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『食育』をはじめましょう

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

赤ちゃんの離乳食

今もっとも注目されている「食育」。しかし、「食育ってなに?」とあまり深く知らない人も多いようです。
そんな人々のために、今シリーズは「食育」をとりあげました。
「高齢者のための食事とは」、「働き盛りの人のための食事とは」、「幼児のための食事とは」、「よく噛むことの大切さ」、「カルシウムの大切さ」など、基本的な知識と最適レシピを12回テーマでわかりやすくご紹介します。

第4回目のテーマは「赤ちゃんの離乳食」。
離乳食作りは面倒くさい、難しいといったイメージが先行しがちですが、コツさえつかんでしまえば意外と手早く簡単にできるものです。今回は、離乳食のポイントと大人の料理をひと工夫したお手軽離乳食の作り方をご紹介します。




1. 離乳食の大切さ

赤ちゃんは家族の愛情と乳汁ですくすく成長します。しかし、次第に乳汁だけではエネルギー、各栄養素が不足し、正常な発育や健康が保てなくなってきます。そこで離乳食を与え、徐々に幼児食に近づけていく必要があります。離乳は味覚形成や食生活の基本となる大切な過程です。赤ちゃんの健やかな成長を願い、愛情を持って離乳食作りを楽しみましょう。

■離乳とは■
  赤ちゃんが「飲む」ことから「食べる」ことへ成長していく最初の段階のことをいいます

■離乳の目的■
 
必要な栄養をまかなう 大人の食生活へのスタート
味覚の形成
生きていくために自分で食べることを覚える
かむこと、飲み込むことの練習


2. 離乳食のポイント

離乳の開始はおよそ生後5ヶ月頃が適当ですが、個人差が大きいため、赤ちゃんのペースに合わせて、あせらずにゆっくり始めることが大切です。開始時期の目安としては、(1)首がすわり、支えると座ることができる、(2)食べ物に興味を示すようになる などがあげられます。

(1) 離乳初期(ゴックン期)・・・5~6ヶ月
 
飲み込みやすいドロドロ状のものを、1日1さじ、まずは1品から始めます
最初は体にやさしい穀物・野菜類・果実から与えましょう

(1)パンがゆ (2)ビスケットのミルク煮
(3)白身魚のすり流し煮 (4)卵黄ペースト
(5)レバーマッシュパテト (6)りんごとにんじんの2色おろし

(2) 離乳中期(モグモグ期)・・・7~8ヶ月
 
食べることに慣れてきたら、舌でつぶせるくらいのものを1日2回(午前中と夕方)与えましょう
食品数を増やし、煮る・蒸す・焼くなどの調理工夫をしましょう

(上)しらす入りおじや
(下)納豆ときゅうりのおろし和え

(3) 離乳後期(カミカミ期)・・・9~11ヶ月
 
歯ぐきでつぶせるやわらかさのものを、1日3回食べられるようにすすめましょう
自分で食べる気持ちを大切にしてあげましょう

(上)シーフードのトマト煮 (牛乳すいとん入り)
(下)トーストかぼちゃペースト添え

(4) 離乳完了期・・・12~15ヶ月
 
歯ぐき・歯でかめる硬さにし、1日3食と1~2回のおやつを与え、食生活のリズムを作りましょう
偏食の予防を心がけ、種々の食品や料理を用いましょう

(上)星のナポリタンスパゲティ
(下)果物のヨーグルトゼリー

はちみつは乳児ボツリヌス症予防のため満1歳までは使用しません
そば、さば、いか、たこ、えび、かに、貝類等は離乳後期になるまで控えましょう
時間のある時に作り、小分けにして冷凍しておくと便利です


3. 離乳食作りをスムーズにするための調理器具

離乳食作りに使用する器具は、衛生面を考え大人と一緒のものではなく、赤ちゃん専用として使用します。

★離乳食用食器セット
 
・食器や調理器具がセットになっています
・電子レンジ対応のものが便利です

★ベビースプーン&フォーク  ★いちごスプーン
 
ベビースプーン&フォーク
・赤ちゃんが握りやすいように持ちてが丸くなっています
いちごスプーン
・スプーンの背が平らでデコボコがあるため、食品が滑らず、柔らかい食品をつぶすのに便利です

