文化講座
第8回 ベトナム社会主義共和国
前シリーズでは、気軽に作れておしゃれなもてなしレシピ、盛り付けのコツ、器の選び方、テーブルセッティングなどをご紹介しました。
シリーズ19回目の今シリーズでは、「世界のとっておきグルメ」というテーマで、世界各国を食べ歩いて料理研究に余念のない伊藤華づ枝が、食べて感動した料理や店をご紹介しております。
家庭で作れる現地レシピも併せてご紹介します。
第8回目の今月は、「ベトナム」です。
ベトナム社会主義共和国
ベトナムは、東南アジアのインドシナ半島東部に位置する、社会主義共和制国家です。 国土が南北に細長いのが特徴で、南シナ海に面しています。
<基本情報>
■首都:ハノイ
■人口:9,270万人(2016年)
■面積:32万9,241km
2(日本の90%)
■宗教:仏教・カトリック・カオダイ教など
■言語:ベトナム語
■時差:マイナス2時間 ベトナムが正午のとき、日本は同じ日付の14時(サマータイムはありません)
■通貨:ドン(VND) VND1=約¥0.0049、VND1000=約¥4.9(2017年9月現在)
ハノイ・ユネスコの世界遺産であるハロン湾
2008年10月
フエ
写真左:阮朝王宮にて
写真右:宮廷料理を食べました
2014年11月
南部の街・カントーの水上マーケット
2010年1月
ベトナムのリゾート地・ダナン
2014年11月
写真左:ホイアンの市場
写真右:ホイアン名物の昼食
2014年11月
ベトナムの民族衣装・アオザイ
アオザイとは、正装として着用されるベトナム女性の民族衣装のことです。
「アオ」は服、「ザイ」は長いという意味があります。
アオザイは元々男性の服でしたが、男性のアオザイいわばアオテーは、横のスリットはウエストまであり、全体にざっくりとして大きめです
20世紀前半に西洋の衣服のデザインをアオザイに取り入れて、女性が着るようになりました。
シンプルなものから豪華な柄が入ったものまで、種類がとても豊富です。
伊藤華づ枝のアオザイ姿
帰国後は、アオザイ姿でベトナム料理のレッスンを行ないました
ベトナムの食事情
ベトナム料理は、中国の文化やその後のフランス統治によるフランス文化などの影響を受けながら、独自に発展してきました。
スパイスを多用しないのであまりクセがなく、マイルドな味付けで、日本人の舌にも合いやすい料理です。
ココナッツミルクなど南国テイストの香りを好んだり、パクチー・バジルなどの香草類や生野菜をふんだんに用いる料理が多く、フォーや生春巻きなどは日本でも広く親しまれています。
レストラン「PHO24(フォー24)」
地元客からも支持されているフォーの専門店。ホーチミンに39店舗、ハノイに8店舗、日本(東京)にも3店舗あります
2012年11月
伊藤華づ枝作・フォー・ガー(鶏肉のベトナムうどん)
フォーはベトナム料理を代表する、平打ちの米粉麺です。
ガーは鶏肉を意味します。
鶏や牛肉などをのせ、たっぷりの野菜とともに食べます。
もやしやパクチー、バジルなどのトッピングが別皿で用意され、辛みや香りをテーブルでそれぞれの好みで加え、自分オリジナルの味に仕上げていくのも特徴です。
主食は米
20種類以上を扱うベトナムのお米屋
2000年3月
米の輸出量はインドに次いで世界第2位。「お米の国」としても有名なほど、米はベトナムの人々の生活にとってかかせないものです。
米を愛するベトナムの人々は、米粉を麺にしたり、皮にしたり...と、様々な工夫で米を変化させ、米の文化を発展させてきました。
「PHO24(フォー24)」の生春巻きと揚げ春巻き
米で作ったライスペーパーで野菜やエビを巻いて食べます。
2012年11月
伊藤華づ枝作・生春巻き
レストラン「インドシナ」
写真左:揚げ春巻がパイナップルに刺さって、出されました。
写真右:テーブルセッティングと筆者
2012年11月
ベトナム宮廷料理・フエ料理「ギースアン」
写真左:米粉の蒸しクレープ
写真右:生春巻きを持った筆者
2012年11月
野菜やハーブが豊富
市場の中の野菜売り場。手前にはドクダミの束が積まれていました。
2000年3月
ハスの実売りの前の筆者
2008年10月
南国フルーツが豊富
写真左:市場には山積みのフルーツが並んでいます。
写真右:ジャックフルーツがなっているところ。
2012年11月
市場でフルーツを購入し、ホテルの部屋で食べるのも、楽しみにひとつです。
