文化講座
月のリズムのバランスメーカー~ゼラニウム
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花のような香りを放つゼラニウムの葉・・・和名は『ニオイテンジクアオイ』。
インド洋に浮かぶフランス領レユニオン諸島や、フランス、モロッコ、エジプトなどで良い香りのゼラニウムは栽培されています。
ゼラニウムの学名(属名)をカタカナ表記すると、ペラルゴニウム(Pelargonium)。
これは、ラテン語のpalargos(コウノトリ)が由来です。
ゼラニウムの種子のかたちがコウノトリのくちばしに似ているからこの名が付いたといわれます。
Pelargos~コウノトリ・・・ゼラニウム精油の効能を想像させるネーミングです。
なぜなら、ゼラニウムの精油は、女性の身体とこころのバランスを整えて、月のリズムを心地よく正しく刻む手助けをして、ベビーがお腹で10ヶ月心地よく過ごせるように、女性の身体をつくる精油なのです。
ゼラニウムの香りのその効能は、まさしく『Pelargos~コウノトリ』 なのです。
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ゼラニウム | |||
英語名 学 名 科 名 抽出方法 抽出部位 ノート |
Geranium Pelargonium graveolens / Pelargonium odoratissimum フウロソウ科 水蒸気蒸留法 葉 ミドルノート |
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鎮静と高揚、緩和と活性、相反するふたつの働きを両てんびんに従えて効果を発揮します。
合成の薬剤や安定させた香料にはないゼラニウムのその特性は、生きている精油(エッセンシャルオイル)だからこそ、その恩恵をわたしたちに与えてくれます。
鎮静と高揚、緩和と活性、リナロールとシトロネロール、ゲラニオールとメントン、有機化学からみたゼラニウム(Pelargonium graveolens / Pelargonium odoratissimum)の主要成分からもわかります。
「リナロール」や「ゲラニオール」は、鎮静と緩和、殺菌作用などをもち、ラベンダーやローズの主要成分にもみられます。
「シトロネロール」は、柑橘系の精油やレモングラスのような虫除け効果の高い精油にも含まれる抗菌、殺菌作用のある成分です。
「メントン」はペパーミントの中にもみられ、賦活作用(刺激し活性化させる)を持ちます。
ゼラニウムは、数多くの精油と相性がよく、特に花の精油とブレンドするとその花の香りを際立たせてくれます。
柑橘系の果皮から精取された精油とブレンドすると、その香りに広がりを持たせます。
樹脂や樹皮から精取された精油とブレンドすると、その木の香りの本質を立ち上げてくれます。
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ゼラニウム精油の特性を一言でいうと、センタリングできなくなったこころに安心感のある中心軸を与えて、情緒を安定させます。
ゼラニウムの作用は、女性のこころと身体に対して、とくにそのすばらしさを発揮します。
月経前のホルモンのアンバランスからくる様々な不調に、バランスメーカー(平衡を保つ)として、またセンタリングポインター(中心軸をしっかりと置く)として働いてくれます。
排卵後から月経前にかけて、女性の身体は黄体ホルモン(プロゲステロン)の働きが活発になります。
この黄体ホルモンは、子宮内膜の黄体細胞をふくよかで温かな状態に導いて、排卵によって生まれてきた卵子が受精したときに着床し育つことができるように働きます。
黄体ホルモンは黄体細胞をふくよかで温かな状態に保つために、いつもより体温を上げて水分を取り込みます。
この黄体ホルモンは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と微妙なバランス関係を描きながら、女性の身体の月のリズムをコントロールします。
月経前の女性の身体とこころは、このふたつのホルモンのバランス関係の中で月経もしくは妊娠を迎えます。
いつもと違ったことが起こったり、緊張状態がずっと続くと、月経前の女性ホルモンはいつもより上手くバランスがとれなくなります。
ゼラニウムは、28日周期を基本にリズムを刻む女性ホルモンの状態を整えて、水分を取り込み過ぎて浮腫まないように、スキンケアでは、月経前のふきでものができないように助けてくれます。
落ち込まないように、イライラしないように、こころのセンタリングも助けてくれます。
ゼラニウムは、月経の状態が不安定になる更年期にもとても役立つ精油です。
もちろん、こころのセンタリングポインター、バランスメーカーとして男性にもぜひ試していただきたい精油のひとつです。
◆月経前緊張症とホルモンのアンバランスからくるムクミ対策マッサージオイル◆
【材料】 | ||
スウィートアーモンドオイル(未精製/低温圧搾/無添加) | 100mL | |
ゼラニウム 5滴 | ||
ローズウッド 3滴 | ||
クラリセージ 2滴 |
【作り方】 | ||
スウィートアーモンドオイル100mLにゼラニウムとローズウッド、クラリセージの精油を希釈してよく振ります。 |
【使い方】 | ||
お風呂上りやお休み前に、お腹と腰、脚にやさしく流すように塗布します。 塗布した後は、できるだけ洗い流したりふき取ったりしないほうがより効果的です。 どうしても気になるときは、蒸しタオルで軽く押さえて落ち着かせます。 |
【使用期限】 | ||
防腐剤など安定剤や添加物をいれないため、はやめの使いきりをおすすめします。 少なくとも1ヶ月以内にはつかいきりましょう。 |
環境省認可法人(社)日本アロマ環境協会インストラクター
初穂香房主宰
Lavozouアロマテラピー講師
栄中日文化センター講師
1995年よりアロマテラピー講師として活動
ホームページアドレス http://www.lavozou.com/index.html