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インターネット公開文化講座

文化講座

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ハーブと精油でつくる家庭の薬箱

一般社団法人アロマハンドトリートメント協会代表理事
木之下 恵美 Megumi kinoshita

ローズマリーと若返り

  

ハーブの薬効成分
ハーブを日本語にすると薬草ですね。新薬と比べてハーブはなにが異なるのでしょうか。新薬は人間がひとつの成分にその有効性を知り、その有効成分を用いるものです。ハーブは有機(命を持つもの)で、それ自体に自然のバランスを持っています。その知られる成分のみを取り出してみると人体には有害もしくは刺激が強いものであっても、ハーブそのままであると、私たちにとって良い効果を副作用なく享受することができます。ただし新薬を用いてその不調を改善している場合、ハーブは副作用もしくはその薬効を相殺することがあります。またハーブ同士の相性もありますので、古くからの使用方法と現代科学で明かされたことごとをあわせて考えるほうがよいこともあります。

ハーブの歴史
ハーブは、人間の歴史とともにあり、それは医学や宗教、食や衣服においても、多くの影響を与えてきました。歴史に残るハーブの変遷は、古代エジプト・ローマ時代の賢人たちの知恵を受け継ぎつつ、その頃は伝えられることのなかったアルプス以北のハーブが8~9世紀には多くの修道士らによってもたらされました。
その後ハーブは修道院で古代の知恵と共に受け継がれていきます。修道院の治療医学は8~13世紀にドイツのヒルデガルドフォンビンゲンによる書物や、そのほかの医学書に書かれ受け継がれていきました。
20世紀以降のわたしたちの暮らしの中では、それまで培われたハーブ医学を家庭に受け継ぎ 活用しています。また、医学的・科学的な根拠といった現代社会の物差しによって明かされ、現代を生きる私たちに、より確信と信頼をハーブに持たせてくれます。生薬という言葉は、11世紀から14世紀ごろ使われていた中高ドイツ語の『drög』(乾燥させる)を語源とします。ハーブ(薬草)を刻み、すりつぶし、調合を行っていた乾燥貯蔵部屋が、やがて薬局となります。

みなさんもご存知のハーブであるクラリセージ=Salvia sclareaやホワイトセージ=Salvia officinalisの『salvia』は「治療する」という意味を持ちます。『officinalis』も「薬効性のある」という意味を持ちます。どちらもどんなハーブをあらわす学名かおわかりですね。答えはクラリセージとホワイトセージです。

薬草医学(ハーブ医学)で使用されるハーブは学名によって、その特性や効能が判断しやすいものが多くあります。Rosmarinus officinalisもそのひとつですね。薬効性のある海の(marinus)、しずく(ros)。とてもロマンチックな名前を持つそのハーブは、ローズマリーです。本日はそのローズマリーにスポットを当ててみましょう。
地中海の沿岸の岩場にそって生息するローズマリーは、
青い海のしずくのような花を咲かせます。
その花弁はうつくしく、まるで海のしずくのように
青く澄んだ海へ注がれるかのような姿をあらわします。

常緑性の潅木で樹高は1~2m。その葉は、の線形葉が対生した形状を呈します。
花は秋から春にかけて唇形花を総状花序に輪生します。
耐寒性はー5℃~15℃くらいで品種により異なります。直立性種とがあります。
ギリシアローマ時代には注目されなかったローズマリーは、8~9世紀のドイツのロルシェ修道院薬局方において、疲労と痛みに対する処方が掲載されています。また、当時の西ローマ帝国のカール大帝が領内の農園で栽培するように支持し、人気の高い薬草のひとつになります。ローズマリーは当時、疲労や痛みといった全般的な作用と、胃腸の不調や強壮剤、肝臓のトラブルや食欲不振、喘息やリウマチ、婦人病にも用いられました。また若返りのハーブとしても有名です。これは、14世紀のハンガリーの女王エリザベート1世のリウマチの治癒と70歳を過ぎた女王が隣国ポーランドの王から求婚された逸話としても知られています。

ローズマリー(マンネンロウ)
疲労困憊したときにリフレッシュさせてくれるローズマリーは、胃腸の働きが悪い時や、
消化不良に用いられます。ハーブティをはじめ、料理や入浴剤としてはもちろん、虫除けとしても用いられます。ローズマリーとラベンダーをミルでくだいて、床や畳にふりかけて10分ほど置いてから掃除機をかけると、害虫避けにとても効果的です。
花粉症や鼻炎、胃腸のもたれには、ローズマリーとペパーミントとレモンピール、メリッサを合わせてすっきりリフレッシュはいかがでしょうか。

ローズマリー(マンネンロウ)
学名 Rosmarinus officinalis
英名 Rosemary
和名 マンネンロウ(万年郎)
科名 シソ科
使用部位 葉

ローズマリーの含有成分
精油成分 1~2.5% 1.8-シネオール α-ピネン カンファー ボルネオール など フェノール酸(ロスマリン酸、クロロゲン酸、カフェ酸) ジテルペン化合物(カルノシン酸、カルノソール、ロスマノールなど) フラボノイド(ルテオリンなど)

ローズマリーハーブの用い方
 ローズマリーチンキ
 分量 40度ウォッカ:ローズマリー = 10:1 2~3週間
*ローズマリーチンキは、溶出した後コーヒーフィルターなどで濾して、遮光ビンに詰めなおして保存します。

◆ 使い方 ◆

できあがったチンキ剤は、冷えや関節痛、スキンケアでは毛穴の開きや肌のたるみへの効果を期待した入浴剤として1回20mL~50mLを入浴直前に原液をいれて使用したり、原液を2割、精製水を8割ほどいれて、化粧水として2週間~3週間以内に使用したりします。
化粧水は、毛穴の開きや肌のたるみを改善する効果を期待したり、髪のへたりが気になるときのヘアミストとして用いたりします。

環境省認可法人(社)日本アロマ環境協会インストラクター
初穂香房主宰
Lavozouアロマテラピー講師
栄中日文化センター講師
1995年よりアロマテラピー講師として活動
ホームページアドレス  http://www.lavozou.com/index.html


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