★茶こし
 
・果汁をこしたり、卵黄やゆでた野菜などを裏ごしたりするのに便利です
・小さいので少量でも裏ごししやすく重宝します

★陶製のおろし金
 
・果物には酸味のあるものが多いため、酸性に弱い金物のおろし金は離乳食作りに向きません


4. 離乳食の作り方 ~家庭の食事をひと工夫でかんたん離乳食~

離乳食用の食材をわざわざ特別に用意する必要はありません。大人用の料理の材料から赤ちゃんが食べられるものを少し取り分ければよいのです。

 ・大人:彩り押し寿司
 ・赤ちゃん:3色ごはん
赤ちゃんも彩りが美しい料理に興味を示します
色のバランスを考えて作りましょう

~大人用:彩り押し寿司~
■材料 分量:2人分
1・1/2カップ
360ml
 
すし酢 40ml
砂糖 大さじ1/2
1コ
少々
砂糖 少々
適宜
絹さや 8枚
少々
エビ(中~大) 3尾
少々
B  
鶏ひき肉 100g
しょうゆ 大さじ1
砂糖 小さじ1弱
みりん 大さじ1
干ししいたけ 3枚
しょうゆ 大さじ1/2
もどし汁 適宜
桜でんぶ 小さじ2
■作り方
1. 米は洗って分量の水に浸け、1時間程おきます。
2. 1を炊き上げ、火が切れて10分ほどしたら(A)の合わせ酢を混ぜて手早く冷まします。
3. 卵を溶いて塩と砂糖で調味し、フライパンで細かい炒り卵を作ります。
4. 絹さやは塩ゆでします。
5. エビは背ワタを取り、竹串を刺して(曲がるのを防ぐため)殻ごとゆでて水にとります。
6. (B)を鍋に入れて火にかけ、鶏そぼろを作ります。
7. しいたけは水で戻してからせん切りにし、ひたひたの戻し汁で煮て、しょうゆを加えて煮含めます。
8. 流し缶(又は密閉容器)にすし飯の1/2量を入れて、その上に鶏そぼろの半分をのせて敷き詰め、その上にまたすし飯をのせます。
9. すし飯の上に36の具を彩りよく盛り、ギュッと重石をします。
10. しっかりと押してから切り分けて召し上がります。

~離乳食用(後期):3色ごはん~
■材料 分量
鶏ひき肉 適宜
少々
絹さや 適宜
炒り卵 適宜
ごはん 適宜
■作り方
1. 鶏ひき肉は鍋でそぼろを作り、塩でごく軽く味をつけます。
2. 絹さやは柔らかくゆでて食べやすい大きさに切ります。
3. 器にごはん、12、炒り卵を彩り良く盛り付けます。

 ・大人:かぼちゃのカッテージチーズサラダ
 ・赤ちゃん:かぼちゃサラダ
かぼちゃとチーズは栄養バランスがよく、赤ちゃんも好きなため、離乳食作りの必須食材です

~大人用:かぼちゃのカッテージチーズサラダ~
■材料 分量:2人分
かぼちゃ
(ワタをとって)
100g
ロースハム(スライス) 2・1/2枚
梨またはリンゴ 1/4コ
ラディッシュ 2コ
A  
カッテージチーズ 100g
オリーブオイル 小さじ2
ふたつまみ
白こしょう 少々
■作り方
1. かぼちゃは小角切りにして水からゆでます。(電子レンジ可)ゆで上がったらザルに上げ、冷まします。
2. ハムと果物は2cm角に切ります。
3. ラディッシュは薄切りにします。
4. ボウルに13を入れ、(A)を加えて軽く和えます。

~離乳食用(後期):かぼちゃサラダ~
■材料 分量
かぼちゃ 適宜
梨またはリンゴ 適宜
カッテージチーズ 適宜
■作り方
1. かぼちゃは小角切りにして柔らかくゆでます。
2. 果物は食べやすい大きさに切ります。
3. ボウルに12、カッテージチーズを入れて軽く和えます。

 ヨーグルト
砂糖の甘みに慣れてしまうと、それ以外食べなくなってしまうので、フルーツなどの素材の甘みを生かすよう工夫しましょう


■材料 分量
プレーンヨーグルト 適宜
季節のフルーツ 適宜
■作り方
~離乳食用(前期)~
  プレーンヨーグルトにすりおろした(すりつぶした)フルーツを混ぜます。
~離乳食用(後期)~
  プレーンヨーグルトに食べやすい大きさにきったフルーツを混ぜます。


離乳食の注意点
 ・無理強いせず、根気よく与えます
 ・楽しい雰囲気で食事を食べさせましょう
 ・個人のペースに合わせてすすめます
 ・いろいろな食品与え、豊かな味覚を育てましょう


~参考文献~
  ・あたらしい家庭の健康料理  著者:伊藤華づ枝
  ・食生活全般論  著者:伊藤華づ枝
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