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インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

ハーブと精油でつくる家庭の薬箱

一般社団法人アロマハンドトリートメント協会代表理事
木之下 恵美 Megumi kinoshita

桜色の小さな花・ヒースの美白

  

愛知県共済生活協同組合インターネット公開文化講座のご依頼を頂いて、4年目を迎えることになりました。本当にいつもありがとうございます。どうぞ、これからもよろしくお願いいたします。
さて、4年目を迎える今年度は、『ハーブと精油でつくる家庭の薬箱~ハーブとともにある12ヶ月の暮らしの知恵』と題して、お話していきたいと思います。4年目の第1回目は、桜色の小さな花・ヒースのお話をいたします。

ヒースのシミ対索
シミをとる作用、もしくはシミをできにくくする作用を持つハーブにはなにがあるでしょう。わたしたちアロマテラピーやハーブを扱うものにとって使いやすく身体によいハーブとしてヒースとローズが考えられます。ヒースは、アルブチンが多く美白効果が高いハーブとして知られています。また、解毒作用と保湿効果、抗炎症作用があるローズをあわせて使用すると、効果がより高まると思われます。

アルブチン arbutin
苔桃や梨、ウワウルシなどの植物に含まれている天然型フェノール性配糖体です。メラニン合成に関わるチロシナーゼに直接作用し、メラニンの合成を阻害するため、美白効果があるとして、化粧品などに使用されています。アルブチンにはβ型とα型がありますが、一般に使用されるのはβ-アルブチンです。またこのアルブチンは利尿作用と尿路殺菌作用があり利尿作用と尿路殺菌作用があり、尿路消毒薬としても使われています。美肌効果が高いアルブチンは、α-アルブチンで、ヒースの含有するアルブチンはα-アルブチンです。

  

ヒース/へザー/エリカ  Heath / Heather
学 名 
和 名 
科 名
原産地
支配星
使用部位
花 期 
含有成分
Calluna vulgaris / Erica vulgaris
ギョウリュウモドキ
ツツジ科
ヨーロッパから小アジア諸国まで
金星

8月~9月
ヒドロキノン配糖体(アルブチン、メチルアルブチン)、
フラボノイド、タンニン

その可憐でちいさな花の風貌にして辛抱強いヒースは、荒地で育ち、他の植物よりも強い生命力をもちます。針のような葉をもち、紫がかった薄紅色の花を密集して咲かせます。その香りはハチミツのようです。

リウマチや痛風、関節痛には、アルコールチンキとしてそのまま付けたり、植物油に浸出させて、塗布したり沐浴や部分浴で用います。

また、尿道炎や結石、良性前立腺肥大による排尿障害には5分ほど煎じて内服します。半日ほどかけて冷水に浸出させるハーブウォーターも効果的です。これはリンデンやストロベリーリーフ、クマザサとあわせると効果的です。炎症をより抑えるためには陰性のローズとのブレンドも好相性です。

紫外線によるシミの美白、そばかすには内服と外用で効果的に用います。

その効果は支配星からもよくわかります。ヒースは金星を支配星とし、ヴィーナスの器官である腎臓、膀胱、尿管の働きを活性化するといわれます。

またヒースをその語源から見てみると・・・
古代ゲルマン語のHaithio、ドイツ語では「荒野、荒地」を意味するHeideハイデと語源が同じです。
イギリスでは、「孤独」と「謙遜」のシンボルとなり、その花言葉は「孤独」です。
属名のCallunaはラテン語の「Kalos=美しい、箒で掃く、清掃する、きれいにする」を表します。また、種小名のvulgarisは、「ulex=棘のある常緑の低木」を表します。

