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インターネット公開文化講座

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ハーブと精油でつくる家庭の薬箱

一般社団法人アロマハンドトリートメント協会代表理事
木之下 恵美 Megumi kinoshita

ハーブ・メディカルハーブ

  

ハーブの活性成分

ハーブとは、薬草(草本)とスパイスを意味します。しかしその中には入らないものの、その薬効性と有用性からリンデンやシルバーバーチ、ウォルナットのような木本もその仲間として考えられます。植物は太陽の光と糖分解によって生合成という命の営みを行い、一次代謝物と呼ばれるたんぱく質や糖質などと、二次代謝物と呼ばれるフェノール類やアルカロイド類などの呼ばれるホルモンや免疫のような働きをする活性成分を代謝しています。ハーブの本などを呼んでいるとでてくる薬効性や特性は、古くは古代エジプトやギリシア、中世ヨーロッパなどで人々に知られていたものと、それを現代の科学という計りで再び認識されたものがあります。そのどちらも大切な情報として、ハーブを役立てることができるよう楽しみながら学んでみましょう。活性成分の代表的なものを2つあげてみましょう。

タンニン
収れん作用を持つ成分で、オークやラズベリー、メドウスイート、ブルーマローなどに含まれます。皮膚や粘膜に付いた細菌を寄せ付けないようにし、傷の治癒を早めるために役立ちます。これは皮膚や粘膜にも含まれるたんぱく質の一種であるアルブミンを結びつける役割をタンニンが行うからです。のどの痛みを軽減するためのうがい薬や下痢止め、傷薬、洗眼薬として役立ちます。

フラボノイド
植物の黄色の色素として存在します。心臓や循環器系に作用して、毛細血管を強くする働きがあることが証明されています。それによって環境ストレスを防ぎストレス緩和剤として用いられます。ビタミンCと合わせて摂取すると、より効果的です。また抗酸化作用や抗ウイルス作用、肝臓保護作用、動脈硬化抑制作用、抗炎症作用、血圧降下作用があります。ルチンやイソフラボンもフラボノイド類のひとつです。リンデンやネロリ、フェンネルにも多く含まれています。

ハーブとメディカルハーブ

最近は、メディカルハーブという言葉がよく用いられるようになってきました。日本独自の定義としては、ドイツコミッションEでの証明を基準とし、疾病、治療を目的として使用されるハーブとその製品を意味し、またある種の機能を有する植物性食品も含まれるとされるとされています。ドイツコミッションEとは、ドイツ連邦保険庁にある専門委員会で、ハーブを医薬品として利用する場合の安全性と効能を協議する世界的に最も権威のある委員会です。ドイツ連邦保険庁とは日本の厚生労働省にあたるところです。

ハーブの利用方法
乾燥させたドライハーブや、そのままで使用するフレッシュハーブが基本となります。これをハーブティーや煎剤として内服・外用で利用します。それ以外に、水蒸気での蒸留や、アルコール、植物油、酢などでの溶出、粉末や固形としてのサプリメントとしての使用方法もあります。

日本の医療現場でのハーブ
イギリスやドイツ、フランスは、ハーブを医療現場に使用することに おいて先進国のように感じますが、日本を含むアジアの国々やインド、アフリカ諸国でも古くから医療としてハーブ=薬草を有効に使用してきました。21世紀に入り、日本でもハーブは医療現場で欠かせないツールのひとつとして私たちに恩恵を与えてくれ始めています。たとえば、心療内科領域での、不眠の緩和やリラックスを目的とした使用法や、産科・助産院でのリラックス、会陰保護、子宮強壮、陣痛促進、乳腺のケア、婦人科での月経困難症、更年期障害の改善、また緩和ケアでの苦痛緩和、リラックス、各症状の緩和、殺菌作用、リラックスなど様々です。

今回は、女性のためのハーブとして日本でも良く知られるハーブをひとつ上げてみましょう。

サフラン

学名・・・・・・・ Crocus sativus
科名・・・・・・・ アヤメ科
原産地・・・・・ アジア
使用部位・・・ 柱頭
含有成分・・・ 水溶性黄色カロチノイド色素クロシン・苦味配糖体ピクロクロシン・精油成分サフラナール
作用・・・・・・・ 血行促進・鎮痛・鎮痙・通経作用
適応・・・・・・・ 冷え症・めまい・動悸・ヒステリー・生理痛・更年期障害・自律神経失調症
神経興奮

水はけのよい砂質で日当たりのよい場所に育つサフランは、多年性球根植物です。
花は紺色~紫色を呈し、花には3本のめしべがあります。このめしべの先にある柱頭を、ハーブとして用います。この柱頭を乾燥させたもの1グラムを採るためには、約160個の花が必要になります。大変希少なハーブで金1グラムと同じだけの価値があるとされます。かつて古代ローマのプリニウスはこの効能をよく知っていましたし、古代ローマの皇帝ネロはこのハーブを大変好みました。またこのハーブは衣類の染色にも用いられ王族の衣装は このハーブで黄金色に染められていました。
属名はギリシア語のKrokos「糸」に由来し、それは柱頭を表しています。ソロモンの雅集にはカルコムという名前でサフランが登場し崇高な植物として謳われています。
サフランは香り高く金色に染まる料理に使用されますが、これは代用品として用いられるどんなハーブよりもそん色のない風味を醸し出します。
サフラン特有の香りは苦味成分配糖体ピクロクロシンとその加水分解物であるアルデヒド類のサフラナールによるところが大きいようです。
水にも溶出するサフランの黄金色は、カロチノイド色素のクロシンによります。それゆえ水にいれてもきれいに色が溶出します。

第14改正日本薬局方(2001年)には次のように書かれています。
「本品はサフランCrocus sativus Linne (Iridaceae)の柱頭である」

〈適用〉

配合剤(婦人薬など)の原料とする。冷え症、血色不良に、成人1改良0.3gに熱湯100~150mLを加え、5~10分後にそのまま服用する。
1日3回食前または食後に。

ハーブ薬としてのサフランは、鎮静作用、鎮痙作用、月経痛、冷えからくる月経痛、動悸やめまい、自律神経失調症やヒステリー、更年期障害、神経興奮に用いられます。内服もしくは煎剤として用いると効果的です。

禁忌作用としては1日10g以上の摂取で堕胎の危険性が知られています。



環境省認可法人(社)日本アロマ環境協会インストラクター
初穂香房主宰
Lavozouアロマテラピー講師
栄中日文化センター講師
1995年よりアロマテラピー講師として活動
ホームページアドレス  http://www.lavozou.com/index.html


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