文化講座
第3回 秋のお菓子その2 ~マロンロールケーキと五平餅~
前シリーズでは「日本全国食べ歩き~郷土の味を求めて~」と題し、筆者が全国各地を食べ歩いて研究した郷土の味、その土地の人々から愛されてきた逸品を、作りやすいレシピと共にご紹介しました。今シリーズでは、お菓子の歴史やその名前の由来、誕生秘話などを取り入れながら、家庭で作りやすいスイーツレシピを毎月2点ずつご紹介しています。
第3回目は、先月の「秋のお菓子その1」に続き、「秋のお菓子その2」マロンロールケーキと五平餅のご紹介です。
1.マロンロールケーキ
秋の味覚、マロンロールケーキをご紹介します。
いわゆるモンブランをロールケーキに仕立てました。
<モンブランとは>
栗をふんだんに使ったケーキで、フランス語で「白い山」を意味します。
フランスとイタリアの国境に位置する、アルプス山脈の最高峰モンブランから名づけられました。
カップ状のスポンジ生地やタルト生地の上に、マロングラッセ(栗の砂糖漬け)をつぶしてペーストにしたものを、細い口金でらせん状しぼり出して作ります。

モンブラン用の口金
モンブランの原型は、甘い栗のペーストに、泡立てた生クリームを添えた家庭のお菓子でした。
このお菓子がパリに伝わり、更に洗練されて現在の形になったと言われています。
その後、日本にモンブランが伝わりました。
日本のモンブランの始まりは、茶色のモンブランではなく、栗をくちなしで黄色く染めたいわゆる栗の甘露煮から作られたので、日本独自の黄色いモンブランとなりました。
日本にモンブランを広めた、自由が丘にあるケーキショップ「モンブラン」の初代店主が日本人の口に合うように考案し、全国に広まったとされています。
<ロールケーキとは>
薄く焼いたスポンジケーキにクリームやジャム、細かく切ったフルーツなどをのせて渦巻き状に巻いたケーキのことです。
ロールケーキとは英語読みで、フランスでは「ルーロー」や「ルラード」と呼ばれています。
通常のスポンジケーキより焼き時間が短いため、手軽に作ることが出来ます。

伊藤華づ枝作
フルーツロールケーキ
(いちごと抹茶のロールケーキ)

伊藤華づ枝作
フルーツロールケーキ
(ロールケーキを輪切りにした上にフルーツを飾りました)

