、大阪海苔問屋協同組合が道頓堀で行った行事をマスコミが取り上げ、全国の食品メーカーがそれに便乗して全国に広まったそうです。

3.節分を楽しむテーブルコーディネート

~写真は「節分に男同士が酌み交わす酒」というイメージでテーブルセッティングしました~

今回は「お酒」をテーマに、男らしくシンプルなテーブルに仕上げました。
色は白と黒をメインとし、シックで落ち着いた大人の時間を演出しています。
豆を入れた「ます」と同じ正方形の器を斜めに配置し、季節を分けるという節分にふさわしくシャープな印象を与えています。

~節分のお花のアレンジ~

お酒のビンを囲むように、節分には欠かせないヒイラギをあしらい、豆を散らしました。土の中からは草花も芽吹き、春の訪れを感じさせるアレンジです。

~テーブル中央には豆を~

豆をますに入れて中央に飾っています。節分の雰囲気を十分味わうとともに、実際に酒のつまみとしても楽しめ、ますます酒がすすみそうです。

4.「福を呼びこむ節分」ごはん

★恵方大名巻き寿司 ~美しい彩りの豪華な太巻き、みんなで食べて福を分かち合いましょう~

エネルギー398kcal、たんぱく質16.0g、脂質9.2g、塩分 3.1g(8人分のときの1人分)
※調味料C・E・Gは70%可食で計算しました
恵方大名巻き寿司
材料 分量:大2本分
6~8人分
3カップ
(A)
700ml
大さじ2
(B)
大さじ5
砂糖 大さじ4
小さじ2弱
ゆかり粉 小さじ2
マグロ(刺身用) 100g
(C)
しょうゆ 大さじ1
少々
白ごま(する) 小さじ1
イカ(刺身用・細切り) 50g
(D)
花カツオ 1/2パック(2.5g)
梅干(刻む) 1コ
ウナギの蒲焼(中) 1尾(100g)
かんぴょう(干) 10g
(E)
だし汁 100ml
砂糖 小さじ2
しょうゆ 小さじ2強
3コ
(F)
だし汁(又は水) 大さじ3
塩、砂糖 各少々
くるみ(いる) 40g
(G)しょうゆ、砂糖 各大さじ1
ほうれん草 1束(200g)
山ごぼうのみそ漬け 40g
きゅうり 1本
紅しょうが 30g
焼きのり 4枚

作り方

  1. 米は洗ってザルに上げ、(A)を加えて1時間程おきます。
  2. 1.を普通に炊き、10~15分間蒸らします。
  3. (B)をよく混ぜて2.にうち、手早くあおいでつやを出します。
  4. 3.を半分に分け、一方にゆかり粉をまぶしてよく混ぜます。(すし飯が乾かないように、ぬれ布巾をかけておきます)
  5. マグロは棒状に切り、(C)に漬け込みます。
  6. イカは(D)をまぶします。
  7. ウナギは1尾を縦4つに切ります。
  8. かんぴょうは塩もみしてゆで、(E)で含め煮にします。
  9. 卵は(F)で味付けし、厚焼き卵を作って縦4つに切ります。
  10. くるみは(G)を少し煮詰めてからめます。
  11. ほうれん草は色よくゆで、水けを絞ります。
  12. ごぼうは適当な太さに切ります。
  13. きゅうりは縦4つに切ります。
  14. 巻きすの上にのりを2枚はり合わせて縦長に置き、下側に白のすし飯、上側にゆかり粉を混ぜたすし飯を広げます。
  15. 下側の中心に10.と11.以外の具をのせ、上側には少しずつ間隔をおいて11.を3列ほど並べ、10.をまんべんなく散らします。
  16. 15.を下側からギュッと巻きます。

★イワシの梅しょうが煮 ~臭みがなくとても食べやすいので、お子様もぜひどうぞ~

エネルギー269kcal、たんぱく質19.1 g、脂質12.5g、塩分2.8g(1人分)
※梅干し、調味料Aは60%可食で計算しました
えびだて巻き卵
材料 分量:4人分
いわし(1匹60~70g) 12匹
しょうが 30g
梅干し(大) 1コ
(A)
400ml
みりん 大さじ4
50ml
砂糖 大さじ5
しょうゆ 100ml

作り方

  1. いわしは頭と腹ワタをキッチンバサミで切り取ります。内臓を取って水で洗い、ペーパータオルで水けをふき取ります。
  2. しょうがは皮ごとせん切りにしてたっぷり用意し、梅干しは2~3つにちぎります。
  3. 平なべに(A)を煮立てていわしを並べ、しょうがと梅干しをのせて煮ます。
  4. 煮詰まってきたら照りよく仕上げ、器に盛ります。
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