バッチフラワーでは、自己中心的なひとに思いやりを持つ力を与えてくれるとして処方されています。

魂の調和がとれた状態は、他人への気配りができ、他人の話を傾聴する姿勢
魂の調和が乱れた状態は、自分のことを誰かに話さずにはいられない、孤独

ヒースは、酸性の土壌を好み、荒地や砂丘などによく見られます。他の植物が生育しにくい土地でもよく育ちます。これは菌根菌とよばれる菌類がその根に共生することによって養分(リン酸)をもらい、代わりに光合成によってつくられた栄養素(炭素化合物)を菌根菌に与えます。このような共生によって育つヒースはパートナーとともにあって生きることができます。ヒースの潜在的なエネルギーのキーワードは「共生」です。

バッチは、ヒースのエッセンスを・・・
孤独であることに不幸を感じるあまり、常に自分の話を聞いてくれる相手を求める人に用います。

彼らは調和のとれていない魂の状態において、自分の抱える問題について他人に話さずには いられず、誰かれ問わず話しかけてしまいます。たとえ相手がそれを嫌がっていようが、無理に引きとめてでも話し続けようとします。当然のことながら、そういう人に対しては、まわりの人たちもできるだけ関わりを避けようとしてしまいます。そのため、ヒースを必要とする人はますます孤独な状況に陥って苦しむことになるのです。

エドワード・バッチは、孤独によるこのような症状を持つ人が調和のとれた魂の状態になると、自己中心的な人に温かさをもたらす波動を見出しました。そしてそれによってその人は感情移入能力と真の親切心で、周囲の人と向き合うことができるようになることを見出しました。

ハーブティやハーブのチンキ、沐浴、バッチフラワーなど多くの薬草療法で用いることができます。現代では、美白効果のあるα-アルブチンという成分が、よりヒースの必要性を感じさせます。α-アルブチンの美白効果は、特に紫外線によりダメージを受けた肌がおこすメラニン細胞の過剰産生と代謝不良による色素沈着に対して優れています。内服も外用も効果的で、内服はヒースを水出しすることによってつくるハーブウォーターや、5分ほど煎じる煎剤も効果を発揮します。このハーブウォーターや煎剤はリウマチや痛風、糖尿にもよいため、美白のためだけではなく、体内に蓄積した尿酸や老廃物を排泄するためにも役立ちます。この目的で使用するハーブティーには、ストロベリーリーフやクマザサがあり、美容やリラックスのためにはローズケンティフォリアとの相性がとても効果的です。

美白効果は、内服と外用をあわせて行うとよい効果をもたらします。
外用としては、アルコールチンキとしてウォッカ200mLに10gのヒースを浸出させて、2週間毎日よく振ってつくります。

【リウマチと痛風の痛みを緩和するヒースのチンキ】
材 料 / ヒース 10g
  40度ウォッカ 200mL
  透明ガラスの容器 1個
  (300mLほど入る大きさで密閉できるもの)
  コーヒーフィルター  
  茶色遮光ビン 1個
  (150~120mLほど入る大きさのもの)
■作り方
1. 透明ガラス容器に、ヒース10gと40度ウォッカ200mLを入れて密閉します。
2. 2週間ほど毎日振ります。
3. コーヒーフィルターでよく濾して、遮光ビンに詰めます。
4. 絞りきれなかったヒースの残りは、1回分の入浴剤としてお使いください。

■使用期限/  冷暗所で1年

■使い方その1
リウマチや痛風の痛み止めのための入浴剤として1回に10mL程。

■使い方その2
原液を10mLとローズウォーターやネロリウォーター、ラベンダーウォーターなどの芳香蒸留水80mLとあわせて美白用化粧水として。芳香蒸留水は精製水でも可。使用期限1ヶ月

■使い方その3
ミネラルウォーターや湧き水に数滴落として、孤独を癒し安心と癒しを与えるレメディとして。ローズのハーブティに数滴落とすのも効果的です。


環境省認可法人(社)日本アロマ環境協会インストラクター
初穂香房主宰
Lavozouアロマテラピー講師
栄中日文化センター講師
1995年よりアロマテラピー講師として活動
ホームページアドレス  http://www.lavozou.com/index.html


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