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ハーブと精油でつくる家庭の薬箱

一般社団法人アロマハンドトリートメント協会代表理事
木之下 恵美 Megumi kinoshita

ハーブと精油で更年期対策 その3

更年期時期の不調は様々で、それゆえその時々の不調への細かな対処が大切になってきます。症状としては、のぼせ、異常発汗、寝汗、イライラ、耳鳴り、めまい、不眠、抑うつ、肩こり、手足のしびれ、腰の痛み、下半身の冷え、免疫力低下、アレルギーなど様々で、ひとによってそれぞれ異なります。

そのため、それぞれの不調に合わせて精油やハーブを用いると、より効果的です。レモンやメリッサの精油は、めまいによい芳香浴や吸入になりますし、不眠にはローズオットーやフランキンセンス、スイートマジョラムなどでマッサージオイルや芳香浴をしたり、寝汗にはサイプレスの沐浴や芳香浴というように、様々な症状に様々な精油を使用します。また、思いもかけない精油がその不調を改善することもあります。

更年期時期に不眠に悩むAさんの場合
ローズマリー(Rosmarinus officinalis)精油は、カンファー、シネオールなど刺激性のある成分を含み、神経の活性をもたらすタイプの香りであるとされています。血行促進、消炎作用、鎮痛作用、鼻づまりを緩和し呼吸をスムーズにする作用が知られます。ローズマリー精油は、精神的な効能としてはリフレッシュタイプと考えられます。
ある時、更年期の診断を受けた不眠症状のAさんが、アロマテラピーも効果的だと聞いて、アロマテラピーショップに立ち寄り、いろいろな香りを嗅いで試したところローズマリー精油をとても気に入り、購入しました。
そして、Aさんはローズマリー精油を枕元にたらして就寝したり、沐浴時に浴槽に数滴たらして入浴しました。すると不眠が改善し、朝、寝起きもよくなりました。
更年期時期のAさんの不眠にローズマリーがよいことは、アロマテラピストも医師も気づきませんでした。けれど、Aさん自身がAさんの嗅覚を通してローズマリー精油から教えられたようです。必要なものが何で、何を足すとその不調を改善できるのか・・・。
Aさんがローズマリーを選んだ時、Aさんの本能が理解した必要な香りの有効成分によって、Aさんの更年期の不調は、血行を促進し、炎症を鎮め、鼻のとおりをよくすると楽になる状況だったのかもしれません。もしくはもっと深く複雑な理由であった可能性すらあります。
アロマテラピーで使用する精油の特性だけではなく、不調時に実際に香りを嗅いで、脳に伝わる香りの信号が自律神経や免疫、ホルモンに作用することによって、自然に身体とこころがバランスを取り始めることもあります。
嗅覚は、疲労しやすい感覚器ですから、数多くある店頭の香りのボトル(精油)を端から香りを嗅ぎ分けていくことはできませんが、うまくするとAさんのように症状を改善することができることもあります。もちろん、このような場合ばかりではありませんし、どちらかというとある程度、精油成分の特性を知り、そこで選ばれたいくつかの中から、香りと使用方法を選びます。

ハーブティーはどうでしょうか。新鮮なハーブ(乾燥したものももちろん新鮮なものにしましょう)にお湯を注いで、温かいものを飲用するハーブティーは、飲用時に蒸気とともに、そのハーブの香気成分を吸入することができますから、アロマテラピー効果が穏やかですが期待できます。また、ハーブの水溶性の有効成分を飲用することによって、その効能を得ることができます。

たとえば、頭部の異常発汗には、ペパーミントとレモンバーベナのブレンドハーブ ティー、抑うつ気味な症状には、ダマスクローズとローズガリカにパッションフラワーなどをブレンドしてみてはいかがでしょう。それともオレンジフラワーとレモンバーベナなどもおいしいですよ。胃腸の不調が気になる時は、ブルーマローにローズのケンティフォリア種などがおすすめです。

なかには、女性ホルモン様の働きをするため更年期症状に効果を発揮するものの子宮筋腫や卵巣囊腫などがある場合は禁忌となるハーブもありますので、分からない時は専門家に相談されるほうがよいでしょう。上記のハーブティーは、お薬との併用や不調の状態に関わらず内服してもかまいません。
*ただしカリウムや水分の摂取制限、アレルギーなどの懸念は省きます。

ハーブティーもアロマテラピーもその時々に応じて使用すると、不定愁訴と呼ばれる多くの不調が考えられる更年期を快適に過ごす手伝いになります。まずは、好きな香りを選び、次にその香りの特性を調べてみると、必要なケアが見えてくることがあります。まずは、香りを嗅いでみませんか。合成されたものや安定させたものではない本当に天然の香り成分を試してみましょう。魅かれる香りはありませんか。見つけたら、その香りの特性から、ハーブティーを選んでみてはいかがでしょう。知らなかった自分の満ち欠けがみえてくるかもしれません。更年期や月経前緊張症は、それを教えてくれるための自然の恵みになるでしょう。

さて、更年期によいハーブとアロマテラピーのお話を少々つづけてまいりましたが、『簡単で奥の深いハーブとアロマテラピー』をぜひ、皆さんもすこしずつ学んで日々の健康に役立ててくださいね。

環境省認可法人(社)日本アロマ環境協会インストラクター
初穂香房主宰
Lavozouアロマテラピー講師
栄中日文化センター講師
1995年よりアロマテラピー講師として活動
ホームページアドレス  http://www.lavozou.com/index.html


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