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インターネット公開文化講座

文化講座

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ハーブと精油でつくる家庭の薬箱

一般社団法人アロマハンドトリートメント協会代表理事
木之下 恵美 Megumi kinoshita

ハーブティーあれこれ話Ⅰ

  

2010年 新しい年へ
2010年、21世紀へのカウントダウンから10年目を迎える今年ですが、いつもと同じようにカレンダーは新たな年を刻み始めています。流れる時を追いかけることもできないまま、過ごしてしまわないように望遠レンズで眺めながら決めた一点に焦点をあわせていく年にしていきたいと今年の初めに思いました。忙しさとはこころのあり方を言う言葉ですが、なかなか流されることが多く忙しいこころのままで歩き続けてしまいがちです。望遠レンズと一点を交互に見ながら毎日を過ごす中に、ハーブとアロマテラピーを大切に使っていきたいと思っています。

ハーブティーとは、人体にとってなんらかの効能を期待させる薬草を、お湯を用いてお茶のように服用して楽しむものです。ベルベーヌ(別名:レモンバーベナ)はナイトハーブとして有名です。ベルベーヌだけで飲んでもおいしいのですが、オレンジフラワーやレモンバームとブレンドすると神経疲労やストレス性の胃腸炎にもよいハーブティーとなります。 ブルーマローはナイーブなハーブで、花に含まれるアントシアニンという成分により、ハーブティーが深みのある青色を呈します。数十秒もしないうちに紫へ、そしてピンクへ、そして夜が明けるようにその色はほどける様に消えていきます。ブルーマローはお湯を注いだ瞬間から楽しめるハーブです。 ハチミツを入れるとピンクに変化します。
ハーブティーの効能とはいったいどのようなものでしょうか。毎日楽しみながら飲むことによって体質改善したり、不足しがちなビタミンやミネラルを補給することが中心になります。また、カフェイン飲料や薬剤などの摂取過剰が気になる方へそれらをコントロールするためのツールとしても効果的だと思われます。多くの場合が急激な変化や悪影響は考慮する必要がないのですが、薬剤との併用に気をつける必要のあるものもあります。

ハーブティーと禁忌
普段から同じハーブティーを何種類か飲む時、特別治療が必要な状態であったとしても、だれでも飲みやすいハーブティーを少しお話しましょう。たとえば、先ほども述べましたが、ブルーマローなどは咳や粘膜の炎症によく、胃腸の調子が悪い時や咳でつらい時、リラックスしたい時、目をよく使う方にお勧めしたいハーブです。またローズケンティフォリアローズガリカは、便秘や炎症全般によく、リラックス効果も期待できます。オーバーワークで疲れたこころとからだに最適なハーブティーです。カモミールジャーマンもまた飲みやすいハーブのひとつです。こころを緩め、身体を温めてくれ、こわばった心身を解きほぐします。メリッサ(別名:レモンバーム)もやさしいハーブです。アレルギーや胃腸の不調に効果的でお茶のように飲みやすいハーブティーです。ローズヒップハイビスカスもビタミンCの補給にとてもよいハーブティーです。酸味があり目を覚まし元気を取り戻すためにもよいですし、こちらも整腸作用と便秘に対する効果が期待されます。ストレスや疲労が気になる方におすすめしたいハーブティーです。まだまだいろいろなハーブがハーブティーとして楽しめます。どこの国からやってきたハーブティーなのか、どんな効果が期待されるのか、どんな味なのか、ハーブティー以外の楽しい使用方法はなにかあるのか、などと考えてみるのも楽しいものです。透明のガラス瓶に詰め込んだハーブティーはちょっとしたオブジェにもなりますね。 産地ごとにわけたハーブティーのブレンドを楽しむのもいいですね。

さて、話はかわりますが今回は気をつけて使用するべきハーブティーについても触れてみましょう。
ただし、禁忌のあるハーブもその効能をうまく使用すると大変効果的になることも頭の片隅に置いておいてください。

ハーブティーと禁忌
日人の三大死因は、悪性新生物(癌)、心疾患、脳血管疾患ですが、ワースト三のうち、特に心疾患と脳血管疾患は生活習慣病に起因することも多く、高血圧、高脂血症、動脈硬化、糖尿病などが引き金となることが多い疾患です。またこの場合、抗血栓剤(抗血液凝固剤)を服用することも多いようです。
日本人の死因のトップを占める疾病とそれに付随する薬剤を知ることは、ハーブを内服することを望む場合、上記の不調をお持ちの方におすすめしたいハーブと、禁忌のハーブを知っておくことはとても大切になります。ただしハーブは自然の産物であり、アロマテラピーを学んでこられた皆さんはお分かりだと思うのですが、その成分の組成比率は均一ではないことと、自然の知恵は制覇するものではなく、完全な自然という均衡からこぼれ落ちる英知を学ぶことにあるため、人類は日々新しいことを自然(ハーブ)から教えられているという畏敬を持って接しなければなりません。ハーブの英知は明日また新たな真実をわたしたちに投げかけてくるかもしれないのです。

抗血栓薬とハーブ
これらのことを心に留めた上で、抗血栓薬を使用している方に用いてはいけないハーブをみてみましょう。
たとえば、ワルファリンは、主に血栓の治療や脳梗塞の防止を目的に用いられる抗血栓剤です。非常に強い新薬ですから、多くの医療品やハーブ、ビタミン、食品とのかね合わせを避けなければなりません。 特に、抗血液凝固作用を示すハーブと併用すると、ワルファリンの作用を増強しすぎることがありますからこれを避けます。また、サリチル酸誘導体を含有するハーブとの併用はその作用を相殺してしまいます。

抗血液凝固作用を示すハーブ
ワルファリンを使用している場合避けることをおすすめします。
レッドセージ(Salvia miltiorrhiza)、デビルスクロー(Harpagophytum procum-bens)、
トウキ(Angelica sinensis)、ニンニク(Allium sativum)、ショウガ(Zingeber officinale)、
ムラサキツメクサ(Tri-folium pretense)、セイヨウクルマバソウ(Galium odoratum)、
フィーバーフュー(Tanacetum parthenium)

サリチル酸誘導体を含むハーブ
ワルファリン使用時はその作用を阻害するため使用しません。
メドウスウィート(Filipendula ulamaria)、ホワイトウィロー(Salix alaba)、
ウインターグリーン(Gaultheria procumbens)

それ以外の禁忌ハーブとして
セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)は、ワルファリンの吸収を抑制する可能性があるため使用を控えるほうが良いとされます。ただし、これはまだはっきりと解明されていないため判明しだいの判断となりますが。

いくつかのハーブには、禁忌事項のあるものもあります。人間にとって必要ななにかをもっているので薬草=ハーブなのですが、薬との併用があるときは必ず専門家に聞いたほうがよいハーブを少し上げてみました。上記禁忌の項にあげたハーブを薬と一緒に使用するときは、信頼のできる専門家に聞いて使用しましょう。

環境省認可法人(社)日本アロマ環境協会インストラクター
初穂香房主宰
Lavozouアロマテラピー講師
栄中日文化センター講師
1995年よりアロマテラピー講師として活動
ホームページアドレス  http://www.lavozou.com/index.html


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