文化講座
第4回 イタリア共和国(ベネチア&ローマ&ナポリ&カプリ島&シチリア島)
前シリーズでは、気軽に作れておしゃれなもてなしレシピ、盛り付けのコツ、器の選び方、テーブルセッティングなどをご紹介しました。
シリーズ19回目の今シリーズでは、「世界のとっておきグルメ」というテーマで、世界各国を食べ歩いて料理研究に余念のない伊藤華づ枝が、食べて感動した料理や店をご紹介しております。
家庭で作れる現地レシピも併せてご紹介します。
第4回目の今月は、「イタリア共和国」です。
イタリア共和国
イタリアは「ロスティバル」と称されるブーツ状の国土が特徴のイタリア半島、および地中海に浮かぶ島(サルデーニャ島・シチリア島など)からなります。
20の州があり、文化・経済共に先進国です。
ヨーロッパの中でも特に"食"への関心が高く、テーブル周りの品々もおしゃれなものが揃います。
家庭の味を大切にする料理や、美しい景色をご紹介します。
<基本情報>
■首都:ローマ
■人口:6,700万人(2016年・日本の約半分)
■面積:301,230km2(日本の約5分の4)
■宗教:キリスト教、イスラム教(カトリック教が約8割)
■時差:マイナス7時間 イタリアが正午のとき、日本は午後5時
(3~11月まではマイナス8時間、イタリアの方が遅れています)
■通貨:ユーロ 1€=約¥128.5(2017年8月現在)
イタリアは、大きく北部・中部・南部に分かれます。
北部:主な都市は、トリノ・ジェノバ・ミラノ・ベネチア・ボローニャ
中部:主な都市は、フィレンツェ・ペルージア・ローマ
南部:主な都市は、ナポリ・ポンペイ・シチリア島
イタリアの食事情
「食」への関心が高い、イタリアは「スローフード運動」発祥の地
- 1986年、イタリアのピエモンテ州の小さな村「ブラ」で創立された国際スローフード協会は、今や世界中に会員がいるNPO団体です
- 「ファストフード」のような大量生産の画一した味に対抗し、質の良い素材・郷土料理の伝承などを、守り続けようという思いを込めて活動が始まりました
スローフードとは?
スローフードとは、「ファストフードの対義語」です。
「せかせかしたり、添加物が多かったりというものではなくて、ゆったりと体にいいものを食べましょう」ということです。
- 消えていく恐れのある伝統的な食材や、質のよい食品、酒を守ること
- 質のよい素材を提供する小生産者を守ること
- 子どもたちを含め、消費者に味の教育をすること
ベネチア
「水の都」と言われ、魚介類が豊富です。
ベネチア市街を望む
2004年11月
ドゥカーレ宮殿(ベネチア共和国の政治の中枢があった建物)の前で
2014年2月
魚市場
ベネチアの食を支える市場で、アドリア海の新鮮な魚介が並んでいます。すべて生鮮で、冷凍物は1つも置いていませんでした。魚以外に野菜や果実、肉類も並んでいます
2014年2月
チーズ屋
老舗のチーズ屋は何店舗かあります。
チーズは日本で購入するより安く、オリーブや生ハムなども絶品です。
2014年2月
ハリーズバー
ピーチのカクテル「ベリーニ」と「カルパッチョ」の発祥のお店
2014年2月
ベリーニとは
白桃のピューレにイタリアのスパークリングワイン「プロセッコ」を加えたピンク色のカクテル。
カルパッチョとは
白い器に薄くスライスされた鮮やかな赤身の生肉が敷き詰められ、白いクリーム状のドレッシングソースが縦横に細かく格子を描くようにかかれた料理。
「カルパッチョ」とは、ベネチアの有名な画家の名前で、白と赤の色が鮮明に使われている絵が多いことから、この名がつきました。
伊藤華づ枝作 ベリーニ
ホテル「ダニエリ」
ベネチア共和国時代の14世紀建造の宮殿でした。多くの著名人が訪れる5つ星ホテルで、内装は豪華絢爛です。
2014年2月
星つきレストラン
