文化講座
ハンガリーの森のジュニパーベリー
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ヨーロッパの北、スカンジナビア半島の澄んだ冬の空気に鼻を澄ませると、甘さを少し含むようなきりりとした針葉樹独特のヒノキのような香りがします。
学名をJiniperus communis、ジュニパーといいます。和名はセイヨウネズ。
中世のドイツでは、これをリースにして戸口に飾り魔除けにしていました。
チベットでは疫病から身を守るために役立ててきました。
イギリスでは、この実でジンというお酒をつくります。
ジュニパーの実は、よい香りが採れます。ジュニパーベリーとしてその精油は多くの効能をわたしたちに与えてくれます。
街の喧騒に紛れて消耗したこころと身体を癒す森の香りの精油です。
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ジュニパーベリー | |||
英語名 学 名 科 名 種 類 産地の一例 抽出方法 抽出部位 成分の一例 ノート |
Juniper berry Juniperus communis ヒノキ科 低木 ハンガリー フランス イタリア カナダ クロアチア 水蒸気蒸留法 果実 α-ピネン カンフェン サビネン テルピネン-4-オール ベースノート |
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1cmに満たないほどの小さく黒い実を水蒸気蒸留法にかけて精取されるジュニパーベリーの精油は、ヒノキ科独特のきりりとした香りを放ちます。
スカンジナビア半島の原野に生育するその木は10mほどまで生長しますが、一般的には2m弱の常緑樹です。古くは旧約聖書の中に、預言者エリヤが疲れきってジュニパーの樹の下で眠りについたとあります。
ジュニパーの香りには、α-ピネンといって空気を浄化し森林浴のような作用を持つ成分があり、カンフェンやサビネン、テルピネン-4-オールなどによって殺菌・抗菌作用が期待されます。
テルピネン-4-オールは免疫系を強化することでも知られます。
こころが疲れ果てて弱ってしまったときに、免疫力を低下させず、身体の自然治癒力を高め消耗したこころを強化します。
風邪やインフルエンザが流行る頃の芳香浴(空気中に香りを漂わせる方法)として、ジュニパーベリーを用いるのはとても効果的なアロマテラピーです。
また利尿効果があることも知られ、沐浴やマッサージにおいてその効果は高くなります。
体内の毒素を排泄するため入浴時に大人で5滴以内を入れて入るのはとても効果的です。
死海の塩などの天然塩にブレンドすると発汗作用も期待され、より効果的でしょう。
レシピその1 新陳代謝を促し、解毒と浮腫みをとるためのバスソルト
【材料】(大人でお風呂1回分の分量) | ||
死海の塩 | 30g | |
ジュニパーベリー精油 | 3滴 | |
スウィートマジョラム精油 | 2滴 |
【作り方】 | ||
死海の塩30gにジュニパーベリー精油3滴とスウィートマジョラム精油2滴をブレンドしよく混ぜて出来上がりです。 |
【ポイント】 | ||
ガラスの容器につくり、2~3週間以内に使い切りましょう。 |
【精油の補足説明】 | ||
スウィートマジョラムは、こわばりを解きほぐし、血液やリンパの流れをよくします。 |
レシピその2 新陳代謝を促し、解毒と浮腫み、セルライトをとるためのマッサージオイル
【材料】 | ||
オリーブオイル(低温圧搾/未精製) | 30ml | |
ジュニパーベリー精油 | 3滴 | |
グレープフルーツ精油 | 3滴 |
【作り方】 | ||
低温圧搾、未精製のトリートメント用オリーブオイルにジュニパーベリー精油3滴とグレープフルーツ精油3滴をブレンドしてよく振ります。 できあがったマッサージオイルは2~3週間以内に使い切りましょう。 |
【使い方】 | ||
お風呂上りに気になるところに優しく包み込むように手のひらで塗ります。 リンパにそって塗布すると効果的ですが、強すぎると逆効果ですのでふんわりと優しく塗りましょう。 |
【注意】 | ||
グレープフルーツはリンパの流れをよくし、セルライトをとる助けをしますが、太陽の紫外線を直接あびる場所には塗布しないようにします。 洋服を着て紫外線が直接あたらなければ、上記のブレンドでは問題はありません。 |
環境省認可法人(社)日本アロマ環境協会インストラクター
初穂香房主宰
Lavozouアロマテラピー講師
栄中日文化センター講師
1995年よりアロマテラピー講師として活動
ホームページアドレス http://www.lavozou.com/index.html