写真のフルーツは、アメリカンチェリー・マンゴスチン・ジャックフルーツ・ライチ・ザボン・ランブータン・リュウガン
2012年11月
カントーで宿泊した「ビクトリアカントーリゾート」では、部屋にフルーツが用意されていました
2010年1月
フルーツのフレッシュジュースもとても美味しいです。
2012年11月
フランスの食文化の名残りで、バゲット・コーヒー・プリンなどが日常の食生活の中に定着
屋台のバインミー
バインミーとは、フランスパンにレバーペーストやハム、甘酢漬けの野菜、パクチー、唐辛子などを挟んだサンドイッチのことです。
ベトナムはフランスの統治下だったことがあり、フランスの食文化の名残りがあります。
2012年11月
レストラン「ベトナムハウス」のバイン・フラン(カスタードプリン)
ベトナムで最もポピュラーなデザートです。
牛乳の代わりに練乳を使います。
2012年11月
ベトナムでの買い物
市場
ベトナム最大の商業都市と呼ばれる、ホーチミンには大きな市場が3つあります。
- ベンタイン市場:中心部に位置するホーチミン最大の市場。
日用品から食料品、観光客向きのお土産など、何でも揃う市場です。 - ビンタイ市場:パワフルで庶民的な市場。多種多様な品物が安価に手に入ります。
- アンドン市場:布地の種類が多い事で知られています。別名「布市場」とも言われています。
ベンタイン市場の正面入り口に立つ筆者
2012年11月
市場では金額の書いていない商品があります。
その商品の金額は交渉次第!!
現地の人とのコミュニケーションを楽しみながら、値切り交渉に挑戦してみましょう。
値切るなら電卓は必須アイテムです。
市場では雑貨類が街中の店よりお値打ちに購入出来ます。
購入した箸・漆器・サンダル
バッチャン焼き
バッチャン焼きとはベトナムを代表する陶磁器。
ハノイから車で30分程の小さな村、「バッチャン」で作られています。
花など自然をモチーフにした絵柄の物が多く、素朴な風合いが特徴です。
テーブルクロス
フランスの統治下だったため、フランス手刺繍の上品なクロスが売られています。
ヌクマム
ベトナム料理に欠かせない調味料です。
魚で作ったしょうゆです。ヌクマムがおいしくないと、ベトナム料理の味は決まらないと言われています。

※食パンをめん棒でつぶすことで、油を吸う量を減らします
材料 | 4人分 |
エビ(正味) | 200g |
A | |
豚ひき肉 | 100g |
しょうが(おろす) | 1かけ |
ねぎ(みじん切り) | 1/2本(50g) |
塩 | 小さじ2/3 |
こしょう | 少々 |
うま味調味料 | 少々 |
卵 | 1コ |
片栗粉 | 大さじ2 |
ごま油 | 小さじ1 |
食パン(サンドイッチ用) | 6枚 |
片栗粉 | 適宜 |
揚げ油 | 適宜 |
作り方
- エビは殻をむいて背ワタを取り、包丁で粗く刻みます。
- 1.と(A)を合わせよく混ぜます。
- パンはめん棒でギュッと押して厚みを薄くして(脂っぽくならないように)片面に片栗粉を塗っておきます(ハケではたく)。
- 3.の片面に2.を塗り、上からも片栗粉をハケではたいて、油で揚げます。
- 4等分又は棒状に切ります。

※チェーとは、日本のぜんざいのようなものを意味します
材料 | 4人分 |
でん粉麺 | 20g |
タピオカ(小粒) | 40g |
ココナッツパウダー | 50g |
湯(70℃位) | 600ml |
バナナ(中) | 2本 |
グラニュー糖 | 50g |
生クリーム | 50ml |
ピーナッツ(粗く刻む) | 適量 |
ミントの葉(あれば) | 適宜 |
作り方
- でん粉麺はキッチンバサミで5cm程度の長さに切り、沸騰した湯に入れて火を止めてフタをし、15分間程蒸らします。
- タピオカも沸騰した湯に入れて火を止め、フタをして30分間蒸らします。
- ココナッツパウダーに分量の湯を入れ、もむようにして香りを出し、鍋に漉し入れます。
- 3.に2.を入れて沸騰させ、10~12分間煮てからでん粉麺と1~2cm程度の長さの輪切りにしたバナナ、グラニュー糖を入れ、バナナの角が取れる程度に2~3分間煮ます。
- 4.に生クリームを入れ、手早く煮て仕上げます。
- 5.を器に盛り、刻んだピーナッツを散らし、あればミントの葉を添えます。