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インターネット公開文化講座

文化講座

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歳時記とごはん

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

十五夜 ~中国から伝わったお月見~

前シリーズでは「食育をはじめましょう」と題し、それぞれのライフステージに合わせた食事についてご紹介しました。
今シリーズでは、食育・続編として「歳時記とごはん」をご紹介します。
日本人として伝え続けていきたい正月・七夕・節分などの日本の歳時記と、それにまつわる食事を謂れや慣わし・行事食をオリジナルレシピとともにご紹介します。

月見イメージ 第1回目のテーマは「十五夜」。
「十五夜」とは旧暦8月15日、新暦では9月中旬あるいは下旬に満月を鑑賞する行事です。
そして、五穀豊穣を神に感謝する日でもあります。
このような月見の習慣は、中国では唐の時代からあり、これが日本に伝来しました。そして、畑作物の収穫に関連する行事へと発展し、現在に至るまで長い間継承されてきたのです。
今年の「十五夜」は、満月を鑑賞するだけでなく、美味しい農作物に感謝して満月の夜を過ごしてみてはいかがでしょうか。

1.「十五夜」と「十三夜」

「十五夜」

  • 「十五夜」は別称で「芋名月」と呼ばれます。
  • この時期はちょうど里芋の収穫期、「十五夜」を「芋名月」と呼んで必ず里芋をお供えしてきたのは、 お月見が里芋の収穫に感謝する行事だった名残という説もあります。
  • 「十五夜」と同様の習慣を持つ中国では、「仲秋節」として日本より盛大に祝い、月餅(げっぺい)を作ってお供えします。
  • この月餅が日本に伝わって月見団子に変わったと伝えられています。

「十三夜」

  • 「十五夜」から約1ヵ月後の旧暦9月13日を「十三夜」といいます。
  • 「十三夜」は日本独自の風習であり、ちょうど食べ頃の大豆や栗などを供えることから、「豆名月」「栗名月」と呼ばれます。

「十五夜」と「十三夜」どちらか片方の月見しかしないのは、「片月見」といって嫌われ、「十五夜」に月見をしたら、必ず「十三夜」にも月見をするものとされていました。
今年の「十五夜」は9月14日、「十三夜」は10月11日です。

2.十五夜のお供えもの

十五夜の晩には畑作物の他に、団子やまんじゅう、おはぎなどのお菓子をお供えし、ススキを飾るのが慣わしです。

≪畑作物≫

「十五夜」には芋類、「十三夜」には大豆や栗、これらと共にこの時期にとれた旬の野菜や果物をお供えすると良いでしょう。葡萄などのツルものは、月と人との繋がりが強くなるとして、縁起の良いお供えものとされています。
お供えものを下げていただくことは、神様との結びつきが強くなると考えられています。神様に召し上がっていただいた後は、旬の食材をおいしく料理していただきましょう。

≪お月見団子≫

月見といえばお月見団子、うさぎが月明かりの中でお餅をついている姿が目に浮かびます。
昔から、お月見の時には家族みんなでお供えの団子を作るのが慣わしでした。
団子は、こねて丸めるだけととってもカンタン!お供えの後には嬉しいおやつになります。
ぜひ、家族そろってお月見団子を作り、季節を愛でる行事を楽しんでください。

≪ススキ≫

お月見に飾られていたススキは、すぐに捨てたりせずに庭や小屋・水田に差していました。
ススキには、魔除けの力があると言い伝えられているからです。

3.十五夜を楽しむテーブルコーディネート

月見の茶会イメージ

日本人には、「四季」を通じて何か心に訴えかけるものを自然の中に見出す趣向があります。
テーブルコーディネートで風流な趣を表現する場合、旬の食べ物、器と盛りつけ、季節の草花などを整えると雰囲気が出ます。

4.「十五夜」ごはん

★栗おはぎ
~今年のお月見は団子だけでなく、手作りおはぎもお供えしてみては?!~

エネルギー 188kcal、たんぱく質 4.8g、脂質 0.6g、塩分 0.2g (あん1コ分)
エネルギー 201kcal、たんぱく質 6.8g、脂質 2.6g、塩分 0.2g (きな粉1コ分)
材料 分量:4人分
あん8コ・きな粉4コ
小豆 200g
砂糖 200g
少々
もち米 2カップ
2カップ強
小さじ1/4
10粒
(A)
きな粉 1/3カップ
砂糖 大さじ2~3

作り方

  1. 小豆は洗って一晩水に浸けます。
    (浸水しなくても良い)
  2. 1.を浸け汁ごと火にかけ、一度煮立てて湯をすて、再び水を加えて腹が割れるまでごく柔らかくゆで、5分間程ふたをして蒸らします。
  3. 2.をボウルを受けたザルで漉します。
  4. ザルの上に残った小豆はすり鉢ですり、ボウルに受けた汁は布巾で固く絞ります。
  5. 4.の一部を鍋に入れ、砂糖と塩を加えて煮溶かし、残りの生あんを加えて練り上げます。
  6. もち米は洗い、すぐに分量の水、塩と刻んだ栗を加えて炊きます。
  7. 6.を12コの俵型おにぎりに形作ります。
  8. 5.のあんの1/4量で4コのあんを丸め、残りは8コに丸めます。
  9. 4コのおにぎりの芯に小さいあんを包んで(A)をまぶし、残りのおにぎりは外にあんをまぶします。

★里芋と栗の中華煮込み
~お供えした里芋と栗を使った絶品おかず~

エネルギー 338kcal、たんぱく質 15.2g、脂質 12.4g、塩分 2.6g
材料 分量:2人分
鶏手羽元 4本
ネギ 適宜
しょうが 適宜
しょうゆ 大さじ1弱
里芋 200g
大さじ1/2
むき栗 6~8コ
鶏のゆで汁 300~400ml
(A)
大さじ1
砂糖 大さじ1
しょうゆ 大さじ1・1/2
ごま油 適宜

作り方

  1. 熱湯に手羽元を入れ、しょうがとネギを加えて10分程ゆでます。
  2. 1.の鶏肉に分量のしょうゆをまぶして下味をつけます。
  3. 里芋は皮をむいて適当な大きさに切ります。
  4. 深めのフライパンに油を熱し、2.の汁気をきって焼き付けるようにして炒め、分量のゆで汁と3.を入れて里芋が柔らかくなるまで煮ます。途中で栗を加え、(A)で調味します。
  5. 汁気が少なくなるまで煮て色よく仕上げ、好みでごま油をふります。

★菊花ときゅうりの酢の物
~菊の花の彩りと香りを楽しむ風雅な1品~

エネルギー 48kcal、たんぱく質 4.9g、脂質 0.4g、塩分 1.4g
材料 分量:2人分
菊花(食用菊) 1/2パック
適宜
きゅうり 1本
小さじ1/4
ちりめんじゃこ 1/4カップ(20g)
(A)
30ml
30ml
砂糖 大さじ1/2
小さじ1/4

作り方

  1. 菊花は花びらをちぎり、熱湯に酢を加えてゆでて水にさらします。
  2. きゅうりは薄切りにし、分量の塩をふってしんなりさせてから塩気を洗い流します。
  3. (A)で1.と2.、ちりめんじゃこを和えます。
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