文化講座
花の中の花、その名はイランイラン
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地球の中で一番鼓動が暑い熱帯雨林のスコールにそだてられ、
その花びらを細くしなやかに弛ませて、
のびのびとその色を香りに変えるイランイラン・・・
『思い煩わないで、深呼吸して、忘れてしまっていいことは忘れてしまいましょう』
しっかりと包み込むようなイランイランの香りのメッセージは、
がんばりすぎて固くなった心を解きほぐしてくれます。
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50音順で精油(エッセンシャルオイル)を調べると、最初に目をひくひとつに『イランイラン』があるのではないでしょうか。おもしろい名前だなあ・・どんな香りだろう・・・。
アロマテラピーに興味をお持ちになった方は、『イランイラン』の名前をお聞きになったことがおありかと思います。
『イランイラン』とは、タガログ語(フィリピンの言葉です)で、花の中の花という意味を持ち、Ylang Ylangと英語で表記します。
学名(本名のようなものです)は、Cananga odorataと表記します。
科名(学名より大枠で分類したもの)は、バンレイシ科となります。
イランイラン | ||
英語名 Ylang Ylang 学 名 Cananga odorata 科 名 バンレイシ科 抽出方法 水蒸気蒸留法 抽出部位 花 ノート ミドル~ベースノート |
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イランイランは、フィリピンやマレー、セーシェル諸島、タヒチなどの暖かい熱帯気候に生息する木です。
このイランイランの木の花から精油をとるのですが、イランイランの花には黄色や藤色、ピンク色のものがあります。中でも黄色の花からよい香りの精油がとれます。
濃厚な花の甘くエキゾチックな趣は、南国の島々に流れる時を封じ込めているかのようなまったりとした穏やかさをたたえています。
また、イランイランはフローラルハイの代名詞を持っています。
『フローラルハイ』、日本語にすると多幸感となるでしょうか。
幸せなここちをもたらす花の香り・・・素敵ですね!
このイランイランの花のもつ香りの主要な成分を有機化学で考えると、リナロール、ゲラニオール、酢酸ベンジル、安息香酸メチルがあがってきます。
酢酸ベンジルや安息香酸メチルは、有機化学のエステル類というグループに分類されるのですが、エステル類は花や果物が熟しきったときにその精製レベルが最高になる香りの成分で、イランイランの花の香りが高いは理由は、このエステル類を多く含むからというのも大きな一因です。
黄色の花からとられる『イランイラン』の香りにはグレードというものがあります。
水蒸気蒸留法で精取される時、その蒸留時間が短いほうが高く、エクストラグレード・ファースト、セカンド、サードグレードとなります。このグレードすべてをミックスしたものは、コンプリートと呼ばれます。精油の中でそのようなわけ方をされるものは、イランイランくらいが代表的なものでしょう。エクストラグレードは、香水や上質な精油として用いられ、他のグレードのものより香りが柔らかですーっと広がるような感じになります。セカンドやサードのグレードは香りが重く値段も安くなりますが、石けんなどの香料には向いています。
アドレナリンの流出を穏やかにし、興奮やパニック、怒りやショックを解きほぐすときは、1滴のイランイラン精油をハンカチに落として近くに置いておきましょう。
ゆっくりとゆっくりと落ち着かせてくれます。
イランイラン精油は濃厚な香りを持ちますから必ず少量で用います。
過呼吸や頻脈にも同じようにして用います。
濃厚な香りですが、皮脂分泌が過多な時にこの香りの成分は助けになってくれます。
脂浮きしやすいお肌の方は、無添加・無着色・無香料の液体石けんにこの香りをブレンドしてお使いくださるとよいでしょう。
ブレンドしてよい石けん素地か判断できないときは、お店のひとに聞きましょう。
分量は、10mLの石けん素地にイランイラン精油は2滴までとします。
ブレンドをしてより心地よい香りのオリジナル液体石けんをつくるなら、
100mLの無添加・無着色・無香料の石けん素地に
イランイラン精油(Cananga odorata) 10滴
ラベンダー精油(Lavandula angusutifolia) 5滴
グレープフルーツ精油(Citrus paradisi) 5滴
をブレンドしてつくるのもよいでしょう。
*精油をブレンドした石けん素地は早めに使い切ります。(少なくとも1ヶ月以内)
南の島を思い浮かべるような香り『イランイラン』の精油を楽しんでみましょう。
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環境省認可法人(社)日本アロマ環境協会インストラクター
初穂香房主宰
Lavozouアロマテラピー講師
栄中日文化センター講師
1995年よりアロマテラピー講師として活動
ホームページアドレス http://www.lavozou.com/index.html