「オステリア・ダ・フィオーレ」
ベネチア随一と評判のレストラン。
2004年11月・2016年10月
ローマ
イタリアの首都で、古代ローマ文明発祥の地です。
2000年余の歴史と文化を映す「永遠の都」と讃えられています。
トレヴィの泉
有名な観光名所で、後ろ向きにコインを泉へ投げ入れると願いが叶うといういい伝えがあります。
2014年2月
市場「カンポ・デ・フィオーリ」
ローマの中心地にありながら、庶民的な市場。
野菜や果実、肉類、チーズ以外にもパスタや皮製品、お土産ものなどが売られています。
2014年2月
スーパー「イータリー」
2012年にオープンした、質の良い食材が並ぶスーパーです。4階建てで、中には料理教室やフードコートなどもあります。
2014年2月
「イータリー」で購入した食材を、部屋で食べるのもおすすめです
レストラン「リスランテ・アラ・ランパ」
スペイン広場の近くにある店で、前菜は20種類以上の中から選ぶビュッフェ形式で楽しめます。
2014年2月・2016年10月
ティラミス専門店「ポンピ」
ローマで一番有名な店です。
2014年2月
伊藤華づ枝作 抹茶のティラミス
ナポリ
豊かな自然に恵まれ、イタリア料理の代表である、トマト料理の発祥地です。
海に面しているため、魚介類も豊富にあり、南イタリア最大の都市です。
ポンペイ遺跡
ナポリの近郊にあった都市ですが、紀元62年に大地震、紀元79年に火山の大噴火が起こり、火山灰に埋もれた街です。
18世紀に発掘され、現在は世界遺産として観光地になっています。
2009年3月
市場や高級スーパー「グラン・グースト」で買い物
市場やスーパーには鮮魚や野菜、生ハムやチーズなど並んでいます。
2014年9月
ナポリの食と言えば、「ナポリピッツァ」は外せません。
イタリア語では「ピッツァ・ナポレターナ」と呼ばれ、ナポリでは伝統的な材料や製造方法が「真のナポリピッツァ協会」と「ナポリピッツァ職人協会」で定められています。
ナポリピッツァの特徴は、ピッツァの縁の部分が厚く、空気が熱で膨張して風船のように膨らんでいることです。
1番有名な種類は「マルゲリータ」で、マルゲリータ王妃にちなんで名づけられました。
トマトの赤・モッツァレラチーズの白・バジルの緑が、イタリアの国旗を表しているようだと、王妃が気に入ったことが由来とされています。
伊藤華づ枝がイタリア・ナポリを食べ歩き、特にピッツァが美味しかったおすすめ店を4店舗ご紹介します。
ピッツェリア「ブランディ」
1780年創業のマルゲリータ発祥の有名店。
店内の釜で1枚ずつ焼かれたピッツァはもちもち食感です。
2014年9月・2016年10月
レストラン「エウロペオ・ディ・マットッツィ」
ここのマルゲリータは、生ポルチーニ茸がのっていました。
ビュッフェ形式の前菜は、どれも絶品です。
レモンのシャーベットは、レモンの皮に入って爽やかな味わいでした。
2014年9月・2016年10月
伊藤華づ枝作 レモンのシャーベット
ピッツェリア「ダ・ミケーレ」
映画「食べて、祈って、恋をして」で、ジュリア・ロバーツがピザをほおばっているシーンが撮られたお店です。
メニューは写真の手前がマルゲリータ・奥はマリラーナ(トマトソース・にんにく・オレガノのシンプルなピッツァ)の2種類のみです。
2014年9月・2016年10月
ピッツェリア「ディ・マッティオ」
水牛モッツァレラのマルゲリータとクアトロ(4種の具のピッツァ:マルゲリータ・マッシュルーム・ハム・ナス)を食べました。
2014年9月・2016年10月
カプリ島
ナポリからフェリーで約40分の位置にある島です。
レモンが特産物のため、「レモンの島」とも呼ばれています。
海の青さに感動します。
食器屋「SEA・GULL」
貝殻や珊瑚、レモンをモチーフにした食器がたくさん売られています。
