文化講座
バジルのフレグランスオイル~元気の出ないこころのためのレメディ
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たくさんの変種をもつバジルのうちでこの『Ocimum basilicum』は、精油において最も効果的に用いられる種類のバジルとして重宝します。ただしプロ仕様の精油として考えたほうがよいでしょう。なぜならばその成分組成に気をつけて使用するべきものが多いからです。しかしだからこそ、より効果的な使用も可能になります。ハーブそのものに関しては、料理に少々用いることには問題はありませんが、より効果を得る方法として多量に用いる場合や溶出度の高い方法で使用する場合は、精油と同様に気をつけて使用します。
第四回目は少々真剣に(いつも真剣なのですが、より一層気をつけて・・・)バジルのお話をしてみましょう。アロマテラピーやハーブが一般的になり始めている今、ちょっと深いハーブの世界へ入ってみましょう。
バジル精油について
学名/Ocimum basilicum 科名/シソ科 抽出方法/水蒸気蒸留法
抽出部位/花と葉 原産地/アジア
主産地 イタリア・北アフリカ・セーシェル・レユニオン諸島
陰陽/陽 支配星/火星
外用のみ、内服はおすすめしません。
皮膚刺激性 D(ごく緩和な刺激性がある)
経口毒性 B(緩和な毒性)
【バジルの形状】
バジルは、広い卵形の先がとがった緑色の葉をつける草本で、白い花を咲かせる1年草で、 40~90cm程に成長します。また、種小名のbasilicumは「王」を意味し、インドは 最も神聖な植物とされ、クリシュナ神に捧げられたトゥルシ(聖バジル)と呼ばれています。 インド自然哲学のアーユルベーダでも広く用いられています。
【バジルの精油成分について】
バジル精油の主要な成分は、リナロール、カンファー、シネオール、メチルカビコール、 オイゲノール、ピネンなどです。リナロールにより緩和、カンファー、シネオール、 メチルカビコール、オイゲノール、ピネンなどにより刺激、強壮、殺菌作用が期待されます。
【バジル精油の効能について】
ここでは、メチルカビコール5%未満のロバートティスランド精油を用いています。 2%濃度であればアロマテラピーにおいて、アレルギー等の感作の問題がなければ、 頭痛や偏頭痛、精神衰弱、解毒、殺菌、咳、関節痛に選択される精油として効果的です。 クエンチング効果とシナジー効果を考えるとそれぞれの期待する作用にあわせて他の精油を ブレンドすることがより良いと思われます。
*クエンチング効果 = 毒性を和らげる効果
*シナジー効果 = 相乗効果。その効能をより高める効果
【バジル歴史】
17世紀のハーバリストであるジョン・ジェラードは、「バジルの香りは心に効果があり~、
抑うつ的な気質から生じるこころの痛みを除き去り、人を陽気に楽しくさせてくれる。」といい、
ハーバリストであり占星術師でもあるニコラス・カルペパーは、「そこを離れてリーズン博士の
もとに行ったところ、博士は私にそれが火星の薬用植物であり、蠍座の影響のもとにある植物で
あること、したがってこれをバジルと呼ぶこと、これが有毒な性質をおびていても驚く必要が
ないことを教えてくれた。しかし、毒をもつ獣にかまれたりスズメバチなどに刺されたりした
箇所にはこれをつけると、その毒性を急速にひきだしてくれる。
~すべての似たものは似たものをひきだす~。バジルは分娩と後産の双方を引き出す。」
と述べています。ニコラス・カルペパーの伝えている内容は現代日本でもはやり始めている
同種療法=ホメオパシーとしての作用を伝えています。
【バジルと中医アロマテラピー】
中国医学の基礎にある考えのひとつである陰陽からみると、バジルは、「陰に変化する陽」に
分類されます。それにより、こころには、冷静にさせ高揚させる効果が期待されます。
ヒステリーにはそれを鎮め、抑うつには高揚感を与えてくれます。皮膚に対しては熱いと同時に
冷たい感じを与える不思議な特性を備えます。これにより痛風の痛みや関節痛に効果を発揮する
ようです。陰陽の生命エネルギーの流れが妨げられているとき、これを活性化するのに効果的で、
それによって自律神経を調整し活性化し、交感神経、副交感神経のどちらでも、その機能が低下
しているときに用いると機能の改善を助け、生命エネルギーの流れを改善します。
朝、晩の区別がつかず鈍くなった調子をもとにもどして元気にしてくれます。
【バジル精油を総合して考えると】
心身全般には、関節痛、リウマチ痛、精神・神経の衰弱により起こす頭痛や偏頭痛に使用した精油です。
そのほか、虫刺されやスズメバチの刺し傷、感染症をおこすような蚊やぶよ、ダニなどの刺し傷に
対する効果も期待できます。
これらの効果を安全に、一層高く用いたい場合は、植物油やハチミツに希釈します。ただし上記した
ように、メチルカビコールが5%以内、希釈濃度2%を上限とします。
こうすると、効果的な芳香療法(アロマテラピー)として用いることができます。
実習/バジルのフレグランスオイル~元気の出ないこころのためのレメディ
基材 | スウィートアーモンドオイル 15mL | ||||||
精油 |
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計 1% |
スウィートアーモンドオイル15mLにメリッサとバジル、ラベンダーを各1滴入れます。 こめかみや首筋、胸元に塗布します。使用期限は2~3週間以内にしましょう。
環境省認可法人(社)日本アロマ環境協会インストラクター
初穂香房主宰
Lavozouアロマテラピー講師
栄中日文化センター講師
1995年よりアロマテラピー講師として活動
ホームページアドレス http://www.lavozou.com/index.html