伊藤華づ枝作
ロールケーキを応用した「ブッシュ・ド・ノエル(クリスマスの薪を意味するケーキ)」

※モンブランをロールケーキに仕立てました
材料(1本分 サイズ28cm×24cm天板の1枚分) | 分量 |
《スポンジ生地》 | |
卵 | 3コ |
グラニュー糖 | 60g |
バニラエッセンス | 少々 |
薄力粉 | 60g |
ココアパウダー(無糖) | 5g |
サラダ油 | 大さじ3 |
《シロップ》 | |
水 | 大さじ2 |
グラニュー糖 | 大さじ1 |
ラム酒 | 小さじ1 |
《クリーム ※中に入れる用&仕上げ用》 | |
A | |
生クリーム | 150ml |
グラニュー糖 | 15g |
ラム酒 | 小さじ2 |
栗の渋皮煮(細かく刻む)※1コを18等分くらいに切る | 4コ(60g) |
《マロンクリーム ※トッピング用》 | |
和栗ペースト | 230g |
牛乳 | 80ml |
《トッピング用》 | |
栗の渋皮煮 | 4コ |
アーモンドダイス(焼いたもの) | 大さじ4 |
セルフィーユ | 4枝 |
作り方
《スポンジ生地》
- 卵とグラニュー糖を大きめのボウルに入れ、湯せんで6~7分間を目安にハンドミキサーを使ってしっかりと泡立てます。途中でバニラエッセンスを加えます。
- 1.に薄力粉とココアをふるって加え、粉が見えなくなるまで手早く混ぜます。
- 2.の生地の一部を別のボウルに取り分け、ぬるま湯に浮かべて温めておいたサラダ油を加え、さっくりと丁寧に混ぜます。
- 3.を2.に戻し入れ、さっくりと混ぜ合わせます。
- オーブンペーパーを敷いた天板に4.を流し入れ、180℃のオーブンで12分間程焼きます。
- 焼き上がったら、濡らしたキッチンペーパーをかぶせて冷まします。
- 生地が冷めてから、焼き目のある方を上にしてシロップを刷毛で塗ります。
《シロップ》
- 水とグラニュー糖を耐熱容器に入れて、電子レンジにかけます。(500wで40秒程度)
- グラニュー糖が溶けた事を確認し、冷まします。
- 冷めてからラム酒を入れます。
《クリーム ※中に入れる用&仕上げ用》
- ボウルに(A)を入れ、氷水にうかべながら泡立てます。(8分立てくらい)
- 泡立てたクリームのうち、2/3量をロールケーキの中身に使用し、1/3量は最後の仕上げ用として使用します。
《マロンクリーム ※トッピング用》
- 和栗ペーストをボウルに入れ、固さを見ながら少しずつ牛乳を加えて、泡立て器で混ぜ合わせます。
- モンブラン用の口金をつけた絞り袋に入れます。
《仕上げ》
- 新しいオーブンシートの上に焼き上がったスポンジを焼き目のある方(シロップを塗った方)を上にしてのせ、泡立てたクリーム2/3量と細かく切った栗の渋皮煮を並べ、ロール状に巻きます。
- 1.を適当な厚さに切り分けます。(時間がある時は冷蔵庫で2~3時間休ませると切りやすくなります)
- 残りの生クリーム1/3量を使用してロールケーキの上部1/2に塗り、アーモンドダイス、マロンクリーム、栗の渋皮煮、残りの生クリーム、セルフィーユを飾ります。
<栗の栄養素>
強い抗酸化作用のあるビタミンCを含み、疲労回復効果や風邪予防、美肌効果が期待出来ます。
栗のビタミンCはでんぷん質に覆われているので、加熱しても壊れにくいのが特徴です。
渋皮にはポリフェノールの一種で抗菌作用を持つタンニンを含むため、細菌やウイルスの繁殖抑制やコレステロール値や血糖値の低下に役立ちます。
<名古屋で購入するなら...>
★レニエ・グランメゾン(本店)
名古屋市西区五才美18-2
名古屋駅前のJR高島屋の地下1階にも販売店(レニエ・リヴゴーシュ)があります。
和栗を使ったモンブランは絶品です。

レニエの中津川モンブラン
2.里芋入り五平餅
五平餅とは潰したご飯を串焼きにしたもので、餅菓子の一種です。
長野県の南部(木曽・伊那地方)、岐阜県の山間部、愛知県の三河地方の郷土菓子です。
味噌や醤油をベースにごまやクルミを入れたタレを塗ったもので、形は楕円形や団子形のものがあります。
<名前の由来>
神道において、神様に捧げる「御幣」の形をしていることから、この名前がついたとされています。
他に「五兵衛さん」という人が、潰したご飯に味噌をつけて食べたことが始まりという説もあります。

※里芋を入れることでもっちりした食感が出ます
材料(6~8本分) | 分量 |
米 | 2カップ |
里芋 | 400g |
塩 | 小さじ1/2 |
A | |
白ごま | 大さじ2・1/2弱 |
クルミ(渋皮付き) | 35g |
しょうゆ | 大さじ3・1/2強 |
砂糖 | 大さじ6 |
みりん | 大さじ1強 |
割りばし | 6~8本 |
作り方
- 米は洗って普通の水加減をし、1時間程浸水します。
- 里芋は洗って皮をむき、5mm厚さの輪切りにして塩をまぶします。
- 1.の上に2.をのせて炊きます。
- 炊き上がったらボウルなどに入れ、すりこぎで潰します。
- すり鉢に香りよく炒ったごまを入れてよくすり、クルミも加えて更にすり混ぜます。調味料を徐々に加えてすりのばし、タレを作ります。
- 4.が7分つきになったら6~8等分してラップの上にとり、ぬらした割りばしを中心にして楕円形に平たく形を作ります。
- 温かいうちに250℃のオーブンで3分間焼きます(冷めた場合は一度電子レンジで温めてから焼きます)。
- 両面にハケで5.をぬり、少し焦げ目がつく程度(約8分間程)に焼きます。
<里芋の栄養素>
里芋の独特のぬめりには糖たんぱく質、ガラクタン、グルコマンナンなどの腸内環境を整える成分があり、便通を良くして便秘・生活習慣病・肥満などを予防します。
<おいしい五平餅が食べたい人は...>
★中津川名物・五平餅の専門店「おふくろ」
岐阜県中津川市太田町2-4-12