2014年9月・2016年10月
伊藤華づ枝が購入した食器類
レストラン「Le Camerelle」
カプレーゼはカプリ島で生まれた前菜のひとつで、直訳すると「カプリ島のサラダ」です。
スライスしたトマトとモッツアレラチーズに、オリーブオイルと塩で味つけし、バジルを添えた料理。
2014年9月
シチリア島
イタリアの先っぽのすぐ横にある島です。
島中にオリーブ、ぶどう、柑橘類が実っており、イタリア料理には欠かせない食材ばかりです。
市場で買い物
イタリアは冷凍食品や出来合いの料理を嫌うため、鮮度の良い食材ばかりが売られています。
2015年7月
シチリアで日本料理を指導しました。
外交官ファミリーや地元の人たちに、裏巻き寿司・魚の照り焼き・茶碗蒸しなどを教えました。
2015年7月
レストラン「クアトロベンティ」
トンノ(マグロ)の冷製スパゲティやグリルポークの燻製・ピーチソースを食べました。
2015年7月
伊藤華づ枝作 マグロの冷製スパゲティ
伊藤華づ枝作 スモークポークのピーチソースがけ
食器屋「セラミカ・デ・シモーネ」
シチリア島の代表的な食器「デ・シモーネ」を売っている店。
デ・シモーネは、ピカソと一緒にアートを学んだ芸術家のジョヴァンニ・デ・シモーネが創始者です。
2015年7月
伊藤華づ枝が購入した食器
※ポルペッテは、イタリアの郷土料理で「イタリア風の肉団子」という意味です
材料 | 48コ分 |
ブロッコリー | 1株(340g) |
A | |
牛ひき肉 | 120g |
卵 | 1コ |
生パン粉(又はドライパン粉) | 20g |
パルメザンチーズ(粉) | 40g |
塩 | 小さじ1/2 |
白こしょう | 少々 |
ドライパン粉(細かめ) | 適宜 |
揚げ油 | 適宜 |
作り方
- ブロッコリーは小房に分けて塩茹でをし、水に取ります。冷えたら水気を取り、刻みます(又はフードプロセッサーにかけます)。
- ボウルに1.と(A)を入れてよく練り、48コに丸めます。
- 2.にドライパン粉をまぶし、中温の油で色よく揚げます。
※写真には青味を添えました
※イタリアの代表料理で、米をバターで炒め、きのこや肉、魚、貝などとスープを加えて炊いた料理
材料 | 4人分 |
ポルチーニ茸(乾燥) | 10g |
A | |
くず野菜(玉ねぎやにんじんなど) | 適宜 |
固形スープの素(チキン味) | 1コ |
水 | 1600~1800ml |
玉ねぎ | 1/4コ(60g) |
ベーコン | 2枚(40g) |
オリーブ油 | 大さじ2 |
バター | 15g |
無洗米 | 1・1/2カップ(240g) |
ポルチーニ茸の戻し汁 | 200ml |
パルメザンチーズ(あれば塊をおろす) | 大さじ4(15g) |
塩 | 小さじ1/3 |
白こしょう | 少々 |
飾り用パルメザンチーズ | 適宜 |
グリーンアスパラガス | 2本 |
作り方
- ポルチーニ茸は、ひたひたにかぶる位のぬるま湯に約10分間程浸して戻します。戻ったら2~3cm長さに切ります(戻し汁は米を煮る際に使用します)。
- 鍋に(A)を入れて2~3分間煮て、多めのブイヨンを作ります。
- 玉ねぎはみじん切り、ベーコンは細切りにします。
- 鍋に油とバターを入れて、3.を炒めます。そこにサッと洗った米と1.を入れて炒めます。
- 4.にポルチーニ茸の戻し汁を加え、中強火で炊きます。米の表面に水分がなくなったら2.を適宜(約800ml)徐々に足し、焦げ付かないよう鍋の底を時々かき混ぜ約20分間煮ます(ブイヨンが残ったら他の料理などに使うと良い)。
- 火を止めてパルメザンチーズを加え、塩とこしょうで味を調えます。
- 6.を器に盛ってパルメザンチーズをちらし、茹でたアスパラを添えます。
※写真はアスパラの代わりに、そら豆を添えました